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仮眠室は会社に必要?メリットデメリット&環境作りのコツ

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仮眠室


仕事中の仮眠には、作業能率の改善を始めとするさまざまな利点があるとされています。しかし、仮眠室や仮眠制度を社内に設けている会社は必ずしも多くありません。そこで本記事では、仮眠室などの設置を検討する方に向けて、そのメリット・デメリットと仮眠制度導入のコツを解説し、併せておすすめのオフィス家具を紹介します。







■仮眠室は会社に必要? 設置義務と考え方

そもそも会社には仮眠室を設置する法令上の義務があるのでしょうか。労働関係の法令である労働安全衛生規則と事務所衛生基準規則には、「仮眠の場所」(安衛則第616条第1項・事務所則第20条第1項)という言葉が用いられています。



これらの法令では、以下の場合に仮眠の場所を設けなければならないと定められています。


・夜間に労働者に睡眠を与える必要のあるとき
・労働者が就業の途中に仮眠することのできる機会があるとき


出典:労働安全衛生規則|e-Gov法令検索



つまり、夜間勤務や通常より長時間の拘束がある場合には、仮眠の場所を設置する義務があるというわけです。


同様に、労働安全衛生規則と事務所衛生基準規則には、「休養室」(安衛則第618条・事務所則第21条)に関する定めがあります。休養室とは労働者が「が床」できる、すなわち横になれる部屋のことです。仮眠室に類似したスペースと捉えてかまいません。



これらの法令では、以下の場合に男女用を区別した休養室の設置義務を定めています。


・常時50人以上または常時女性30人以上の労働者を使用するとき


出典:労働安全衛生規則|e-Gov法令検索



以上の条件に該当しない場合、法令上での仮眠室の設置義務はありません。


ただ、短時間の仮眠(昼寝)が生産性の向上やストレスの軽減に寄与することが実証されている現在、あえて仮眠室を設ける企業も増加傾向にあります。




■会社に仮眠室を作る3つのメリット

会社に仮眠室を設置する具体的なメリットとして、次の3つが挙げられます。


・生産性やクリエイティビティの向上
・従業員の健康維持・増進
・企業ブランドの価値やイメージの向上



●生産性やクリエイティビティが向上する

昼間に仮眠をとることで作業能率の低下が防がれ、結果として生産性の向上につながります。


厚生労働省の資料では、健康な成人を対象とした研究の結果が示されています。それによると、覚醒状態で作業能率を維持できるのは、起床後12~13時間が限界で、さらに起床後15時間以上では酒気帯び運転と同程度の作業能率まで低下するとのことです。


別の研究では、連日の睡眠不足により、作業能率がさらに低下する可能性も示唆されています。忙しい職場では、睡眠時間を削って働くこともあるかもしれません。しかし、そのような状況が続くと、知らず知らずのうちに作業能率が低下しているおそれがあります。


人によっては、仕事や生活の都合上、夜間に必要な睡眠時間を確保できない日もあるはずです。そうしたときに、昼間の仮眠はその後の覚醒レベルを上げ、作業能率の改善をもたらす可能性があります。


参考:健康づくりのための睡眠指針 2014|厚生労働省健康局(P.43)



また、1998年にはアメリカの社会心理学者ジェームス・マース氏も、短時間で効率的な疲労回復ができる昼寝「パワーナップ」を提唱しています。これは、昼寝によって脳の疲労やストレスが軽減され、仕事の能率や脳のクリエイティビティが向上するという見解です。



●従業員の健康維持・増進につながる

仮眠室を設置し、不足している睡眠を補うことは、従業員の健康維持・増進につながります。その結果、従業員の不調に起因する企業の経済的損失も防ぐことが可能です。


睡眠不足は、心や体の健康にさまざまな悪影響を与えます。上掲の厚生労働省の資料によれば、生活習慣病やうつ病になる危険性の増大、日中の注意力・集中力の低下に加え、頭痛その他のからだの痛み、消化器系の不調などが挙げられます。


こうした悪影響は、作業能率や生産性の低下のみならず、ヒューマンエラーや重大な事故すら招きかねないものです。仮眠による睡眠不足への対策は、おろそかにできません。



●企業のブランド価値やイメージが高まる

広く認識されつつある仮眠の効果や重要性に対し、実際に仮眠室や仮眠制度を導入している企業は、まだまだ多いとはいえないのが現状です。


しかし、これは他の会社と差別化を図るチャンスでもあります。仮眠の奨励に取り組んでいる会社が少ない中で仮眠室を設置し、それをアピールすれば、従業員の健康増進に意欲的な企業というイメージがつき、企業ブランディングにつながるはずです。


また、学生や求職者から従業員の健康に配慮している企業だと思われることで、人材も集まりやすくなります。こうした採用面でのメリットも見逃せません。




■一方で課題も? 仮眠室を会社に作るデメリット

メリットの多い仮眠にも、まったくデメリットが存在しないわけではありません。


たとえば、仮眠の長時間化や、それにともなう残業の増加といった懸念があります。


とりわけ、従業員が仮眠室で本格的に眠り込んでしまう事態は避けなければなりません。20~30分を超える仮眠は脳を熟睡モードにさせ、目覚めた後の生産性を低下させるおそれがあるからです。また、一説によれば、1時間超の昼寝は死亡リスクを3割も高めるとされます。


同様に、従業員の眠り過ぎで残業が増えれば、作業能率が上がったとしても時間外手当などのコストが生じ、仮眠室を導入したメリットが減じてしまいます。




■仮眠室での"昼寝"制度導入のポイント

以下では、仮眠室設置のメリットは最大限に活かしつつ、デメリットを最小限に抑えるためのポイントを解説します。



●仮眠室利用の制限時間を設ける

仮眠の長時間化を防ぐための手段として、仮眠室の利用時間に制限を設けることが考えられます。上掲の厚生労働省の資料によると、仮眠は30分以内が推奨されることから、利用時間の制限もそれを基準にするのがベターです。



参考事例として、ある企業のケースをご紹介します。


その企業では、個室になっている仮眠室をオンラインで予約できるシステムが採用されており、主に12~16時の間、30分まで利用できるルールを設けています。


こうしたルールを定めておけば、仮眠が長引くという問題を避けることが可能です。



●業務スペースと仮眠室は明確に分ける

仮眠室での熟睡は避けてもらうべきですが、逆に業務スペースの物音が響いて眠れないのも困ります。そこで、業務スペースと仮眠室は明確に区切るのが重要です。


仮眠室内で目覚めるときのアラーム音は、他の従業員の仮眠や、室外での業務を妨げない程度の大きさを目安に定めましょう。


なお、個室の設置や防音設備の整備が難しい場合、パーテーションで区切る、ホワイトノイズを流す、耳栓を備えておくといった工夫でも仮眠室の環境を改善できます。



●仮眠に適した環境を整える

仮眠に適した環境の整備も大事です。具体的には、以下の3点を意識しましょう。



・完全に横になるのは避ける


これは、深い眠りに落ちるのを避けるためです。ゆったりした椅子にもたれかかるか、デスクに伏せる形がベターですが、ベッドで横になる場合は30度ほどの傾斜をつけるのがポイントです。



・光をシャットアウトする


周りが明るいと入眠が難しくなり、眠りの質も低下します。仮眠室内は薄暗くしておき、専用の仮眠室がない場合でも、窓際やパソコンのディスプレイの近くでの仮眠は避けましょう。



・心地良い雑音環境(ホワイトノイズ)を用意する


騒音・無音の環境下では寝付きにくくなりがちです。そこで、風や雨、焚き火の音といったホワイトノイズを流せば、仮眠の質を上げられます。ホワイトノイズはアプリなどで流すことも可能です。




■仮眠室作りにおすすめのオフィス家具・設備6選

従業員の生産性向上や健康の維持・増進につながる、仮眠室への設置に向いたオフィス家具・設備を紹介します。



●ベッド・リクライニングソファ

仮眠には、完全に横にならない、傾斜をつけられるタイプのベッドやリクライニングソファが適しています。通常の業務にも、休憩にも使えるおすすめの商品です。



サンワサプライ オットマン内蔵ファブリックリクライニングチェア

サンワサプライ オットマン内蔵ファブリックリクライニングチェア

無段階で固定できるリクライニング機能(最大約130度)や、肘掛け部に付けられたクッションが心地良い仮眠を可能とします。収納式オットマンにより、足を伸ばしてリラックスできるのもポイントです。



■本体価格(2023年11月時点)
¥39,800(税込)
※製品本体の価格です。カラー・オプションの有無などによって、価格は変動します。



→商品詳細はこちらから


サンワサプライ オットマン内蔵ファブリックリクライニングチェア



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ホームテイスト マルツォ リクライニング コーデュロイソファ

ホームテイスト マルツォ リクライニング コーデュロイソファ

ベッドマットレスにも用いられるポケットコイルが座面に使用されており、背もたれも高めで仮眠に適した2人がけのソファです。リクライニングは3段階で、完全にはフラットにならないため、熟睡も防げます。



■本体価格(2023年11月時点)
¥25,113(税込)
※製品本体の価格です。カラー・オプションの有無などによって、価格は変動します。



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ホームテイスト マルツォ リクライニング コーデュロイソファ



ベッドマットレスにも用いられるポケットコイルが座面に使用されており、背もたれも高めで仮眠に適した2人がけのソファです。リクライニングは3段階で、完全にはフラットにならないため、熟睡も防げます。



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アスプルンド ソファベッド ブラック

アスプルンド ソファベッド ブラック

背もたれ部分が14段のギヤ式リクライニングとなっており、開けば簡単に仮眠用ベッドとして使えます。張地はPVCレザーで汚れに強く、メンテナンスが楽なのもポイントです。



■本体価格(2023年11月時点)
¥46,900(税込)
※製品本体の価格です。カラー・オプションの有無などによって、価格は変動します。



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アスプルンド ソファベッド ブラック



背もたれ部分が14段のギヤ式リクライニングとなっており、開けば簡単に仮眠用ベッドとして使えます。張地はPVCレザーで汚れに強く、メンテナンスが楽なのもポイントです。



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●個室ブース・パーテーション

一人用の仮眠室として独立した空間を確保するのが難しい場合、個室ブースやパーテーションを活用することで、リラックスできる環境が整えられます。以下では、落ち着いて休むのに適した商品を紹介します。



リス リミュート 吸音ブース ワイドII

リス リミュート 吸音ブース ワイドII

ワイドサイズの個室ブースで、リクライニングソファを入れれば一人用の仮眠室として活用できます。吸音ボードにより、周囲の雑音も軽減が可能です。サイズは幅196cm×奥行151cm×高さ190cmで、カラーバリエーションはブラックとホワイトの2種類。天面にある換気ファンで外気も取り入れられます。



■本体価格(2023年11月時点)
¥670,451(税込)
※製品本体の価格です。カラー・オプションの有無などによって、価格は変動します。



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リス リミュート 吸音ブース ワイドII



ワイドサイズの個室ブースで、リクライニングソファを入れれば一人用の仮眠室として活用できます。吸音ボードにより、周囲の雑音も軽減が可能です。サイズは幅196cm×奥行151cm×高さ190cmで、カラーバリエーションはブラックとホワイトの2種類。天面にある換気ファンで外気も取り入れられます。



■本体価格(2023年11月時点)
¥670,451(税込)
※製品本体の価格です。カラー・オプションの有無などによって、価格は変動します。




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アスプルンド 集中ブース ソファタイプ

アスプルンド 集中ブース ソファタイプ

テレワークにも活用できる吸音ブースです。サイズは幅90cm×奥行70cm×高さ126cmで、カラーはダークグレーとなっています。張地はポリエステル・ウレタンフォームで、吸音性やクッション性に優れるのが特長です。



■本体価格(2023年11月時点)
※2023年12月20日までの期間限定価格
¥53,400(税込)
※製品本体の価格です。カラー・オプションの有無などによって、価格は変動します。



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アスプルンド 集中ブース ソファタイプ



テレワークにも活用できる吸音ブースです。サイズは幅90cm×奥行70cm×高さ126cmで、カラーはダークグレーとなっています。張地はポリエステル・ウレタンフォームで、吸音性やクッション性に優れるのが特長です。



■本体価格(2023年11月時点)
※2023年12月20日までの期間限定価格
¥53,400(税込)
※製品本体の価格です。カラー・オプションの有無などによって、価格は変動します。




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林製作所 吸音 ZipLinkパーテーション

林製作所 吸音 ZipLinkパーテーション

パネル内部に吸音材が仕込まれたパーテーションです。ファスナーで簡単に連結できるため、椅子や机の周りを囲えば即席の仮眠ブースができあがります。畳めばコンパクトに収納でき、普段は場所を取らないのもメリットです。



■本体価格(2023年11月時点)
¥89,900(税込)
※製品本体の価格です。カラー・オプションの有無などによって、価格は変動します。



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林製作所 吸音 ZipLinkパーテーション



パネル内部に吸音材が仕込まれたパーテーションです。ファスナーで簡単に連結できるため、椅子や机の周りを囲えば即席の仮眠ブースができあがります。畳めばコンパクトに収納でき、普段は場所を取らないのもメリットです。



■本体価格(2023年11月時点)
¥89,900(税込)
※製品本体の価格です。カラー・オプションの有無などによって、価格は変動します。




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■おわりに

夜間・長時間の勤務があるなど一定の条件を満たす場合、企業には仮眠室の設置が義務付けられます。仮眠の推奨には生産性の向上や健康増進、企業ブランドの価値向上といったメリットもあるため、仮眠室の設置は単なるコストではなく、企業の利益にもつながります。ただし、仮眠の長時間化といったデメリットも想定されることから、仮眠室の利用時間を制限するなどの対策も大事です。


アスクルでは、企業ブランディングにもつながるおしゃれな休憩室・仮眠室のレイアウトや家具のトータルコーディネイト、内装工事などのご相談も承っております。自社への仮眠室の設置を検討されている方は、お気軽にご相談ください。




編集・文・画像:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 
制作日:2023年11月30日

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