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[後編]オフィスデスク選び カタログを読みこなすために必要な9項目を解説!(5~9)

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(写真はアスクル 東京豊洲 家具ショールームにて撮影)


[前編]オフィスデスク選び カタログを読みこなすために必要な9項目を解説!(1~4)」から続き。



≪もくじ(後編)≫

[5]天板の材質(カラー・コア・耐久性) ~メラミン化粧板ならだいたい同じ~
[6]机のフロントエッジ(木口) ~上腕を机の上に置くなら気になるところ~
[7]アジャスター脚 ~設置時に机のがたつきを抑えるのに便利~
[8]デスクの脚の形 ~足元スッキリかどうか~
[9]配線穴、配線レール ~天板上の穴の位置は意外に影響する~
[■]最後に

≪もくじ(前編)≫

[■]オフィスデスクのカタログに記載の仕様はいったいどういう意味があるのか
[1]デスク高さ ~今は720mmが一般的~
[2]デスク下の高さ ~椅子の上で正座するなら~
[3]デスク間口広さ ~狭めのデスクで大きいチェアなら気を付けて~
[4]デスクの横幅と奥行き ~デスク上でする業務によって決まる~




[5] 天板の材質(カラー・コア・耐久性) ~メラミン化粧板ならだいたい同じ~

オフィスデスクの天板については、一般的なオフィスデスクであれば、芯材や構造は多少違いがあるものの、表面をメラミン化粧板としているものがほとんどだ。そうしたメラミン化粧板が使われているデスクであれば、一般の事務用では気にしなくても良い



◆天板カラー(色)について


天板のカラー(色)について述べておくと、昔は、いわゆるオフィスグレーが一般的だったが、現在は、ホワイト、ブラック、明るい木目調からダークな木目調まで、カラーバリエーションが取り揃えられたデスクが発売されていて選択肢は豊富になっている。


買い足しであれば既存のデスクの色に合わせるのが基本だ。


新規購入や買い替えをするので新しいカラーを選ぶという場合なら、ホワイトは無難な選択肢だ。ホワイトは、統計などのエビデンスはないのだが、オフィス取材でも一番多く見かける。ホワイトカラー天板のメリットは、とにかく反射率が高いのでオフィスが明るくなる。照明の明かりがホワイトの天板で反射して部屋が照らされる。これがなかなか馬鹿にできない効果がある。また、ホワイトは清潔感があり癖もないので合わせやすいというのも理由だ。他方、ホワイトでは事務っぽいということで、トレンドのリビングスタイル風にするなら、明るい木目調もおススメ。ホワイトほどは明るくないが、明るい木目調天板はオフィスに落ち着きが出る。ダーク木目調にする場合、オフィス内のデスク全部がそうなると結構室内が暗くなるので、スポットライトを配するなど、それに合わせたライティングやインテリアコーディネートをする必要がある。



以下は、天板の材質について、知りたい読者の方向けに細かい解説をしてみる。読み飛ばしていただいてかまわない。


オフィスデスク用に使われる天板は、前述したように、表面をメラミン化粧板としたものが多い。メラミン化粧板は、熱硬化性樹脂の一種であるメラミン樹脂を紙に含浸させ積層して形成した樹脂板で、鋼板や木製ボードに接着することでデスク天板を作る。メラミン樹脂自体は、無色透明なため木目調に印刷した紙を模様紙として使うことで木目調の板が作れたりする。人工の木目調のデスクで表面が硬いタイプはほとんどがメラミン化粧板だ。また、この樹脂は極めて硬度が高いため、かなり力を込めてボールペンで筆記しても傷がつかない。耐薬品性、耐熱性も高いところからも、事務用途に適しており、今では広く使われている。(*3)


*3)松崎 廉(1961) 「最近の化粧板工業の進歩newwindow」高分子 vol.10 (1961) No. 7 P 588-592
メラミン化粧板についてはこちらの解説論文を参考にした。日本で初めてメラミン化粧板の工業化に成功した住友ベークライト株式会社の京都工場長(当時)が著者であり、半世紀以上前のものだが、分かりやすい解説論文になっている。



◆板のコア部分について


標準的なデスクの表面については、メラミン化粧板で仕上げられていることがほとんどだが、板のコア部分の材質はいろいろだ (メラミン化粧板は、コアとなる板などに接着して表面の化粧材として使われている)


一般的に多いところで言えば、スチールデスクは裏に補強バーの入った鋼板になっており、木製系なら、コストの関係でパーティクルボードやMDFが使用されているケースが多い。


パーティクルボードは、簡単に言うと、木材を細断したチップを接着剤とともに圧縮して形成したボードで、MDF(Medium Density Fiberboard)は、中密度繊維板といい、木材を繊維状にまでほぐし、接着剤と混ぜて圧縮して形成したボードだ (木質ボードや繊維板と記載されることもある)。両者の識別方法は、断面を見ることが出来れば、パーティクルボードなら木材チップを圧縮しているので、表面に木材チップが見える。MDFなら繊維レベルまでほぐしているので、表面が茶色の均質な見た目になっているので見分けがつく。どちらが優れているということはなく、パーティクルボードにせよ、MDFにせよ、性能や用途の異なる製品が数多くあるので、オフィス家具メーカーはその中から適切な種類を選択して製造している。他に、あまり多くはないが、紙ハニカムや、積層合板、フラッシュ構造もある。


デスク天板のコア(芯材)については、一般的な執務用デスク向けに設計されているのであれば、強度的に問題がないレベルで作られているはずなので、いろいろな種類があっても、あまり気にしなくても良い。というのも、使い勝手に影響するほどの性能差が出ないことが多いためだ。もし、2cm厚程度のパーティクルボードやMDFで強度が気になるなら、組み上げられたデスクの天板を下から見て、スチールのフレームがロや目の字でがっちり組んであるかを見ると良い。パーティクルボードもMDFも圧縮に強いが曲げには弱いので、それを補うためにスチールのフレームを組んで、天板となるボードを支えるように作るのが通常だからだ。


ちなみに、エグゼクティブデスクなど超高級なデスクはメラミン化粧板ではなく、無垢板や、質の良い突板(コアはいろいろ)で、ウレタン塗装等によるデスクも存在する。その場合、ボールペンでぐりぐりしたりすると傷つくので扱いは注意が必要になる。保護のためにはデスクマットを使用してほしい。


また、リビング系のテーブルであれば、ウレタン塗装やラッカー塗装などのウォルナット等の突板でランバーコアというパターンもあるが、こちらも表面が傷つきやすいので、使うときはその点に気を付けたほうが良い。



◆デスク表面の耐久性について


デスク表面の耐久性で言うと、やはりデスク天板表面は、メラミン化粧板のほうがそのあたりを気にしなくて良いので無難だ。オフィスデスク用にメラミン化粧板が多く使われている理由でもある。オシャレさや触れたときの馴染み具合を追求すると、天然の木の手触りが欲しくなったりするので、その点ではメラミンでは少し物足りず、悩ましいところだ。最近のメラミン化粧板は、表面の手触りを近づけるべく、立体的な木目調の凹凸を表現したり、模様紙の木目を本物に限りなく近づけたりなどいろいろ工夫はされているので、天然木志向の人も、工夫されたメラミン化粧板のデスクをチェックしてみると気に入るものが見つかるかもしれない。


また、机の上に数十キロの部品を載せたり、薬品を扱うなど、作業や実験用には、強度を上げたり、耐薬品性のより高い専用製品が開発されているので、そうした用途には、作業台や実験台といった専用の製品を選ぶこと。一般事務用のデスクではすぐにボロボロになってしまう可能性がある。




[6]机のフロントエッジ(木口) ~上腕を机の上に置くなら気になるところ~

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デスク天板の手前の端部分だ。フロントエッジ、や、木口、という。上図で言う赤色部分

使い勝手にかなり影響するのだが、見落とされがちなポイントだ。
フロントエッジ(木口)のタイプで代表的なものを以下に挙げる。



◆スチールデスク ポストフォーム加工

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※写真はスチールデスクの「プラス フラットライン」デスクのフロントエッジ(木口)


スチールデスクにおいて、つなぎ目なく曲面をつけたエッジ筆記やタイピングの際、机のエッジに上腕を載せた場合にも柔らかな曲面で、ソフトの受け止めてくれるため、腕にエッジの跡がつかないなどメリットがある。現在のスチールデスクの多くが導入している仕様なので当たり前になってしまっているが、優れた仕様だ。


この加工を「ポストフォーム加工」という。カタログに「ポストフォーム加工」と書かれていたらこれのことを指す。天板の鋼板を曲げて、角を曲面にしたエッジを作っているのだが、そのエッジに合わせて、天板表面の化粧材であるメラミン化粧板も特殊加工により曲げ込むことで、つなぎ目のない曲面のソフトなエッジを実現している。


さらっと書いているが、メラミン樹脂は熱可塑性樹脂ではなく熱硬化性樹脂のため、熱可塑性のプラスチックのように加熱して柔らかくして曲げるというテクニックが、簡単には使えない(一度硬化すると再加熱しても柔らかくならない)。それを特殊加工である「ポストフォーム(二次成型)加工」によって実現したのが、つなぎ目のないソフトなエッジだ。 (ちなみにポストフォーム加工は曲面以外でも角に合わせて加工も可能で、いろいろな曲げ込み方法が開発されている)


デスク前端に上腕を置いてタイピングやマウス操作をするには、腕にソフトなエッジが当たるので使いやすい利点がある。しかし、現在のデスクのトレンドはシャープなエッジなので、こうした丸い端面はあまりオシャレではなくなってしまった。また、デスクに向かう姿勢によるが、必ずしも上腕をエッジに置くとは限らないという事情もあり、後述するテーパー加工エッジに替わりつつある。



◆樹脂製エッジ

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※写真はスチールデスクの「プラス 組立式スチールOAデスク L型」のフロントエッジ(木口)


写真のデスクは、ABS樹脂製エッジ用パーツを取り付け、角を大きめの曲率を持つ曲面に変えたフロントエッジにしている。樹脂の種類はABSやPVC等があるが、どれも天板にスムーズに接続していて、通常は取れることはない。筆記やタイピングの際、机のエッジに上腕を載せた場合にも柔らかな曲面で、ソフトの受け止めてくれるため、腕にエッジの跡がつかないなどメリットがある。こちらの方法も一般的だ。スチールデスクは、前述のポストフォーム加工のエッジか、この樹脂製エッジのどちらかであることが多い。



◆ソリッドな木口に樹脂化粧材仕上げ

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※写真は木製天板の「アール・エフ・ヤマカワ ラディーワークテーブル」のフロントエッジ(木口)


ソリッドな角型のエッジ(木口)に、木口用の樹脂化粧材を付けたタイプ。シンプルで、一般的にテーブル等で採用されている加工だ。角は糸面取りや、小さな曲率の曲面がつけてあるので、腕を載せても傷つくことはない。ただし、上腕を常時、机のエッジに置いて使う人には、エッジの腕への当たりが気になるかもしれない。木口化粧材はいろいろ種類、グレードのものが出ているので、安価なテーブルから、比較的高めのデスクまで幅広く使われている。端面がソリッドな印象なので、現在のトレンドの形だ。



◆テーパー加工エッジ(船底型)

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※写真は「アール・エフ・ヤマカワ ユピタデスク」のフロントエッジ(木口)


天板のエッジ(木口)の下側をテーパー加工(斜めに削る加工)したもの。このように加工することで、少し斜め上から机を見たときにテーブル厚が実際よりも薄く見え、シャープでスタイリッシュな印象になる。現在、最も流行っている天板エッジ形状で、新しいデスクはこのタイプが多い。木口部分は木口用の樹脂化粧材がついている。角は糸面取りや小さい曲率の曲面加工がされているので、腕を載せても傷つくことはない。また、エッジ下部をテーパー加工しているので、立ち座り等での足への当たりもソフトになる。ただし、上腕を常時、机の端に置いて使う人にはエッジ部分の腕への当たりが気になるかもしれない。とはいえ、オシャレでスタイリッシュなエッジといえば、現在ではこれが主流であり、特に連結型のデスクだとフロントエッジが長い直線になるので、オフィスをとてもシャープな印象に作れるので魅力的だ。




[7]アジャスター脚 ~設置時に机のがたつきを抑えるのに便利~

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※写真はスチールデスクの「プラス フラットライン」アジャスター脚部


スチールデスクに装備されていることが多い仕様なのだが、床に何ミリか高低差があるところに設置する際に、アジャスター脚で高低差を調整することで、脚のがたつきを抑える機構。ネジになっていて、回して高さ調節して使う。アジャスターがないデスクの場合、床の高低差は、ゴムシートなどを脚の下に挟んだりして調整する。つまり、アジャスターはあったら便利だが、なくても何とかなる。ちなみに、メーカーや機種によっては、数ミリの調整だけでなく、デスク高さを 700mm ⇒ 720mm などの変更できる製品も出ている。




[8]デスクの脚の形 ~足元スッキリかどうか~

オフィスデスクは、構造上、機能上、デザイン上などいくつかの理由から、脚の形のバリエーションが多い。順に見て行ってみよう。



◆I型 4本脚

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ダイニングテーブルなどで見かける最も一般的な脚の形状。4本の脚が、天板の4隅を支えている。また、補強のため、4本の脚をつなぐように、天板裏にロの字のスチールフレームが入っていることが多い。そのため、強度やバランスに優れる。


リーズナブルなデスクは丸パイプ等の脚が使われることが多く、シンプルな見た目になる。高級なデスクでは、脚の見た目が細く見えるよう外側と内側で形を変えた異形の角パイプや、アルミダイキャスト脚が使われたりする。脚と天板の接続箇所も外から見えないように仕上げて、天板を浮かせたようなデザインになっていたりすることで、スタイリッシュになるよう工夫がされていることが多い。しかし、構造の基本形としては4本脚で天板を支えているところは同じだ。また、脚を垂直ではなく、少し角度をつけて開いてハの字などの形を取ったオシャレなデスクもあり、トレンドになりつつある。現在のトレンドのデスクの形は、構造的には剛性は高いが、見た目では、細い脚がまるで天板を支えていないかのように立ち、天板は一枚の薄い板が浮いているかのように見せるデスクが流行ってきているように思われる。



◆L型脚

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スチールデスクで一般的な脚形状。そのため、もはや当たり前になってしまって、分かりづらいが、本来はとてもスタイリッシュなデザインとして生まれている。机の構造上、机の脚はシンプルに作れば、4隅を支える、前項の4本脚が合理的だ。そこをあえて脚をL型にして、机の天板をデスク後ろの方の脚で支えるという片持ち(カンチレバー)構造にしている。デスク手前部分の重さが一番かかるところに支える脚がないので、天板や脚などのフレーム強度がないと実現できない。デスク前面の支えがなく浮いたように見えるオシャレデザインなのだ。


前面に脚がないので、視線を遮る線もなく、デスク下もすっきりとし、スタイリッシュで、机を並べてもとてもすっきりとしたオフィスになる。また機能的にも、回転チェアで横から回って座っても脚に引っかからないなど、足さばきが良いなどの実用面のメリットも大きい。



◆パネル脚

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両側面のパネルが構造材となって天板を支えているタイプ。木製のデスクでこの構造を取るものがある。


足元をパネルで囲われているので、足元の「個室感」があり、安心感がある。他方、オフィスとしては、机を並べたとき、下の部分の視線の抜けが悪いので、ごちゃついた印象になりやすい。また、「個室感」があることもあり、足元に荷物をためてしまいやすい。そのため、最近は、足元がスッキリしたタイプが好まれる。


見た目はこれに似たタイプで、4本脚やL字脚に側面カバーのパネルを付けているタイプも存在する。主には、足元を隠せるようにオプションとして用意されている場合だ。



◆ループ脚

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少し変わったタイプで四角いループ状にしたスチール脚で支えるタイプだ。パネル脚に準じた構造ながら、ロの字のループ形状で、中央が抜けているので、細身で軽快感があり、足元がスッキリする。



◆連結型デスク

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上図は対抗島型連結型デスク。横幅3600×奥行き1400×高さ720mmのもの。


連結型デスクは、横幅3,600mmなど、複数人分のデスクが合わさったものだ。特に図のような対抗島型で複数台分のデスクが合わさることで、脚を共有化して、単体デスクよりも省くことが出来る。そのためデスクの足回りは単体デスクを組み合わせて使う場合に比べてスッキリする。


単体デスクは1台単位で動かせるので、机移動によるレイアウトの柔軟性で言えば単体デスクの方が高いのだが、人員割り当ての柔軟性は連結型の方が高いことが多い


というのも、例えば、横幅4,800mmの対抗島型連結デスクであれば、1人当たり1,200mm幅に割り当てれば両サイド合わせて8人分だが、800mm幅にすれば12人分になる。そのため、デスクのレイアウトは変更せずに、人員のレイアウトを多少伸び縮みさせることが出来るという点では連結型のほうが優れている。最近はOA部分の配線の手間があるので、最初に連結型のデスクを最大限配置して配線も行ってしまい、人員増減に対しては、デスクそのものを動かさず、人員配置のみ調整するということがある。


※ちなみに、連結型デスクを導入する際は、デスク中央付近にある中間脚や天板を支えるフレームの張り出し場所を確認しておいたほうが良い。デスク内の人数配置によっては、ちょうど中間脚やフレームの位置に人が来ると、使い勝手が悪いことがあるためだ。




オフィスデスクの脚のタイプは、上に挙げた以外にもあり得るが、これらが主要なところだと思う。


現在のトレンドでは、足元がスッキリしていて、オフィスとして全体を見渡した時に、足下も含めて見通せるようなすっきりとした開放感のあるデザインのものが好まれている




◆[補足] 幕板について


オフィスデスクは、座って足先側に「幕板」という板がついていることが一般的だ。ダイニングテーブルなどの幕板より大きいのは、足隠しの機能を持たせているため。デスクの向かい側から見たとき、座っている人の足が丸見えにならないようになっている。また、この幕板はパネル脚やL型脚の場合、天板と脚を保持する構造材も兼ねていることが通常で、デスクの剛性を支える重要な部分になっている。以前は、比較的、床まで幕板がある傾向にあったが、最近は上半分程度にして、デスク下の抜けを良くしている製品も多い。デスク奥側を通路側に向けるレイアウトでは、通路からデスク下の見え方が気になることがあるので、床までの幕板があるデスクにしたり、パーティションを立てることを検討したほうが良い。




◆[補足] デスクの剛性について


脚などの構造について触れているので、構造によって影響を受けるデスクの剛性(変形しにくさ)について少し補足したい。


オフィスデスクで、JIS S1031:2016「オフィス家具−机・テーブル」の認定が取れているデスクであれば、強度や耐久性に関してかなり詳細な強度試験や耐久性試験が課せられているので、強度面で不安が出ることはまずない。JIS認定を取っていなくてもそれに準じて設計・製造されていれば同様だ。


そのため、オフィス用のデスクとして販売されているデスクなら剛性が高く、心配はないと言いたいところだが、必ずしもすべてのオフィスデスクが完全にさきほどのJISの規格に沿っているわけではないので、剛性はかなり違いがある。


ここでは、筆記やパソコン作業で不満が出ないレベルでのデスクの剛性ということで話をすると、オフィスデスクの望ましい剛性とは、筆記やパソコン作業で天板が揺れないというのが一つの基準だと思っている。この点を重視してオフィスデスク選びをするのであれば、特にデスクに体重をかけて作業をするタイプの人であれば、JISマークのついているような、剛性の高いフレームで作られたデスクを選んだほうが快適に作業できる。


もし、ショールームなどで品物を確認できるのであれば、実際にデスク前に椅子を持ってきて座り、実際に執務する時のように作業して問題が生じないか確かめるのがベストだ。


現物を確認できない場合、カタログスペックだけから剛性の高いデスクを見分けるのは難しい。ただし、先ほど述べたようにJIS S1031:2016「オフィス家具−机・テーブル」の認定が取れたデスクというのは一つの基準になる。JISでは、デスク天板に対して、水平静荷重下の強度試験を 50kgの重りを乗せてテストしている。天板耐荷重が50kg以上のデスクという条件で探すのも一つの方法だ。


(ただし、デスクの剛性を見るのに、天板耐荷重の大きさは一つの目安になるが、必ずしも剛性を保証する数値ではないので注意してほしい。)



[9]配線穴、配線レール ~天板上の穴の位置は意外に影響する~

「オフィスワーク≒パソコン作業」ということもあり、デスクに配線の配慮がされていることが通常だ。モニターケーブル、LANケーブル、電源ケーブル等を床から天板上まで通す必要がある。


まずは一般的なのは、デスク上へのアクセスするための穴がつけてあるケースだ。


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※写真は「デザイナラインデスク」の配線用穴。デスク奥中央にある。


例えばこういう形の配線用穴がつけられていることが多い。この穴から電源タップやLAN配線などを引き出したり、デスクトップパソコンであれば、パソコン本体をデスク下に置き、モニターケーブルやマウスやキーボードのUSBケーブルを通すなどして使う。穴がないとデスクを向かい合わせて島を作ったときにケーブルを通す場所がなくなってしまうためだ。


配線穴だが、どれも天板の奥のほうに開けられているのはどの製品でも同じなのだが、中央に1か所開いているタイプと、左右どちらか、または左右両方に開けてあるタイプの3パターンがある。意外にデスク上の配置や、デスクトップパソコンの置き場所、配線ケーブル取り回しに影響するのでチェックしておいたほうが良い。


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※写真はスチールデスクの「プレノデスク」の天板奥についている配線ダクト


また、写真のように配線まで考慮し、デスク後部に配線用ダクト(レール)を装備しているデスクもある。このダクト(レール)内に電源やLAN配線を行う。システム型のデスクに多い。あると便利だ。この場合、机の種類がバラバラだとダクト穴などの場所が合わないので、導入の際は机のシリーズを合わせることが一般的だ。



ちなみに、デスクメーカーとは別のサードパーティ製のディスプレイアームやテレフォンアームを取り付けようと初めから考えている場合、デスク奥側の天板部分に固定用のアームクランプが取り付けられるかどうか確認しておいたほうが良い。たいていのオフィスデスクの奥側の天板はある程度オーバーハングしていてクランプの取り付けは可能なのだが、配線用ダクト(レール)がついているタイプだと、そのデスク専用のものしか取り付けられないことがあるので要注意だ。



■最後に

以上、「オフィスデスク選び カタログを読みこなすために必要な9項目を解説!」として、前後編で、オフィスデスク選びの基本的なポイントから少し細かいところまで9項目を挙げて、その仕様の意味、成り立ち、どういうメリット・デメリットがあるのかについて解説してみた。


説明が至らぬ点があるかもしれないし、挙げるべき項目がまだあるかもしれない。もし読者でお気づきの点があればSNS等でコメントいただければ、誤りがあれば訂正し、追加の内容であれば、今後の記事に反映させていきたい。


使い勝手に影響があるポイントながら見落としやすい点と考えていたところに注力して説明したので、本稿が読者の皆さんにとってのピッタリの使いやすいデスク選びの参考になればうれしい。




「オフィスデスク選び カタログを読みこなすために必要な9項目を解説!」


≪もくじ(前編)≫

[■]オフィスデスクのカタログに記載の仕様はいったいどういう意味があるのか
[1]デスク高さ ~今は720mmが一般的~
[2]デスク下の高さ ~椅子の上で正座するなら~
[3]デスク間口広さ ~狭めのデスクで大きいチェアなら気を付けて~
[4]デスクの横幅と奥行き ~デスク上でする業務によって決まる~


≪もくじ(後編)≫

[5]天板の材質(カラー・コア・耐久性) ~メラミン化粧板ならだいたい同じ~
[6]机のフロントエッジ(木口) ~上腕を机の上に置くなら気になるところ~
[7]アジャスター脚 ~設置時に机のがたつきを抑えるのに便利~
[8]デスクの脚の形 ~足元スッキリかどうか~
[9]配線穴、配線レール ~天板上の穴の位置は意外に影響する~
[■]最後に






写真撮影場所

アスクル 豊洲 家具ショールームnewwindow

最寄駅: 東京メトロ有楽町線「豊洲駅」 1C出口より徒歩3分 オープン時間: 午前10時~午後5時(土・日・祝日・年末年始・お盆等を除く) ※見学は要予約です (電話またはウェブフォームより受付)





編集・文・イラスト・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局
作成日:2017年8月15日


≪ご注意≫本記事内容は「みんなの仕事場」運営事務局による実験や考察の結果を参考としてご提供するものであり、実験結果等を保証するものではありません。また、アスクル株式会社の立場や意見を代表するものではありません。




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