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5年先、10年先を勝ち抜くための企業改革を行うミドルリーダーが身につけるべきダークサイド・スキルとは? 〜株式会社経営共創基盤(IGPI)パートナー 取締役マネージングディレクター 木村尚敬氏インタビュー〜

株式会社経営共創基盤(IGPI)パートナー 取締役マネージングディレクター 木村 尚敬(きむら なおのり)氏

株式会社経営共創基盤(IGPI)パートナー 取締役マネージングディレクター 木村 尚敬(きむら なおのり)氏



「失われた20年」を経て、いまだ多くの日本企業の業績が低迷し、改革の必要性が叫ばれています。そんな中、『ダークサイド・スキル』というビジネス書が発売され、4カ月で5万部に達して話題となっています。著書である木村尚敬氏に、企業改革の要となり得るミドル世代の社内諜報術についてお話を伺いました。






■コンサルタントの仕事を通じて感じたダーク・スキルの必要性


――経営共創基盤(IGPI)という組織について教えてください。


IGPIはいわゆるアドバイザリー業務というよりは、ハンズオンのアプローチを主体とし、顧客企業と一緒になって企業・事業価値の向上に真正面から取り組んでいる会社です。戦略面だけでなく、財務や組織人事等、事業活動を行う上で必要な要素をカバーしながら一緒に行うというスタンスです。スタッフにはコンサルティング会社や銀行、事業会社の出身者もいれば、弁護士、公認会計士等の有資格者もいます。顧客の会社に出向するケースもあれば、ラインの中に机をもらうケースもありますね。


――支援先はどのような企業でしょうか。


大企業からベンチャーまで様々です。ライフステージも、再生期の企業もあれば、成長期の企業もあります。業種も製造、サービスなど多岐に渡っており、地域も日本だけではなく、上海やシンガポールでも展開しています。私自身は、社歴が長く、グローバル展開をしている製造業の大企業を主に担当してきました。経営に携わる人々とマネジメントについて議論をし、現場の部長クラスとのコミュニケーションも図ります。


――今回上梓された『ダークサイド・スキル』の執筆した動機は。


IGPIに参画して10年が経ちますが、失われた20年を経て、今後日本企業が浮上していくためには、トップだけが強くてもダメだろうという実感があります。年齢で言えば40〜50歳くらいのミドル層がリーダーシップを発揮していかないと、日本はよくならないと思うのです。そして、そのミドルに必要なものこそ、ダークサイド・スキルです。ダークサイド・スキルとは、簡単に言えば、人や組織に影響力を与えながら実際に動かしていく、どろ臭いヒューマンスキルのことです。


――反響はいかがでしたか?


出版記念会には大企業の部長や執行役員の方々が来てくださいましたが、「共感した」「目からウロコだった」という声がたくさん聞かれました。中には「僕のことを書いたでしょう?」なんておっしゃる方もいて(笑)。「ダーク」という言葉のイメージから、会社でうまくやるための処世術の本だと捉えられたようで、「全然ダークじゃないですね」という声もありました。私は、そう言われると、「皆さんのイメージされていることはブラックで、ダークではありません!」と答えることにしています。



■ミドルの役割は、トップと現場の両方に働きかけること

■ミドルの役割は、トップと現場の両方に働きかけること



――ミドルが果たすべき役割とはどのようなものでしょうか?


大きな企業は複数の事業を行っており、地域も広範囲、製品やサービスも多岐に渡っていますから、トップが100 %を直接統治しながら運営することは事実上不可能です。主力の事業や地域については判断を下せるかもしれませんが、それ以外の事業部や部署に関しては、現場から上がってくる間接情報をベースに判断を下さざるを得なくなります。そのような「下からの打球」によって、トップは打ち方を変えることになります。ところが、現場では往々にして、問題があってもダメでしたとは言えず、ギリギリまで頑張ってしまう。最初のうちは会社全体にインパクトを与えるものではないからと目をつぶっていても、それが積もり積もっていくと大変なことになり、「なぜもっと早く言わなかった」と慌てることになるわけです。これが大企業によくあるパターンですが、そのトップと現場の間で両方に働きかける立ち位置にいるのがミドルリーダーと呼ばれる人々です。この層は現場も見えているし、トップとも直接パイプがありますから、質の良い情報を上げることによって、トップの経営判断に大きな影響力を与えられるのです。


――そうした状況に日本企業が陥っている原因は、どこにあるのでしょう。


背景として、大きな二つの波があります。ひとつは競争環境の変化という波。以前は日本国内と対アメリカを意識していればよかったのですが、今は中国、ASEAN、インドなどが台頭し、グローバル競争の時代に入っています。もう一つの波は、インターネットを中心としたIT化、デジタル化の波です。
1990年代、日本がチャンピオンでいられた時代には、ひとつの企業が企画・生産・サービスまでをフルファンクションで行うというビジネスモデルが成立していましたが、今ではそれが壊れてしまっています。コストを下げてより良いものを作っていく「改善」というアプローチが通用しなくなり、「この事業は止める」「この事業は他社と手を組む」といったメリハリのある改革的なアプローチが必要な時代になりました。最近、トヨタとソフトバンクの提携が話題を呼んでいますが、その象徴的な例だと思います。


――「改善」と「改革」では大きく違いますね。


「改善」とは、より良くする、たとえば1日10個しか作れなかったものを12個作るようにするといったことです。改善に反対する人はいません。ところが、「改革」は、やり方そのものを変えるということになります。たとえば、これまではジュースを作っていたのを、これからはパンを作ろうというのが改革です。そのようなまったく新しいことを始めようとすると、それに対する反対、抵抗が始まるわけです。それによって、改革の必要性を理解していながら、トップが、つい「まだいいか」という態度になり、先延ばしにしてしまうということが起こります。


――具体的に抵抗勢力となるのは?


ある著名な経営者の方が、「改革の最大の抵抗勢力は『現場』だ」とおっしゃられていました。現場では「現状維持」の慣性が働きやすく、面と向かって会社の方針に反対をしないまでも、消極的対応、静かな反対の態度をとります。彼らは長い時間軸でものを見ていないので、先を見すえ、全社的に物事を見ているトップの感覚との間にズレが生じるのです。
この抵抗勢力を諌め、説得するのが、ミドルリーダーたちの役割です。そのためにはアメとムチを使い分けながら、組織と人を動かすための「ダークサイド・スキル」が必要になります。



■ネットワークと多様性がミドルの武器

■ネットワークと多様性がミドルの武器



――ダークサイドに対応して、「ブライトサイド」があると書かれていますが。


本の中でブライトサイド・スキルと呼んでいるのは、論理的思考力、財務や会計の知識、営業戦略やマーケティングのスキルなど、いわゆるMBAで基礎科目として学ぶようなもののことです。ブライトサイド・スキルを駆使して正しい方向性を導き出すことが必要条件であることは間違いありませんが、それを真正面から振りかざすだけでは、実際には組織は動きません。ブライトの正論を実行していくためには、ダークサイド・スキルというヒューマンスキルが必要なのです。ブライトとダークのどちらが欠けていても、改革をやりとげることはできませんし、真のリーダーは両方のスキルを兼ね備えていますね。いわば、ブライトサイド・スキルは「太陽」で、ダークサイド・スキルは「月」。あるいは、「表」と「裏」、「平時」と「有事」とも喩えられます。


――ダークサイド・スキルの中でも、とくに重要なものは何でしょうか。


ひとつは、社内でネットワークを作ることです。ネットワーク作りというと、社外の人脈作りと思われがちですが、企業改革のためには、部門を超えたネットワークを社内に作ることも大切です。大げさなものではなく、例えば3人くらいのミドルが、就業時間外で1時間程度、アンオフィシャルな議論の時間をもつ。意思のあるミドルリーダーたちが集まり、3年後の会社の絵姿を描きながら改革案を出し合い、プランを立てるというようなことです。大企業の改革は簡単に実現できるものではありませんが、何かの事件(たとえばリーマンショックのような)が起こったときこそ、改革のチャンスになります。そのチャンスを待ちながら、平時は仕込みをしておくという感覚ですね。


――改革に向けて準備すべきことは何でしょうか?


組織の中に多様性を持たせることです。多様性といっても、決して形式要件ばかり揃えるのでなく、他人とは異なる意見を持つ人間がいること、その人が意見を言える環境を作ることが大事です。部下が上司にハードルなく意見を言えて、上司もそれに対して「そうだ」「違う」をはっきり言える。そんな自由闊達な意見が飛び交うのが、強い組織ではないでしょうか。空気を読んで忖度ばかりしていると、物の見方も同質化してしまいます。同質化した組織からは斬新な発想、アイデアは生まれて来ません。イノベーションとは、「外れ値」から生まれるのですから。


――現実には、企業の中でスポイルされてしまっているミドルも多いように思います。


自分の役割しか見ることができない人が多い、という印象を受けます。会社の歯車にならず、全体感を持ち、志を大きくすれば、もっといろいろなものが見えてくるはずです。「自分は課長だから課長の仕事だけ果たしておけばいい」というのではなく、部全体を見て、ストレッチしてみる。長として預かる責任を果たすのはもちろん大事ですが、全体感を持てば、発言や立ち居振る舞いまで変わってきます。



■「働き方改革」はツール活用ではなく意識改革

■「働き方改革」はツール活用ではなく意識改革



――ミドルがダークサイド・スキルをもつことは、働き方改革にも影響するでしょうか。


「働き方改革」と言うと、テレワークなどのITツール活用ばかりが注目されがちです。しかし、上司にお伺いを立てたり、すり合わせをしたりといったコンセンサス作りに時間をかける企業カルチャーが残ったままだと、たとえテレワークを活用しても、実稼働時間はあまり変わらないでしょう。働き方改革は意識改革ですから、若手から管理職まで、一人ひとりが自分のポジションで意識しながら働き方を考えないと、長時間労働は解消できません。


――IGPIでも働き方改革は進んでいますか。


私は東京と上海を頻繁に行き来していますので、社内・社外含めた打ち合わせではWeb会議システムをよく活用しています。移動に使う時間が必要なくなるし、リアルの会議で10人くらいの参加者が集まると、何となくグダグダと無駄話をしたりしまいがちですが、そういったアイドリング時間がなくなります。グローバル展開しているような会社だと、世界のあちこちにいる取締役が一箇所に集まるのは物理的に不可能ですから、Web会議をはじめとするITツールを活用して、時短に繋げているというのが現状ではないでしょうか。


――最後に、これから改革に取り組んでいくミドルリーダーへのアドバイスをお願いします。


現場で業績が悪化していても「まあいいか」を続けていると、数年後には大問題になったりします。そのとき、現在の経営トップはすでに現役から退いているかもしれませんが、ミドルたちはまだ先が長く、自分たちの問題として直面しなければならなくなります。つまり、「このままではまずい!」とミドルが危機意識を持って、5年先、10年先を見ながら対応することは、将来自分自身のためにもなることでもある、ということを忘れないでほしいですね。




■お気に入りの記事はこれ!


――「アスクル みんなの仕事」でお気に入りの記事を教えてください。


ひとつだけ挙げるというのは難しいのですが、「専門家に聞く!」のインタビューは、皆さんが教科書的な答えではなく、多様な意見を述べられているのがとても興味深かったです。


参考:専門家に聞く!




株式会社経営共創基盤(IGPI)パートナー 取締役マネージングディレクター 木村 尚敬(きむら なおのり)氏

著書とともに。株式会社経営共創基盤(IGPI)パートナー 取締役マネージングディレクター 木村 尚敬(きむら なおのり)氏








「ダークサイト・スキル」は、とてもインパクトのあるネーミングですが、お話を伺ううちに、それがむしろ非常に人間臭いヒューマン・スキルだということがわかりました。本書は、現場の抵抗勢力を味方につけ、トップを動かして、企業改革に挑んでいくミドル世代におくる、力強いエールだと思います。







プロフィール


木村 尚敬(きむら なおのり)

株式会社経営共創基盤 パートナー 取締役マネージングディレクター
IGPI上海執行董事兼総経理
慶應義塾大学経済学部卒、レスター大学経営大学院修士課程修了(MBA)、ランカスター大学経営大学院修士課程修了(MSc in Finance)。ハーバードビジネススクール(AMP)修了。学生時代にベンチャー企業を創業し10年間の経営に携わった後、日本NCR、タワーズペリン、ADLにおいて事業戦略策定や経営管理体制の構築等の案件に従事。経営共創基盤参画後は、製造業を中心に全社経営改革(事業再編・中長期戦略・経営管理体制整備・財務戦略等)や事業強化(成長戦略・新規事業開発・M&A等)など、様々なステージにおける戦略策定と実行支援を推進。



著書

ダークサイド・スキル 本当に戦えるリーダーになる7つの裏技(日本経済新聞出版社)』[外部リンク]








編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局
取材日:2018年10月5日




         

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