みんなの仕事場 > オフィスの考え方 > 生産性を上げるために今やるべきことは? 働き方改革のエキスパートが語るRPAとの共存で叶える本当の働き方改革 ~アビームコンサルティング株式会社 執行役員 安部 慶喜 氏インタビュー~

生産性を上げるために今やるべきことは? 働き方改革のエキスパートが語るRPAとの共存で叶える本当の働き方改革 ~アビームコンサルティング株式会社 執行役員 安部 慶喜 氏インタビュー~

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アビームコンサルティング株式会社 執行役員 プリンシパル 安部 慶喜(あべ よしのぶ)氏

アビームコンサルティング株式会社 執行役員 プリンシパル 安部 慶喜(あべ よしのぶ)氏



残業規制の中、仕事量が減らないと嘆いているあなた。その仕事、全部一人でやる気ですか?生産性が上がり、働き方を変える最新のテクノロジーRPAについて、アビームコンサルティングの安部慶喜氏が教えてくれました。






■「働き方改革」の成果は上がっているか


――アビームコンサルティングの業務内容を教えてください。

アビームコンサルティングの業務内容は、あらゆる産業の顧客の変革を支援しています。経営戦略から組織業務プロセスや人の教育、それを支える仕組みなどあらゆる仕事環境を含めた事業そのものや、自社で運営しているあらゆる課題の解決を支援する仕事です。その中で、私自身の専門分野は働き方改革になります


――今、働き方改革が叫ばれていますが、その本質や背景は何だと思いますか?

先進国の中で、日本の労働者が1時間あたりに生み出す利益、つまり生産性がとても低いことが背景にあります。日本人は真面目なので一生懸命働いているのですが、他国と比較してしまうと成果が出ていないのです。これに対して、日本人は諦めている部分がありました。


働き方改革というキーワードは目新しいものではありません。ほとんどの企業では、社長が変わると、まず働き方改革に着手し、生産性を上げるためにコスト削減が始まります。経費を節減して利益率を上げるため、バックオフィスを圧縮したり、ペーパーレス化して紙を少なくしたり、細かい経費を品目ごとに削っていったり、表面的な施策がほとんどです。


――でも、その成果は十分に出ていないのですね。

過労死の事故をきっかけに、この問題が急にクローズアップされ、政府としても黙っていられなくなりました。過残業に対して強力な規制をかけることになりました。労働基準監督署が企業へ強制捜査に入ると、過残業ばかりでなく、残業しているのに申告していない、残業代の不払いという実態も明らかになった。こうした流れで、中小企業ばかりでなく大企業も含めて、打撃を受けた企業の経営者たちが、一斉に対策を模索しはじめたというのが、働き方改革をめぐるこの2年半の日本の動きだと思います。


――成果はあったのですか?

残業時間を徹底して削減した結果、今では半分以下に抑えられています。


企業が最初に着手したのは人事労務の制度です。"ノー残業デー"を設けたり、残業する時は事前申請で上司の承認を得ないと残業ができないようにしたりしました。企業によっては、月当たりの残業時間を36協定の項目より厳しくしたり、申請なく残業していないか入退館時間をチェックしたりといったこともしています。


しかし、それで生産性が上がったかといえば、非常に疑問です。業務量は減らないのに残業は禁止という、制度だけが先行している。みんなで我慢して、苦労して、無理やり圧縮している状態なのです。仕事が終わらずに、帰りにファミレスで仕事をしている人がいたり、家に持ち帰ったりして仕事している人もいる。


――長時間労働を規制する企業が増えましたよね。

働き方改革の背景には、日本の労働人口が今後20年ほどの間に1割減になると言われているということもあります。国としてGDPを上げるために、生産性を上げるしかありません。労働人口減少を計算に入れると、経済産業省の試算では、今後20年の間に1人当たりの生産性を2倍近く上げないといけない。そんなことが本当にできるのか。今までのプロセスのままでは、効率化はもう限界です。それを半分にするには、テクノロジーを使うしかありません。


そんな時に、RPA(Robotic Process Automation、ロボッティック・プロセス・オートメーション)が業務を減らしてくれることが注目を浴びました。経済産業省は2016年7月に日本RPA協会を立ち上げ、弊社も専務理事として参加しています。RPAが普及すれば、業務量そのものが少なくなります。こうしたタイミングの合致から、今、RPAがブームになっているのです。



■企業に職人は要らない

企業に職人は要らない


――日本の生産性は、なぜそんなに低いのでしょうか。

これは日本と欧米との考え方の圧倒的な違いがあります。欧米では人材は終身雇用ではなく、流動します。会社が変わらなくても、育成のためにローテーションでいろいろな部署に異動します。これに対して、日本はひとつの部署でずっと同じ仕事をやり続けることで、その仕事のプロ、職人のようになるというケースがとても多いのです。皆、職人として、ある特定の仕事にものすごく詳しくなる。これが生産性を下げるポイントになります。職人は仕事を自身のノウハウで対応しますから、その人にしかできない仕事になってしまいます。さらに、職人気質的なサービス精神から、細かく分岐する複雑な仕事のパターンを生んでしまうのです。日本では、1つの業務の中に100パターンもの仕事のやり方があります。そんなことは、他の人に教えることも難しいですよね。実際、仕事を伝承するのに1~2年もかかってしまうわけです。


――欧米との違いでいうと?

欧米では、仕事を部品化し、別の人でもできる仕事の形を作ることに注力します。仕事の部品ごとにそれを定義すれば、マニュアル化も容易だし、課長のやる仕事、総合職がやる仕事、事務職がやる仕事、派遣がやる仕事という切り分けもできるようになります。日本人がやっている仕事は、管理職ですら部品化されていません。だから人に仕事を渡せない。これでは生産性が上がるはずないのです。


部品化して切り分けができるということは、オペレーションコストの低いプロフェッショナルにアウトソーシングできるということです。オペレーションのプロなら、社内の管理職の3倍ほどの速度で仕事をこなすことができます。それなのに、単価が高い社内の管理職がその仕事をしているのが日本の企業の現状です。職人が自分の仕事の殻に閉じこもって、横の連携プロセスを持っていないことが、生産性を上げることを阻んできたのです。


欧米の会社には、業務プロセスの見直しをするプロセスイノベ―ターという役割の人がいますが、日本では一人で全部やっているので、プロセスの責任者がオペレーターでもあるような場合が多い。だから生産性を上げるための抜本的な対応ができないのです。何十年も前に作ったルールに縛られて、「こういうルールだから」「この部署の役割はこうだから」「うちの部署の責任はここまでだから、この先はそっちの部署で」というような仕事をしていて、やり方を変える話ができない。こんなことがすっと続いてきたのですから、無駄が発生していて当たり前でした。


――ITの導入によって業務は改善されなかったのでしょうか?

手でやっていた部分は、ITでかなり改善されました。スクラッチによるシステム開発は、コストはかかりましたが人の仕事はだいぶ移管されています。1990年代後半にはERPパッケージを導入することで、コストも安くなり、期間も短縮されました。こうした業務用のパッケージを使っていない企業は少ないでしょう。


その部分の生産性は上がりましたが、問題は先ほど言ったような人依存、組織依存の日本の悪い体質にありますから、根本的に生産性を向上させることはできませんでした。、チームや組織の生産性を上げるには、ひとつひとつの業務を棚卸しして部品化するしかありません。日本はそれができていなかったために、アウトソーシングも、シェアードサービス化も進んでいないのです。



■オフィスロボットが生産性を上げる!

オフィスロボットが生産性を上げる!


――RPAとはどういうものなのか教えてください。

RPAはRobotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)の略で、ロボットがプロセスを自動化するという概念です。技術的には難しいものではなく、いわゆるソフトウエアロボットとして、PC上の操作を自動的に覚え、様々なルールを追加し、特定のアクションをトリガーに自動的に処理をしてくれます。ルールに基づいた処理をそのとおり正確に処理してくれるソフトウエアです。RPAそのもののソフトウエアは、ただの開発ツール、ただの道具です。それを使って、自社の業務に基づいたロボットを1個1個作っていくというものです。


――人工知能(AI)とは違うのですね。

AIは自身でアルゴリズムを考え、何をインプットしたら何を答えにするかという中身を自分で作り、成長していきます。人間の脳と同じように、過去の失敗を糧にして次の成功に結びつけていくわけです。これに対して、RPAはルールどおりのことしかできません。何回ルールをなぞっても進化はしません。ただしルールは絶対に間違えない。こうしたことから、「AIは頭脳でRPAは手足だ」などとも言われています。


AIは過去の失敗を学習しながら自分で修正していく点で優れていますが、賢くなるには時間もかかるし、統計学の論理で全部できていますから、出す答えが正しいとは限りません。また、なぜそういう答えを出したのかがわからないブラックボックスという特徴もあります。RPAは学習しませんので、つねに同じ答えしか出しませんが、絶対に間違えない。なぜその答えになったかという理由はつねに明確で、そのルールにあります。仕事ではどちらがより役に立つかというと、今の段階では、RPAのほうが圧倒的に利用されています。


100点中99点をとるのがAIですが、100点ではないので、仕事で使うとしたら、結局、人間が全部チェックして確かめなくてはならない。しかも同じ答えを出すとは限らないし、間違える可能性があるわけです。これに対して、RPAは80点ですが、その80点の部分は絶対に間違えません。すると人間の仕事は5分の1になるわけです。


また、AIは大変巨額な初期投資がかかりますが、RPAは数百万円で構築でき、ランニングコストもあまりかかりません。コスト面でも小さくスタートでき、賢くなるまで1年もかかるAIに比べて、RPAは2か月というスピードで導入できます。


――ITシステムとも違うのですか?

ITシステムの構築には、1年~1年半ほどかかります。それはある業務をシステム化するためには、つながっているシステムを全部それに合わせて変更しなくてはならないからです。これに対し、RPAは人間の仕事をロボット化するだけですから、今使っているシステムを変更する必要がありません。たとえば、あるシステムで表示している画面から、データを1件1件登録していくというような人間のオペレーションをそのまま行うわけです。人間と同じ仕事をしてくれて、そのスピードは人間の10~20倍。しかも絶対に間違えない。これがRPAの使われている理由です。もしルールが変わっても、1~2時間もあれば修正できます。だから今までシステム化できなかったようなこともシステム化できるようになる。 新しくITシステムを構築するほどではないが、人的オペレーションでは時間もコストもかかる、という仕事は企業に山のようにあります。それを全部なくしていくことができるわけです。一人一人がやっているちょっとした仕事でも、会社全体で考えればバカにできません。そうした仕事をどんどんロボット化し、人間はもっと付加価値の高い仕事をできるようになります。


これがRPAの使われている理由です。もしルールが変わっても、1~2時間もあれば修正できます。だから今までシステム化できなかったようなこともシステム化できるようになる。


新しくITシステムを構築するほどではないが、人的オペレーションでは時間もコストもかかる、という仕事は企業に山のようにあります。それを全部なくしていくことができるわけです。一人一人がやっているちょっとした仕事でも、会社全体で考えればバカにできません。そうした仕事をどんどんロボット化し、人間はもっと付加価値の高い仕事をできるようになります。


――日本でのRPAの導入事例を教えてください。

帝人フロンティアさんでは、紙からの自動化をやっています。顧客企業から送られてくる入金明細が1か月で段ボールに1箱半ボリュームがあるのですが、これを、OCRソフトを立ち上げるところから全部RPAがやってくれます。人間は複合機の上にポンと書類の束を置くだけ。あとは全部読み取って文字に起こし、基幹システムを立ち上げ、ログインして、全部登録していきます。これが紙からデジタル化して自動化している例です。


テレビ朝日さんでは、夏祭りのイベント企画のチケットを販売するのに、天気情報や気温情報、曜日といった諸情報をロボットが集め、それとチケット販売のデータを組み合わせて、営業戦略会議用の資料を作らせています。これは今までは人間の手作業で時間がかかり、1日に1回しか作成できなかった。ロボットは1時間もかからずに資料を作れますので、営業会議もリアルタイムでできるようになりました。これが事務以外のデータ収集、データ分析というところで使われている例です。


――欧米と日本では導入に差がありますか?

欧米では、コールセンターやアウトソーサー、シェアード会社といった事務オペレーションの集約組織を中心にRPAが使われはじめ、大きな効果を生みました。半年から1年遅れで日本にも導入され、当初はチームのオペレーション担当から注目されはじめたのです。日本は十分にシェアード化されておらず、人事部や経理部、営業部などの部署内に事務オペレーションが残っている状態です。そこで、業務量が多い、普通の部署の事務オペレーションにRPAを導入しました。すると、ロボットが全部やってくれて便利になっただけではなく、社員によって、企画業務の情報収集や企画のためのデータ分析、実績データ報告といった業務に応用され始めたのです。これは事務オペレーションの自動化以上に大きな効果を生みました。ロボットはものすごい速度と正確性で業務をこなしてくれます。そこで、ホワイトカラーのあらゆる局面でRPAを使うようにした結果、30%、多いところでは50%も業務が減ったのです。ここまで成果が上がっているのは、実は日本だけです。今や欧米を抜いて日本が一番RPAを活用できています。


――欧米よりもRPAの活用が上手なのでしょうか。

なぜ日本ではホワイトカラーの全体業務が圧縮できたのか、企画業務での使い方が知りたい、調査で使っていると聞いたがどんな使い方をしているのか、マーケティング部門や審査部門ではどうやって使っているのか、などという問い合わせが欧米企業から日本に来るほどになっています。日本がことさらに事務業務をたくさん抱えていたことの副産物として、世界をリードするようなRPAの浸透の仕方をしているものと思います。



■これからの新しい仕事、プロセスイノベーター

これからの新しい仕事、プロセスイノベーター


――「野良ロボット」というものがあるそうですね。

RPAを導入していない職場でも、Excelのマクロはよく使われていますよね。マクロは中身が何なのかということはわからないから、作った人が辞めてしまうと、引き継いでも何なのかわからない。ボタンをクリックするとこういう結果が出るということはわかっているけど中身はよくわからない。それがあるとき何かの拍子で動かなくなって、だんだん使われなくなる。そうして使われなくなったマクロが社内にたくさんあったりします。


RPAもそれと同じで、個人がロボットを自由に作ることができますので、だんだん要るものと要らないものの区別がつかなくなることもあるのです。あるロボットをコピーして、何かひとつ機能を加えたロボットを作ったら、もう前のロボットは捨てなければいけないのに、それを忘れたり、隣の人が作ったのと同じロボットを作ってしまったり。そういったことが横行していくと、わからないロボットが大量にできてしまう。するとメンテナンスができなくなり、会社のシステムが変わった時に急に動かなくなることもあり得る。このように、内容がわからなくなってしまったロボットを、「野良ロボット」と呼んでいます。RPAを導入したら、野良ロボットを作らないために、きちんと管理運用することが重要になってきます。


――そういった管理をするのが、プロセスイノベーターの仕事なのでしょうか。

そうですね。プロセスイノベ―ターの仕事は、業務をロボット化していくことそのものではなく、ロボットをうまく使って業務をプロセス化していくことです。今までの業務のあり方は、人間のオペレーションを前提にしていました。ある入力をした後に別の人がその正誤をチェックする、というプロセスは、間違えないロボットに置き換えることによって不要になります。昔、電卓というものが登場したときに、電卓の計算結果をそろばんで検算する仕事があったそうですが、それが笑い話になっているように、テクノロジーが確かなものだということがわかれば、それを使ったプロセスを構築する必要があるのです。


既存の業務プロセス自体、RPAやOCR、ワークフローなどでデジタル化できるものがたくさんあります。ワークフローには日進月歩でどんどんいろんな機能が提供されています。RPAによるプロセスの変更で生産性が上がっても、それが一過性で終わってしまうのでは意味がありません。テクノロジーに敏感になり、情報を収集して、もっといいやり方はないかということをつねに考え、自分の仕事を最適に変えていく。それがプロセスイノベーターです。


私は、業務改革の専門家として多くの企業のコンサルティングをしていますが、最も重視していることは「継続できるか」ということです。働き方改革を一過性のものにとどまらせず、継続していくことはとても重要です。改革を行ったことで効果が出ただけでは十分ではないのです。テクノロジーが進展すればまた効率が悪くなることもある。生産性が低いといわれている日本も、10年単位で見れば、大きな改革をしているわけですから、昔の日本に比べたらはるかに生産性は高い。でも改革がそのたびにそこで終わっているから、また生産性が低くなってしまうのです。どう変わっていかなければならないかを考え続け、創造し続けるプロセスイノベーターがいれば、そんなことにはならないでしょう。


――RPAに仕事をとられるのではないかと不安に思う人もいるのではないでしょうか。

これから人口が減っていくのに、仕事がなくなるわけはありません。面倒くさい仕事を代わりにやってもらえるわけですから、これは人間にとってすごくハッピーなことです。RPA導入企業では、部署によっては30%以上の削減ができています。つまり50人の組織なら15人分の仕事がなくなっていることになりますが、今までRPA導入した企業で従業員を削減したようなところは一社もありません。


RPA導入時には、「自分の仕事がとられるんじゃないか」「ロボットなんかに自分の仕事はできない」といった抵抗感が現場には生まれます。でも、一度ロボットを使い始めると、抵抗していた人でも、「これは確かに便利だ。じゃあこういう仕事もできるかな」と自らロボット化を進めようと思うようになる。


ある導入企業では、「この仕事は要らない」「その仕事は間違っている」「この2つの仕事は1つにできる」というように業務そのものを見直すようにすらなり、組織をまたいで、自部署の効率化のために他部署に協力を要請するまでになりました。RPA導入後、半年ほどでそれだけ感覚が変わってくるのです。これはまさにプロセスイノベ―ターの動き方ですね。この事例を見て、ロボットによって人間は成長するということをあらためて私は実感しました。仕事を見直し、新しい仕事をすることで生き生きと変わっていくことができているのです。


「RPAの威力 ~ロボットと共に生きる働き方改革~」という本にこめたメッセージは、RPAによって人が進化し、成長してもっと高度な仕事をするようになる。RPA導入企業では、ロボットに仕事を奪われたなどと考えている人はいません。ロボットは、優秀な新入社員のようなものです。ロボットをうまく使って、自分の生産性を上げられるのです。



■オフィス環境も生産性には影響を与える

オフィス環境も生産性には影響を与える


――ところで、生産性はオフィス環境にも関係していると思いますか。

私たちは成果を重視しますので、オフィス環境の変更といったことも提案します。ある企業では、「会議の時間が長い」という問題を抱えていました。なぜ会議が長くなるかというと、会議室が心地よ過ぎるからだったのです。椅子の座り心地もよく、そこに座っていると仕事をしている気分になってしまう。そこで会議室は廃止し、執務スペースの中に、椅子なしの会議スペースを作って、誰が何の会議をしているのかということをみんなに見られるようにしました。立って話すから長居しない。ファシリテーションスキルも提供することで、会議時間は半分になりました。


――御社のオフィスはどのような感じでしょうか。

一部役員とバックオフィス以外は、管理職も含めて、完全フリーアドレスです。仕切りがなく、遠くまで見渡せますので、どこで誰が何をしているのかがわかり、コミュニケーションもしやすいです。帰る時はデスクをクリアにするルールになっているので、物を置いて席とりをするようなこともありません。


働き方のオフィス環境で大切なポイントは2つあります。個の仕事に集中できること、そしてチームで生産性を上げられる環境であることです。場所は離れていても、誰がどこにいるのかわかることで、話をしたい時にすぐに話ができる環境づくりが大事だと思います。


RPAは、自社でも人事業務の事務作業に導入しています。RPAを使って働き方の改革をしたということで2017年にHRテクノロジー大賞の業務変革部門優秀賞も受賞しています。


――安部さんは、著書の執筆などはどこでされていますか?

平日はコンサルティングの仕事をしていますので、本は土日に家で書いています。発想が浮かばない時は散歩をしたり喫茶店で気分転換をしたりすることもあります。あとは移動中、電車に乗っている時などに構想をイメージしていました。



平日はコンサルティングの仕事をしていますので、本は土日に家で書いています。







RPAは日本の企業の生産性向上に大きなインパクトを与え、「働くことが辛い」時代は終わろうとしています。この効果を一過性のものにしないために、私たちも、テクノロジーに敏感になり、職場での働き方を大きく見直すべきときが来ているようです。





プロフィール


安部 慶喜(あべ よしのぶ)

アビームコンサルティング株式会社 執行役員 プリンシパル。
製造業、卸売業、サービス業、運輸業、銀行、保険、エネルギー業界等、各種業界向けに、経営戦略立案、制度・業務改革、組織改革、ERP導入、法制度対応、成功報酬型コストリダクション、新規事業支援等、幅広い領域でコンサルティング業務に従事。 RPAサービス全体責任者として、多数の企業へのRPA導入を実現。

アビームコンサルティング株式会社newwindow」[外部リンク]



著書

RPAの威力 ~ロボットと共に生きる働き方改革~newwindow」(日経BP社)[外部リンク]








編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局
取材日:2018年4月10日




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