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日本の会議、このままでいいのか? 日本を変えるパーソルプロセス&テクノロジーの会議革命

橋口真氏(パーソルプロセス&テクノロジープロダクト統括部 統括部長)

橋口真氏(パーソルプロセス&テクノロジープロダクト統括部 統括部長)


「長いだけで何も結論が出なかった」――。日本のビジネスパーソンなら、そんな嘆きをもらした経験は一度や二度ではないはず。日本の労働生産性の低さは経済協力開発機構(OECD)の調査でも明らかだが、会議で奪われる時間は長く、長時間労働につながっているという声もある。


パーソルプロセス&テクノロジー株式会社の関連会社「パーソル総合研究所」によれば、1万人規模の企業での「ムダな会議」による企業の損失は年間15億円に及ぶとされる。パーソルプロセス&テクノロジープロダクト統括部の橋口真統括部長に「会議が変わると会社も変わる」という持論について伺った。



■なぜ「無駄な会議」が存在するのか


――日本の会議の問題点はどこにあるのでしょう?


日本の会議は独特で、昔ながらの忖度や遠慮しがちな文化に起因しているのですが、一番の問題は「結論が決まらない」ことです。本来は会議で明確に答えを出さなくてはならないのに、その点がおざなりになっている。これを改革するには、会議の「終わり方」をしっかりと分析し、「決める会議」にすることが必要です。


佐藤将之氏の『Amazonのすごい会議―ジェフ・ベゾスが生んだマネジメントの技法』(東洋経済新報社)という書籍によれば、欧米では答えを明確に出すことも含めて会議のルールが決まっており、そのルールを実行することについて参加者が同じ意識を持っています。ちなみにAmazonでは会議のファシリテーターはオーナーがつとめています。


欧米人が見ると、日本の会議は終わり方がフワッとしているそうです。欧米では会議の終わりに、結論はこうで、次の会議までの宿題は次の通りですという整理の時間を確保しています。


当社の調べによると、参加者が会議を無駄と思うトップは、「会議が終わる瞬間」でした。つまり会議の議長やオーナーが、終了時にちゃんと結論や宿題を整理することが重要なのです。



――何も決まらない会議なら、開く必要もないと。


残念なことですが、日本では会議に参加すること自体を仕事と考える人がいるんです。会議がなくなると仕事がなくなると思ってしまう。本来、課題解決の手段なのに会議が目的化しているんです。会議は必要な場に限定して開催されるべきで、不必要なら無理に開催することはないですよね。今はリモートワークが日常で、会う場面が極端に減って、会わなくてもできることは増えました。何のために会議を開催するかを明確にすべきです。


トヨタでの職務経験がある山本大平氏の『トヨタの会議は30分 ~GAFAMやBATHにも負けない最速・骨太のビジネスコミュニケーション術』(すばる舎)によると、トヨタは定例会議を禁止しているそうです。多くの会社の定例会議は、上司が部下の状況を知りたいがための会議で、目的が明確ではありませんから、定例会議廃止は理に適っていますね。



■リモート会議が増える理由は

橋口真氏(パーソルプロセス&テクノロジープロダクト統括部 統括部長)



――会議は生産性に大きく影響していますね。


2019年の 1 人当たり労働生産性は、経済協力開発機構(OECD )加盟 37 カ国中、日本は 26 位です。同じOECDの「世界教育水準ランキング」では7位と上位につけていますから、能力がありつつも労働生産性が低いという矛盾した結果になっているわけです。やはり文化、風土や忖度に要因があるということです。


会議を改革することは経営や社風を変化させることにもなりますから、そこからチャレンジしていくことが重要なのではないでしょうか。



――なるほど。


当社のグループシンクタンク「パーソル総合研究所」が、立教大学の中原淳教授と長時間労働についての大規模調査を行った結果、ムダな社内会議の時間は1500人規模の企業で約46人分の年間労働時間に当たる9万2000時間、金額にすると年間約2億円の損害になることがわかりました。1万人規模の企業だと約332人分の年間労働時間に当たる約67万時間、年間約15億円です。


役職別に見ると、社内会議・打ち合わせの時間はメンバー層で週3時間超、係長級で6時間、部長級で8.6時間。年間に拡大推計するとメンバー層154時間、部長級434時間です。また従業員が多いほど上司層の会議時間が飛躍的に伸び、1万人を超える大企業では630時間に及びます。以上は推計ですが、感覚値では当たっているのではないでしょうか。


誰しも会議を変えたいという意欲はあるのですが、日本ではボトムアップからの改善は難しく、足踏みしている状態です。ですが、私としてもトップダウンだけではなく、ボトムアップから改善できるようにしていきたいと思うんです。



――コロナ禍では会議はどのように変わりましたか。


リモートワークが日常になったため、直接顔を合わせる場面が極端に減り、会わなくてもできることが増えました。すでに社会人の98%がウェブ会議を経験しています。米ハーバード大学の調査によると、集中力が続かないため会議時間は減少したものの、回数と参加人数が増えています。簡単に開催でき、メンバーを招集できるからですね。従来の会議では参加者の予定を合わせるのが大変なので、関係ない人は招集しませんでした。ところがウェブ会議であれば気楽に呼べるようになったのです。しかし、だからこそ何のために会議を開催するかを明確にすべきではないでしょうか。



NATIONAL BUREAU OF ECONOMIC RESEARCH
「COLLABORATING DURING CORONAVIRUS:THE IMPACT OF COVID-19 ON THE NATURE OF WORK」

NATIONAL BUREAU OF ECONOMIC RESEARCH 「COLLABORATING DURING CORONAVIRUS:THE IMPACT OF COVID-19 ON THE NATURE OF WORK」(※)



また別の調査では、対面とウェブ会議のいずれが良いのかという問いの答えは半々でした。ウェブ会議は移動時間がとられないが、対面には議論が深まるというメリットがある。会議の目的達成のためには対面が良いが、時間が省略できる点ではウェブがいいという矛盾した状況になっているのです。



■会議は事前準備が7割、終わり方が3割

橋口真氏(パーソルプロセス&テクノロジープロダクト統括部 統括部長)



――経営会議について50社にヒアリングされたそうですね。


各社にヒアリングした結果、経営会議を「アグリメントスタイル」「トップダウンスタイル」「チャレンジングスタイル」の3つに分類しました。


「アグリメントスタイル」は合意を目的に開かれる会議です。日本の大手企業に多く見られるもので、会議前に意見を収集し、中身が決まった状態で開催されます。「みんな、これでいいですね」と確認するスタイルの会議です。


「トップダウンスタイル」は社長やオーナーの考えをベースに参加者で議論する会議です。その結果をブラッシュアップして具体的な内容を決めていくもので、外資系の会社に多く見られ、プレゼンテーションも重視されます。


「チャレンジングスタイル」はベンチャーやIT系の企業に多く見られる会議です。会議の場での議論が多く、ボトムアップでもいろんなアジェンダを提案できます。


それぞれのスタイルでどういう改善をできるか、当社のセミナーで具体案を提示して説明しています。



――「良い会議」の条件は?


事前の準備が70%、終わり方が30%で会議のありようが決まります。Amazonでの事例で言うと、事前の準備とは、たとえばワードの文書1Pで会議内容を文章でまとめることです。事前に参加者がポイントを理解すれば会議の議論も活性化します。


会議の場で初めて見る資料でものごとを決めるのは問題があります。最初はAでだと思っていても熟慮するとBに変わることもよくありますから。良い結論を導くためには事前の準備が重要なのです。情報がアップデートされれば結論も変わるかもしれませんので、会議で決まったから必ずその通りにしなければならないことはなく、臨機応変であるべきでしょう。


日本語の説明文をつけることも大切です。今はパワーポイントが主流ですが、文脈的な説明を省略してしまうことが多く、誤解が生まれやすい。ワードを使って日本語で書き、細かい接続詞なども挿入すれば、理解も深まります。


そのような事前準備でアジェンダやポイントを決め、参加者がそれを理解・認識した上で議論からスタートさせるのが望ましいと思います。



――良い会議にするためには何をすればいいのでしょうか。


私は5点あると思います。


1つ目は、人数を最少に絞ることです。人が増えすぎると、大抵、論の質が落ちます。話さない人も出ますし、議論も本筋ではない方向に拡散してしまうこともあります。Amazonの会議はピザが2枚食べられる人数に参加者を絞っているそうです。つまり8名ということですね。Googleも参加者8名と言い切っています。トヨタでも「部下は上司の付き添いをする必要はない」と参加人数を減らしています。人数を増やすのは情報共有という目的がありますが、情報共有の仕組みを整えれば人数を減らせるのです。


2つ目は、何をアジェンダとするかを決めることです。会議で決めることと、会議で決めないことを振り分けることです。


3つ目は、事前準備し、端的にまとめることです。アジェンダを作る人だけでなく、参加者全員が同様に事前に内容を理解し、会議に臨むべきです。


4つ目は、すべては終わり方だということです。決定事項やネクスト事項を整理する時間を確保してください。


そして最後は、決まったことを実行し、そして振り返ること。決まったことが正確に実行できているかをチェックすることは、なかなかできていないものです。



――この5つを実行するにはマインドの変革も必要ですね。


会議の参加者全員が同じ意識をもつ文化をつくっていくことがすごく大切です。会議をうまく運営されている会社では、会議の手法をルール化し、全員が同じマインドで会議に臨んでいます。


この5つのポイントを理解し、仕組み化すること。型にはまらず比較的自由な会議でいいのですが、自由だからこそ曖昧になってしまう危険性があります。仕組み化することで改善していくのが望ましいです。



■欧米ではミーティングマネジメントツールを使うのが当たり前

橋口真氏(パーソルプロセス&テクノロジープロダクト統括部 統括部長)



――御社は、会議の質を高めて生産性を向上させるミーティングマネジメントツールをリリースされていますが。


今日お話ししたような思いから、会議をデジタル化する「TIMO」というミーティングマネジメントツールを提供しています。



――「TIMO」を使うと会議の質がどう変わるのでしょう。


「TIMO」は、上位役職者に使っていただく経営会議のためのサービスです。会議プロセスのデジタル化を通じて、経営会議の生産性向上を実現します。会議前の「アジェンダ展開」、会議時間を削減できる「事前決裁フロー」、論点の抜け漏れを防ぐ「サマリーフォーマット」「議事録展開」など、会議運営の効率化につながる機能を搭載しています。


このツールを使うことで良い会議を行うための5つのポイントを実現できます。会議の在り方も仕組み化でき、それをみんなで守ろうという意識変革にもつなげていけます。


このツールを考えたキッカケは、リモートに移行した時に、メンバーが一方的に画面を通して説明している時間を省けるのではないかと発想したことでした。



「TIMO」画面(※)


「TIMO」画面(※)

「TIMO」画面(※)



――7月にβ版をリリースしたところですね。


まだ取り組み始めたばかりで実績はこれからですが、当社内で導入したところ、会議の時間が3~5割削減し、議論の質も深まりました。


欧米ではミーティングマネジメントツールで経営会議を効率化し、できるだけデジタル化することは当たり前になっています。アメリカ産のツールはグローバルに展開されているのですが、日本には未参入でした。やはり日本の文化が障壁になっているのではないでしょうか。


最近、日本ではDX化が遅れていると言われていますが、トップ層の意識が変わり、会議の効率化をはかっていけば、日本全体の生産性も向上していくと思います。


その意味でも、会議の変革は今後の日本にとって大きな意味があります。



橋口真氏(パーソルプロセス&テクノロジープロダクト統括部 統括部長)



日本人は真面目な民族と言われるにもかかわらず、なぜ先進各国よりも労働生産性が低くなってしまっているのか。橋口氏の話をお聞きして、その理由はやはり「会議」にあるとの思いを強くした。日本企業の会議がもっと合理的に、革新的に変わることができれば、日本が置かれている状態もまた変わっていくのではないか。橋口氏がテクノロジーを活用して会議で革命を起こす試みに大きく期待したい。






取材協力

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社

パーソルホールディングス株式会社のグループ会社であり、同グループにおけるITOセグメントの中核会社。人・プロセスデザイン・テクノロジーという3つの力によって、顧客のビジネスにおける様々なプロセスを変革に導くことで、「はたらいて、笑おう。」の世界を実現している。AIやIoTを代表するようなテクノロジーの活用や、RPA導入を含めたコンサルティング・アウトソーシングを通じたビジネスプロセス変革をサポートしている。


コーポレートサイト https://www.persol-pt.co.jp/ [外部リンク]




         

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