幅広い人材の確保や企業イメージの向上を目指して働き方の多様化を進めたいと考えている企業経営者や担当者は少なくないでしょう。しかし、具体的にどのように取り組むべきかで悩むことも多いはずです。本記事では、働き方の多様化で企業が得られるメリットや懸念すべき点、具体的な取り組み方などについて解説します。
・多様な働き方とは?推進される理由と背景
・"多様な働き方"を実現する制度の例
・実現には課題も?働き方の多様化を推進する企業のメリット・デメリット
・働き方の多様化を推進!"働き方改革"実現へ向け企業にできること
・働き方の変化へ柔軟に対応!オフィスづくりに活用できる家具の例
多様な働き方とは、個々のニーズやライフスタイルにあわせて、勤務場所や労働時間を柔軟に選択できる働き方を指します。近年では、多くの企業が働き方の多様化を推進しており、テレワークやフレックスタイム制などを導入するケースも増えています。
新型コロナウイルスの世界的な流行により、企業は従来の働き方を見直す必要に迫られました。場所や時間に捉われない働き方を可能とする新たな技術も普及し、多くの企業がテレワークへとシフトしました。さらに、働く人々の価値観も変化し、仕事を第一とするのではなく、ワークライフバランスを重視した働き方を望む人が増加しました。
日本はただでさえ少子高齢化が進み、企業は労働力の確保に苦慮しています。人材を確保し労働力不足を解決するには、働く人々の意識に寄り沿った対応が不可欠です。これが、多様な働き方が推進されている理由です。
総務省が公表した「令和5年通信利用動向調査の結果」によると、テレワークを実施している企業の割合は全体の49.9%、今後導入を予定している企業は3.0%とのことです。新型コロナウイルスの脅威が以前に比べて少なくなったことから、実施率はやや減少傾向にあります。
一方、国土交通省が公表した「令和5年度テレワーク人口実態調査-調査結果-」では、直近1年間にテレワークを経験した人の約85%が、今後も引き続きテレワークで働きたいとの意志を示していることがわかりました。これらのデータからも、多くの労働者がテレワークなど多様な働き方を望んでいることが読み取れます。
【出典】
総務省 令和5年通信利用動向調査の結果(16ページ目)
国土交通省 令和5年度 テレワーク人口実態調査 -調査結果-(27ページ目)
多様な働き方の例として、テレワークや時短勤務、時差出勤、フレックスタイム制の導入、副業・兼業の許可が挙げられます。また、時間単位の有給休暇取得を認めるのも、多様な働き方の推進に有効です。
テレワークとは、デジタル技術やIT機器を活用した柔軟な働き方で、従業員は自宅やカフェ、サテライトオフィスなどで業務に取り組みます。新型コロナウイルス感染症対策や、働き方改革の推進などを受けて普及が進みました。
テレワークを導入するメリットのひとつは、多様な人材の確保や活用につながる点です。在宅で働いてもらえるのなら従業員にオフィスへの出社を求める必要がなく、遠方の人材も採用できます。優れたスキルを有するものの、家族の介護などで出社が難しいといった人材を確保できるのも利点です。
また、テレワークの導入はコスト削減にも効果が期待できます。オフィスの縮小や交通費、出張費、水道光熱費の削減などにつながるためです。
時短勤務は、従業員が本来従事すべき労働時間を短縮する施策です。育児などの理由でフルタイム勤務が難しい人材の確保、活用につながる点でメリットがあります。
時差出勤は、始業や終業の時間を本来よりずらす取り組みです。たとえば、本来の始業時間が8時なら9時や10時にずらす、といった具合です。時差出勤の導入によって、従業員は通勤ラッシュを免れる可能性があり、通勤時に受けるストレスの緩和につながります。
フレックスタイム制とは、働く時間を従業員自身の裁量で決められる制度です。1カ月あたりの労働時間があらかじめ決められており、その範囲内でなら従業員は始業や終業時間、1日の労働時間などをある程度自由に決められます。変化する労働者の価値観やニーズに広く対応するため、フレックスタイム制の導入が進められてきました。
フレックスタイム制のメリットは、従業員のワークライフバランスが整いやすい点です。従業員は今まで以上に時間を有効に使いやすくなり、ひいては従業員満足度や愛社精神の向上につながります。
従業員の副業や兼業を許可するのも、多様な働き方の推進に有効です。従来、日本企業の多くは、本業に支障をきたすなどさまざまな理由で、従業員の副業や兼業を禁止していました。しかし、近年は副業や兼業を認める動きも少しずつ出始めています。
副業や兼業を許可するメリットのひとつは、従業員のスキルアップにつながる可能性がある点です。ほかの職種や業種の業務に触れることで、自社では習得できなかった知識やスキルを獲得してもらえる可能性があります。
また、副業や兼業を認めれば、多様な働き方が可能な企業であると対外的にアピールでき、採用力の強化にもつながります。
従来、有給休暇は1日単位で取得するケースが一般的でした。一方、近年では時間単位の有給休暇を導入する企業も増えつつあります。
制度の導入によって、「業務中に1時間だけ抜けたい」といった従業員のニーズに対応できます。従業員が働きやすい職場環境の構築に努めている企業であるとアピールでき、ブランディングや採用力強化を期待できる点がメリットです。
多様な働き方の推進によって、優秀な人材の獲得や定着率の向上など、企業はさまざまなメリットを得られます。一方、多様な働き方の実現には対策が求められる課題やデメリットもいくつか存在します。
多様な働き方の推進によって、魅力的な企業であると対外的にアピールできるため、優秀な人材の獲得や既存従業員の離職防止につながります。また、柔軟かつ自由度の高い働き方が可能になることから、従業員のモチベーションが高まり生産性向上が期待できるのもメリットです。
加えて、オフィススペースの縮小に伴う賃料や水道光熱費、従来発生していた通勤手当や出張費用を削減でき、コストダウンにもつながります。従業員思いな、かつ先進的な取り組みを推進している企業であると求職者にもアピールでき、企業イメージが向上するのも魅力です。
副業や兼業を許可すれば、従業員はさまざまな職種や業種の人材との交流が増えることから、人脈の拡大やイノベーションの創出につながる可能性もあります。さらに、テレワークなどで業務の拠点を分散すれば、災害などが発生した際にも事業の継続が可能です。
多様な働き方を実現するには、環境整備や運用ルールの策定などが欠かせません。テレワークに対応できるオフィス環境を整えるのはもちろん、情報漏えいを防ぐためのセキュリティ対策も不可欠です。
管理職の管理負荷が増大するのも懸念点です。これまでとは働き方が大きく変化するため、運用ルールを正確に理解したうえで業務に取り組まねばならず、負担が増えます。また、従業員が働いている姿が見えないため、従来の評価方法では対応が難しく、新たな評価基準や方法も導入する必要があります。
メールやチャットなど、オンラインでのやり取りが中心となるため、コミュニケーション不足に陥りやすいのも注意点です。定期的に対面でのミーティングを行うなどの工夫が求められます。
多様な働き方を実現するには、労働環境の整備や新たな評価制度の導入が不可欠です。また、テレワークなどに対応できるツールの導入、働き方の変化に対応したオフィス空間の設計も求められます。
まず取り組むべきは労働環境の整備です。多様な働き方を実現できる環境を構築するため、現状把握からスタートしましょう。特定の従業員に業務負担が偏りすぎていないか、テレワークなどの導入で業務スケジュールが大幅に変化することはないか、などを確認します。
働き方の変化に伴い、評価方法も見直さなくてはなりません。従来のように、上司や管理者が目視で従業員の働きぶりや成果などをチェックしづらいためです。評価基準の見直しと明確化を進め、1on1ミーティングの導入も検討してみましょう。
多様な働き方を実現するには、ビジネスツールの導入が欠かせません。ただ、やみくもにツールを導入しても活用できず、かえって業務の複雑化やコストの高騰などのリスクを招きます。まずは自社が抱える課題を抽出し、他社事例も参考にしつつ導入すべきツールの選定を進めましょう。
多様な働き方の実現に求められるツールとしては、Web会議システムが挙げられます。また、離れた場所で働く従業員同士が、気軽にコミュニケーションをとるためのチャットツールもおすすめです。ほかにも、タスク管理システムやプロジェクトマネジメントツール、Web勤怠システムなど、さまざまなツールがあるため、自社にどのようなツールが必要なのか把握したうえで検討や導入を進めましょう。
テレワークとオフィスワークを融合させたハイブリッドワークや、ABWに対応可能なフリーアドレス制の導入も検討してみましょう。座席を固定しないフリーアドレスは、従業員同士のコミュニケーション活性化に有効であり、イノベーション創出にもつながります。
テレワーク従事者が多く、大半のオフィススペースが不要となるのなら、思い切って縮小するのもひとつの手です。併せて、コワーキングスペースやサテライトオフィスを導入すると、さらに多様な働き方の実現を加速化できます。
コンパクトかつ、組み合わせの自由度が高い家具を導入することで、働き方の変化に対応可能なオフィスづくりを実現できます。
オフィス家具のトップメーカー、「オカムラ」と「アスクル」がタッグを組んで誕生した家具シリーズです。シンプルかつ飽きのこないデザインと使い勝手のよさに定評があり、デスクやチェア、パネル&ソファ、収納、ラックなどをラインナップしています。
デスクは、フリーアドレスに転用しやすいよう考慮して設計されている点が特徴です。しかも、天板の耐荷重は100kgと高いうえに、オプションのデスクトップパネルを装着すると正面や隣の人の視線をシャットアウトできます。
また、吸音パネルをアレンジすれば、個人ブースやファミレス席などさまざまな空間のゾーニングが可能です。
「PREDONA(プレドナ)」は、働く人のモチベーションを高めるデザイン性と機能性を追及した家具シリーズです。オフィスデスクに求められる機能を集約したデスクをはじめ、オフィスのなかで自然と存在感を発揮するシェルフ、さまざまな空間にマッチするデザインのチェアなどを展開しています。
いずれも、コンパクトかつデザイン性に優れている点が魅力です。シックなカラーやアースカラーを基調とし、天然木の脚を採用するなど、オフィスのなかで独特の存在感を放ちます。
多様な働き方の推進は企業にさまざまなメリットをもたらすものの、いくつかの注意点やデメリットが存在する点を覚えておく必要があります。それらを踏まえたうえで、環境づくりやツールの導入、オフィス空間の設計を検討しましょう。
オフィス空間の設計を自社で進めることが難しいのなら、「アスクルオフィスづくりサービス」を利用するのもおすすめです。空間にあわせたベストな家具、レイアウトの提案や、まとめ買い相談サービスなどを提供しており、多様な働き方を実現するオフィスづくりを進めたい企業にとって心強い味方となってくれます。
編集・文・画像:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局
制作日:2024年9月5日
2016年11月17日のリニューアル前の旧コンテンツは
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