株式会社ディー・サイン サテライトオフィス kyobashi TORSO (キョウバシトルソ)
今回は、オフィスづくりのプロフェッショナル、株式会社ディー・サインにやってきました。
株式会社ディー・サインは、オフィスデザインに留まらず、オフィス・店舗・施設などの構築、移転に伴う、物件選定・戦略・企画立案から、新コンセプトワークスタイルのプロデュースまで、場づくりに関するプロジェクトマネジメントとインテリアデザインを行う企業です。
オフィス移転では、移転先選定から移転完了まで、実にさまざまな仕事がタイトなスケジュールで発生します。
特に、企業が成長に伴い、手狭になったオフィスからより広いオフィスへ移転しようとしたとき、単なる引っ越しでは済みません。企業ブランドの具現化、オフィスの立地、フロアの必要面積の検討、実現したい働き方、オフィスデザインの方向性などを十分に考えて行う必要があります。さらに移転決定となれば、社内メンバーの巻き込み、空間デザイナー、工事業者、ビルオーナー、家具メーカーとの調整など、これも仕事が満載です。
こうした業務は多くの企業にとって慣れていないので、担当者の手に余りがちです。このようなときに頼りになるのがプロフェッショナル集団の同社。移転プロジェクトのゴールを定め、それを実現するためのプロセスを描き、多様な専門家をプロジェクトの下、1つに束ねて、移転完了へ導いてくれます。
そうしたプロフェッショナルが集まる同社では、社員が自由に働けるよう、オフィスタイムはフレックス(コアタイム11:00~15:00)、オフィス内は完全フリーアドレスとなっており、リモートワークであるノマドワークも推奨されています。
同社のオフィスは、ABW (*1) の考え方で作られており、業務に合わせて好きな場所で働けるように、カウンター席や大型モニター付きの執務デスク、集中ブースなどのバリエーションある空間が作られています。ノートパソコンとモバイル通信機器は社員全員に支給され、リモートワークできるIT環境も整備されているので、社外でもオフィス内と変わらず仕事ができるようになっているのです。
*1)ABW(Activity Based Workingアクティビティ・ベースド・ワーキング)
仕事内容に合わせて働く場所や机などを選ぶ働き方。そのためにはオフィス内に通常の執務デスクに加え、集中席や、オープンミーティング席、カウンター席、など業務に必要な様々なスタイルの執務エリアを作る必要がある。
社員の皆さんが、その日の自分の業務内容に合わせ、オフィス内ワークやノマドワークを使い分けて仕事を進めている姿は、今の「働き方改革」が目指す先のオフィスの姿と重なります。
オフィスの外で、ノマドワークをする社員の方が多い同社ですが、現在、オフィス内で実際に会う、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションを重視しているとのこと。それもあり、2016年のオフィスリニューアルでは、より効率的なスペース利用と、自然にコミュニケーションが生まれる環境を作ることをテーマに行われています。
同社ならではの、オフィス内で自然にコミュニケーションが生まれる取組みは、きっとリモートワークが進んでいくこれからのオフィスづくりの参考になるはず!というわけで、同社オフィスを取材したものをレポートいたします!
同社のオフィスは、東京メトロ「京橋駅」から徒歩3分、東京メトロ「銀座一丁目駅」からも徒歩3分の距離にあります。ほかにも都営浅草線「宝町駅」やJR「有楽町駅」「東京駅」からも徒歩圏内にあり、丸の内や銀座、日本橋も歩いて行ける交通アクセス抜群の立地です。
それでは同社の入居するオフィスビルの2Fからご紹介します。
同社は入居ビルの2Fと5Fをオフィスとしており、2F部分は、「kyobashi TORSO (キョウバシトルソ)」と名付けられ、社員の方と外部パートナーの方が業務や打ち合わせをしたり、イベントを開催したりできるコラボレーションスペースになっています。
以前は2Fをオフィスとしていたそうですが、2016年に事業成長に伴い、5Fへ増床、センターオフィスを増床フロアへ移転したとのこと。2フロア合計 約120坪、社員数約50名(2017年7月25日時点)のオフィスです。
写真は、「kyobashi TORSO (キョウバシトルソ)」の中のオープンミーティングスペース。通りに面した側が床から天井までフルハイトのガラス窓で明るく、スケルトン化されている天井と相まって開放感ある空間です。
ちなみに、天井は白く塗装し、LEDの自動調光機能付き間接照明によりソフトですっきりとした明るさを実現しています。時間帯に応じて室内の明るさを自動で調光してくれるとのこと。あちこちにオフィスづくりのプロのワザが仕込まれていますね!
では、「kyobashi TORSO (キョウバシトルソ)」を順に見て行きましょう。
オフィス内に本格的なキッチンが!
「"食" が人を集めコミュニケーションを生み出すのでは?」というアイデアから複数名でも使いやすいキッチンを設計したオリジナルとのこと。みんなで昼食を作ったり、食事をしながらなどコミュニケーションの機会が増えたそう。シェアハウスでもキッチンがコミュニケーションの起点になるという話も聞きますし、オフィスにキッチンがあるってすごく良さそうです!
ちょっとした個人作業に使えるカウンターテーブルもオリジナルで制作。
中央の背の高い木が視線をコントロールして、周りが気になりにくい作りになっています。キャスター付で、イベント時は移動できるのです。
こちらにはソファでリラックスして打ち合わせできるスペースが作られていました。左側の白い壁はホワイトボード塗装で全面ホワイトボードになっています。
描いてもらいました!
壁の穴は、イレーザーとペン入れ。さりげないデザインが素敵です。
ソファの打ち合わせスペース隣に置かれていたかわいい小屋は「shut (シャット)」。
同社と株式会社SuMiKaが共同展開する「オフィスの中の小屋」(*2)ブランドの製品です。ちょっと集中したいときなどにこもって使える、まさにオフィスの中の小屋ですね! 写真のタイプの大きさは、幅1200×奥行1200×高さ1800 (mm)となっています。机を置くくらいのスペースがあれば置けそうです。
*2) 参考リンク「オフィスの中の小屋」
さらに奥へ進みましょう。
こちらには自由に使用できるデスクがいくつも置かれています。
左側の白い壁は全面ホワイトボードです。
写真正面は、ハイテーブル。個人作業をしたり、何人かで打ち合わせしたり、多目的に使えます。ハイテーブルに座っている人と立っている人が同目線で話せるところがポイントとのこと。テーブルはこちらのために設計したオリジナル品で、端と端に座っても話しやすいように少しカーブを付けた設計になっています。
ちなみに、奥に見える窓のようなものが大型モニターになっていて、5Fのワークスペースを常時映しています。5F側でも2Fの様子が映っていて、お互いの様子がわかるようになっているのです。窓枠のようなものがつけられているのは意識しすぎないようにするため。まさに、隣のオフィスが見える「窓」ですね!
こちらはカウンター席。個人作業に集中できます。
照明もバッチリです。
カウンター席側の上は、収納スペースになっていて、とっても収納上手なオフィスです。
5Fの様子を映している大型モニターの裏は向かい合わせに2つの集中ブースが作られていました。セミクローズドな空間で、個人作業に集中できます。どちらも大型モニター付ですので、ノートパソコンと併せて二画面で作業ができます。
2Fの見学はこれくらいにしまして、同社の現在のセンターオフィス、5Fへ参りましょう!
ワークテーブルがゆったりと置かれています。
完全フリーアドレスですから好きな席に座れます。
壁側には集中して仕事ができるようなカウンター席がありました。大型モニターとハイスペックPC付で、設計やグラフィックデザインなどの作業に便利な場所です。
こちらは木目調天板にブラックフレームのデスクで雰囲気が違う場所になっています。いろいろな種類の椅子や机があるのは、インテリアデザインを行っているため、様々なメーカーの製品を試す目的もあるとか。
大型モニターは、座席のところどころに設置されており、使いたい人は自分のノートパソコンを繋いで二画面で作業をしています。
こちらにもハイテーブル。
ハイテーブルで仕事をするだけでも気分が変えられます。
また、スツールに座らないでスタンディングワークに切り替えることで、より集中力を高めることも。
フロア奥には、座敷風スペースが。テーブルが掘りごたつみたいですね!
座面下は収納も兼ねており、中には防災グッズが入っているとのこと。
紹介してきた各ワークスペースはつながっていながらも、距離感を設計することで、それぞれが集中できる空間になっています。照明は全て天井に向けて間接照明を造りこみ、柔らかな明るさを実現しています。
写真右側に見える同社オリジナルの本棚がすごいんですよ。ワークテーブル側とハイテーブル側の空間をやんわりと分ける機能を持たせつつ、中間部が腰かけられるようになっていて、座りながらコミュニケーションできるようになっているのです。パーティションで分けてしまうと狭く感じてしまいますが、このように高さの低い収納を置くだけでゾーニングができるんですね! 収納も兼ねているところがナイスです。
オフィスデザインを手掛ける同社ならでは。サンプルやさまざまな資料がライブラリーになっています。こちらにもミーティング兼ワークスペースがありました。大型モニター付。図書館で勉強するみたいで楽しいですよね。
オフィス備品やコーヒー、ウォーターサーバー、ゴミ箱などが集約されています。上に見える大型モニターは、2Fの様子が見えるモニターです。先ほどの2Fの大型モニターと対になっています。
フルハイトの窓に面したベンチシートがありました。待合に使ったり、休憩したりするためにこちらのスペースに合わせて製作されたもの。ソファの柄が可愛いです。
奥に見えるブルーのベンチは、
バジィスペース(BuzziSpace)社の「バジィピクニック(BuzziPicNic)」。
オフィスに遊び心をということで、オフィス内に置けるインドア用のピクニックテーブルですね。スツールは「バジィミルク(BuzziMilk)」。こちらのオフィスにはいろいろな家具がありますね!
こちらの丸いのぞき窓は?
会議室の窓でした!
こちらの可愛いカラーリングのロッカーは個人ロッカーです。
フリーアドレスやノマドワークが浸透している同社ではペーパーレス化が進んでいます。このようにロッカーは小さめですが、プロジェクト等でスペースが必要な場合は申請することで期間限定貸し出しする運用も行っているとのこと。
以上でオフィスを一周してきました。
いかがでしたか。オフィスづくりのヒントがいっぱいありましたね! これからも同社では自分たちのオフィスを実験の場として、新しいことを試していくとのこと。いったいどんな変化をしていくのか、また訪れたいオフィスです。
オフィスをはじめとした空間を手掛ける場づくりのスペシャリスト集団。オフィスデザインに留まらず、オフィス・店舗・施設などの構築、移転に伴う、物件選定・戦略・企画立案から、新コンセプトワークスタイルのプロデュースまで、場づくりに関するプロジェクトマネジメント及びインテリアデザインを行う。
編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局
取材日:2017年7月25日
2016年11月17日のリニューアル前の旧コンテンツは
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