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経営者に聞く!

空間型VRでひととき旅を体験できる「uralaa」開発者に聞いた

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辻木勇二氏(フォレストデジタル株式会社 代表取締役CEO)

辻木勇二氏(フォレストデジタル株式会社 代表取締役CEO)


北海道の流氷、奄美大島のマングローブ林、十勝の大自然の森――。フォレストデジタル株式会社は、自然の風景を都会のビルの一室で再現し、没入自然空間でのひととき旅行を提供している。「uralaa(うらら)」はただの動画サービスではなく、空間を体験する価値を作り出すサービスだ。発起人であり代表取締役CEOである辻木勇二氏にお話を伺った。



■途上国支援からITを使った課題解決へ

― uralaaとはどのようなサービスですか。


室内の壁を活用し、マルチスクリーンの自然映像を体験していただくものです。同じ場所で録音した自然の音や木々の香りなども体験できます。見て、包まれて、音もサラウンドで自然の音を聞いて、五感で没入していただくサービスです。


旅に行きたい、遠くに行きたいという都会の忙しい方や、体が不自由で遠くに行けない方でも「どこでもドア」がある世界のように簡単にその場所に行った気分になれる世界を作りたいと思い、開発したものです。




「屋久島の大杉」

「屋久島の大杉」



― サービス立ち上げの経緯を教えてください。


2017年に北海道十勝浦幌町の地域創生に関わるボランティアの機会があり、ヤフー株式会社とロート製薬株式会社のメンバー20名ほどで浦幌町に足しげく通う機会がありました。浦幌町は森林資源が豊かで森に囲まれている場所です。森に入って心も癒されました。そこで知り合ったメンバーでフォレストデジタルの前身を立ち上げました。


会社を設立したのは2019年です。アイデア自体は5年ほど前からあり、浦幌町で生まれた、また、心が健康なうららかな気持ちになっていただきたいという思いから「uralaa」(うらら)と名づけました。


今はさまざまなテクノロジーが加速度的に増えていく時代ですが、便利になる一方で、気持ちが焦ったり、心の健康が置き去りになったりしているのではないかと思ったんです。それで会社のテーマとして「テクノロジーは私たちを幸せにしているのか」という言葉を掲げました。テクノロジーによるWell-beingを追求しています。


インターネットの技術を使ってウェルビーイングを進めるために作ったのがuralaaです。テクノロジーを使って、都会に居ながら浦幌町のような森や自然に浸ることができないかと考えたのです。


――「没入自然空間」と銘打っていますね。


僕らが考えた言葉で、世の中にないサービスを作っていると思っています。新しい市場を作っていきたかったんです。その前は「デジタル森林浴」と呼んでいました。「immersive nature」がしっくりくるのですが、わかりにくいので「空間型VR」とも呼んでいます。


バーチャルリアリティ(VR)ではヘッドホンの装着が必要ですが、uralaaでは老若男女問わず、機器なしで仮想空間の体験していただくので「空間型VR」と言っています。



■4面に投影した、没入感のある立体的な迫力映像



― 風景を壁に投影する仕組みはどのようなものですか。


一般的な動画配信では1面のみですが、我々は正面・左右・天井面の4面の動画を、YouTubeと同じようにクラウドを通じて配信しています。4面の映像に囲まれることで、自然の中でリラックスできる空間ができあがっています。


― 苦労したところは?


これまでにも「没入空間」のような映像はあったのですが、どれも特定の空間用の映像でした。uralaaはどんな部屋でも大丈夫です。


室内空間としては四角の部屋をベースにしているのですが、どんな部屋でも上下左右ピッタリ合うように自動編集しており、違和感がないようにするのが大変でした。実はこれは非常に難しい技術で、普通、こういう映像を作る企業では特定の部屋に合うように映像を切り取って配信しますが、私たちはそれを自動でやっているんです。どうすればきれいに壁に沿ってぴったり違和感なくつながるかということを追求し、失敗もたくさんしました。YouTubeのような1面だけの動画でサービス提供することもできましたが、空間に包まれた感覚が得られれば、やはり臨揚感、没入感が違いますから。



2面の壁と天井の境目はぴったり合っている

2面の壁と天井の境目はぴったり合っている



プラネタリウムのようなドーム型にすればもっときれいに見えるかもしれませんが、私たちが四角い部屋にこだわったのは、オフィスの共用施設や病院、介護施設などの「部屋」での利用を想定したからです。特別なドームでの利用ではなく。


― 体験させていただきましたが、圧巻の迫力でした。映像であることを忘れてしまいそうです。


4つの壁の映像がぴったり違和感なくつながって連動している映像を作ることはかなり難しく、リリースまで2年かかりました。360°映像で撮影し、その四隅をくっつける特殊な技術を使います。


― 昨今注目されているメタバースとの違いは。


メタバースのように専用のヘッドセットは必要ありません。僕らがやりたいのは、この空間に座ってリフレッシュしながら隣の人とお茶を飲んで話をしたりできる「空間型VR」です。メタバースのようにアバターやカメラを通した体験ではなく、生身の人間としていろいろな空間に移動している感じを提供したいんです。



■オフィスや病院など壁があればどこでも映写可能



― 普及の進捗はいかがですか。


2022年1月から月額費用58,000円で一般販売を開始しました。プロジェクタに繋ぐ専用ミニPCと4つのプロジェクターが必要となります。正面と天井の2面だけでも気持ちのいい空間ができるので、2面空間もおすすめしています。機材レンタルも含めたパッケージプランも検討中です。


現在、「ひととき旅」というコンセプトで、東京駅近くの「TOKIWA BRIDGE」や羽田空港、北海道浦幌町、北海道大学の博物館で常設しています。オフィスの受付や会社の会議室、ホテルの部屋、商業施設などから引き合いが来ています。


― 壁がある四角い部屋ならどこでも展開できるのですね。


ただしプロジェクターを利用して投影しているので、光に弱いというデメリットがあります。逆に地下や調光のよくない建物では非常にきれいに見えます。


これでも、まだ自分の中では10%の完成度です。どんどん改良していきます。インターネット事業ですから、常に改良改善し続けて、さらにご満足できるものを目指しています。


― 自然風景以外のコンテンツもありますか?


地域を知るうえで大事な要素である、自然と歴史と文化をベースにしています。地域を知り、一次産業を知り、地域の魅力を発見する空間を作っていきたいと思います。


マラソン体験のコンテンツもあります。十勝の方限定の第1回ハーフマラソン大会で、走るコースを投影し、空間で再現しています。自分も走っているような体験ができます。 どんどん撮影してクラウドに映像をアップしており、現在のストックは1000種類ほどあります。



■体験して涙を流した高齢者も



― 地域連携コンテンツには発展性がありそうですね。


札幌や千歳の石狩地域の協力で撮影していますし、いろいろな自治体様と話を進めています。コロナ禍下で地域の良さを新しい技術で伝える方法を模索して、我々のサービスを知っていただく機会が増えています。手職員の方が手を上げて参加して撮影に取り組んでいただいています。人口減少など危機感が強い自治体ほど、私たちのようなスタートアップと一緒に挑戦に前向きな方が多いように感じます。一緒に楽しんで地域をPRしていこうという空気があり、背中を押してもらっています。


― 撮影は社内で行っているのですか。


ロケハンから自社でやり、私有地もあれば国有林もあります。地域の方や、その森などを所有している方から撮影許可も得ています。林野庁に撮影許可をもらったこともありました。北海道大学のブドウ畑の映像は大学の方々に撮影していただきました。この場所を知ってほしいという気持ちをお持ちの方に撮影の協力をお願いしています。


天候が悪いと撮影も大変です。流氷やダイヤモンドダストなどの映像は-20℃の中でカメラを回しています。今後は、オーロラや南極、深海の中や空など。ドローンも使いたいですね。


お年寄りや体の不自由な方がそのような場所に入ることはできませんので、ぜひUralaaで体験してほしいです。厳しい環境の映像ほど体験していただく価値があります。


― 今後の展望を教えてください。


Uralaaを言葉で説明するのは難しいので、まずは皆様に体験してもらえる場所を作りたいです。皆さんがふらっと寄れる都内の場所をはじめ、全国に展開していきます。


過去にuralaaを体験された方の中には、「この場所には昔行ったことがある」となつかしさに涙を流された高齢者の方もいらっしゃいました。


未来の公園のベンチのようなサービスにしていきたいんです。ぶらっと公園に行くように立ち寄って、「じゃあグランドキャニオンに行ってみよう」ということが叶えられる。


今は高額なプロジェクターや大きな部屋が必要ですが、個人の家でも簡単に体験できるようにしていきたいです。例えば寝室でも、夕陽を眺めながら眠ったり、鳥の声で目覚めたりするような体験をしていただきたいです。


今後はオフィス、医療福祉関係に周知を進めていきます。海外にも展開し、日本の魅力を伝えていきたいと思います。







コロナ禍下で「オンライン旅行」のサービスが話題を呼んだ。画面を通して観光地を巡るものだが、ひとときの旅をつくる「没入自然空間」はそれとはまた似て非なるものだ。一つの平面映像ではなく左右と天井を組み合わせたことで立体感が生まれ、まさに「どこでもドア」を通って異世界に踏み込んだような感覚を味わえる。使い方次第では同じ空間で疑似体験をできるコミュニケーションツールにもなり、高齢者の想い出の地巡りなどもできるだろう。可能性に期待が高まる。






プロフィール


フォレストデジタル株式会社

辻木 勇二氏

代表取締役CEO。株式会社メルペイ前取締役。三菱UFJ銀行投資銀行部門を経て財務省に入省。開発金融専門官として地球環境課題を担当し、国連気候変動交渉や緑の気候基金の立上げに携わる。その後IT企業のGREE、ヤフーの新規サービス部長等を経て、2018年にメルペイで金融事業の担当役員を務める。十勝うらほろ樂舎発起人。米タフツ大学フレッチャー法律外交大学院卒。


フォレストデジタル株式会社https://forestdigital.org/[外部リンク]


没入自然空間Uralaa(うらら)https://uralaa.com/service/[外部リンク]


Uralaa パーク一覧https://uralaa.com/park[外部リンク]



編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 (※印の画像を除く)
取材日:2022年5月17日

         

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