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経営者に聞く!

「出社すれば評価される時代」が終わり、コロナ後の新しい人事評価が始まる 〜ヒューマンテック 代表 濱田秀彦氏インタビュー

濱田秀彦氏

濱田秀彦氏


2020年春のコロナショック以来、ビジネスパーソンの働き方が大きく変化しました。リモートワークを導入する企業が増え、出社する日数が減った人も多いことでしょう。働き方が変われば、評価の方法や基準も変わります。コロナ後の評価の新基準はどのようなものになるのでしょうか? 『「ニューノーマル」最強仕事術』の著者、濱田秀彦氏にお伺いしました。



■コロナ下のリモートワーク導入で成果主義、社員の個人事業主化が進む


――濱田さんの活動内容を教えてください。


メインの仕事は研修やセミナーの講師です。マネジメントやコミュニケーションをテーマにしているので、メーカー、金融、医療、学校と幅広い業界で働くビジネスパーソンを対象としています。



――累計受講者は4万人以上だそうですね。


コロナ前は東京、大阪、名古屋など大都市圏を中心に年間150日以上の講演を行っていました。しかし、日本全体がコロナ渦に巻き込まれた2020年2月頃から「キャンセル」「延期」が相次ぎ、収束の目途が立たずに途方に暮れていたところ、「テレワーク下の仕事術」というテーマで取材や寄稿の依頼が来るようになったのです。



――テレワークは経験済みだったのですね。


はい、私は97年に独立したのですが、実はその前に在宅勤務を経験しています。


勤めていた会社で新規事業の募集があり、システム関連の事業を社長にプレゼンテーションして採用されました。2年ほどその事業を手がけ、まあまあ成功していたのですが、打切りを告げられたので、契約社員としてこのビジネスを続けたいと訴えたところOKが出たのです。それで、半独立契約社員として出社せずに在宅で仕事をしました。



――いわゆる業務委託という形態でしょうか?


固定報酬プラス成功報酬という契約で、2年ほどその仕事を続けました。当時はSOHO (Small-Office Home-Office)という呼び方が一般的でしたね。その後、システム開発の仕事を広げたのですが、同じように在宅勤務をしているフリーランスのデザイナーとシステムプログラマーと組んで仕事をしました。



――すでに20年前にリモートワークを経験されていた。


今、リモートワークが初体験で大変だとおっしゃる方が多い中、私にとっては懐かしさを感じるものだなと(笑)。また当時契約社員として在宅勤務をする過程で、会社とも数回の交渉をして、今後リモートワークが進み、社員の個人事業主化が進んでいくと、会社側がどういうことを求めるかも実体験として分かっています。



――ご著書にも「社員の個人事業主化」という表現が出てきますね。


今までは会社に行けば仕事が与えられ、また社員同士は家族みたいな存在で、一緒にいる時間が長かった。ところがコロナでリモートワークが導入され、出社しない状態が続くと、個々の社員が何をしているのか見えず、仕事のプロセスが分からなくなるので、会社としてはアウトプットで評価せざるを得なくなります。しかも企業は業績が厳しくなっているので固定費を減らしたい。そうなると成果中心の評価になって、やがては成果の上がった分だけ報酬を払う方向に向かうと予想されます。



――いわゆる成果主義がコロナでますます進むと。


社員の側も意識改革が必要になります。会社はひとつのマーケットで、そこに仕事を取りに行き、新しい仕事を作っていく場所と考えた方がいいですね。会社からすれば、社員はミニカンパニーのような存在になります。そうなると、例えば今までは社員の労働時間の管理をするのは会社の役目でしたが、リモートワークが進めば社員自身がそれもやらなければいけない。成果を上げるための時間の使い方を自分で考えて実践することを求められます。



■ニューノーマルに向けて「目標管理」、「報連相」、「時間管理」、「チームワーク」を見直す

濱田秀彦氏



――コロナ後に評価の基準が大きく変わる。特に「目標管理」、「報連相」、「時間管理」、「チームワーク」の4つをアップデートするべきだとご著書で説かれています。


リモートワークが進むとプロセス評価が難しくなるため、成果中心の評価になりますが、その軸になるのが「目標管理」です。単純に言えば、目標を設定して、達成するように頑張り、達成度で評価されるという仕組みですが、まず目標自体の設定が変わります。



――具体的にどのように変わるのですか?


今までは目標が抽象的でも許されていた部分がありました。例えば「業務改善をします」でもOKだったわけです。それが、今後はどのような業務改善をして、どれだけの利益貢献になるのか、どのくらいのコストダウンにつながるかを具体的に設定しないと評価されなくなります。


今までの評価はふわっとしていて、オフィスで部下の働きぶりを上司が見て、「頑張っているな」「コミュニケーションをよく取っているな」とプロセスを評価し、なんとなく査定していたのですね。


でも、これからはプロ野球選手の勝敗数のように、具体的でハードな目標設定をするようになるでしょう。



――目標設定を数値化しにくい業務もありますが。


まさに、セミナーでこういう話をすると、間接部門の方が「自分たちの仕事は成果が数値で出しにくい」とおっしゃいます。ただ会社は、これからそういう業務自体をアウトソーシングするようになります。本社機能を小さくし、間接部門をスリム化する傾向にありますから。ビジネスパーソンはどのような職種でも常に自分の仕事を数値化、金額換算することを心がけるべきです。



――厳しい時代になりますね。これまでの「報連相」などはどう変わるのでしょうか?


管理職向けのセミナーでよく相談されるのですが、リモートワークになって部下の動きを把握しにくいので、もっと自主的に報連相をしてほしいが、それを催促するのは部下を信用していないように思われるので難しい、と。



――確かに同じオフィスで働いているときより頻繁に「報連相」をする必要があります。部下にとっては、コロナ前以上に時間のかかる面倒な作業かもしれません。


ただ、逆にコロナ後は業務の中で「報連相」の位置づけが高くなっているので、これをきちんとやれば評価が上がります。自分が個人事業主だと捉えれば、上司は社内クライアント、つまり報告はクライアントへのサービスというふうに考え方を切り替えるといいでしょう。



――リモートワークになって、「時間管理」に苦労しているビジネスパーソンも多いと聞きます。


「時間管理」に関しては、個人に任される比率が高くなっています。極端な言い方をすれば「働き放題、遊び放題」という状況です。最低限のルーティーンの仕事しかしない人もいれば、際限なく夜中まで働く人もいる。自己管理できるかどうかの差が一番はっきりする課題かもしれません。



――オフィスと違って、労働時間にメリハリを持たせるのが難しくなりますね。


受講者の方の中には、「自分は人に見張ってもらっていないと仕事ができない」と正直におっしゃる方もいました。ただ、これも自分を個人事業主だと考えれば、仕事をしないと生きていけないわけですから。この機会に「時間管理」に関する本を読んだり、セミナーに参加したりして学ぶのがいいでしょう。



――最後に、そのような中での「チームワーク」をどう考えますか。


これからはチームというものが、固定的なものからプロジェクトベースで変化するものになっていくでしょう。


例えば、今までは東京支社と関西支社の社員がチームを組むことはあまり考えられませんでした。それが、プロジェクト形式の仕事を進めるSlackやTeamsといったコミュニケーションツールを使うようになり、同じ場所にいなくても仕事ができることに多くのビジネスパーソンが気づいたわけです。


今後は、仕事をしている場所に関わりなくプロジェクトベースで人材が集まり、終われば解散する。適材適所で複数のプロジェクトを掛け持ちしたり、多くのチームリーダーから呼ばれたりする「人気者」も出てくるでしょう。



――逆に、プロジェクトに呼ばれない社員も出てくる可能性がありますね


その通りです。生き残るためには「チームに呼ばれる人」になるか、「チームを動かすリーダー」になるかのどちらかです。目標管理で成果主義が進むと、プロジェクトに参加しないと給与が下がる可能性もあります。社内営業をして、チームリーダーに自分をアピールし、いいプロジェクトに入って良い働きをすることがマストになるかもしれません。



■コロナ禍が自分を見つめ直す機会になる

濱田秀彦氏



――まさに個人事業主ですね。コロナ後に求められる人材像は、ズバリどのようなものでしょうか。


やはり、主体的に動ける人でしょうね。仕事を自分で作ることができる人が評価されるようになり、与えられる仕事をこなすだけの人の評価は下がります。


それから面白いのが、リモートワークが進むことによって、対面コミュニケーションが得意な人の評価が下がってきていることです。



――どういうことでしょうか。活躍の場が減るということ?


対面コミュニケーションでは、声が大きくて元気なタイプが、「あいつは返事がはっきりしていて気持ちがいい」と上司に好感を持たれた。会議で他の人の発言に割り込んで意見を言うようなパワフルなタイプの評価が高かったのです。


ところが、リモートワークが進む中で、そのようなパフォーマンスよりアウトプットが重視されるようになってきました。


WEB会議は、誰かが発言していると遮るのが難しいという側面があります。これまでは人前で話すのが苦手で、声が小さく、実際の会議ではいつも人から割り込まれていたタイプの人が、最後まで意見を述べると、「彼は今までは印象が薄かったけれど、本当はしっかりした考えを持っていたことがわかった」などと評価されるようになる。最近、こういう事例をよく耳にしますね。



――なるほど、それは面白いですね。


後輩指導についても、対面コミュニケーションが得意なタイプは「元気?」「大丈夫?」なんてオフィスで声をかけていれば上司の受けがよかった。ところが、そんなパフォーマンス系社員の横で、黙々とパソコンに向かっていた無口なタイプが、ビジネスチャットで後輩に的確なアドバイスをして目立つようになる。文章表現力が高い人の評価も上がりますね。



――求められるスキルも変わってきているのですね。


チームリーダーも、パワーがあって、力強くメンバーを引っ張っていくタイプの評価が低くなります。そもそも社員のチームへの帰属意識が低くなっているので、パワーをかけても動かない。逆に、参画を促すファシリテーション型のリーダーが求められるようになります。


営業マンも、オンライン商談が中心になれば、全国を飛び回る「体力」は要求されなくなります。それより離れて働く相手に「思いやり」ができる人間性が求められますね。



重要スキルが変化している(『「ニューノーマル」最強仕事術』掲載のものから作図 ※)

重要スキルが変化している(『「ニューノーマル」最強仕事術』掲載のものから作図 ※)



――コロナ後にチャンスが巡ってくる人と、これまでの働き方を大きく変えなければいけない人に分かれていくのですね。


これからは地味でもアウトプットを着実に出すことができ、大きな声を出せなくてもロジカルに説明できる人の評価が上がっていきます。


一方、今まで対面折衝で力を発揮できたタイプは、自分の強みが活かせる職務に移ることを考えた方がいいかもしれません。例えば販売の仕事なら対面コミュニケーション力のある人が有利です。



――そういう意味では、自分の強みに気づく良い機会と言えるのかも。


その通りです。ニューノーマルの時代を迎えて、自分の強みは何なのか、どういう仕事が向いているのか、と自分を見つめ直す良い機会です。まず自己分析をして、同時に会社や職場で求められていることは何なのかということも俯瞰しないといけない。そして、「この仕事なら自分は他人より成果を上げられます」と自分の「使い途」を会社や上司に提案して、相手を納得させる。それがこれからのビジネスパーソンに必要なアクションでしょうね。



濱田秀彦氏


「今は自分を見つめ直す良い機会」という濱田氏の言葉は、コロナ下で大きく変化する環境に戸惑いや不安を感じているビジネスパーソンにとって、力強い励ましになると感じられます。今一度、自分自身とビジネス環境を分析し、ニューノーマル時代を生き抜いていく仕事術を身につけていくときかもしれません。






プロフィール


濱田秀彦(はまだ ひでひこ)

株式会社ヒューマンテック代表取締役。

1960年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業。住宅リフォーム会社に就職し、最年少支店長を経て大手人材開発会社に転職。トップ営業マンとして活躍する一方で社員教育のノウハウを習得する。1997年に独立。現在はマネジメント、コミュニケーション研修講師として、階層別教育、プレゼンテーション、話し方などの分野で年間150回以上の講演を行っている。これまで指導してきたビジネスパーソンは4万人を超える。


著書

SBクリエイティブ「上司のタテマエと本音」[外部リンク]

実務教育出版「あなたが上司から求められているシンプルな50のこと」[外部リンク]

ディスカヴァー・トゥエンティワン「社会人1年目からの仕事の基本」[外部リンク]

講談社「「ニューノーマル」最強仕事術」[外部リンク]





編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局(※の画像を除く)
取材日:2021年2月10日

         

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