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今後、全国のリモートワーカー800万人分のワークプレースが必要になる ~株式会社いいオフィス 代表 龍﨑宏氏インタビュー

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龍﨑宏氏

龍﨑宏氏


コロナ禍の緊急事態宣言により、テレワークが一気に広がった。固定オフィス不要論も出る中、テレワークで利用するシェアオフィスやコワーキングスペース市場が急速に拡大している。コワーキングスペースのフランチャイズ化を進め、1万店を目指す「いいオフィス」の目標は、働き方改革を超え、海外の貧困解消にも及ぶ。代表の龍﨑宏氏にお話を伺った。



■警察官志望だった18才。工学部に進み株式投資に熱中、25才で起業。


――どのような学生時代を過ごされましたか。


芝浦工業大学の工学部情報工学科で、ソフトウェア知能工学、今でいうAIを専攻していましたが、人が相手の方が向いていて、じつはあまり向いてなかったですね(笑)。じつはなりたかったのは警察官で、すでに当時は情報化の時代と言われつつありましたから、サイバー人材採用枠で警察官になろうと思っていたわけです。


大学に入学後から株取引を始めて、経済の方が面白くなりました。当時、デイトレーダーを流行らせたうちの一人でした(笑)。パチンコや競馬などは率が悪すぎる(笑)。やはり株式だと思い、財務などを勉強して株式取引を始めました。


2000年前後で、当時の大人は証券会社の営業マンに電話して売買を依頼していましたが、私はインターネットを駆使していました。値動きを見て予測をたてる「テクニカル分析」です。そこから徐々に、ファンダメンタルズ分析、財務諸表などをチェックするようになり、勉強して決算書なども読めるようになりました。


友人の中には自分でプログラミングした株式売買ソフトを売買していた者もいます。今は値動きに応じて自動で売買するプログラムもありますが、当時はそういうものは見当たりませんでした。時代に先駆けていましたね(笑)。


卒業後は中古車買い取りのガリバーに新卒入社したのですが、入社前にガリバーの株式を大量に買って入社しました(笑)。ちなみに株価は2年後に5倍になりましたが、2005年のライブドアショックで、全財産どころか信用取引やっていたのでマイナスになりました。


この経験があったからこそ実業しかないと気づけたわけで、今では本当に笑い話にできるほどですが、当時は毎日命懸けで仕事しましたね。



――サラリーマン生活はどのような感じですか。


ガリバーでは営業を経験し、本社でフランチャイズ管理システムのチームに入り、FCのノウハウを勉強しました。その後、25歳で独立し、ホテル事業、イベント事業、ビル遊休スペースを利用したサービスなどの事業を行う会社を立ち上げました。


32歳で「いいオフィス」の前身会社となる株式会社LIGを手伝うことになり、副社長を務めました。WEB制作が主軸の企業ですが、デジタルハリウッド大学と組み社会人向けのデザイナーや動画クリエイターを育成するデジタルハリウッドSTUDIOを運営したり、MeRise英会話と組みフィリピンから高度人材を日本に連れてくるという英会話事業もやりました。また、地方創生事業も手がけました。各地方の行政と連携して事業の下地を作って伸ばしていく、という事業です。今もそれらの事業は拡大して続いています。



■コワーキングスペース「いいオフィス」への転身

龍﨑宏氏



――「いいオフィス」は前身の会社があったのですね。


「いいオフィス」は、もともとLIGの中にあったものです。


通常のIT企業では、人件費がほとんどを占めますが、当時のLIGはゲストハウスなども経営しており、不動産の資産が占める割合も高かった。そこで、「IT会社としての適正な評価はできなくなってしまう」と銀行に言われて、ITと不動産経営を分離するために分社化したんです。



――借り入れが大きくなると切り離した方がいいというのは?


IT企業の評価はとても高いのです。不動産業界は、収益物件とかそういう形になってくるので、株価でいうとPERはそんなに高くならないものなのです。


ですが、IT業界ではPER100倍という企業がザラにあります。不動産では20倍くらいがいいところですし、しっかりとIT分野と不動産分野を分けた方がいい、ということです。



――そして「いいオフィス」を設立されたのですね。


6年ほど前から広島、池袋、セブ島、野尻湖などでコワーキングスペースをやっていましたが、実際、バランスシート上、借入金額がどうしても重くなってしまうので、全部直営の出店は向かないと感じていました。そこでフランチャイズ方式を取るしかないだろうと。


でもやるからには日本だけでなく、世界中で使えるようにしたい。LIGはすべて黒字化できていて、業界的にもそれなりの評価を受けていました。しかしいいオフィスで勝負するとなると下手すると全部の利益を食いつぶすだけでなく破綻する恐れもあるわけです。そのような理由から分社化を決意しました。



――海外でも展開とは、スケールが違いますね。フランチャイズ方式は順調ですか。


コワーキングスペースは伸びていますね。元々はオリンピックに向けて、都市部の大企業が都心オフィスに入れなくなり、企業がリモートワークを推奨し、我々のようなコワーキングスペースの需要は高まるだろうよんでいたのですが、コロナ禍でスピードアップしていますね。


1月頃から、こぞって我々のビジネスモデルに共感していただいて、続々とフランチャイズになってくださる方は多いです。


一から作るコワーキングスペースも、既存のコワーキングスペースも、「全国の全部の店舗を使えるのはすごくいいことだから一緒にやりましょう」と言って、うちの「いいオフィス」の暖簾を掲げて参加してくださっています。



■社員はいない、社長一人だけの会社。スタッフ全員と業務委託契約。

龍﨑宏氏



――御社は社員がいないそうですね。


「いいオフィス」本社は私が代表を務めていますが、社員は一人もいません。全員、業務委託の雇用形態です。



――人事管理はどうされているのですか。


一人も社員がいませんから、労務関係の書類も費用も要りませんのですごく楽です。就業規則も不要です。


固定オフィスもないので、事務所の賃料も発生しません。私自身も「いいオフィス」のプレミアム会員になっていますから会員としてあちこちの「いいオフィス」で仕事をしています。週に1回、どこかの「いいオフィス」に集まって会議をする以外は自由です。


自分たち自身で自由に働いていて働き方を実践し、成果を残し、世の中に提案をするという形です。私自身、どこにも固定の机はありません。みんな、どこかの「いいオフィス」で仕事をしています。


弊社のデザイナーは沖縄に住んでいますし、営業も青森にいたりもします(笑)


また給料に相当するのが、業務委託料ですが、この金額は申告制にし、業務委託者内でも公開をしています。この人はこのくらいの金額を申告している、ということが他の業務委託者にわかるのでフェアですね。他人の評価も入り、「あの人にその金額はおかしい、自分の方が」と言ってくるケースもあります。


みんな見られていることで責任をもってやります。すごいですよ、毎月何件やりました、何店舗オープンさせました、とかちゃんと数字で上がってくるので、成果も全部分かります。



――業務委託の打ち合わせが面接の代わり?


そうですね。福利厚生や、PCなどの貸与はなく、ご自分の持ち込みでやっていただきますが、その分、上乗せされて報酬はあがります。大体、社員として雇う場合の1,5倍ほどの計算になります。


もう2年ですが、平均で毎年30%ほど報酬は上がっています。



――なるほど。合理的ですね。皆さん納得して業務受託されているのですね。


最初の雇用形態の説明の段階で、自信がない人は入ってきません。3か月ほどの見直しで、業務委託して成果が出ないのであれば切られてしまうという不安があるからです。となると、成果を出せる自信のある人しか入ってきません。そういう人は頑張りますし、言わなくてもやります。かといって若いこれからの人を業務委託をしないかといったらそうでありません。その子たちには通常の年齢給ほどで契約を結んでいます。1年もたてば倍以上の報酬になっています(笑)。


一般の会社には入社とか退職などがありますが、弊社にはそれがありません。2カ月後に他の仕事をしたくなったら、そちらの仕事の割合を多くすればいいだけですし、稼ぎたければ多く時間を割いて結果を出せばいいだけですから。「離職率」なんて言葉すら必要ないんですよ。



■IT企業が手掛ける不動産事業。究極の「持たざる経営」。

龍﨑宏氏



――軌道に乗りはじめるまでにどのくらいかかりましたか。


未だに軌道にはのっていません。ただし予想通り以上の店舗推移となっています。業務委託メンバーが頑張っているおかげで、2021年3月までに300店舗という目標を400店舗まで上方修正しました。2年で400店舗のFC展開です。


我々がやっているのは不動産事業というより、IT企業がやっている不動産事業でしょうか。ITという基盤を持って展開するとこうなる、という感じです。資産はこのシステムとiPadだけ。究極の「持たざる経営」です。



――地方での働き方についてお聞かせください。


地方のビルオーナーだけでなく、地方自治体と連携し、地方創生事業の一環としても「いいオフィス」を広げています。


コワーキングスペースは地方では今は儲からないですが、絶対に必要ですね。仕事ができる環境を作らないといけない。補助金などを投入し、維持しておけば、都心からも人は流入します。


地方はこの1年くらいで大分変っていくと思います。


コロナ禍で、固定オフィスではなく、どこでも仕事はできると気づいた方はたくさんいます。従来は、丸の内本社の会社に就職しようと思ったら東京に引っ越ししなければなりません。ですが、今後は、自分の住みたい場所に住みながら、所属する企業が変わっていくという世界観になっていくと思います。転職で引っ越しという時代ではなくなっていくと思います。


離島でも東京と同じ仕事ができることになる。


今までの東京からの情報がないから地方ではダメだとか、移住して生活費は下がったけど給料も下がるとか、そういう常識が一切なくなるわけです。それは今皆さんが体験されていますよね。



――どの地方の「いいオフィス」でも同じような働き方ができれば素晴らしいですね。


我々のオフィスに対する考え方は単純です。


満員電車に乗りたくないから自宅近くにコンビニのようにオフィスを作る。旅行先にオフィスがあれば長期滞在もできる。好きな人たちが集まる場所で仕事がする。お気に入りのカフェを好きな人と一緒にめぐるような幸福感を毎日味わえます。いいオフィスは、そういう「あったらいいな」を実践するビジネスなんです。


たとえば、セブ島にも「いいオフィス」を作りましたが、作った理由は「セブ島に行きたかったから」です(笑)。なので仕事をするという体にしなければならない、仕事をするのだったら赤字にしてはいけない、黒字化しなければと思ったていたらどんどん大きくなっていきました。


また箱を作りつづけると銀行に怒られるので(笑)、FC展開に変えた。ただただシンプルにビジネスモデルを作り出しているだけなんですよね。



「いいオフィス」ウェブサイトから。[外部リンク](※)

いいオフィス」ウェブサイトから。[外部リンク](※)



――次はどのように展開するのでしょうか。


会員同士をつなげていくことです。BtoBではなく、BtoCもしくはCtoCのいいオフィス会員同士つなげていきます。たとえば、日本人でもフィリピンのエンジニアを使えるような形にするのです。日本人エンジニアに頼むと、日当単価が2~3万円のところ、フィリピンで3000円。その安価なサービスを使いたくなって「いいオフィス」へ人がどんどん入ってくるようになります。そのためにはまずはいいオフィスを3年で1000店舗作る必要があります。


ですが、1000店舗作ってコワーキングスペース業界のトップになるとか、そういうことにはまったく興味はありません。我々は不動産業というより、サービス業をやっているので、不動産業界でのライバルは意識したことはありません。



――海外展開のほうは。


新興国の人たちの給料を高くしていきたいという希望があります。フィリピン人でもベトナム人でも、同じ仕事をしたら同じ給料をもらうのが当たり前だと私は思っています。


今は日本では3万円の仕事でもフィリピンでは3000円。我々が彼らの給料を上げていくことが貧困をなくすことにつながります。先進国の会員が新興国の会員に仕事を発注していけば3000円が5000円になり、いずれは1万以上の報酬となりますから。新興国にコワーキングを作り、地元の方たちが日本から仕事をもらって納品すると給料が上がる。発注する側も含めて皆がハッピーになり、利益が出しやすくなります。


同じ仕事をして同じ給料をもらうという世界観を作り、そのためのコワーキングスペース、そのための海外展開なんです。


日本のビルオーナーがいいオフィスに加盟する。それだけで多くの人を幸せにできるのが、このビジネスです。



――コロナ禍の影響はありましたか。


海外展開はストップしてしまっています。ですがその分、国内を強くできています。その辺はそんなに心配していません。



―― 「いいオフィス」を使って、今後の働き方はどう変わるべきでしょうか。


組織のいいところと、悪いところ、日本のいいところ、海外のいいところ、いろいろありますが、それらのいいとこどりができれば一番いいと思います。


フリーランスの一番ダメなのは、「順調に進んでいます」と言っていたのに、納期が来ると「やってませんでした」というパターンです。これが相当あり、風評被害になります。フリーランスの方が責任を取らずに逃げてしまうことが、フリーランス業界のレベルや評価を下げてしまうんです。


それに対して大企業がなぜ大きい仕事を取れるかというと、いざとなったら責任を取れるから発注するからです。個人は取れない。そこで、このフリーランスの方は大丈夫です、とシステム化する仕事も我々の仕事になるわけです。


大企業の管理職レベルの実力のある方々がいいオフィスでフリーランスをやると給料が2.5倍くらいになります。実績でチェックすると、大体そのくらいです。最初は勇気がないとか将来不安とかそういうことがあるけど、実際やるとどんどん収入上がっていきます。



――リモートワークは誰もが歓迎しているわけでもないのでは。


向いていない人はいますね。大企業に入れば一生安泰だ、という考えの方は向いていません。リモートワークが向いている人は、勉強でいうと自習ができる人です。会社に行くことは塾に行くようなことで、コワーキングスペースは図書館なんです。みんな違うことをやっているけど、みんなが仕事をしているので、自分も仕事をしましょう、という空間です。



――なるほど。リモートワークに向いている方にとっては、どこに行っても「いいオフィス」があればさらに働きやすくなりますね。


実際、ホワイトカラーは3000万人いるとして、リモートワークができる方は2割ほどでしょうか。それでも市場は600万人、ということは6万店舗必要になりますね(笑)。市場は大きいです。オフィスビルはたくさんありますから、ぜんぶに「いいオフィス」を造り、「どこのオフィスにいってもいいですよ」というのが理想ですね。今後もどんどん進めていきます。



(左) 龍﨑宏氏 「いいオフィス下北沢」の受付にて。

(左) 龍﨑宏氏 「いいオフィス下北沢」の受付にて。





不動産業界には古い慣習が今なお根強く、テック系企業の進出が著しい。古い業界から見れば、IT会社が手がける不動産事業は目からウロコの発想ということになる。日本を超え、海外にまで広がるコワーキングスペースの一大フランチャイズを仕掛け、不動産業界やシェアリングビジネスでの成功にとどまらず、経済格差の解消までを視界におさめる龍崎氏の築いたビジネスモデルは、新しい不動産ビジネスの先鞭となりそうだ。






プロフィール


龍﨑 宏(りゅうざき こう)

株式会社いいオフィス 代表取締役社長

1980年生まれ。芝浦工業大学工学部情報工学科卒。中古車販売業を経て起業。コンサルティング、ホテル事業、イベント事業などを手掛ける。2014年より株式会社LIGに副社長として参画。2018年4月、いいオフィス設立。


株式会社いいオフィス[外部リンク]



編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 (※印の画像を除く)
取材日:2020年7月22日

         

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