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医療ベンチャー・CUCグループの「つながるオフィス」[後編]

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CUCグループ新オフィス 執務室エリア(※)

CUCグループ新オフィス 執務室エリア(※)


医療ベンチャー、CUCグループの新本社オフィス訪問記事の続きです。今回は、梅田祥成さん(運営本部 統括チーム クリエイティブディレクター・デザイナー)、二田水沙紀さん(経営戦略部 広報PRチーム デザイナー)、青木昂彦さん(経営戦略部 広報PRチーム リーダー)に、それぞれ別の場所にあったグループ3社がどのようにひとつのオフィスで新しいスタートを切ることができたのか、違うカラーの会社同士でどのように移転プロジェクトが進められたのか、その工夫について伺います。








■グループ3社の「つながり」を強化

(左から)二田水沙紀さん、梅田祥成さん、青木昂彦さん

(左から)二田水沙紀さん、梅田祥成さん、青木昂彦さん



― 今回のオフィス移転プロジェクトについてお聞かせください。


梅田さん  今回移転したグループ3社はもともと本社の場所がバラバラだったんです。CUCとCUCホスピスは東日本橋、ソフィアメディは五反田に本社オフィスがありました。各社とも従業員数が増えたことでオフィスが手狭になり、中長期に本部機能を一箇所に集約することでより連携を密にしていきたいということから、今回の3社の統合移転となりました。


― 旧オフィスにはどんな課題がありましたか?


青木さん  まず会議室が足りなかったですね。個人ブースやオンライン会議に集中できるエリアも少なく、各人が自席で行うことも多かったので、隣席に会話が聞こえたりしてあまり良い環境ではありませんでした。


梅田さん  以前は昔ながらのオフィス、というか。オフィステーブルを敷き詰めていただけのオフィスだったんです。今回の移転では、従業員の働き方の多様性に対応できることを強く意識しました。各部署の働き方の違いを考慮して執務室エリアを設計しました。


― 新オフィスのロケーションとして田町を選んだ理由は?


青木さん  日本全国の医療法人を支援しているのでどの拠点に向かっても移動しやすいよう、品川に出やすいアクセスの良さから田町を選びました。新幹線にすぐ飛び乗れるし、空港にも出やすいです。2021年の秋頃から本格的に検討しはじめていました。


― コロナ禍以来、むしろオフィスを縮小している企業もありますが...?


青木さん  おっしゃる通り、この時期に「本当に増床するの?」という議論も行われていました。リモートワークが定着してきていましたし、世の中的にはオフィス縮小の流れでしたが、我々は、医療はドクターや看護師、それを支えるビジネスマンがいるヒューマンビジネスですから、人のつながりがないとできません。だから、会うということを大事にするために、増床という方針は貫きました。


― 3社で同時に移転プロジェクトを進めるのは大変だったのでは?


青木さん  各社の中核メンバーを募り、移転プロジェクトを発足させました。デザインやコミュニケーション設計の観点で、私たち3人もプロジェクトに携わることになりました。


梅田さん  一番大切にしたのは、バラバラだった3社を一つにまとめて調和させたいということでした。





― どんな点で苦労しましたか?


青木さん  固定席とフリーアドレスの比率とか、悩んだことはたくさんあります。会議室の数も、「本当にそんなに必要ですか」「うちは要るんですよ」「いやそんなに要らないだろう」とたくさん議論が行われ、私たちにとってベストなオフィスのあり方を徹底的に考えた期間でした。







個室ブース、一人用の集中ブースを充実させた

個室ブース、一人用の集中ブースを充実させた




■新オフィスから新しい文化が生まれる



― 新オフィスのコンセプトは「つながるオフィス」


青木さん  場所が離れていると、どうしても日常的な交流は減ってしまいます。仕事の会話だけになってしまい雑談が発生しないんです。コロナ禍においてそうしたコミュニケーション課題が生まれていたこともあり新オフィスのコンセプトを「つながるオフィス」としました。


親会社と子会社という関係ではなく、3社のオフィスということもこだわりました。だから、個々の会社のカラーが出過ぎないようにデザインしています。


梅田さん  今回の移転プロジェクトを通じて、社内の暗黙ルールとか、会社に根づいている文化も各社で違ってることを再認識しましたよね。


青木さん  そうですね、たとえば、ソフィアメディでは朝9時の朝礼後に全員で掃除をする文化が根付いていました3社が一緒になったことで培ってきた文化がなくなってしまっては本末転倒です。ですので、これまで全員で掃除、という文化のなかった2社も巻き込んで、オフィスにいる全員が同じ時間に掃除をする習慣作りを始めました。9時過ぎになると音楽が鳴り出して「掃除でーす」と始めるので、みんな自然に「やらなきゃ」という空気になるんです(笑)。


梅田さん  最初は定着するか不安でしたが、朝体を動かして、違うチームの人と挨拶する時間にもなっているので、朝のスイッチをいれるのにちょうどいい、自分達の使うオフィスを自分で磨くと愛着が湧くなど、好評です。


青木さん  こういうことからさらに新しい文化ができていくことを期待しています。


― オフィス移転によってグループの空気は変わりましたか。


青木さん  コンセプトに合わせたコミュニケーション設計を行ってきたので、実際に「つながるオフィス」の効果が生まれていると思います。移転後にアンケートをとったのですが、実際に会話が増えた、話しやすくなったという声がたくさん集まって、とにかくホッとしました。


梅田さん  新しいコミュニケーションが生まれている実感があります。通路の動線によって通りすがりに話しかけやすいので、いつの間にか私も知っている顔が増えました。会社の枠を超えていい感じに交流できていると思います。不定期ですが、共用スペースでランチ会や懇親の場も企画していく予定です。


青木さん  副次的な効果ですが、歩く距離がかなり伸びました(笑)。以前は小規模なオフィスでしたから、私は一日中オフィスにいると5000歩いくかどうかでしたが、移転してからは平均で8000~9000歩歩けています。健康にも良いですよね。




■コンセプトは最優先で決めた方がいい



― 今回のオフィス移転でどのような効果がありましたか?


青木さん  人材の採用力を高めるオフィスになったと思います。移転してアクセスもよくなったので、研修にも参加してもらいやすくなりました。


― 次回のオフィス拡張の計画もありますか?


青木さん  次のオフィス移転はいつになるか分かりませんが、次回は今回の経験を活かしてもっと余裕を持って取り組みたいですね。


― どのような人材を採用したいですか?


青木さん  CUCという社名は「Change Until Change」の頭文字から生まれました。その名の通り、変化を起こすチャレンジ精神や、負けずに変わるまでやり切る気持ちを持っている方に来てほしいです。今後の超高齢社会に「医療という希望を創る。」という私たちの経営理念に共感していただける方を採用したいですね。


― CUCは今後どのような企業を目指しますか?


梅田さん  私たちには医療をより良く変えていきたいという目標があります。在宅医療をもっと日本に普及させたいし、医療格差をなくしていきたい。日本だけ良くなればいいのではなく、医療で困っている世界中の人を助けていきたいと思います。


― 最後に、オフィスの移転を検討している企業にアドバイスをお願いします。


青木さん  オフィス移転の目的とコンセプトは最優先で決めた方がいいと思います。物件探しは、その目的とコンセプトを実現できる場所を選ぶ。先に物件が決まってしまうことも多いと思うんですが、なるべく早い段階で、揺るがないコンセプトを定めると、そこからのスピードが格段に上がると思います。


梅田さん  コンセプトがないと、あらゆる決め事の方向性がまとまりません。たくさんの意見や要望がオフィス移転プロジェクトでは出てきますので、優先順位をつけられなくて右往左往することになります。コンセプトが先にあれば、自然と同じ方向に向くことができると思います。







新オフィスはいつも活発な話し声が絶えず、とても活気がありました。今後の超高齢社会において医療分野のサービスはますます重要になります。日本全国で活躍するスタッフを力強くサポートするための万全の体制の本社新オフィスですが、国内だけでなく世界も視野に入れているとのことで、さらなる成長が楽しみです。



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取材協力


CUCグループ

株式会社シーユーシーと連結子会社18社からなるグループ企業です。「医療という希望を創る。」を使命に掲げ、さまざまな医療課題の解決に向けて、国内外の医療機関の支援や訪問看護・在宅ホスピス事業など多角的な事業を展開しています。


株式会社シーユーシー コーポレートサイト[外部リンク]


編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 (※印の画像を除く)
取材日:2023年3月5日

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