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時代の変化にキャッチアップする「出会い」の最前線 ~Mrk&Co 上條景介氏インタビュー

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上條景介氏(株式会社Mrk&Co 代表取締役)

上條景介氏(株式会社Mrk&Co 代表取締役)


お見合いから合コン、そしてマッチングアプリへ。若者の出会いの場がめまぐるしく変化し、平均初婚年齢が上昇し続ける中で、婚活・恋活アプリ「Dine」は毎月1万5000人に「食事デート」から始まる出会いを提供している。運営を手掛けるMrk&Coの代表取締役、上條景介氏にお話を伺った。



■「生協の白石さん」大ヒットの作者



――上條さんは、学生時代にあの「生協の白石さん」のブログを運営していた方ですね。書籍化もされ100万部の大ヒットになりました。


20年前の話です(笑)。当時ブログがまだ日本に入ってきたばかりだったこともあって人気が出ました。一学生の個人ブログでしたが、最終的には書籍という形で出版されました。当時からインターネットの可能性を感じていて、何かを発信したかったのです。自分にも発信できることはないかと思っていたとき、たまたま生協の白石さんに巡り合いました。僕自身がファンだった白石さんを多くの方に伝えられたのは良い経験でした。楽しかったです。



――もともと人に何かを伝えることが好きだった?


高校時代は新聞部で編集長をしていました。全国大会で2位になって表彰されたりして、当時から世の中の人にいろいろなことを伝えたり喜んでもらえたりすることに喜びを感じていたので、そういう方向に進んでいきたいと思っていました。誰かに喜んでもらえるサービスを作りたいという方向性は一貫していて今でも変わっていません。


卒業してからはDeNAでゲームプロデューサーをやっていました。日本向けだけでなく世界に向けて作るために、会社の戦略でバンクーバーにスタジオを立ち上げることになり、数年、カナダに行かせていただきました。バンクーバーにはゲームスタジオがたくさんあるんです。ただ、なかなかヒットが出なくて苦しかったですね。



■デート決定までをショートカットするマッチングアプリ

上條景介氏(株式会社Mrk&Co 代表取締役)



――DeNA退社後は起業してマッチングアプリ「Dine」を開発されました。


2015年にアプリ事業で起業したのは、それまでやっていたゲーム事業とつながることもありますが、2013年に、世界で一番ユーザー数の多いマッチングアプリ「Tinder」がアメリカでリリースされ、ヒットして成長していく様子をカナダで見ていて、マッチングアプリの波が来ていると思ったからです。


僕自身、さまざまな人との出会いでチャンスをつかんだこともあり、広いインターネットの世界で多くの人に出会いを提供したいという気持ちがありました。



――今では日本でもマッチングアプリは定着しましたが、「Dine」は競合とどう差別化をしていますか。


2015年時点でマッチングアプリを使ってる人は多くありませんでしたが、今は若者が普通に利用しています。多くの事業者がマッチングアプリを開発して市場が広がりましたが、僕らはそのなかで一つのポジションを取れたという感じでしょうか。僕らと他社との差別化ポイントは、キャッチコピーでもある「出会いの最短距離」という点に尽きます。



「Dine」サービスサイトhttps://Dine.app/(※

「Dine」サービスサイトhttps://Dine.app/(※)



――出会いの最短距離?


マッチングアプリの多くは、男性と女性が登録して、気になる人同士がマッチするとメッセージがやり取りできるようになります。2週間ほどやり取りして、10人のうち1人か2人くらいが「お会いしてみませんか」ということになる。


でも、2週間もの間、多数の人とメッセージをやり取りするのは面倒ですよね。10人とメッセージするより3人とお食事した方が早い。そこで「Dine」ではメッセージのやり取りよりも、最初に会うことを重視しています。「Dine」ではマッチしたらすぐ飲食店の予約が入ります。マッチして予約をしたら、当日お店で「初めまして」とお会いできます。1時間でも話せば、相手と良い関係になれるか大体分かりますよね。2週間メッセージをやり取りして得られる情報より、1回のお食事で得られる情報の方が圧倒的に多いわけです。


予約が入る飲食店とは当社で契約しています。マッチングアプリの事故をより減らすことを重視しているからです。



――事故と言いますと。


まず、男性が店選びを間違えること(笑)。「デートでこんなお店に連れて行くの?」と女性に思われないように、女性を連れて行っても大丈夫なお店と契約しておくわけです。値段が高い安いではなく、初デートで行く場所として適切かどうかでお店選びをしています。


また、マッチングアプリが怖いという方もいます。お客様が危険なことに巻き込まれないように、お店と連携している。



――なるほど。


どこも体制がしっかりしているので、マッチングアプリ業界で事件はほぼ起こりません。万が一トラブルが発生する場合でも、それは家、ホテル、車といった密室空間で起こるので、僕らは一歩踏み込んでそこに行かせず、周りに人がいる飲食店限定での出会いにしています。僕らが安全と認定している場所に行ってもらうことでお客様の安全を担保しているのです。


お店のスタッフもその席は我々のアプリのお客さんだと分かっていて、何か不穏な雰囲気があったら止めてくれます。



――「相性の良い方を毎日紹介」とか、「人気のある方への優先紹介」とか、いろいろな機能がありますね。


今ある機能は、効果があったから残しているものです。10個生み出して、5個くらい消えるみたいなイメージです。失敗したら即座に撤回します(笑)。どんどん出してお客さんの反応を見ています。


今、力を入れているのは、「ライブ配信婚活」です。説明が難しいのですが、ユーザー同士でコミュニティを作ってもらい、そこで毎日話して仲良くなってもらい、付き合ってもらうんです。


常に出会いの方法は変化していくので、その時々のニーズに合ったやり方を展開しています。



――利用者数の推移は順調ですか。


あまり数字は公開してはいませんが、2017年にリリースしてから基本的には右肩上がりで成長しています。


マッチングアプリ市場は2015年くらいに立ち上がりました。僕らみたいな「いきなり会う」アプリは、ある程度、市場ができあがってからでないと成立しません。出会い市場の初心者は「メッセージのやり取りが面倒」というペインがないので、いきなり会おうとは思わないわけです。ある程度の市場があれば、その市場で経験したペインを抱える人が増え、当社のようなアプリが盛り上がるわけです。そういう人が徐々に増えている感覚があります。



■変わる「出会い」の市場

上條景介氏(株式会社Mrk&Co 代表取締役)



――若者の出会いはどう変化していると思いますか。


時代の潮流に合わせて出会いの手段は変わってきています。1960年代くらいまで、結婚するカップルの半数はお見合いでした。自分から出会いを求めなくても会って数日で結婚を決めることができた。その後、自由恋愛が発展し、1990年代にはテレビの「ねるとん」が人気になって、合コンとかも行われるようになって、自由恋愛の方式もどんどん変わりました。


マッチングアプリの出会いは、自由恋愛方式の転換だと思います。2000~2010年代は出会いの舞台は職場や友人関係、合コンでしたが、2020年代に入り、合コンの経験がある若者はすごく少なくなってきています。どこで出会うかというと、「マッチングアプリ」なんです。



――マッチングアプリが主流なのですね。


かつての出会い系サイトしか知らない大人の世代は、「マッチングアプリで積極的な真面目な恋愛をできるのか」と思うのでしょうけれども、その認識は間違っています。手法が変化しただけで、人々の出会いニーズは変化していません。かつての出会い系悪徳サイトは出会いの環境が整備されていない時代のもので、技術の変化とともに、クリーンな業界になったんです。僕らもその一翼を担っています。



――若者の婚姻年齢は上昇し続けています。マッチングアプリは解決できるでしょうか?


婚姻年齢が上がるのは先進国の性(さが)だと思います。


その要因の一つは、経済的に男女ともに自立が進んだことです。かつての女性は専業主婦志向で、就職は一般職。結婚するまでの腰かけというイメージでしたが、今は基本的に総合職で、一般職は少なくなっています。普通に経済的に自立しているので、昔のように結婚を急ぐ理由がないんです。


もう一つの要因は、自由恋愛がメインになったことです。昔は恋愛が下手でも、お見合いで強制的に結婚できるカップルが結構多かったんです。でも、恋愛が自由市場になり、基本的に能力主義になりました。能力がないと淘汰されてしまうので、婚姻年齢が上がったのだと思います。


まだ顕著には現れていませんが、もしかしたら婚姻年齢はさらに上がるかもしれません。マッチングアプリの発展でより多くの人に出会えるので、次の人にまた出会えるから急いで結婚を決めなくてもいい、ということになりますから。


初婚年齢は都会より田舎の方が低いですよね。田舎はそもそも出会いの絶対数が少ないからみんな早く結婚するし、早めに結婚した方がいいという同調圧力もあります。多くの人と出会うことができ、周囲も結婚している人が減れば、婚姻年齢はどんどん上がっていくでしょう。自然の摂理ですから、婚姻年齢自体が上がることはしょうがない部分もありますが、マッチングアプリを運営する僕らとしては、多くの人が出会いを通じて、幸せな人生を送れるよう努力をしていく必要があると思っています。



――コロナ下で出会いは変化しましたか。


いくつか変化がありました。


まず恋愛意欲自体が上がりました。私たちのアンケート結果でも、この1年で確実に恋活、婚活意欲が上がっています。コロナ前は「まだ遊んでいてもいい」と思っていた人たちが、結婚したい、恋人がほしいというマインドになっています。ただ、外出自粛で恋愛のきっかけをつかめないので、矛盾が生じています。意欲が上がっても出会う機会が減っているんです。


コロナが収束に向かえば、今まで外出・外食を控えていた婚活意欲ある方、出産したい方が爆発して、ぶり返しが来ると想像してます。


2020年代はマッチングアプリの時代になると先ほど言いましたが、それはコロナが後押しした部分が大きいですね。2015年に起業した時に、将来合コンがなくなると予想していましたが、コロナで一気にそれが加速して、5年くらい早まりました。


また、マッチングアプリ自体も進化しています。「Dine」でも「お食事デート」以外に「オンラインデート」も出てきています。恋愛は文化なので、手法は刻々と変化するわけです。



――アフターコロナで「出会い」市場はどうなっていきますか?


確実に僕らのニーズが増えていくと思います。緊急事態宣言で物理的に外出できないので、コロナは僕らにはネガティブでした。婚活意欲が高まったのに会えないのですから。その不利な緊急事態宣言が解除されたので、ニーズは高まっていきます。



――結婚式場や婚活雑誌など、他業界に進出してもいいのでは?


そこまで広げてもいいのですが、今のところはしていません。僕らのミッションは良い出会いを増やすことで、個人的には法律的な結婚にこだわりはありません。結婚も一つの「形」でしかないですから。事実婚を選択する人も増えています。法的制度が追いついていない部分がかなりあるのではないでしょうか。昔の慣習や法律に縛られる人生を送る必要はなくて、自分が一番心地よい関係性を続けるのがいいと思うんです。



――そういうことも婚姻率の低下につながっているのでしょうね。


僕たちは「婚活・恋活アプリ」であり、大多数の人にとって幸せの形である「結婚」につながる出会いを全力で応援しています。しかし究極的には、僕らは人生にポジティブになる出会いを創出することがミッションであると思っています。ポジティブの定義は人それぞれなんです。



■個人を尊重しない世の中はイヤなんです

上條景介氏(株式会社Mrk&Co 代表取締役)



――これだけスマホが普及しなければ、出会いアプリの市場も拡大しなかったでしょうね。


技術はどんどん進化していきます。30年前には紙を使わずに仕事をするなんて、信じられなかったと思います。今はパソコンさえも使わずに、iPadだけで仕事をこなしている人もいます。紙がワープロになり、パソコンになり、スマホになりました。それは一番効率的に仕事ができる手段が変化しているというだけの問題です。出会いも同じく、技術の進化に合わせて、その方法はどんどん変化していくでしょう。



――今後の展開は。


全ての人が、人生を変える出会いのチャンスを得られるようにしていきたいです。住んでいる場所や、家柄、性別等の違いにより、可能性が狭められることは良くないと思うんです。出会いの機会を平等化していきたいですね。



――社会課題を解決するサービスに発展するかもしれませね。


ダイバーシティを重要視していますので、LGBTの方にも対応しています。そういう人たちが差別される世の中は良くない。怒りというか、単純に個人を尊重しない世の中はイヤだと思っているんです。


何度も言うように、これからも出会いの形は変化していきますから、恋愛の「HOW」を変化させていきたいんです。恋愛以外の出会いにも参入するかもしれません。人との出会いは人生を変えるという信念があるので、時代のニーズに合わせてそこに携わっていきたいと思います。



上條景介氏(株式会社Mrk&Co 代表取締役)



今、仲人という言葉は死語になりつつある。「マッチングアプリ」が担っているのは、かつては仲人が果たしていた役割である。それを単なる技術の進歩の結果というだけでは言い足りていない。「出会い」の意味が結婚を目的としないものに変わり、より簡単で、より多様な生き方にふさわしい出会いを支える社会が生まれていると感じた。






プロフィール


上條 景介(かみじょう けいすけ)

大学在学中にブログ「がんばれ、生協の白石さん!」開設。書籍化されて発行部数約100万部の大ヒットとなる。

2008年、株式会社ディー・エヌ・エーに入社。

2015年に株式会社Mrk & Coを共同創業


マッチングアプリ「Dine」サービスサイト https://dine.app/[外部リンク]




編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局(※の画像を除く)
取材日:2021年10月27日

         

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