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「みんなで何かをつくるのが好き」 大阪出身で学校は京都精華大学だったんですが、自分たちの手でなにかおもしろいことを生み出そうという気風があって、変わった人やおもしろい人が多かったですね。ぼくは人文学部だったんですが芸術学部の友達が多くて、建都1200年祭のパレードに自分たちで衣装をつくって出たり、どこかでお祭りがあればみんなで参加したり、おもしろそうなことにはとにかく参加してましたね。会社を立ち上げてから毎年恒例で年賀状をつくっているんですが、あのころから精神的な年齢は変わってないのかもしれない(笑)「みんなで何かをつくる」っていうことが好きなんですよね。大学を卒業して最初に入った企画会社で、企画営業担当としてクライアントと折衝しながら、自社のデザイナーとカタログやパッケージを制作したり、商品開発を行ったりしていました。ですからぼくはもともとデザイナーではなくて企画営業出身なんです。その後転職したのが広告制作会社で、大手広告代理店からの受託が100%だったんですが、プロダクト制作をやりたいという有志が立ち上げた社内のベンチャーチームに、ぼくも参加しました。それまで広告デザインしかやったことのない会社だったのでいろいろ試行錯誤してみたんですが、会社判断で事業部が凍結されたことで先輩たちが一気に会社を辞めてしまい、同じタイミングでぼくも辞めることにしました。それで「さて、どうしようか」と考えたんですが、受注された仕事だけではなくてアイデアやクリエイションを自分から発信したい、という気持ちが強かったことと、いいプロダクトをつくれるデザイナーはいてもなかなか世の中に広がらないと感じていたので、それなら自分たちがつくりたいものを自分たちでつくって、その先の営業や流通など広めるところまで自分たちでやってみよう、という想いで起業しました。
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「デザインを真剣にプロデュースする」 1999年10月に「有限会社セメントプロデュースデザイン」をひとりでスタートさせました。社名にもなっている「セメント」という言葉の由来は、「誰でも知ってる言葉にしたかった」とか「以前の会社が2社とも濁点付の社名だったので濁点のない名前をつけたかった」とかいろいろあるんですが、いちばんはぼくがプロレスをはじめ格闘技好きだってことです。真剣勝負のことを「セメントマッチ」と呼ぶんですが、そこから「デザインを真剣にプロデュースしていく」という想いをこめてつけました。セメントという言葉には「ものとものをくっつける」という意味もあるので、いろんな業種や産地をつなげていきたいという気持ちにも合いますし。とはいえそんなに深く考えたわけではなくて、じつは綴りも“SEMENT”だと思い込んでたくらい(笑)実家の自分の部屋で起業したんですが、はじめは仕事もないし、そもそも自分のMacすら持ってなかったですね。いろんなところへ営業に行ってお話を聞いていただいて、企画のお仕事をだんだんといただけるようになってきましたが、やっぱり自分たちでプロダクトをやりたいとずっと思っていました。それで、社内にはまだデザイナーがいなかったので前の会社で先輩だった人と企画して、「Happy Face Clip(ハッピーフェイスクリップ)」をつくったのが最初です。そのころはこういったデザインプロダクトを扱っている店はまだほとんどなかったので、東京、名古屋、大阪と自分たちであちこち営業に行きました。デザインだけじゃなく流通まで自分たちでやってみて、はじめて世の中の流れや匂いを感じられるんじゃないかとそのときに思いましたね。
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「やりたいと思っている人たちとつくりたい」 やがていろんなお店やメーカーが増えてきて、「商品はつくれるんだけど、その先どうやって広げていったらいいのか教えてほしい」という相談を受けるようになりました。とくに地場産業の人たちは、すばらしい素材と技術は持っていても自分たちで流通をさせた経験が少ない。デザイン業界もこれと同じで、クライアントから大手広告代理店を通してもらった仕事をやるという構造がずっと変わってない。「こういうことがやりたい」「こういうことが出来る」という自分たちからの発信もほとんどありません。これをぼくらは変えていきたいと思っています。商品開発の段階から原価やロット設定なども含めた提案をさせてもらえますし、自分たちで開拓してきた約500店舗の販路を持っているので、単なるデザイン会社としてではなく、クリエイティブエージェンシーあるいはコンサルタント的な立場でお手伝いをさせてもらえます。ときには社内向けプレゼン資料の作成からお手伝いすることもあります。ぼくらとしても自社のプロダクトをつくっていく上で、当然どこかにお願いしないとつくれない、であればそれをやりたいと思っている人たちとつくった方がいいものが出来る。ぼくらにとっての財産は販路とつくり手の開拓、関係づくりですね。
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「デザインをする前の段階に時間をかける」 まずはご相談をいただいたお客様へのヒアリングを、かなり綿密に行なって方向を決めます。たとえば「カタログを作りたい」という依頼の場合でも、もしそのカタログが起こすアクションが本来の目的につながらないと思えば、「何百万もかけてカタログを作るよりはwebをつくったほうがいいんじゃないか」「カタログではなくて小さなフライヤーにした方がいいんじゃないか」という提案もします。あるメーカーさんの場合は、もともと別のプロダクトを売りたいという依頼だったんですが、せっかく持っている職人さんの技術がその商品には活かされていなかった。さらに業界の現状や今後の商品展開などを考えたうえで、まずはその会社だからこそ出来ることを展開させやすい形で始めましょうと提案させていただいて、そこから新しいプロダクトの誕生につながりました。また、どこでどう売るかによってデザインのテイストも当然変わるので、ホームセンターでガッチリ売っていきたいのか、それともインテリアショップに並べたいのか、そういったことも細かく聞き出していきます。お客様自身がイメージをつかみきれていない場合は、あえて正反対と思われるようなアイデアをぶつけてみて、「この人にとってのシャープさとはこういうことか」というようにお互いの感覚を確認して共有していきます。あとは、いっしょにお酒を飲みにいくケースが多いですね。ほんとうはどうしたいのかという話がお酒の席でぽろっと出てくることもあります。デザイナーとの仕事に慣れていないお客様の場合は、とにかくヒアリングに時間をかけることが大切ですね。そして何をつくるのかが決まった段階ではじめて自分たちのデザインを提案します。
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「異業種との交流の場をつくりたい」 大阪ではオフィスの1階で飲食店“おかずダイニング「京町堀シモーネ」”を経営しています。もともとは東京で呼んでいただいたイベントでの異業種の方との出会いが新鮮だったので、大阪でもぜひやろうと思って交流の場をつくったのがはじまりです。デザイン業界というのは同じ業種間の交流がほとんどで、違う業種について知る機会が圧倒的に少ないと思います。それだと情報自体も限られるしビックリするようなアイデアにもなかなか出会えない。そこで自分たちで「LOBBY」という異業種交流会を毎月企画して、さまざまな業種の方と出会ったり話を聞いたり出来るコミュニティづくりを行なっています。ぼくらが10年つづけてきたことで出来るようになったことやわかったことを、違うジャンルや次の世代の人たちへ伝えていけたらいいなあと思っています。いずれ東京でもそういった機会を設けたいですね。
●おかずダイニング京町堀シモーネ(CEMENT1F) http://www.cmoone.com/ http://www.cmoone.com/m (MOBILE) ●異業種交流会『LOBBY』 案内ご希望の方は → yamanove@cementdesign.com |
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「決め事のないところから生まれるアイデア」 大阪で起業したのとほぼ同じタイミングで東京に出てきているんですが、シェアオフィスやマンションオフィスを経て今のオフィスを構えたのが2009年の10月です。お客さんがいろんな場所にいらっしゃるので利便性を考えると青山エリアがやはりいいですね。それから、以前は打ち合わせに外のカフェを使ったりしていたんですが、細かい移動時間の積み重ねでやはり制作時間を取られることになるし、ぼくらの商品をすぐに見てもらえるようにしたいと思っていたので、オフィスの中にミーティングスペース兼ショールームを設けました。将来的にはレンタルスペースとしてイベントなどにも活用していただければと考えています。この壁面システムはグラフィックを交換することが可能で、大阪オフィス1階の飲食店にも同じシステムを導入しています。社内のデザイナーが毎月交代でグラフィックを担当していて、とくにテーマを限定せずそれぞれが自由なテイストを打ち出してやっています。仕事の場合はまずターゲットを設定してそれにふさわしいデザインを考えることが必要ですが、このグラフィックに関してはまったくの自由なので「コイツこんなおもしろい感覚持ってるんだ」と気づかされることもありますし、じゃあ今度はそういう仕事もやってもらおうとインプットしておくことも出来ます。ここへ打ち合わせに来ていただいたお客様がひと目で気に入って、実際に商品化されたデザインもあります。こういう決め事のないところから生まれるアイデアがおもしろいですね。
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インスピレーション やはりいろんなジャンルの人と会うことが刺激になりますね。起業前はほぼ同業者としか出会いがなかったんですが、とくに最近あちこちの産地へ行くようになっていろんな業種の人から話を聞くと、自分が知っていることなんてものすごく小さいことなんだなあと気づかされますね。たとえば包丁職人さんとお話をしてみると、鰻をさばく包丁の形状が地域によってまったく違うということがわかるわけです。鰻の調理という目的は同じはずなのに、たとえば電車で1時間しか離れていない京都と大阪でも全然違うんです。「これはどうしてだろう?」って考えるヒントになりますよね。産地で商品や素材を自分の目で見ておくことで勉強になるし、今後商品の提案をしていく上でアイデアのストックも増えます。
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西へ、東へ 月曜は大阪で会議、火曜早朝の新幹線で東京へ戻って、週2回は朝8時からジム、10時前に出社して仕事、夜はお客さんと会食というパターンですね。金曜は京都の大学で教えているのでそのあと大阪へ移動して、飲食チームの営業が終わってからミーティングも兼ねて飲みに行きます。土日は、大阪の家族の元に。土曜は息子と体操教室とかスイミングに。あとはぶらぶら出かけたり。お寺でやっている骨董市とか四天王寺の方でやっている朝市とかをのんびり見るのが好きですね。夜は近所の知り合いの店で飲みます。趣味と言ったら酒ですかねえ。毎日深夜まで飲んで朝8時からジムに通うって、健康なんだかどうかよくわからないですよね(笑)べつにストイックに生きようと思っているわけじゃないんですけれど、同年代の経営者が身体を壊したり病気したりしているのを見て、ちょっとこれは鍛えないとまずいなあと。人間って身体を鍛えることで精神も自然と鍛えられるんです。というか内面を磨くならまず外面から磨くしかないんです。健全なソフトは健全なハードに宿る。これは会社経営にも同じことが言えると思います。
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京都造形芸術大学でのユニークな授業 毎週金曜日に染織テキスタイルコースで教えています。ぼく以外は藤原大さん(イッセイミヤケ)や皆川明さん(ミナ・ペルホネン)などそうそうたる顔ぶれ、しかも専門外のテキスタイル学科に呼ばれたので、どう考えてもキャスティングミスだろうと思ったんですが(笑)技術や理論を教えるだけじゃなくて、いろんなことをやってきた人の話が重要だということで、ぼくらが10年やってきた経験の中から得た知識や情報が役に立つなら、と思って引き受けさせてもらいました。学校での授業だけじゃなくて、うちの会社でインターンシップ的なゼミをやったり、東京デザイナーズウィークに連れて行ってレポートを提出してもらったり、出来るだけユニークでおもしろい授業にしようと思っています。また、なかなか直接話を聞けないようなクリエイターでも、その人がぼくの飲み友達だったりするわけです(笑)「じゃあちょっとメシ食いに行くからきみたちもいっしょにきて話を聞いていなさい」というような課外授業は、ぼくだから出来ることじゃないかなと思います。
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「出来ない」「やれない」と絶対言わない会社 「どういう会社にしたいんですか」ってうちのスタッフにもよく訊かれますけれど、「あの会社に相談すれば、なんとかしてくれるだろう」と思ってもらえる会社、いままでやったことのないことでも「出来ない」「やれない」と絶対言わない会社、それが理想です。それから日本でいちばん幅広い業種を手がけるデザイン会社でもありたい。たとえば、グラフィックもファッションも音楽も映像も手がける、イギリスの「tomato」のような集団やイノベーションの達人「ideo」を足して2で割ったようなチームを目指したい。そのためにも「デキル人募集中」って書いといて下さい(笑)それも5段階評価で「全部1だけど体育だけは20」とか「音楽は30だけど数学はマイナス3」みたいな人に来てほしいですね。お客さんの成功を創造する仕事ですが、それぞれの得意なところを伸ばして、クリエイティブな自己実現が出来る会社にもしていきたい。仕事にはライスワークとライフワークがあるとぼくは思うんですが、会社を存続させるためにやらなくてはいけない仕事だけじゃなくて、やっぱり自分たちがどうしてもやりたいことを出来るだけやっていきたいです。まあ、大変ですけど、べつに高級車とか別荘がほしいわけじゃないし、ぼくらの世代の経営者はそういう考えが多いんじゃないかとも思います。いまちょうど11年目なんですが、ここにきて経営の「け」の字の1本目の線がちょっとだけ見えてきたのかもしれないなあ(笑)マーケットに合うものばかりを追いかけることはやりたくないし、逆にデザインだけぶっ飛んでいてユーザーを無視したものもつくりたくない。お客様の創造・成功をつくることで自分たちのクリエイティブを展開させる会社でありたいですね。
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