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経営者に聞く!

働き方のダイバーシティに欠かせない情報共有ツール「日報」 ~Next Action 松田充弘氏インタビュー

松田充弘氏(Next Action 代表取締役)

松田充弘氏(Next Action 代表取締役)


1990年代、9時~17時のフルタイムが当たり前だった日本のオフィスワーク。その後、働き方改革の後押し、少子高齢化、人手不足、さらにコロナ禍によるリモートワークの定着など、様々な要因によって様相は大きく変わった。2021年の現在では多様なスタイルで働くことが可能だ。2002年、育児中の主婦層を中心にセカンドリソース特化型人材サービス業を始め、「ダイバーシティ型ビジネスモデル」を提唱するNext Actionの代表取締役・松田充弘氏に、現在のワークスタイルをどう捉えているのかを伺った。



■流通業では当たり前のワークシェアリングが、オフィスにはなかった


――Next Actionを創業されたプロセスを伺います。


流通業界の大手イオンに就職し、郊外の大型店舗で3年半ほど勤務した後、人材派遣会社テンプスタッフが立ち上げたワークシェアリングの人材サービスに特化した子会社「グッドジョブ」に転職しました。1997年頃でしたが、当時のワークシェアリングは仕事をシェアする「ジョブシェアリング」と、一つの仕事を午前・午後などの時間を分けて行う「タイムシェアリング」の二つがありました。


実は前職の流通サービス業界ではすでにワークシェアリングが当たり前でした。入社後半年ほどでマネージャーとなり、約70名のメンバーをどのように配置して最適なパフォーマンスを発揮してもらうかということが仕事で、繁忙期に合わせて人員配置し、人が変わっても同じサービスを提供できるようにマニュアル化し、生産性を上げていくのが普通だったんです。ところが、オフィスワークの世界に入ってみると、業務量に合わせた人員配置や仕事のシェアがほとんどされていないことに驚きました。



――流通業とオフィスワークでは、労働力のマネジメントが違っていた。


今でこそ男性も育児参加しますが、小さな子どもがいる主婦の方は、基本的に保育園に預けてから迎えに行くまでの10~16時の勤務で、平日も週5日ではなく週3日や4日だけ働きたいといったニーズがあります。かつ立ち仕事ではなくデスクワークをしたい方も多いです。しかし、当時のオフィスにはそのような働き方はありませんでした。ニーズがあるのに企業側が仕事を用意しない。なぜならフルタイムで仕事をするのが当たり前だったからです。


コストダウンを図らなくても企業が伸びていた時代です。女性就労人口の年代別のグラフは、育児中の20代後半~30代の労働人口が少ない「M字型」でした。


オフィスワークにサービス業のやり方を導入すれば企業の生産性も上がり、お子さんがまだ小さい女性のニーズもかなえられると思ったのですが、企業側からはフルタイムの方が来てくれるから要らないと言うんです。5、6時間の仕事に8時間で来てほしい、「仕事はゆっくりやってくれていい」と。



――ある意味、企業側に余裕のあった時代ですね。それでどうされましたか。


テンプスタッフの子会社という看板がない方がやりやすいと思って、2002年、パートタイムの主婦専門の「ビースタイル」という人材派遣会社を当時の上司と立ち上げましたが、パートタイム派遣の仕事を頂くのはすごく難しかったですね。基本的にフルタイムという企業ばかりでした。8時間の仕事をワークシェアして人員配置し、リスク分散するとか人的費用を削減するという発想がない。今思えばノウハウもなかったのでしょう。


人材派遣は、現場の要望、現場のイニシアチブで発注されます。社内でのコスト的な要望が強くなかったのでしょう。現場の担当者に「ワークシェアリング」という発想がないのはどこの業界も同じでした。



■コールセンター市場の急拡大で注目

松田充弘氏(Next Action 代表取締役)



――潮目が変わったのは。


コールセンター業務が出はじめた2005年頃でしょうか。コールセンター市場が急拡大し、通信業界やネット回線関係の電話業務をセンター集中してコストダウンする傾向が出てきました。コールセンターの短時間勤務には、主婦以外に学生や留学生、シニアの方々、複数の仕事をするポートフォリオワーカーなど様々な層がどんどん入りました。


それまでの派遣会社はフルタイムの仕事のみを扱っていたのに対し、我々はパートタイム専門だったので、うまくいきました。今ではパートタイム人材を活用した人材サービス企業は数えきれないほど増えています。



――パートタイムの需要はその後も拡大していった?


2014年頃、M字カーブが台形になった頃、アベノミクスで景気も良くなり、一つの役目が終わったかなと感じました。


景気が良くなると需給バランスが逆転して、企業側より人が有利になります。少子高齢化で労働力人口が下がって働き手が足りなくなる。もっとパートタイムの方に活躍していただく必要が出てくる。ひとつの仕事だけでなく複数の仕事をしていただく方も必要になる。パートタイム採用が当たり前になると思いました。


ビースタイルのような専門のエージェントというより、どんな企業でも社内にそのノウハウを必要とする、ビジネスモデルを転換する企業がどんどん増えると思いました。そこでその専門の会社としてNext Actionを設立しました。



――セカンドリソースの人材をどう生かすかというビジネスモデルの構築そのものを業務としたわけですね。


流通業界にいた経験から、季節が変わればお客様の要望が変わり、商品がどんどん変わるという間隔を持っていました。だから「世の中がガラッと変わったときは既存の仕組みが通用しなくなる」ということを理解していたんです。



■ダイバーシティが日本で当たり前になる日

松田充弘氏(Next Action 代表取締役)



――「働き方のダイバーシティ」とはどういうことでしょうか。


コロナ禍の影響で、働く場所はどこでもよくなりました。例えば営業活動ひとつとっても、ZOOMを使えばどこの相手とでも話せる。北海道の顧客と商談した後に沖縄の顧客と商談できるわけです。社内のメンバーも常に別の場所にいます。それでも事業は成り立ちます。また当社も含めて副業解禁も広がっています。一人の人間が複数の仕事をすることが容易になりました。


仕事の仕方が急激に進化したことにより、ダイバーシティも促進し、ダイバーシティで運営していくのがより当たり前になったと思います。



――管理部門へのリモートワーク導入はなかなか進みませんね。


特に総務などの紙の書類、捺印が一番のリモートできない原因ですね。契約書や郵便物、ファイリングのために出社しなければなりません。上の年代の方は、今の20代、30代が当たり前のように使えるデジタル機器を使えない方も多く、今までのやり方にこだわります。しかし現実には、リモート化できない会社からは優秀な人材が離れたり選ばれなかったりするようになっています。優秀な人であるほど、仕事や会社を選びますから、これからはリモート、副業ができる会社が選ばれ、リモートに対応できない管理職のいる会社は社員をリテンションすることができなくなるでしょう。自由度の高い仕事の方がやりがいをもちやすく、出社しなければいけないとか副業できないなど制限の多い企業は選ばれなくなります。



――経営層の意識は変わりましたか。


パートタイム人材を積極的に使った方がいいという理解が進みました。多様な人材というのは、ほとんどがパートタイム人材なんですよね。育児中の主婦、シニア、全部パートタイム的に働きたい方々です。ダイバーシティ経営を実現するためには、パートタイム人材をいかに活用するか、そのノウハウが必要なのです。



――どのようなノウハウでしょうか。


ポイントは情報共有です。フルタイムであれば、出・退勤の時間は全員同じで、朝礼などで情報共有もできます。パートタイムが増えると出社時間がバラバラになったり、毎日来なかったりするので、会わない人もいるということになりますから。


僕はもう1社、日報を共有するサービスを提供するgamba(ガンバ)という会社も経営しているのですが、日報を活用することで情報共有ができるようになります。



――昔からある、あの「日報」ですか?


従来の日報は、上司と部下のクローズドな関係の中でやりとりされるものでしたが、それを社内SNSでシェアするという仕組みにしたんです。社内でシェアして、それをベースに情報共有するのが当たり前になってきています。



■企業の情報共有の課題を解決する日報アプリ

松田充弘氏(Next Action 代表取締役)



――日報をどのようにして共有するのですか。


組織全体の生産性を高めるには、無駄を省く必要があります。例えば、いろいろな部署で長時間残業して同じような提案書を作るのは非常に無駄です。同じ趣旨のものなら、要件だけ変えて使い回せばいいわけですよね。


社内に社内専用のGoogleがあれば、皆がそこに情報を上げればいい。それを日報でやればいいのです。毎日書くものですし、1000人の社員がいれば1000人分の日報があがってますから、社内Googleで知りたい情報を検索するだけでできます。そのシステムがgamba!です。



――効果が出るのにどのくらいかかりますか。


習慣化して3カ月目くらいから変わってくるのではないでしょうか。日報はテンプレートがすごく大事なんです。何を書いてもらうか、文章で書いてもらうか、チェックボックスだけにするか、など。ルーティーンの内容はチェックだけにして、文章を書く部分は自分の考えや気づきをしっかり上げられるようなテンプレートを整備すれば、読み手も読みやすく、継続もしやすいです。



日報アプリ「gamba!」(サービスサイトより ※)

日報アプリ「gamba!」(サービスサイトより ※)



――導入実績はいかがですか。


コロナ禍で利用企業が増え、すでに15,400社に導入いただき、前年比130%で伸びています。今まで日報とは無縁だったけれどもリモート化に合わせて初めて使うようになったという企業が多いですね。



――導入に失敗する会社もありますか。


テンプレートがうまく作れない会社ですね。日報は、それを読んでレスポンスする上司の方が大事なんです。いわば親子で交換日記しているようなものですよね。子どもが書いても親が読んでないとか、後で読むとかうことが何日も続いたら、子どもは書かなくなります。お父さんが忙しいときはお母さんが日報を読む会社もあれば、「一行だけでも書いて」という会社もあれば、詳しく書かせる企業もあります。家庭と同じように会社もいろいろです。


グローバルに使っていただいている、ある大手企業では、米国の支店で書かれた日報を東京で読んで、ヨーロッパの社員に「読んでみて!」と回したりしています。ある国では法律が変わって規制に引っかかるが他国では大丈夫かとか、この部分をチェックすればOKとか、そういったマニュアルも作りやすくなります。当事国の社員が気づいて日報にあげると、日本の本社管理部門がすぐ気づいて全世界で共有したり。時間と場所、空間を超えた横の情報共有ができるんですね。


横だけでなく、縦の共有もあります。社長が中間管理職にメンバーの状況を確認するときなどに、情報が削除されたり歪曲されたりといったバイアスがかかることがあります。しかし、gamba!ではピラミッド全員で情報共有するので、会社のトップがメンバーの想いや今日あったことを直接確認できるんです。



■会社も社会も変わる

松田充弘氏(Next Action 代表取締役)



――会社の在り方が変わりますね。


バーチャルで組織を作っていくこともできるようになります。現に当社でも、一度もリアルで顔を合わせたことのない社員同士がいます。慣れてくるとリアルで会いたいと思わないようですね(笑)。そのために移動するのは非生産的という認識になるのでしょう。20代、30代の若い社員ほど、リアルとバーチャルの差を感じないようです。昨年の忘年会もバーチャルランチ忘年会でしたが、全員出席でした。クイズなど忘年会ならではの出し物も全部バーチャルでやりました。全員の記念撮影もできました。



――時代が変わりましたね。この先、中高年世代は若い世代をまとめられるでしょうか。


私はグロービスでリーダーシップのクラスの講師をしていますが、ニーズが高いのが50代の学び直しです。いかに相手に合わせてリーダーシップを取っていくか。そのためには今の状況をインプットし直す必要があります。「俺の背中を見ろ」では難しいですね。50代は生涯働きたいという人と、早くリタイアしたいという人に分かれますが、後者は順応することを諦めている層ですね。ずっと働きたいという人は、若い人から学ぼうというスタンスをもっています。



松田充弘氏(Next Action 代表取締役)







【取材後記】

日報の使い方ひとつで、会社がガラッと変わる。デジタル時代、適切なシステムを導入すれば、会社はたった数日で大きく進化することも可能だ。働き方は今後も変わり続け、様々なワークスタイルが許容される時代がやってくる。日報の次には何が変わるだろうか。楽しみだ。






プロフィール


松田 充弘氏(まつだ みつひろ)

2002年、日本初のセカンドリソース特化型人材サービス業の株式会社ビースタイルを創業。

2014年、株式会社Next Action設立。代表取締役を務める。

グロービス・パートナー・ファカルティ(客員准教授)


Next Action[外部リンク]

Gamba![外部リンク]




編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 (※印の画像を除く)
取材日:2021年7月8日

                   

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