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人生100年・終身雇用崩壊で重要性を増す「リカレント」の実際

画像:  fifeflyingfife/AdobeStock (※)

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■終身雇用制の終焉で、労働環境が激変する?


2019年4月、経団連の中西宏明会長は、「将来にわたって終身雇用を続けていくのは難しい」と述べ、翌月の定例会見で同じ持論を正式に示しました。これに呼応するように、自動車工業会会長も務めるトヨタ自動車の豊田章男社長も、終身雇用について「雇用を続ける企業へのインセンティブがもう少し出てこないと、終身雇用を守っていくのは難しい」と述べ、制度が大きく揺らいでいることを指摘しました。


日本経済のリーダーと言うべき2人の発言は、年功序列とともに日本的経営の大きな柱であった終身雇用が、将来にわたって保証されるものではないと明言するもので、ビジネスパーソンの働き方、とくにそのキャリアのあり方について深く考える必要性を言外に示唆する内容となっています。


おりから、平均寿命が延びて「人生100年時代」といわれる超高齢化社会への移行が進む中、日本人の勤続年数は延びていくとみられています。一方、経営環境の激変の中で、会社の寿命は短くなる傾向があり、長く働きたいのに会社がない、という事態まで想定する必要が出てきました。


これらを総合してビジネスパーソンの働き方を考えると、これまでのように、最初に入った企業でキャリアを終えるということは、誰にとっても困難になることが想像されます。単一のスキルやキャリアではなく、ジョブチェンジを前提としたパラレルキャリアをもって、変化に備えることが必須となる近未来が見えてくるのです。


働く人々の最大課題が「キャリアメイク」である時代が、すぐそこまで来ています。私たちはどう備えればいいのでしょうか。



■欧米では一般的な「リカレント教育」が日本で軽んじられてきた理由


近年、中高年のキャリアアップや定年後の再就職、また出産・育児を経た女性が社会復帰する足がかりとして注目されているのが、社会人の「学び直し」=「リカレント教育」です。ごく最近では、年齢・性別を問わず、スキルアップやパラレルキャリア形成の有効な手段として、性別・年齢を問わず注目を集めています。


リカレントとは、「再発する」「周期的に起こる」という意味の言葉です。


リカレント教育の重要性を最初に提唱したのは、スウェーデンの教育大臣オロフ・パルメ(Olof Palme)でした。1969年、彼が欧州の教育大臣会議で紹介したのがリカレント教育の始まりです。その主張は、教育は青年期にだけ必要なものではなく、労働、余暇、その他の活動と共に生涯にわたって行われるべきだ、というものでした。翌70年には、OECD(経済協力開発機構)がこれを正式採用し、以後国際的に広がっていきました。


それから50年あまりが経って、現在の欧米では、就職した後でも必要に応じて教育機関に戻って数年間学習し、そこで得た知見やスキル、資格をもとにキャリアアップして再び就職する、というワークスタイルがごく一般的なものになりました。学卒・就職→学び直し→再就職→学び直し→再々就職......と周期的に学びの期間を設けることによってキャリアアップのサイクルを回すわけです。リカレント教育はその原動力として認知され、生涯学習の一環として違和感なく受け入れられています。


これに対し、日本はこうした国際的な潮流から取り残されたまま、現在に至っています。


その大きな要因となったのが、日本独自の雇用形態、すなわち終身雇用でした。退職まで入社した企業に勤め上げるのが日本人の"普通"だったので、学び直しによるキャリアメイクなど不要であると、企業も社員も考えていたわけです。


愛社精神のもと、全員一丸となって目標達成に邁進するという仕事の仕方においては、自社以外の価値観や考え方に触れることすら不要であり、社外で勉強してくるなどと言えば「そんなヒマがあったら残業手伝え」と叱責される。それが普通だったのです。


しかし、冒頭に述べたように、そんな日本人のワークスタイルも変化を迫られています。日本企業、そして日本経済を躍進させてきた働き方、企業風土が大きく転換し、会社の庇護なく、自力でキャリアメイクに取り組むことが求められています。そのエンジンになると目されるリカレント教育、現場での取り組みを含めた現状について見ていくことにしましょう。



■WASEDA NEOに見る、社会人教育のあり方


日本における「学び直し」の環境は、欧米とはまったく異なります。仕事を休んで(あるいは辞めて)、フルタイムで何年も勉強するなどということは、時間的にも、経済的にも、制度的にも不可能です。その中で、日本のビジネスパーソンはどのような形で「学ぶ」機会を得ているのでしょうか。


経済白書は、社会人の「学び」のスタイルを、大きく次の3つに分類し、それぞれ月あたりの所要時間と費用を算出しています。



A 大学・大学院、専門学校、公共職業訓練等への通学――月48時間/6万円程度


B 通信大学等、通信講座の受講――月21時間/2万円程度


C その他(書籍での学習、講演会・セミナー、社内の勉強会等)――月15時間/1万円程度



これが、日本人なりの現実的な「学び直し」の機会、サイズ感ということになるでしょう。


白書では、30歳以上の男女を抽出した推計で、社会人大学や大学院に通学している人は7.8%であるとしています。その上で、通学による学習が、年収や就業確率の向上といった効果につながっていると指摘しており、通学が会社以外の学びと情報収集の手段として有効であることを伺わせます。


通学先の一つとして、早稲田大学の社会人教育の新しい拠点として2017年にスタートした「WASEDA NEO」があります。同学の取り組みについて、社会人教育事業室長でWASEDA NEOマネジング・ディレクター、商学学術院教授の守口剛氏にうかがいました。



WASEDA NEO 守口 剛氏(マネジングディレクター/商学学術院教授 )

WASEDA NEO 守口 剛氏(マネジングディレクター/商学学術院教授 )




早稲田大学には、社会人をターゲットとしたビジネス関係の講座がすでに数多くあります。従来のやり方での講座設置やカリキュラムの完成には時間もかかり、テーマ設定についても社会から一定の評価がされるのを待つ必要があります。先端の情報を学ぶのに、それでは遅い。われわれは、アップ・トゥ・デートなビジネス情報に関するワークショップ形式のセミナーを行い、新しい知識をより早くというビジネスパーソンのニーズに応えようとしています。最近は、ビッグデータ、データサイエンス、AI、デジタルマーケティングなどのセミナーに参加者が集まっています。


参加者の年齢はさまざまで、若手からシニアまで広範囲にわたります。ミドル・シニア層の参加者は、やはり終身雇用崩壊の危機を強く感じているようで、真剣度、あるいは必死度と言いますか、自分の身に影響が降りかかることに備えようという当事者意識があるように思います。一方、若手社員の場合は、早くからセカンドキャリアに踏み出すことに意欲的で、積極的に知見を蓄積しようという意思が見られます。早稲田大学で私が教えている学生の中にも、就職にあたってはシングルキャリアで長期の勤続を得るよりも、生涯を通してより力を発揮できる、第2,第3の勤務先をつねに探していたいという者が少なくありません。


WASEDA NEO 守口 剛氏(マネジングディレクター/商学学術院教授 )



ミドル・シニアの危機意識についての興味深いデータがあります。


パーソル総合研究所の調べでは、ビジネスパーソンの仕事への意欲、また発揮されるパフォーマンスが、40代半ばと50歳前後で顕著に落ち込むといいます。これを分析すると、どちらも大企業の人事政策によって引き起こされた可能性が高いというのです。


「40代半ば」というと、横並びで入社して出世を競った社員の中で「誰が課長になるか」が決まる年齢です。一方、シニアに足がかかる手前の「50歳前後」を見ると、一部の会社では「ポストオフ」と呼ばれる役員定年制が実施されています。ある年齢を境にこれまでの仕事から外され、役を解かれて部下もいなくなり、慣れない部署に配転される。もちろん収入も下がるということが起きるのです。


このように、「出世競争」に敗れた人たちは、絶望し、仕事でも活躍できなくなります。まして彼らが自社で培ったスキルしか持たないとしたら、先行きに不安を抱え、しかし自力ではどうすることもできないという厳しい状況を迎えることになります。


終身雇用云々の前に、社内で自分の働く意味を見失い、モチベーションを失ってしまう。そんな状態では、セカンドキャリアに思いを至らせることなど現実的ではないでしょう。非常にゆゆしき問題です。


スキルのストックがなく、環境の変化に適応できない。会社に尽くしたのに報われないばかりか、使い捨てにされて途方に暮れる――そんな事態に陥らないために、私たちはリカレント教育でどのような学び方をすべきでしょうか。




WASEDA NEOがワークショップ形式の会を多く実施しているのは、自発的に考えていくことを重視しているとともに、参加者に「越境学習」の重要性を意識してもらうためです。ひとつの会社に長くいると、その企業風土、企業文化に染まってしまい、従前の価値観を超える発想が出にくくなります。


ワークショップでは、いろいろな業界、年齢、ジェンダー、文化を持った企業の人たちと顔をつきあわせてグループ討論をしたり、作業協力をすることになりますから、その経験から新しい発想が生まれます。


学んだことを放置するのはもったいないですね。結果を踏まえて家で専門書を読むもよし、自社の業務を見渡して、関連部署があれば話を聞いて回るのもいいでしょう。それらによって得られた新しい情報や価値観を、ワークショップで知り合ったメンバーと交換し合うのもありです。こうした中で、社内の別事業でも活躍できるスキル、セカンドキャリアに踏み出せる経験値を育てていく。


自社以外に学びの拠点を複数持ち、その間を往き来する中で情報の共有やアップデートを行う越境学習を支援していくことは、大学が担う社会人教育の重要な側面なのです。とくに中高年の方には体得していただきたいし、すでに実行されている方も多いですね。


(守口氏)



もっとも長い時間を過ごす自分の会社を「ホーム」とすれば、社外の学びの場は、いわば「アウェー」です。大切なのは、そのいずれにも偏らず、双方を往復する中で知見を高め、スキルアップにつなげていくということのようです。さらに在宅での独学まで含めると、学びの機会と場はかなり広がるでしょう。



■企業と社員、あるいは企業間には「温度差」がある


職業能力開発総合大学校能力開発センターが行った社会人対象のアンケート調査によると、入社後の再教育を「受けたい」または「興味がある」と答えた人は89%に上っています。リカレント教育に対するビジネスパーソンの関心は、かなり高まっていると考えられます。



文部科学省 社会人の学び直しに関する現状等について(PDF)[外部リンク]



しかし一方で、社員の学びに対する企業側の態度には温度差がありそうです。内閣官房が発表した資料では、自社の従業員が大学等で学ぶことを「原則認めている」企業と「原則認めていない」企業は、ほぼ拮抗しているといいます。ほかに「上司の許可があれば認める」という企業もあり、もっとも多かったのは「とくに定めていない」企業でした。



従業員が大学等で学ぶことの許可状況(調査結果)


企業が従業員の大学等での就学を認めていない理由(調査結果)

「従業員が大学等で学ぶことの企業の対応」(内閣官房人生100年時代構想推進室「リカレント教育 参考資料」(PDF)[外部リンク]



「とくに定めていないなら、自分の判断で学びに行けばいい」と思うかもしれませんが、そうは簡単にいかないところに、多くの日本企業が抱えた組織風土の問題が隠れています。


終身雇用の弊害から生まれた「外で勉強するヒマがあったら残業を手伝え」という叱責の空気があると書きました。現在、さすがにそこまで実際に言われることはないにしても、「自分の仕事は終わったけれど、周囲が皆残業していると帰りにくい」「子どもが生まれたので育児休暇を取得申請したいが、皆が忙しく働いている雰囲気の中で言い出しづらい」といった無言のプレッシャーを、日々、多くの人が職場で感じています。



この日本特有の"空気"は、言ってみれば、終身雇用万能の古い経営の残滓のようなもので、これに縛られてしまうと、リカレント教育への最初の一歩をなかなか踏み出すことができなくなります。この"空気"が消えないかぎり、日本の企業は、社員がリカレント教育でキャリアアップすることに必ずしも寛容でなく、むしろ理解がない状態から変わることができないでしょう。



一方、比較的新しい会社やベンチャー企業には、社員の社内外での学びを積極的に奨励しているところもあります。


企業を対象に経営・人事課題の解決ソリューションを提供しているリクルートマネジメントソリューションズ(RMS)を訪ね、社員の学びに対するスタンスについて聞きました。


リクルートマネジメントソリューションズ シニアスタッフ 立花則子氏(左)、山科このみ氏(右)

リクルートマネジメントソリューションズ シニアスタッフ 立花則子氏(左)、山科このみ氏(右)




RMSは、人・組織に関するソリューション提供を行なっています。この領域は常に変化しつづける領域であり、私たち自身も学び続け、プロフェッショナルとしてその専門性や知見を高めていくことが必要だと考えています。弊社は研修サービスを提供している会社ですので、社員自らが受講することもありますし、社内有志で勉強会や読書会を開いている人たちもいますし、社会人大学院など外部の教育機関に通っている人もいます。会社もこのような学びの機会を生かして欲しいと考えており、支援をしています。


(リクルートマネジメントソリューションズ シニアスタッフ 立花 則子氏)



RMSは、社員が社内外で学ぶことに対して、非常に柔軟な受け止め方をしているようです。その背景として、同社は独特の業種・業態を上げています。しかし、社員が学びによってスキルアップし、その成果が企業の業績にフィードバックされるのであれば、何も業種によらず、どんな会社でもRMSと同じスタンスでリカレントを受け入れることができるはずです。日本の多くの企業は、なぜ同じようにできないのでしょう。社員がスキルアップのために受けるリカレント教育の何が、会社には都合が悪いのでしょうか。


前出の内閣府の資料は、社員の大学等での学びを「認めていない」企業を対象に、その理由を調査しています。結果は、


1 本業に支障をきたすため

2 教育内容が実戦的でなく、現在の業務に生かせないため


というものでした。



1を翻訳すると、社員が学びに費やす時間が業務時間に抵触し、放置したら仕事の能率が下がるから、それは困る――といったことでしょうか。調査時点では、残業時間に上限を設ける働き方改革法案が施行されていませんでした。現在は解消あるいは軽減されている問題のはずですが、一部で聞かれるサービス残業の問題などを見ると、今でもこのような論調をとる企業があるかもしれません。


2は、学ぶ内容が業務に役立つか否かの判断を企業側がしていることになります。この妥当性には疑問符をつけざるを得ません。社員としては、将来に役立てるためのスキルアップを目指して勉強したいわけですから、現在の業務に役立たないというのは、それを差し止める理由にならないのではないでしょうか。


むしろ現実的な解釈は、業務に無関係な新しいスキルを身につけた社員が異業種に転出したり、極端な場合スピンアウトしてしまったりする人材流出リスクに対する危惧です。ただし、これも元をたどれば終身雇用に寄り添った考え方であり、雇用を保証する代わりに獲得した人材は極力抱え込もうとする、人材が失われれば上司の責任が問われて査定が悪くなる。それを避けるために部下が勉強する範囲を抑えたいという思考のように思えます。



■企業の理解と支援が「学び」の拡大につながる


こうしたリカレント教育の阻害要因について、RMSではどのように対処しているのでしょうか。




一人の人にとって仕事は生活の中の1つの部分でしかありません。先に述べた、学習や家族との時間、兼業やボランティアなどを通して、豊かな時間を過ごすことが個人を豊かにし、社会体験で得たものが、最終的に仕事を通してお客様に提供するサービスの価値を向上させていくものだと考えています。


とはいえ、労働時間が長くては仕事以外の社会体験をすることもできません。労働時間を短くし、その時間を仕事以外の社会体験へとつなげて欲しいと社員に対して語っています。このような考え方のもと、テレワークやサテライトオフィスを導入していますし、各職場では、仕事の仕方を工夫したり、会議時間を短縮したり、業務そのものを抜本的に見直したりという活動を行なっています。


(立花氏)




立花が申し上げたように、弊社では努力によって創出した時間を、社外活動全般に使うことを推奨しています。「学び」はあくまで社外活動の中の一要素だというのが、弊社の考えです。


その考え方を象徴するモデルとして、仕事とそれ以外の社会体験を通じて形成される、人材のひとつの理想型として「花びらモデル」というものを作りました。


RMSが提唱する花びら型の人材モデル。(同社資料より ※)

RMSが提唱する花びら型の人材モデル。(同社資料より ※)



RMSの仕事と合わせ、学習や副業/兼業、趣味、社会貢献や家族関係など、さまざまな社会体験を花びらのように豊かにしていくことで、一人ひとりが社会で魅力的な存在として認められる。同時に、仕事においては顧客やステークホルダーに新しい価値を提供していくことにつなげて行くという、人のあり方と会社をつなぐモデルです。


もちろん、学びはこれらの中でも重要なファクターのひとつですので、それなりに時間もお金も使うことになるでしょう。弊社は「プロフェッショナル支援ポイント制度」や「カフェテリアプラン」を通じて、学習に要した費用の一部をポイント換算して、給与にプラスして支給する仕組みを作り、社員の学びを後押ししています。


(同 山科 このみ氏)




弊社は、社員が何を学習するかについて制限を設けてはいません。


一般論となりますが、考え方やセオリー、価値観はめまぐるしく変化しています。学習内容が当面の業務に直結しないものこそ、新たなビジネスを生み出すものにつながることもあるのではないかと思います。


人材流出リスクについては、「学習したら流出するので制限する」ということは考えたこともありません。会社と個人のつながりは多様化してきています。元社員と業務委託などの協業関係が生まれたり、異業種に転出した人と新しいビジネスを共につくるなどといったことも起こりうると考えています。


これからの時代、パラレルキャリアに限らず、従業員の自由裁量を認める企業が求職者にとって魅力的な企業になるのではないかと考えています。社員を会社に縛りつけ、退職したが最後、会社とは絶縁という終身雇用型の人材管理は、通用しなくなっていくのではないでしょうか。


(立花氏)



こうしたお話から、社員がリカレント教育の恩恵を十分に受けるためには、企業の理解と支援がきわめて重要であることがうかがえます。古い体質の企業にあっては、スクーリングなどから成果を得るのが非常に難しい現実も見えてきました。


終身雇用が揺らいでいるというのに、当の終身雇用が生み出す要因によって自己防衛のための学びが阻害されているのは、皮肉な構図であるともいえます。


しかし実際問題として、スキルアップ・キャリアアップが危急のテーマになりつつある昨今、何もしないわけにもいきません。時間もお金も制限された中で、利用可能な「学びの場」はないものでしょうか。



■「座して待つ」のではなく、まずはアクションを


大学や大学院への通学にこだわらなくても、キャリアを育てる方法はいくつか考えられます。たとえばWebのスキルシェア・サービスを利用してみるのも一つの手です。


自分の趣味や得意分野で、半日間だけ講座を持てる「ストリートアカデミー」、1時間単位で得意分野を活かした相談相手になれる、スポットコンサルを扱う「ビザスク」、スキルのフリマを謳い、得意ごとを出品して評価を受けられる「ココナラ」など、自分の好きなこと、得意なことをオープンにして「生徒」を募るデジタルな仕組みがいくつも立ち上がっており、広く情報提供を受けつけています。


これらは学びの機会であると同時に、こちらが持っている経験やスキルを必要としている人に教えることもできる、双方向型の学習サービスです。自分のキャリアを振り返り、スキルの「棚卸し」をするのにも役立ちます。大学院に通うのにくらべれば、利用料はずっと低額ですし、何を学べるかは画面を見れば事前にわかるので、お試し感覚でのぞいてみる価値はありそうです。


アナログな学びの場を立ち上げることも考えてみましょう。大阪の不動産会社社員がゼロから始めた「ライフシフトラボ」という読書会サークルがあります。当初は最小人数でのスタートでしたが、地道な活動を続けて、一人また一人と同好の士が増え、今では多くのビジネスパーソンを対象としたセミナーや勉強会、講演会などを主催する大きな組織に成長しました。


これは非常に手軽なアプローチと言えます。書籍代と会議室や談話室の場所代だけで、2人いれば始められます。地道にコツコツ取り組んでみましょう。ライフシフトラボのような「継続は力」が目標になります。



最後に、リカレント教育を推進するための行政の取り組みについて紹介しておきましょう。 現在進んでいる法整備や施策には、次のようなものがあります。



・教育訓練給付金の対象の拡大

・企業と教育機関の連携による講座創設

・IT技術者などの新しい国家資格とそのための教育プログラムの創設

・オンラインの単位取得講座の増設・拡充

・企業等の理解の促進

・職業教育のための「専門職大学」「専門職短期大学」の設置

など



いずれも進行中の事案であり、今すぐに決定されるものではありませんが、「学びやすい社会環境」が最優先で確立すべき重要案件となっていることは間違いないようです。


ビジネスパーソンの働き方をめぐる環境が変動しつつある中、企業側に雇用を守る救済策がないのなら、自分で身を守るという考え方も必要です。


不安におびえることをやめ、キャリアアップのために具体的なアクションをとること。リカレント教育を通して、未来のクライシスに耐え得るパラレルキャリアを構築することを目指しましょう。







取材協力

WASEDA NEO[外部リンク]

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ[外部リンク]








編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局(※の画像を除く)
取材日:2019年6月24日、25日




         

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