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「空間」のシェアリングを日本に根づかせたレジェンド ~スペースマーケット/シェアリングエコノミー協会 重松大輔氏インタビュー

重松 大輔氏(スペースマーケット代表取締役CEO/シェアリングエコノミー協会代表理事)

重松 大輔氏(スペースマーケット代表取締役CEO/シェアリングエコノミー協会代表理事)



モノを持つことから人を解放するサービスは、今や珍しいものではなくなりました。シェアオフィスやカーシェア、さらに洋服や傘、家具など、日常生活の様々なものにシェアリングの波が及んでいます。


シェアリングには、定額制でモノの利用権をレンタルするサブスクリプションサービスと、モノを所有するのではなく共有するという概念を基本としたシェアリングサービスがあります。


中でも拡大著しい「スペース」のシェアは、パーティーや会議、打ち合わせ、イベントなど需要が高まる一方です。検索・予約・決済まで行うスペースシェアのプラットフォーム最大手「スペースマーケット」を運営する株式会社スペースマーケットの代表であり、シェアリングエコノミー協会の代表理事を務める重松大輔氏にお話を伺いました。




■大企業のサラリーマンからベンチャー企業へ転身


――まずご経歴をお伺いします。


学生時代は、テレビ局のアシスタントディレクターや不動産関連会社でアルバイトをしたりしていました。卒業後は、NTT東日本に入社し、主に法人企画営業やプロモーションを担当し、その後2006年にフォトクリエイトに参画し、新規事業などを担当する中で上場を経験しました。その後、2014年にスペースマーケットを創業しました。



――学生時代から起業の夢を持っていたのですか。


当時はまだ学生起業家が一般的ではない時代でしたね。就職氷河期で、採用枠も限られていて、就職することも困難な状況でしたね。起業しようという発想はまったくありませんでした。それでNTT東日本に入ったのですが、大組織の中で仕事をする中で、新しいチャレンジがしたいと思うようになりました。フォトクリエイトは、29歳の頃にNTT東日本の元同期が起業した会社で、声をかけてくれたのがきっかけです。大企業にいると、10年後の社内の立場など将来が見えてしまう。未来は見えない方がワクワクして楽しいんです。失敗するかもしれないし、大成功するかもしれない。失敗するかもしれないからがんばろうという気持ちも生まれます。



――大きな企業では、個人の力はなかなか発揮できないかもしれませんね。


細かな丁寧な資料をたくさん作って、意思決定にも時間がかかる。決められたルールに縛られた大企業より、ルールも定まっていないようなベンチャーの方が自分には合っていました。何もないところから作る方が好きなんです。当時ベンチャーであったフォトクリエイトに転職したら、楽しくて、自分が求めているのはこちらだったと実感しました。



――大企業からベンチャーへ転職したのは大きな決断だったと思います。


どこかで失敗してもまた転職できるだろうとは思っていましたね。それに、スタートアップでは、企業の名前でなくて自分の名前で勝負ができるのも魅力でした。まだできたばかりのほぼ無名のベンチャー企業でしたが、取引先から「その会社は知らないが、お前は面白いから一緒にやろう」と言われたこともあります。30代前半にそんな経験を積めたことはとてもよかったと思います。




■日本にはまだ存在しないビジネスで起業にチャレンジ

重松 大輔氏(スペースマーケット代表取締役CEO/シェアリングエコノミー協会代表理事)



――結局、フォトクリエイトは大成長して上場まで果たしました。


会社がどんどん大きくなる過程も含めて、ひと通りの流れを経験しました。私が入ったころには十数人しかいなかった社員が、辞めるころには100人ほどになっていました。上場する際には、社内規程の整備などさまざまなことを経験しました。



――大企業とベンチャーでは人材育成の手法なども違ったでしょうね。


ベンチャー企業には指示待ちの人間はいません。むしろ勝手に考えて動いていく社員をまとめ、サポートしていくことが仕事のひとつです。ベンチャーにはさまざまな人がいますから、彼らを束ねて結果を出していく楽しさがありました。



――そしていよいよ退職して起業された。


フォトクリエイトでIPOまで達成し、組織も安定して回るようなり、「そろそろ自分でやる」と退社しました。会社は「席は用意しておくから、失敗したらいつでも戻って来い」と、あたたかく送り出してくれましたね。



――起業する分野はどのように選んだのですか。


自分の得意分野が活かせる分野ですね。すでに海外ではある程度成功していて、日本にまだ存在していないビジネスを探しました。そのビジネスに自分がどっぷり使って楽しめるかどうかも考えました。単なる金儲けは続かないということがわかっていましたし、興味ももてない分野では成功は難しい。市場規模が大きく、まだIT化が進んでいない分野ということも条件でした。


シェアリングという動きは、海外のテックメディアで情報収集していました。2013年当時、アメリカでは民泊のAirbnbを真似する会社がいくつもできるほど大きなビジネスになっていました。そんな中、前職時代に結婚式場やホテルの宴会場へ営業に行く機会が多かった頃、バンケットやチャペルなどの施設が平日が空いており、送客について相談されていたことも重なり、 空いている時間や空間のシェアリングはいけるのでは、と思いつきました。日本には会議室の検索サイトがありましたが、空いているスペースや時間帯を貸し出している「スペースシェア」の予約サイトはほとんどありませんでした。「スペース」を借りたいと思っても、インターネットで検索してサイト上で一気に決済までできるサービスサイトはほとんどなかったのです。ちょうどメルカリさんがサービスを開始しはじめた時期ですが、主に海外の会社をお手本に考えました。




■半年間は社名を伏せて活動していた

重松 大輔氏(スペースマーケット代表取締役CEO/シェアリングエコノミー協会代表理事)



――類似サービスに抜かれないかという焦りはありませんでしたか。


じつは起業してから半年ほどは「スペースマーケット」という社名を隠していたんです。社名が事業内容そのままでしたから、何をする会社なのかすぐに分かってしまいます。もちろん営業では社名を名乗っていましたが、ベンチャー起業家の仲間には言わないようにしていました。その半年の期間は大事でしたね。おかげで、追いつかれることなく体制を構築することができました。



――起業家同士でもライバルを意識することがあるのですね。


私は1976年生まれですが、ネット界ではこの「76世代」の有名人が1990~2000年代に多くの事業を立ち上げています。20代でグリーやミクシィを起業された方々もですね。自分はその中では「遅れてきた76世代」です(笑)。周回遅れで、がんばって追いつこうと思っていました。昔から仲の良いメンバーが起業して上場していましたから、自分だってできるという幸せな勘違いがありました(笑)。ライバルでもある仲間がいるということは本当に大切だと思っています。



――立ち上げ時のご苦労は。


苦しかったですね。産みの苦しみというか、日々駆けずり回っていました。どのベンチャーも同じだと思います。周りもみんな頑張っているので、俺もがんばろうと思いました。最初はシェアオフィスでスタートしたのですが、周りには若い起業家がたくさんいて、刺激になり、楽しかったですね。彼らより働こうと、毎日、自分でプレッシャーをかけていました。


ようやくなんとか軌道にのったと感じたのは、サービス開始1年目の忘年会シーズンでした。当初は会議利用を想定していた中で、パーティーやイベントでのスペース利用が増えて、「これはいけるかもしれない」と思いました。



――今や掲載件数は1万2千件。順調に増え続けていますね。


良い意味で期待を裏切って、多くの方がいろいろな使い方をされています。面白いですね、創業者冥利につきます。メインはやはり時間貸しのスペースですが、今は全体の数%ですが、宿泊施設も扱っています。



――その後、シェアスペースは業界までできました。スペースマーケットがトップシェアを維持している理由は何でしょうか。


他のサイトより早く始めたこと、資金調達等も含めて提携などを早い段階から仲間を増やしたこと、それから優秀なエンジニア、デザイナーに恵まれたことです。彼らが本当によくやってくれて、細かい改良を繰り返し、利用者にとって使い勝手の良いサイトになりました。これはとても重要なことです。



――そういった共同創業者はどのように集めましたか。


共同創業者のCTOの鈴木は、ベンチャーキャピタリストの妻(iSGSインベストメントワークス代表パートナー・佐藤真希子氏)が、投資先関係から紹介してくれました。違うエンジニアと組んでいたらこんなに早く上場することはできなかったと思います。



――今後のシェアリングスペースの市場規模をどう見ていますか。


私は、基本的にはあらゆるスペースがシェア可能だと思っているんです。たとえば自社の会議室だって、自分たちが使っていなければ貸せますし、借りたいという方もすぐに見つかります。最近はテレワークやソロワークなど、オフィス外での執務スペースの需要や社外で会議や合宿をおこなうオフサイトミーティングなどでの需要もあります。たとえば学校や保育園のスペースは土日使われていませんよね。飲食店やクラブも平日の午前中は貸し出し可能です。神社のスペースだって借りられます。そういう観点で、中期的には利用スペースを10万件に増やしたいと思っています。



――最近のシェアスペースの傾向は?


これまでも人気だったキッチンを使ったホームパーティー需要のほか、昨年のラグビーワールドカップの時は、スポーツ観戦利用が増加しましたね。また、会議室利用も非常に伸びています。です。最近では、企業のオフサイとミーテイングでの利用や個人が働く場所として利用する方が多くなっています。働き方が変化していることを感じます。



――シェアリングビジネスの裾野はますます広がっているようですが。


株主でもある東京建物様などをはじめ、さまざまな企業との業務提携しています。最近では地方の企業とも提携も増えています。物件を所有されている方だけでなく、内装業者さん、清掃業者さんなど、そのスペースを運用する側にもパートナーを増やしていきたいですね。




■やりたいことはいろいろあるが、今はこの事業を全力でやりきりたい

重松 大輔氏(スペースマーケット代表取締役CEO/シェアリングエコノミー協会代表理事)



――今や、自社だけでなく業界の発展を考える立場になられました。


2016年1月からシェアリングエコノミー協会の代表理事を務めています。現在300社以上が会員で、こちらも増え続けています。いろいろな新しいサービスをする企業が増えていますし、我々のようなシェアリングビジネスのベンチャーと一緒に組みたいという大企業も増えています。


協会としては業界全体を盛り上げていかなければなりません。2019年12月から2020年2月の数か月で、当社スペースマーケットを含めて、ランサーズ、マクアケ、ビザスクという4社の会員企業が上場します。今後も新しい会社がどんどん世の中に出て行きます。大企業がそういったベンチャー企業を買収するかもしれません。どんどん変わっていくでしょう。



――シェアリングビジネスにおいて、海外と日本の違いはどんなところにあるでしょう。


海外ではライドシェアなどが普及しており、シンガポールのGrabやインドネシアのGO-JEKなどはもはや国民的アプリでインフラのようになっていますが、それにくらべると日本はまだまだ遅れており、法規制なども含めて実現は難しいですが、日本らしい方法でできればと思っています。とくに地方での需要は高く、実現する必要があると思います。



――インフラとしての社会貢献という側面もあると思います。


我々はビジネスを通じて遊休施設を活性化していくことで新たな収益を生み出していきます。ホストは収益を得て、ゲストは場所を借りていろいろなことをする。双方の新しい交流や経済活動が生まれ、いろいろな方のチャレンジにつながることにもなります。スペースのプラットフォームを通じて、人々の生活を豊かにし、チャレンジを増やしていきたいです。


特に、地方の空き家問題はこれからさらに深刻化していきます。空き家予防の対策としても取り組みを広げていきたいです。



――ライバルや、尊敬する起業家はいらっしゃいますか。


ライバルというか、リスペクトしているのは貸会議室事業のTKPさんです。会議室シェアの文化を作った企業です。これからはオフィスもシェアされる時代になりますが、その流れはTKPさんが始めたものです。



――日本経済の先行きについてはどう感じていますか。


地方がどんどん疲弊していくことを心配しています。関係人口をどんどん増やしていく必要を感じます。地方に移住するのは簡単ではありませんが、都心と地方の2拠点生活、マルチハビテーションの人口を増やすことはできると思います。僕自身のビジネスもそうですが、地方を元気にしたいと思っています。



――より大きなビジネスへの挑戦も考えていますか?


やりたいことはいろいろありますが、今はこの事業を全力でやりきりたいと思っています。その後は、たとえば食事サービスの分野なども視野に入れています。この分野では人手不足もありますし、昔はなかった中食なども今は普通にあり、飲食店の概念が変わっていく時代だと思います。スタートアップでも新しい企業がたくさん進出してくると思いますので、個人的に興味がありますね。




重松 大輔氏(スペースマーケット代表取締役CEO/シェアリングエコノミー協会代表理事)

重松 大輔氏(スペースマーケット代表取締役CEO/シェアリングエコノミー協会代表理事)









海外のビジネスの動きを敏感にキャッチし、「日本で一番乗り」を目指すスタートアップは珍しくありません。しかし、創業するところまでは容易でも、そのビジネスを軌道に乗せ、上場まで果たすのはそのうちのひと握りです。さらに業界全体を活性化するために協会を立ち上げ、ひとつの業界を作り上げた重松氏のサクセスストーリーは、新事業へのチャレンジャーにとって新たなレジェンドとなりました。シェアリングエコノミーは今後も広がり、今現在では予想もつかないモノやコトがシェアされるようになるかもしれません。







プロフィール


重松 大輔(しげまつ だいすけ)

1976年生まれ 千葉県出身。千葉東高校、早稲田大学法学部卒。

2000年 NTT東日本入社。

2006年、フォトクリエイト入社。2013年、同社東証マザーズ上場を経験。

2014年1月、スペースマーケット創業。

2015年12月、シェアリングエコノミー協会設立。代表理事を務める。


株式会社スペースマーケット[外部リンク]

シェアリングエコノミー協会[外部リンク]




編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局
取材日:2020年2月7日

         

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