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Z世代の採用最前線! デジタルネイティブの特性を踏まえた人材獲得トレンドは? ~リクルートマネジメントソリューションズ 飯塚 彩氏インタビュー

飯塚 彩氏(リクルートマネジメントソリューションズ 主任研究員)

飯塚 彩氏(リクルートマネジメントソリューションズ 主任研究員)


1990年代半ばから2010年くらいまでに生まれたZ世代が続々と社会に出てくる2020年代。さらにコロナ禍によって会社を支える有能な人材を獲得する採用活動はどう変わっただろうか。採用活動のプロフェッショナル、リクルートマネジメントソリューションズ主任研究員、飯塚彩氏にお話を伺った。



■Z世代の特徴は「個人主義」・「不安」・「バーチャル」


― Z世代と呼ばれる人たちが社会に入ってきています。人事担当者が意識すべき特徴は何でしょうか。


人事担当者はひとつ前のミレニアル世代が多いと思いますから、かなり違いがあります。Z世代の特徴は大きく3つあり、一つは自分と社会に関心があること。二つ目は不安が強いということ。三つ目はリアルとバーチャルの感覚が上の世代と違うことです。


― 順番に伺います。「自分と社会に関心がある」というのは?


Z世代の関心の対象の中心は自分であり、社会です。インターネットやSNSの普及も影響しているのでしょうけれども、個人主義が非常に強く、自分の世界やプライベートを大事にしています。個性や個人の志向の多様性について寛容で、その分、あるがままの自分を受け入れてほしいという気持ちも強いと考えられます。こうした価値観はZ世代的であり、世の中全体の潮流ともいえると思います。人材が流動性的で、転職にも抵抗が薄くなっている時代でもあるので。


― でも、社会への関心も持っている?


身近にある学校や会社などの組織を飛び越えた、もっと広い世界に意識が向いています。たとえばSDGsや、年齢や性別・ジェンダーの平等性などに関心を持つ方も多いです。一方で、個人主義とも相まって、世界と自分の間にある会社組織などにはあまり重きを置かなくなっているようです。つまり他の世代よりも、帰属意識が低い傾向にあるということです。


― 2番目の「不安が強い」とは。


極端に言うと「この先、生きていけるのかどうか」という不安があるということです。例えば、テロや災害などの詳細な情報がリアルタイムで手に入りますし、若いうちから老後の人生も考えておかないといけないといった情報も溢れています。そうした中で、自分が信じられる情報を得て、何とか生きていかなければならないというシビアさを感じているのでしょう。


― そういう不安があると、キャリアについてはどう考えるのでしょうか。


不確実な世の中でも安心を得たいという気持ちから、「自分でキャリアを築いていかなければならない」という気持ちと、「安定した環境を選びたい」という気持ちをもっています。安定志向もそこからきています。常にストレスにさらされているといえるかもしれません(それをストレスと感じるかどうかは個人差がありますが)。


― 生きていけるか不安なのに、キャリアに対する意識は高いのですね。


一見、矛盾しているようでもありますよね。発言だけ聞いていると、なかなか理解しにくいところですが、根底にある考えをちゃんと受け止めることが採用側のポイントだと思います。


― 3番目の「リアルとバーチャルの感覚差」については。


特に人間関係においては、リアルのコミュニケーションもバーチャルのコミュニケーションも同じように捉えています。他の世代でもそういう方はいますが、Z世代は特にその傾向が強いのが特徴です。また、わざわざリアルで体験するからにはバーチャルでは得られないことを求めたいという気持ちも強いです。



■コロナが直撃した採用活動




― コロナ禍によって採用活動はどのように変わりましたか。


まず非対面で採用することが増えました。弊社の調査では、2021年卒の就職活動でWeb面接を経験した学生は約81%、2022年卒では約87%です。最終面接がすべてWebだった人も4人に1人程度います。2021年卒の3年生にとっては面接がピークを迎えるタイミングで最初の緊急事態宣言が出て、急きょWeb面接への切り替えを余儀なくされた企業も多く、戸惑いが生じました。翌年の2022年卒は採用活動の初めからコロナの影響下にあり、前年の経験が生かされた形となりました。


― 学生側はどうだったのでしょう。


就職活動は通常1回だけということを考えると、学生側のほうがすんなりオンライン面接を受け入れていたかもしれません。特に、面接会場まで移動しないので時間や交通費がかからないことは大きなメリットです。リクルートグループの調査では、コロナ前よりも交通費などの負担は平均4万円も減ったようです。


参考:【就職活動にかかるお金 2021年卒でどう変化した?】平均金額は約4万円減少。オンライン化が進み、交通費を中心に学生の費用負担が減少 | 就職みらい研究所



現在は2023年度の採用真っ只中ですが、コロナ禍も3年目で企業側もだいぶ慣れてきました。それでも大変であることには変わりないですね。採用活動がすべてバーチャルでというケースはまだ少なく、対面とバーチャルが並行しています。複数の卒年の採用活動がリアルとバーチャルで並行しているので、かなり大変だと思います。


― コロナが終息したら元に戻るでしょうか。


コロナが収まっても全部が対面に戻ることはないと私は見ています。まず、移動時間や交通費の負担の面で学生にとってメリットが大きいです。その結果、活動量が増え、企業にとってはこれまで接触できなかった学生とも接触できるようになっています。説明会や面接をオンラインで行うことは企業にとっても時間やコストの削減につながりますし、インフラを整えた会社も多いことを考えると、リアルとバーチャルは併存していくものと考えられます。


― 面接というと、いわゆる「ガクチカ」(学生時代に力を入れたこと)が定番の質問でした。そもそも人事がガクチカを重視するのはなぜでしょう。


「ガクチカ」という名称で言われるようになったのは最近のことですが、昔からよくある質問です。企業側がガクチカを聞くのは、その人がどういう場面で何を考え、どんな行動をとる人なのかをエピソードとして聞いて、人となりを知りたいからです。


ただ学生は、見栄えするというか、きれいにまとまっていて成果もすごいと思われるエピソードが望ましいと考える傾向があります。企業としては、その人が何を考えてどういう行動をとってきたか、それが自社の仕事の中でどのように発揮されそうかを知りたいのです。ここは採用側と学生側で食い違いが生まれやすい部分だと思います。


― コロナによってガクチカも変わったのでしょうか。


コロナの影響で留学ができなくなったり、サークル活動もなかなかできなかったりした学生も多くいます。その影響で、面接者がこれまでのようなエピソードを引き出せない場合はどうすればよいかという相談をいただくことがあります。


まず、大学時代の体験にこだわらず、人生上の重要な体験をきくこと、その方がエネルギーを傾けてきたことがらとその過程や影響に焦点を当てる事が重要です。さまざまなことをできなかった代わりに、自身の置かれた状況や、自分自身をどのように捉え、何をしてきたか、という話を聞くのもよいでしょう。

― 今の状況で人事担当者が意識すべきことは?


弊社では毎年、就活生の調査をしています(「新卒採用 大学生の就職活動に関する調査」リクルートマネジメントソリューションズ)。これまで、「最終的に会社を選んだ理由」は、「社員や社風の魅力」が上位でしたが、コロナで直接の接点を持てないためにそれが下がり、「勤務地」「業績の安定性」などの外形的な要素が上がりました。Z世代の価値観の影響もあると考えられますが、採用活動が非対面化した影響が大きいと分析しています。やはり企業の魅力が肌感覚として伝わりにくくなっているので、それをしっかり伝える必要があるでしょうね。


― なるほど。


たとえば、以前は面接を受けるために何度もオフィスに行かなければなりませんでしたが、その機会がなくなり、その会社のオフィスやそこで働いている人の様子を目にすることができなくなりました。面接は会社の雰囲気を感じることができる機会でもあったのです。



■人材マネジメントの柱は継続的なコミュニケーション




― ほかにはどんな変化がありますか。


先ほど言ったように、Z世代は自分に対する関心が強く、大事にされている感覚を得られるかどうかが非常に重要です。企業から提供される情報量が多かったとか、選考がスピーディーに進んだとか、自分のために十分時間を割いてくれたように感じたとか、接点が少なくなってもちゃんと自分を大事にしてくれていることが伝わった企業に対しては志望度が上がりました。


― 学生とのしっかりしたコミュニケーションが重要になりますね。


コミュニケーションの取り方は非常に大事ですが、今は少なくとも3学年分の採用活動が並行して進みますから、人事担当者もすごく忙しいですよね。本選考と並行して採用の振り返りを行って翌年度の課題設定を行ったり、1学年下のインターンシップや広報企画をしたり、前年度の内定者フォローや入社後の導入準備を行うなど。この中でコミュニケーションの量と質を担保するためには、面接者やリクルーターなど、現場の社員にも協力してもらうことをおすすめしています。


― 内定後の注意点についてお聞かせください。


内定後もコミュニケーションを継続していくことは非常に大事です。


優秀な応募者ほど早期に接点をもち、内定出しも早くなる傾向がありますが、その分入社するまでの期間が長くなるので、企業側は内定を出した後も安心せずにコミュニケーションを取り続ける必要があります。優秀な方ほど引き合いも多く、自分の可能性を試してみたい気持ちも強いですから。


応募者の気持ちの変化を踏まえることも重要です。就職活動の初期には企業や仕事を選択する観点がまだない状態ですが、いろいろな会社や人と接点を持っていくうちに、だんだん自分の軸が見えてきます。内定式を過ぎると「これから社会人になる」という気持ちが一気に高まり、同じ情報でも、より自分の身に近いものとして受け入れたりするので、どの時期にどの情報を伝えていくかが重要です。


― 入社後を見すえて、採用段階で意識すべきことは?


Z世代の学生は、自分は何をやりたいのか、何ができそうか、という自分視点と、どんな仕事だったら安心できるか、という不安解消のせめぎあいで揺れています。情報が膨大にある中で、軸を置けないとなかなか決められません。そこで企業側が「こういうことをやりたいんだよね、こういう強みをもっているから、こんなことができそうだよね、うちの会社はこんなことを提供できるよ」といった情報提供によって意思決定を支援していくことが必要です。言い換えれば、応募者が自己理解を深め、自社で働くイメージや、社会に出る覚悟をもてるよう、コミュニケーションをとるということです。


私たちは、自己理解や社会人になる覚悟と言った要素がから構成される社会人になるにあたっての心の準備状態を「就業レディネス」と呼んでいます。就業レディネスは、入社後の立ち上がりの速さに影響することも確認されています。人事担当者と現場が協力しながら、採用活動全体を通じて就業レディネスを高めることは、企業にとってもプラスになります。


― 離職率についてはどうでしょう。


新卒採用の離職率は「3年で3割」と言われており、この傾向は数十年変わっていません。ただし、帰属意識が下がっていたり、入社後もリモートワークで先輩と知り合う機会もなかったりするため、離職を考えやすい環境にはなっています。


「不安をもちやすい」というZ世代の特徴から、ここで何が身につくのだろうか、自分のキャリアにプラスになるのか、と悩むタイミングがより早くなっていると思います。一人前になるまで10年もかかるのは耐えられないんです。お客様から「今までより早く異動させたり、次のキャリアを考えてあげたりしないと、待てなくなっている」というお話を伺うことが増えていますし、能力のある人がより早く昇進できるように制度を変える企業もあります。マネジメントの仕方も変化していますね。


帰属意識が低く、転職に対する意識のハードルも下がっていて、さまざまな情報も入ってきますから、人の流動性も高い。入社したときに何がやりたかったのか/あなたのこういうところがいいと思って採用した、ということを起点に、「なぜ自分は今ここにいるんだっけ」ということ、つまりその会社にいる意味について、継続的に対話をしていくことが非常に重要です。


― なるほど。Z世代の離職を防ぐ方法は他にありますか。


 

たとえば、Z世代にとって「仲間」は大事な存在です。どの組織に所属するかということより、どういう仲間と一緒に、何のために時間を過ごすのかが大事なのです。上下関係という意識が薄らいでいるので、ある意味、上司も仲間です。上司が自分にどのようにプラスになる存在なのかという目で見ていたりしますから、やはりコミュニケーションが大事です。



■何ごとも正解がない時代。対話を続けて最適解を探るべき




― 働き方や、働く場(オフィス)が多様化していますが、Z世代の捉え方は?


働く場が多様化していることは基本的にウェルカムだと思います。働き方に合わせて心地よいものを選択できることは、Z世代の特徴ともマッチしていますので、好ましくとらえているでしょう。


― ジョブ型雇用を採用する企業も増えていますが、Z世代の受け止めは。


キャリアを築くことに対する意識が高く、安定志向の強いZ世代にとって、自分の拠り所となるスキルを積み上げていく働き方も、好ましいものと考えられます。同様の理由から、副業も早い段階からZ世代の視野に入っています。2020年のリクルートの調査によれば、副業をしたいと考える20代の男女は7割弱にのぼります。こうした制度があること、利用実績があることは、一定の魅力につながると考えられます。


― 最後に、人事担当者に伝えたいことは。


採用から入社後までコミュニケーションを継続することはかなり手間がかかりますが、企業が一方的に人を選んだり、雇用後に一律管理すればよかったりする時代ではありません。企業は応募者に対して自社の情報を開示するだけでなく、その人がどういう人で何を望んでいるかを把握し、どのように貢献してもらえそうかを示す努力が必要です。


その際、人事担当者、面接者、リクルーターの方々は、自社が何を目指しているのか、仕事をする中でどのようなことを考えているのかといったことを明確にしていないと、応募者と対話をすることができません。応募者と向き合う前提として、内省を深めることも重要といえるでしょう。マネジメント上のコミュニケーションも同じです。


何ごとも正解がない時代ですから、対話を続け、その中で最適解を見つけていくことが大事だと思います。



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バーチャルに抵抗のないZ世代は、DXが注目される今後のビジネスにおいて大きな戦力となるはずだ。その採用のカギは「コミュニケーション」。飯塚氏のいう「正解のない時代で最適を見つけていく」ことが重要なポイントになる。コロナ禍を経た今、採用チームも経営側も、すべての層が変化に対応しなければ生き残れない。Z世代が社会の中心となって活躍できるかどうか、今が分かれ目かもしれない。






プロフィール

飯塚 彩(いいづか あや)

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ HRアセスメントソリューション統括部 主任研究員

採用・就職、リテンション、人材開発、組織開発、メンタルヘルス、キャリアなど、人・組織に関する幅広い領域のサービス開発、コンサルティング、研究活動に従事。管理職のための組織マネジメント支援サービス「INSIDES」(2018 年度グッドデザイン賞受賞、HR アワード2019 プロフェッショナル部門最優秀賞)には、立ち上げから携わる。キャリアコンサルタント(国家資格)。


株式会社リクルートマネジメントソリューションズhttps://www.recruit-ms.co.jp/ [外部リンク]




編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 (※印の画像を除く)
取材日:2022年3月30日 

         

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