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第三回 オフィス訪問 チェント・ペル・チェント社

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三井直彦の欧州快勤レポート

チェント・ペル・チェント社 (CENTO PER CENTO S.r.l)



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モード系アートディレクター

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CENTO PER CENTO S.R.Lを主宰する、ピエール・パオロ・ピタッコは、イタリアのモード系ビジュアルアート界でも有数の実力を持つ編集アートディレクターである。彼が手掛けた作品は、Uomo Vogue、Elle、Mondo Uomo, Vanity Fair などの著名ファッション誌に始まり、建築とデザインの雑誌Modoや、イタリアでもっとも重要な新聞の一つである Corriere della Sera の付属有名誌 Donna と聞けば、そこに彼の創作性を十二分に垣間見ることができる。顧客リストには、Missoni、Zegna、Tod's、Stefanel, Wella, Audi, Cartier, Gucci, 等々、超有名ブランドの枚挙にいとまがない。


1953年、ミラノに生まれたピエール・パオロは、幼少期からグラフィックデザインに興味を持ち始め、その当時、モロッコのタンジェに住んでいた叔父をしばし訪ねた経験からは、特に決定的な影響を受けたという。当時、タンジェは西洋文化と非西洋文化が交わる北アフリカの潮目であり、そこで彼が身を持って体験した、色とりどりに交錯する複雑なエキゾチズムが、彼の創作性の起点を形作ったというわけである。



家の中にいるような安堵感

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その後、美術高等学校、ブレラ美術学院、同校でのマスターを修得後、ピエール・パオロは石油ショックの就職難の中、1977年、若干24歳で一流誌Vogueのグラフィックの責任者となる。その後、Elleのアートディレクター、有名広告代理店McCann Erickson Italia のアートディレクターと着々とキャリアを重ね、1991年に現在のスタジオをミラノ、ナヴィリオ地区、ソラーリ公園に隣接するモンテヴィデオ通りに開設し、既に18年が経過しようとしている。


約5メートル程の天井高を持つ空間に、中2階を部分的に封入した立体的な構成を持つこのスタジオは、約200平米、常時7,8名のスタッフが勤務する。「まさに自分の家の中にいるような安堵感が欲しかったんだ。クライアントが来る時も、ここで心地の良い空間だと感じてもらいたい。だから、ロフト的な住処のようなこの大きさ、クラッシックさとコンテンポラリーな感じが混在しているところがとても気に入っている。」そのように述べる、ピエール・パオロの空間哲学がこのスタジオのディテールに存分にあふれている。



創造性と同時代性

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Creativita(創造性)とは、貴方にとって何ですか、との問に対し、「それは、如何なる分野にも見つけられるもの。それぞれの分野において最高の結果を得るために必要な資質だ。」と答える。「それは、例えばF1で、フェラーリの技術者が、優賞を獲得するために、ある種、技術の限界を超える'天才'を必要とする。それが'創造性'そのものだ。それはその人間の生来のもので、後天的に学ぶことが出来ないものなんだ。」


彼と会話していると、Contemporaneita (同時代性)という言葉にもよく出会う。 「'同時代性'を失ったら、僕の仕事は意味を失うだろう。現代のコミュニケーションソサイアティーの中にいる限り、世界のどこにいても、アメリカにいてもインドにいても、東京にいても、色々なことが、様々なレベルで繋がっている。今現在どこにでも通じるメッセージを発信することに意味がある。例えば画家として知られるグスタフ・クリムトは20世紀の初頭のウイーンで、当時の'同時代性'を体現していた。モード写真もモード雑誌もない時代の中で彼がしていた仕事は、まさに僕が今しているアートディレクションの仕事そのものだ。彼は彼の時代に'同時代'的であって初めて、大きな成果を残すことが出来たんだ。」



ピエール・パオロの未来観

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時代の臨界に敏感なピエール・パオロに、未来に対するヴィジョンを尋ねると、彼の答えは、そっけなく、意外であった。「あまり変わらないのではないかな。過去があって、今があって、そしてその先に未来がある。皆一線上に並んでいるからね。」そこで、つまり貴方は現在の自分に満足している幸せな人なのですね、と質問すると、彼はこう括った。「その通りだね、若くして子供の時から夢をかなえ、それからも自分にはいろいろな好機が訪れてきたからね。自分で自分のことを正に幸せ者だと思う。」その後、ピエール・パオロは、明日から3週間ほど自身のパリ事務所に滞在すると言い残し、このインタヴューを後にした。



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  • [コラムニスト紹介]
  • 三井 直彦(みつい なおひこ)
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  • トライアンフ・デザイン・アンド・コンサルティング社代表
  • 建築家・デザイナー・ビジネスコンサルタント
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  • 1968年東京に生まれる。1993年イタリア政府給費奨学生として渡伊、その後1996年よりマリオ・ベリーニ事務所、2000年より同事務所取締役を経て、2005年トライアンフ・デザイン・アンド・コンサルティング社設立、同社代表として現在に至る。東京芸術大学美術研究科建築系大学院修了。ミラノ在住。




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