役員室は執務以外に来客対応などに利用される重要な場所です。しかし近年、ドアも壁もパーティションもないオープンタイプの役員室が増えています。この記事では、役員室の役割や種類、使いやすい役員室のポイントについて解説します。さらに役員室に必要なオフィス家具と役員室のレイアウト事例を紹介します。

■役員室は必要？オフィスにおける役割

役員室とは、その名のとおり企業の役員に割り当てられる執務室のことです。役員室は役員が一般的な業務をこなす場所であるとともに、「経営にかかわる重要なことを決める場所」「社外秘の機密情報を取り扱う場所」「重要な来訪者をもてなす場所」といった役割があります。

従来、役員室と言えば完全個室が一般的でしたが、近年では社内コミュニケーションを重視して、フルオープンな役員室にしたり、役員室を廃止したりしている企業もあります。しかし、開放的な役員室は従業員がストレスを感じる、情報漏えいの恐れがあるなどのデメリットもあるため、役員室の有無およびレイアウトは、業務内容やオフィスの広さ、社風などを考慮して決めましょう。

■役員室レイアウトの主な種類

役員室のレイアウトには、主に完全個室タイプ、半個室タイプ、オープンタイプの3種類があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。

●完全個室タイプ

壁や建具によって完全に仕切られた完全個室タイプの役員室は、機密情報の取り扱いや重要な会議、来訪者の対応に最適な場所です。しかし、役員室にミーティング機能を備えるためには応接セットが必要であり、機密情報を取り扱うなら防犯、防音対策が欠かせません。そのため、新しく役員室を導入するとなると、スペースの確保とそれなりのコストが必要です。また、完全個室タイプは従業員とのコミュニケーションが取りにくく、スムーズに来訪者を迎え入れる動線の確保も求められます。

●半個室タイプ

フロアをパーティションやガラス扉などで区切って作る半個室タイプの役員室は、完全個室タイプに比べて低コスト・省スペースで設置でき、従業員がアクセスしやすいというメリットがあります。なかには完全個室タイプ同様に打ち合わせスペースなどが設けられているケースもありますが、完全個室タイプに比べて防音性が低く、セキュリティ面も劣るため、重要な会議などには使えません。

●オープンタイプ

壁やパーティションなどの間仕切りがなく、従業員の執務室と同じようにレイアウトされるオープンタイプは、半個室タイプよりも比較的低コスト・省スペースで設置でき、従業員と情報共有しやすいというメリットがあります。しかし、オープンタイプはセキュリティ面での不安が大きく、オープンタイプを採用する場合には、機密情報を取り扱うための鍵付き収納家具や役員専用会議室の設置などの工夫が必要です。

■役員室レイアウトを考える3つのポイント

使いやすい役員室を設置するためには、以下の3つのポイントを押さえることが大切です。

●役員室の広さ

役員室には、役員用の執務デスク、チェア、書棚やワードローブなどの収納家具以外に、応接セットがあるのが一般的です。また、複数人が歩けるようなゆったりした通路スペースも欠かせません。そのため、執務スペースだけであれば5坪程度の広さで問題ありませんが、応接セットを設置するとなると10坪以上の広さが必要とされています。

●情報セキュリティへの配慮

情報機密を扱う役員室では、セキュリティ対策を万全にすることが重要です。完全個室タイプであれば入口に防犯カメラや入退室管理システムを設置する、情報漏えい防止のために防音性のある壁を使うなどのセキュリティ対策を講じましょう。一方、半個室タイプやオープンタイプの場合には、鍵付き収納家具や金庫を導入するなどのセキュリティレベルを高める工夫が求められます。

●企業イメージに合う家具の選定

役員室には重要な来訪者を迎えるという役割もあるため、居心地の良い上質な家具を選定するのはもちろんのこと、コーポレートカラーや企業のコンセプトを意識したレイアウトにすることで、来訪者に自社ブランドをアピールできます。また、内装の色を意識することで、部屋の印象は大きく変わります。たとえば、テーブルやソファ、収納家具などの色味をダークブラウン系にすると高級感や重厚感のある部屋を演出できます。また、モノトーンの家具で統一すれば、スタイリッシュな空間に仕上がります。このようなカラーコーディネートも取り入れながら、企業に合う家具を決めていきましょう。

■【種類別】役員室に必要なオフィス家具一覧

役員室で使うオフィス家具は、自社の風格に合う上質なものを選ぶ以外にもいくつかポイントがあります。ここからはそのポイントを踏まえ、役員室に必要なオフィス家具をおすすめ商品とともに種類別に紹介します。

●デスク

役員室のデスクは、多くの資料を広げて作業することも考えて作業スペースの広いものや、引き出しが多い大容量タイプを選びましょう。引き出しがある場合には、セキュリティ対策としてロック機能付きのものが安心です。

ARAN WORLD EIDOS エイドス 両袖机

プラス EX-150 役員用 デスク L型机

●チェア

役員室のチェアは風格に合うデザインと機能性を兼ね備えたものを選びましょう。

イトーキ スピーナチェア エクストラハイバック

●応接セット（ソファ・テーブル）

応接セットは打ち合わせの機能を果たすために必要な家具です。選ぶ際は、役員室の広さを考慮して用途に合った大きさのものを選びましょう。

イトーキ サリダKSソファ

コクヨ マネージメントS370 役員用 センターテーブル

●収納

役員室の収納は、情報セキュリティの観点から鍵付きのものを選びましょう。

プラス EX-150 役員用 キャビネット 書庫

ディプロマット DBAUM プレミアム耐火金庫

●観葉植物・インテリア小物

おしゃれで使いやすい役員室を作るためには、観葉植物やインテリア小物、コートハンガー、絵画などを取り入れるのもおすすめです。

日比谷花壇 フィカス「アルテシマ」

永井興産 フレームポールスタンド

アズワン 絵画 「岸辺に佇む」（作者名:鈴木康雄）

■個室を廃止！ユニークな役員室のレイアウト事例

バイオジェン・ジャパン株式会社では、社内コミュニケーションの強化を図るため、役員室をフルオープンにしています。さらに「座って仕事をしている役員には話しかけにくい」という観点から、役員のデスクに上下昇降デスクを採用しています。また、役員室の近くにカフェスペースを設置し、従業員と役員が交流しやすい工夫がなされています。
さらに、役員が仕事に集中できるよう、隣り合う役員スペースの間をガラスパネルで区切って遮音性を確保しました。その他、予約なしで使える打ち合わせ用個室（ハドルルーム）を数多く用意し、社外秘の会議がしやすいよう配慮しています。

関連記事：▼誰もがふらりと来て話ができるフルオープンな役員室　～これからの時代の役員室のありかた（バイオジェン・ジャパン株式会社　オフィス訪問[3]）

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■おわりに

オフィスに役員室を設置するときは、業務の性質やオフィスの広さ、社風などを考慮してどのような役員室を作るのかを決めることが大切です。そして会社として重視したい点は何かを明確にし、自社の役員室に合うオフィス家具をそろえましょう。

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編集・文・画像：アスクル「みんなの仕事場」運営事務局　
制作日：2024年3月28日