近年、オフィスの音対策としてサウンドマスキングシステムやソリューションに注目が集まっています。サウンドマスキングはたしかに優れた仕組みではあるものの、導入にあたってはデメリットや注意点を覚えておかなければなりません。本記事では、サウンドマスキングのメリットとデメリット、そのほかの音対策方法を解説します。
サウンドマスキングとは、室内からの音漏れや雑音などをわかりづらくするために、特殊な音を流して音環境を改善する技術です。室内の天井などに設置したスピーカーから、空調音に似た音を空間のなかで流します。
近年、リモートワークの普及に伴いWeb会議の需要が増加し、オフィスの音環境を見直す動きが活発化し始めたことで、サウンドマスキングに注目が集まっています。
サウンドマスキングシステムやソリューションは、さまざまな企業からリリースされており、スピーカーから流す音も異なります。よく用いられているのは、さまざまな周波数の音が混ざったホワイトノイズのほか、小鳥のさえずり、川のせせらぎ、木々のざわめきなどの自然音です。
ノイズキャンセリングは、ハイエンドなヘッドホンやイヤホンなどに搭載されることが多い機能の一種です。サウンドマスキングと同様に音漏れや雑音などをわかりづらくするための仕組みですが、それを実現する方法が異なります。
サウンドマスキングは別の音を用いて雑音を隠す手法です。一方、ノイズキャンセリングは、周囲で発生しているノイズ(雑音)を打ち消す(キャンセルする)仕組みです。具体的には、ノイズと同じ周波数を電気回路で発生させ、ノイズにぶつけて打ち消します。
サウンドマスキングシステムの導入によって、室内からの音漏れや声漏れを軽減できる点がメリットです。また、ワークスペースの環境改善につながり、従業員の集中力やモチベーション、生産性などの向上効果が期待できます。
企業の会議やミーティングでは、機密情報を扱うケースも珍しくありません。音漏れや声漏れの対策を施していない会議室での会話は、会議に参加していない第三者に聞かれてしまうおそれがあり、セキュリティリスクが高まります。
サウンドマスキングシステムを導入すると、室内で話している内容が聞き取りにくくなるため、仮に第三者が隣室や扉の向こう側にいたとしても安心です。また、外部からの雑音も聞こえにくくなることから、集中を乱されることなく会議に取り組めます。
同僚同士の雑談やエアコンの稼働音など、オフィスではさまざまなノイズが発生します。気にしないよう努めていてもノイズは自然と耳に届くため、従業員が業務に集中できず生産性を落としてしまう懸念があります。
サウンドマスキングシステムの導入により、これらの課題は解決が可能です。周囲の雑音が気になりにくくなるため、従業員は集中力を保って業務に取り組むことができ、生産性の向上にもつながります。
サウンドマスキングには多大なメリットがある一方で、覚えておくべき懸念点、デメリットがあります。自社が抱える音の問題を解決するのに最適解なのかどうかを十分検討しなくてはなりません。
サウンドマスキングは、音を使って音を聞こえにくくする仕組みです。防音や遮音工事を施すわけではないため、発生している音そのものを小さくできるわけではありません。
この点を理解しておかないと、導入後に音の課題を解決できていないと不満を抱く可能性があります。サウンドマスキングシステムやソリューションを販売している企業のなかには、ショールームで効果を体験できるところもあるため、一度体感してみるのもひとつの手です。
サウンドマスキングシステムは一般的に、音の発生源ではなく、音漏れを聞く人がいる空間にスピーカーを設置します。これは、音の発生源にスピーカーを設置すると、音漏れを聞く人がいる空間にマスキング音を届かせるために、音をかなり大きくしなければならないためです。
そのため、もともと静かだった空間にマスキング音を流すことも多く、人によってはその音が気になるかもしれません。
製品によって異なるものの、導入には決して安くない費用が発生します。音を再生する機器や電子信号を増幅するアンプ、電気信号を音に変換して外部へ出力するスピーカーなどの設備が必要で、約30平米程度のオフィスでも約100万円の費用がかかります。
会議室とミーティングルームのみなど、部分的な設置であっても、数十万円の費用が発生するケースは珍しくありません。状況次第では、同程度の金額で防音や遮音工事を行ったほうが、より大きな効果を得られる可能性もあります。投入した費用に対し見あった効果を得られるかどうかを考慮しつつ、導入の是非を検討しましょう。
オフィスの音問題を解決できる方法は、サウンドマスキング以外にもあります。たとえば、吸音パネルの施工や防音パーテーション、ファミレス席、個人ブースの設置が挙げられます。
吸音や遮音効果がある素材で開発されたパネルを、会議室など音漏れを防ぎたい場所の壁面に貼り付ける方法があります。音漏れを軽減できるだけでなく、音の反響を抑制できるため声が通りやすくなり、スムーズな会議の進行をサポートしてくれます。
より対策を強化したいのであれば、吸音や防音効果が期待できるカーテンやマットも併用してみましょう。また、会議室に観葉植物を配置するのもおすすめです。プランターの土や植物の葉が音を吸着し、さらには癒しの効果も期待できます。
ナチュラルトーンのフェルト地を使用した吸音・防音ボードです。吸音性と遮音性に優れることから、内部からの声漏れを防ぎ、外からの雑音も適度にシャットアウトします。また、反響音を抑制する効果も期待できるため、会議参加者の声が通りやすくなるのもメリットです。
施工は別売りの釘で壁へ打ちつけるだけなので、専門業者に依頼する必要はありません。軽量なので女性でも容易に施工できます。
■本体価格(2024年9月時点)
¥7,759(税込)
※製品本体の価格です。カラー・オプションの有無などによって、価格は変動します。
ナチュラルトーンのフェルト地を使用した吸音・防音ボードです。吸音性と遮音性に優れることから、内部からの声漏れを防ぎ、外からの雑音も適度にシャットアウトします。また、反響音を抑制する効果も期待できるため、会議参加者の声が通りやすくなるのもメリットです。
施工は別売りの釘で壁へ打ちつけるだけなので、専門業者に依頼する必要はありません。軽量なので女性でも容易に施工できます。
■本体価格(2024年9月時点)
¥7,759(税込)
※製品本体の価格です。カラー・オプションの有無などによって、価格は変動します。
リフレッシュスペースやミーティングスペースなどの話し声が執務室に届き、気になるようなら防音パーテーションを設置するのも良案です。吸音・遮音効果がある素材を用いたパーテーションで特定のエリアを囲めば、声が響くのを抑えられます。
たとえば、それほど広くない休憩スペースなどを防音パーテーションで囲むと、10~20dbほどの軽減効果が期待できます。もちろん、音がまったく聞こえなくなるわけではありません。
騒々しいオフィスにおける音の大きさは70dbが目安です。60dbは静かな乗用車の車内、50dbは静かな事務所くらいの音の大きさなので、10~20dbほど音を軽減できれば静かで快適なオフィスを手に入れられます。また、パーテーションは空間を容易に区切ることができ、ゾーニングにも活用可能です。
吸音性が高いフェルト素材を用いた吸音パネルです。自立する構造で単体でも利用できるほか、パネル同士はマジックテープで連結できるため、複数枚を組み合わせて自由な形で空間を仕切れます。やわらかな素材で衝撃を和らげ、安全なオフィスを実現します。
■本体価格(2024年9月時点)
¥55,400(税込)
※製品本体の価格です。カラー・オプションの有無などによって、価格は変動します。
吸音性が高いフェルト素材を用いた吸音パネルです。自立する構造で単体でも利用できるほか、パネル同士はマジックテープで連結できるため、複数枚を組み合わせて自由な形で空間を仕切れます。やわらかな素材で衝撃を和らげ、安全なオフィスを実現します。
■本体価格(2024年9月時点)
¥55,400(税込)
※製品本体の価格です。カラー・オプションの有無などによって、価格は変動します。
人の声に含まれる500~1000Hzの周波数帯域を高い水準で吸音可能なパネルです。87mmと十分な厚みがあり、パネルの反対側へ届く音圧も軽減します。パネルの足もとにはキャスターが備わっているため、オフィスのなかを自由に移動できる点も魅力です。
■本体価格(2024年9月時点)
¥152,460(税込)
※製品本体の価格です。カラー・オプションの有無などによって、価格は変動します。
人の声に含まれる500~1000Hzの周波数帯域を高い水準で吸音可能なパネルです。87mmと十分な厚みがあり、パネルの反対側へ届く音圧も軽減します。パネルの足もとにはキャスターが備わっているため、オフィスのなかを自由に移動できる点も魅力です。
■本体価格(2024年9月時点)
¥152,460(税込)
※製品本体の価格です。カラー・オプションの有無などによって、価格は変動します。
ファミレス席とは、ファミリーレストランでよく採用されている座席スタイルです。双方が向かいあって座るセミクローズタイプのボックス席であり、ちょっとしたミーティングから休憩までさまざまな用途で利用できます。
完全なクローズド空間ではないものの、周りを吸音性の高いパネルで囲むなどすれば音対策として効果が期待できます。
オフィスへ手軽にファミレス席を設置できる製品です。ソファを囲むように、高さ1600mmのパネルを配置でき、周りからの視線と音を遮ります。2人用のほかに1人用のソファブースもラインナップされているため、集中して業務に取り組みたい従業員のための個人ブース作成にも役立ちます。
■本体価格(2024年9月時点)
¥240,000(税込)
※製品本体の価格です。カラー・オプションの有無などによって、価格は変動します。
オフィスへ手軽にファミレス席を設置できる製品です。ソファを囲むように、高さ1600mmのパネルを配置でき、周りからの視線と音を遮ります。2人用のほかに1人用のソファブースもラインナップされているため、集中して業務に取り組みたい従業員のための個人ブース作成にも役立ちます。
■本体価格(2024年9月時点)
¥240,000(税込)
※製品本体の価格です。カラー・オプションの有無などによって、価格は変動します。
ソファとパネルを組み合わせたセットです。ソファの背面と片側だけを囲むようにパネルが取りつけられている点が特徴です。2台を並べるように配置すればファミレス席にもなるほか、ハイバックのコーナーソファとしても利用できます。高さが低いローパーテーションタイプの製品もラインナップされています。
■本体価格(2024年9月時点)
¥95,788(税込)
※製品本体の価格です。カラー・オプションの有無などによって、価格は変動します。
ソファとパネルを組み合わせたセットです。ソファの背面と片側だけを囲むようにパネルが取りつけられている点が特徴です。2台を並べるように配置すればファミレス席にもなるほか、ハイバックのコーナーソファとしても利用できます。高さが低いローパーテーションタイプの製品もラインナップされています。
■本体価格(2024年9月時点)
¥95,788(税込)
※製品本体の価格です。カラー・オプションの有無などによって、価格は変動します。
1人で業務に集中できる個人ブースや、Web会議用のスペースを設けるのもひとつの手です。防音性を考慮した場合、全面を覆うフルクローズドタイプがおすすめですが、コスト面などの理由で難しいのなら、低価格で設置可能なセミクローズドタイプでも音対策としての効果は期待できます。
吸音性に優れるフェルト素材のパネルとテーブルのセットです。前方と両サイドを、高さ1600mmのパネルが囲むため、周囲からの視線や音を適度に遮れます。省スペースの長方形タイプのほか、手前が左右に広がり圧迫感を軽減できる台形タイプもあります。
■本体価格(2024年9月時点)
¥127,000(税込)
※製品本体の価格です。カラー・オプションの有無などによって、価格は変動します。
吸音性に優れるフェルト素材のパネルとテーブルのセットです。前方と両サイドを、高さ1600mmのパネルが囲むため、周囲からの視線や音を適度に遮れます。省スペースの長方形タイプのほか、手前が左右に広がり圧迫感を軽減できる台形タイプもあります。
■本体価格(2024年9月時点)
¥127,000(税込)
※製品本体の価格です。カラー・オプションの有無などによって、価格は変動します。
ハニカム形状に折り曲げられるタイプのワークブースです。吸音材メーカーが手がけた製品で、パネルの心材には優れた吸音性を誇る「テクセルセイント」を用いています。コンパクトなサイズで場所を選ばず設置でき、軽量なのでレイアウト変更も容易です。
■本体価格(2024年9月時点)
¥231,000(税込)
※製品本体の価格です。カラー・オプションの有無などによって、価格は変動します。
ハニカム形状に折り曲げられるタイプのワークブースです。吸音材メーカーが手がけた製品で、パネルの心材には優れた吸音性を誇る「テクセルセイント」を用いています。コンパクトなサイズで場所を選ばず設置でき、軽量なのでレイアウト変更も容易です。
■本体価格(2024年9月時点)
¥231,000(税込)
※製品本体の価格です。カラー・オプションの有無などによって、価格は変動します。
サウンドマスキングは優れた仕組みではあるものの、音そのものを小さくできるわけでなく、導入コストの高さなどのデメリットもあります。なるべくコストを抑えつつオフィスの音対策に取り組みたいのなら、吸音パネルや防音パーテーションなども視野に入れてみましょう。
「アスクルオフィスづくりサービス」では、オフィスにマッチしたレイアウトの提案や、家具のまとめ買い相談に対応しています。自社で理想的なオフィスを構築するのが難しいと感じている場合はぜひご相談ください。
編集・文・画像:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局
制作日:2024年9月5日
2016年11月17日のリニューアル前の旧コンテンツは
こちらからご確認ください。