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「食オタ」による企業の食育セミナーが人気を博している理由 ~VACAVO 長岡康生氏インタビュー

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長岡康生氏

長岡康生氏


株式会社VACAVOの「食育マルシェ」は、野菜ソムリエなど「食」の有資格者が講師になり、野菜宅配などがセットになった食体験付きの食育セミナー。企業は健康経営や福利厚生の一環としてセミナー開催を同社と契約する。コロナ禍の今はオンラインでの開催だが、セミナー後に宅配で新鮮な野菜を参加者に届ける「おうち便」も好評だという。「食のオタク」たちを通して食体験を広めたいと語る代表取締役の長岡康生氏にお話を伺った。



■商業施設の野菜イベントからスタート。「マルシェ」で新鮮野菜を販売。


――貴社の事業をご紹介ください。


当社は2015年2月に設立しました。当社は食育を絡めて食材を販売する事業を展開しています。野菜の食べ方や保存の仕方を説明し、それから実物の野菜を手元に届ける。手元に届けるだけですと食体験にならないので、知って自分で調理して食べる→感動や喜び→心に残る。これが食体験=食育と考えております。そのような食体験を「食育」と呼んでいます。



――食を事業テーマに選ばれた経緯は。


僕は野菜のことを何にも知らない一般人だったのですが、千葉の農家の畑ですごくおいしい野菜を食べた経験が事業立ち上げのきっかけになりました。スーパーの野菜とは違う、30年、農薬や化学肥料を一切使わず土づくりにこだわって栽培した農家の野菜で、引っこ抜いで土を付いたまま食べたらめちゃくちゃ甘い。この感動を誰かに伝えたいと考えました。


もともと広告の仕事でいろいろなイベントを経験していましたので、まず野菜イベントで知ってもらおうと思いました。そこで手始めに行ったのが、商業施設から請け負った野菜イベント「スポンサーマルシェ」です。施設側の広告宣伝費を活用し、来場者が安い値段で購入できるというものです。



――手応えはいかがでしたか。


行列ができました。値段が安いからということもあったでしょうけれど、何よりも野菜がおいしかったからでしょう。「次はいつやるんですか」と聞かれて、同じ施設で何回もやりました。最初の頃は自分でも販売していました。


野菜の知識のある人にやってもらった方がいいと判断して、依頼して販売を手伝ってもらい、野菜ソムリエや管理栄養士、フードコーディネーターなどの有資格者のみなさんに間に入っていただきました。ただ美味しい野菜を届けるだけではダメなんだと。「食オタ」の存在が大きいということに気が付いたのです。


その方々の活躍の場を増やせば結果として食育がいきわたると思っています。


そういった「食オタ」が活躍できる現場をたくさん作って、食育を世の中に広めていきたいと思いました。


2年目の2016年頃からは安定して月に100本くらいのイベントを開きました。



Vacaboに所属するさまざまな「食オタ」の皆さん(※)

VACAVOに所属するさまざまな「食オタ」の皆さん(※)



■食育セミナーが企業で盛り上がる理由

長岡康生氏



――健康経営や福利厚生の一環として「食育マルシェ」を利用する企業が増えているそうですね。反応はいかがですか。


めっちゃいいです(笑)。コロナ前はオフィスに訪問してセミナーを行っていました。業種はメーカー系やIT系企業なども多いですね。若い方から年配の方まで、男女問わず幅広い方に参加者していただいています。



――セミナーに参加すると、野菜が届くという仕組みですか。


セミナーでは野菜の食べ方、保存の仕方などを説明し、終了後、新鮮な野菜を持ち帰ってもらいます。中には珍しい野菜もあり、そこが価値になっています。


クイズ形式のセミナーもあり、約15分で知らなかった野菜の知識を得られます。


食体験を届けるということを大切にしているので、セミナーで聞いていただくだけでなく、届けた野菜を食べていただくところまでを1セットとしています。



――セミナーのテーマは毎回違うのですね。


毎月、季節の旬の野菜をテーマにします。例えば2月なら「温活」をテーマにして生姜クイズを出す、という趣向です。コロナ禍の影響か、最近のトレンドは「免疫力」です(笑)。



SMN株式会社様での「食育マルシェ」の様子(※)

SMN株式会社様での「食育マルシェ」の様子(※)



SMN株式会社様での「食育マルシェ」の様子(※)



――かなり盛り上がっている様子ですね。


かなり人気の施策でしたよ。仕事の合間のリフレッシュになりますし、野菜の話題で雑談も盛り上がるようです。


女性は参加率も高く最前列にも座ってくださいますし、意外にはしゃぐのは男性の方(笑)。最初は女性が多いのですが、徐々に男性も増えてくるんです。義務感ではなく、純粋に楽しそうと思ってきてくださいますね。



――企業の福利厚生に組み入れるというアイデアはどこから生まれたのですか。


広告宣伝以外の領域でこうした施策を活かせるのはどこかと考え、企業の福利厚生だと思いつきました。商業施設での野菜イベントが顧客満足度を上げることを目指しているとしたら、福利厚生は従業員満足度を上げることを目指しているわけですから。


さらに、福利厚生なら、1度だけではなく、その後も継続していただける。



――コロナ禍で、訪問セミナーはできなくなってしまいましたね。


今はウェビナー(オンラインセミナー)という形です。大企業だと全国の社員を平等に扱う意識があるのですが、コロナ前までは東京中心にセミナーを行っていたので、「なぜ東京ばかり」とクレームになったこともあったんです。そのくらい反応がいいということで(笑)。大阪や福岡などの地方都市であっても、農家さんとは遠い方が多く、新鮮な野菜の味を知らない人も多いんですね。



――オンラインならではの工夫もあるそうですね。


ウェビナーのツールには投票機能があるので、それを活用します。対面セミナーでは、手を上げない引っ込み事案の方も、オンラインでは参加しやすくなります。お子さんも一緒に参加してくれる方もいますね。



――野菜はどのように手渡すのでしょう。


訪問イベントではオフィスに野菜を届けて、セミナー後にそれを持って帰っていたのですが、コロナになってからは個人宅に届けられる宅配の「おうち便」に切り替えました。



セミナーでテーマにした野菜を参加した従業員の自宅に届ける「おうち便」(※)

セミナーでテーマにした野菜を参加した従業員の自宅に届ける「おうち便」(※)



――オンラインでも、対面セミナーのような盛り上がりを再現できますか?


コロナ禍で在宅勤務が増え、コミュニケーションが希薄化しているといわれます。それを解消するためにZoom飲み会なども行われるようになりましたが、そもそも飲み会が苦手な方も多い。何の話をしたらいいか、話題にも困る。「食育マルシェ」は誰でも参加できて一緒にワイワイできるフラットな交流の場ですから、そこが受けているんだと思います。野菜は共通の話題になるから、話しやすいんです。



――福利厚生との相性がとても良かったわけですね。


通算で今まで数十社に入れていただいていますが、今後は1000社を目指します。オンライン化することによって効率は良くなっていますし。



■パワフルに活動する「食オタ」のスキルをシェアしていきたい

長岡康生氏



――今後の展開は。


野菜だけでなく、例えば宮城県の牡蠣など肉や魚に広げていくことを考えています。夏はウニとか。


食ということでいえば、バランスよく食べることが必要ですし、食育として、魚や貝類をさばく知識を得ることも重要です。自分も牡蠣がどんな構造なのか知りませんでしたが、実際にやってみて、隙間のここをこうすると開けることがわかりました。一生に一度はやってみるべきです(笑)。


生産者側が処理してくれるから僕らは楽に食べることができるわけですが、そこまで含めた食体験を多くの人にしてほしいですね。


野菜よりも肉、魚が好きな人は多いので、利用層はもっと増えると予想しています。そうしていろいろな方に「食育マルシェ」を知ってもらいたいですね。


今年で4年目なのですが、岡山県の首都圏PR事業を請け負っています。岡山のファンを「食オタ」で作り、試食PRなどをしてもらったり、そこから広げていく活動をしています。そういう地方のおいしいものを首都圏でPRするなどの地方自治体との展開も増やしていきたいです。


そうした活動によって、もっと「食オタ」を増やしていきたい。


スキルシェアと呼んでいるのですが、フード系資格者のコミュニティを大きくして、「食オタ」が活躍できる機会を増やしたいんです。「食育マルシェ」が増えれば、食育講師が活躍する場が増えます。


フード系資格者は、お子さんが大きくなって時間がある40~50代の女性が多く、スキマ時間を使って社会に貢献したいと希望している人が多いですから。



――そうした「食オタ」の方は何人くらいいるのですか。


今現在、400名ほど登録頂いていて、常時100名が個人でパワフルに活動していらっしゃいますね。そのパワーをまとめられたら、と思っています。



――コロナ禍によって、食をめぐるニーズにも変化が見られます。


アパレルも試着できないからネットショッピングは普及しないと言われましたが、今では普通に誰もがネットで買っています。次は食べ物です。


食品も目で品定めをして買うのが普通だからネットには向かないと言われましたが、コロナによって一気にハードルが下がりました。アパレルと同じように普通にインターネットで買う時代が来ると思います。


テイクアウトも普通になりましたし、コロナ前までは全体の2.9%だった食品のeコマースも、数年内には5%超えるでしょう。全体で70兆円の5%ですから、すごい数字です。



――食育の理想をどう考えていますか。


多くの人に、感動的な食体験をしてほしいです。そうすれば毎日が楽しくなる。


食材は良い教材です。食を通すと、食べようとしますから知恵が出ます(笑)。


食育とは、食材を通して想像力を育むことだと思うんです。例えば、スーパーで売っている輪切りのパイナップルしか見たことない方が、丸ごとのパイナップルを見たら、どこをどうやって切るのか、どうやって食べるのか想像するでしょう。


そういう体験を皆さんにしていただきたい。食オタが食べ方を伝えますので、どうにかしてご自分で食べてください(笑)。



長岡康生氏







「食育」というと子ども向けと思いがちだが、大人にとっても、「料理」で感動することはあっても、「食材」で感動する体験はあまりない。企業に健康経営が広まれば、我々の日常に不可欠な「食」が豊かになり、ひいては日々の生活にも潤いが生まれる。一次産業である「食」の生産者と消費者を直接「おいしさ」でつなぐビジネスの今後の拡大に期待したい。






プロフィール


長岡 康生(ながおか やすお)

株式会社ヴァカボ 代表取締役

健康経営アドバイザー

1973年 京都府綾部市出身

1996年 慶応義塾大学商学部卒業、ジョイパックレジャー株式会社入社

2006年 株式会社サイバーネット入社

2015年 株式会社VACAVO創業


株式会社VACAVO[外部リンク]





編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局(※の画像を除く)
取材日:2021年3月1日

         

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