クリニックの内装デザインには、クリニックに訪れる患者がもつ印象を決める重要な役割があります。この記事では「患者に好印象を与える内装の特徴を押さえたい」など、クリニックの内装を検討している方におすすめの、おしゃれな内装デザインのポイントを解説します。

■クリニックの印象は内装デザインで決まる？

内装デザインには、クリニックの印象や雰囲気を決める重要な役割があります。冷たい印象をもたれる内装デザインの場合は、患者が居心地の悪さを感じやすいなどのデメリットがあります。一方、おしゃれな内装デザインや温かみのある内装デザインだと、患者がストレスを感じることなく快適に過ごせます。

受付後の待ち時間も、デザイン性の高い内装のほうが短く感じられるため、内装デザインは重要です。さらにクリニックの内装デザインが機能的な場合には、受付から診療、会計を終えるまでの流れがスムーズになります。効果的な内装デザインを取り入れると、快適でまた訪れたいクリニックだと患者に思ってもらえます。

■好印象でおしゃれな内装をデザインする5つのポイント

好印象を与えるクリニックの内装をデザインするには、主に以下の5つのポイントが重要です。

●リラックスできる空間づくりを意識する

病院の待ち時間のストレスを軽減するためには、居心地がよくリラックスできる空間づくりが重要です。椅子が向き合うレイアウトでは、お互いの視線がぶつかり圧迫感を生じさせるため、スタッフや患者の視線が合いにくいレイアウトがおすすめです。待合室への観葉植物の設置などにも、癒し効果が得られるメリットがあります。

現在増えているのが、感染症対策にもなるソーシャルディスタンスを維持できる、1人掛けソファの設置です。周りとの距離ができ、圧迫感なく待ち時間を過ごせます。

●色の心理的効果を取り入れる

赤色には気分を高揚させる働きがあるなど、色が人に与える影響は異なります。クリニックの内装デザインにも、色が与える心理的な効果を取り入れることが大切です。

部屋の色によって時間経過の体感速度がどう変わるかを調べた研究によると、赤や緑、紫などの色では実際より時間が早く過ぎると感じ、反対に黄色やオレンジ色では時間の経過を長く感じる、との研究結果が出ています。また、青や緑などの落ち着いた色は、心理的にリラックスできる色だと評価されています。クリニックの内装には、待ち時間を短く感じられ、かつリラックスできる緑色などがおすすめです。

参照元：空間の色彩がヒトの時間的体感に及ぼす影響について

●入口や受付の動線を考える

患者の動線は、入り口から受付、待合室、診療室、検査室など順に移動する際に、目的の部屋がわかりやすく、移動距離が遠くなりすぎないようにすると効果的です。

また、受付・会計で人が混み合う場合にも、動線の工夫が求められます。スタッフが動く裏動線は、できるだけ患者に接触しない場所につくり、受付周辺では患者の動線を妨げないなどの工夫が大切です。

●バリアフリーに配慮する

クリニックには、ケガや病気をした人が訪れます。患者の年齢層も幅広いため、誰もが問題なく通院できる設備が必要です。松葉杖を使用している患者や、車いすで移動する患者もいるため、通院時の患者の負担を減らすバリアフリー設計は欠かせません。

院内のバリアフリー対応には、車いすでもスムーズに出入りできるスロープを設置する、手すりのある広い通路を確保する、段差をなくすなどがあります。

●診療科のイメージや患者層を考慮する

小児科や美容外科など、診療科が違うとクリニックに訪れる患者も異なります。小児科では小さい子どもが治療への不安を感じない楽しい雰囲気、美容外科ではセンスを感じさせる洗練された雰囲気づくりが重要視されます。

通院する患者層によって好む雰囲気やデザインが異なるため、クリニックの内装デザインは、コンセプトを明確にしてから方向性に合う内容で設計をしていきます。

■【診療科別】クリニックの内装デザインの考え方

クリニックの内装デザインを行う際に、どのような点に注意するとよいのでしょうか。具体的な内装デザインの考え方を、主な診療科ごとに詳しく解説します。

●内科・耳鼻科・皮膚科等

内科・耳鼻科・皮膚科などは、患者数が多い診療科です。混雑しやすい待合室は、患者の付き添いの人が座れるスペースも考慮し、充分な広さにします。中でも内科や耳鼻科は、発熱など体調不良の患者、インフルエンザなどの患者もいるため、距離を保ちゆったり座れるレイアウトや、熱がある人を隔離できる待機場所の設置が求められます。

●心療内科

心療内科にはメンタル面での不調を抱える患者が訪れるため、安心感がありリラックスできる環境づくりと、患者のプライバシーへの配慮が欠かせません。待合室には、温かみのある素材、派手すぎない色彩の色を取り入れるといった方法で、過ごしやすい空間をつくり、椅子はスペースを空けて設置します。

心療内科では、患者が急変した場合に備えて、各部屋に2箇所以上の出入口を設けます。院内の避難経路が確保されていると、万一トラブルが発生した際にも、患者やスタッフの安全が守られます。

●小児科

小児科には赤ちゃんや子どもの患者が通院するため、子どもに好まれるパステルカラーなどのやさしい色、温かみのある木の素材を取り入れた内装がおすすめです。小さい子どもは転倒しやすいため、床や壁をやわらかい素材にする、ケガ防止のために室内やインテリアの角を丸くする、といった工夫も必要です。待ち時間に備えて、おもちゃ・絵本などを置くキッズスペースも設置します。

●歯科

歯科医院では、歯の痛みなどの不安をなくす雰囲気づくりが大切です。待合室には温かみのある色を使い、開放感がある過ごしやすい雰囲気にするのがおすすめです。待合室にキッズスペースやパウダーコーナーを設置するなど、患者層に合わせて内装を工夫すると居心地のよさがアップします。

●眼科

眼科は検査機器が多いため、ほかの診療科よりも受付から検査、診療までの移動が長くなります。そのため、内装は患者の動線をよく考慮して設計しなければなりません。検査室には目の機能測定や視力測定などの検査機器を、スムーズに移動できる場所に配置し、検査待ちでの混雑を避けるための充分なスペースを確保します。多数の検査機器を使用するため、コンセントやLAN回線などの設置場所にも注意が必要です。

●外科・整形外科

外科・整形外科には、ケガをしている患者が訪れます。松葉杖の患者や車いすの患者が無理なく通院するには、院内の段差をなくしてスロープを設置する、出入口や通路を広くし、手すりを付けるなどの対策が重要です。待合室で患者が立って待つのが難しいケースも多いので、椅子は充分な数を配置し、待合室、診療室などの移動を便利にするために、部屋を近くに配置すると効率的です。

●美容外科

美容外科には美容目的の女性の患者が多く訪れるため、洗練された雰囲気の内装デザインが好まれます。そのため内装デザインは、高級感のある雰囲気やカジュアルな雰囲気など、クリニックのコンセプトに合ったセンスを感じさせる雰囲気づくりが重要です。

●産婦人科

妊婦など女性の患者が訪れる産婦人科では、やさしい雰囲気の内装が好まれます。お腹が大きい患者もいるため、通路を広くして手すりを付けたり、段差をなくしたりするバリアフリー設計は重要です。子ども連れで通院する患者には、オムツ交換スペースやキッズスペースなどの設置が喜ばれます。

■クリニックの内装に使える家具・インテリアおすすめ15選

デザイン性や機能性など、クリニックで使いやすい商品を中心に、おすすめの家具・インテリアを集めました。

●待合用ソファ・ロビーチェア

コンフォートワーク ロビーベンチ

アスプルンド 木脚ソファ

オリバー ロビーチェア

●収納・ラック

プラス SQ オープンストレージ

アール・エフ・ヤマカワ マガジンラック

高田ベッド製作所 木目調クリーンボックス

●カーテン・パーテーション

立川機工 ロールスクリーン

トーカイスクリーン ブラックフレームパーティション

●キッズコーナー

高田ベッド製作所 キッズHB

水上 トレインベンチ

●バリアフリー用品

バリアフリー静岡 木製 滑りにくいスロープ

幸和製作所 ＨＵＳ01 車いす用スロープ

●インテリア・観葉植物

アートクリエイション トネリコ1.8

アートクリエイション マリアンナリリー

ユーパワー ロハスミニフレーム シェリーブラムブロッサム

■おわりに

内装デザインがおしゃれなクリニックは、患者からよい印象をもたれやすくなります。雰囲気から色彩、動線、機能性などを考慮した内装は、待ち時間の患者のストレス軽減につながります。

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編集・文・画像：アスクル「みんなの仕事場」運営事務局　
制作日：2024年3月5日