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【岸本章弘のワークプレイス新潮流インタビュー[1]】大手町エリアの利点を最大限に活かしたサードワークプレイス「グローバルビジネスハブ東京」

グローバルビジネスハブ東京 エントランス

グローバルビジネスハブ東京 エントランス



昨今、コワーキングスペースやシェアオフィスなど、企業が自前でしつらえ占有する従来型オフィス以外の新しいワークプレイスが増えている。


イノベーションを生み出すために外とのつながりが重視され、多様性も必要だと言われる中、社外のビジネスコミュニティの中に自分をどう置き、その関係を活かしていくか。


東京大手町にある「グローバルビジネスハブ東京」の施設運営の責任者・島田映子氏、そして入居企業である株式会社アクセスブライトの代表・柏口之宏氏に、「サードワークプレイス」の現場で何が起こっているのか、どのような知見が得られているのかを伺った。


(聞き手=岸本章弘氏[ワークスケープ・ラボ])




■大手町に根づいてもらうためのエントリースペース


――じつは、私自身、このグローバルビジネスハブ東京を作る時に要件整理などを担当していたので、その後どんなふうに使われているのかという興味もあります。たしか計画当初はこれから日本でビジネスを始める新しい企業を支援する「(仮称)海外企業等支援センター」と呼ばれていましたよね。


島田 ここは2016年に大手町フィナンシャルシティグランキューブの竣工と同時にオープンをしました。もともとこの街区の開発を進める際に、海外企業の進出を助ける海外企業等支援センターを作ることが特区の要件となっており、後にグローバルビジネスハブ東京という正式名称となったのですが、海外から日本へ、または日本から海外へ展開していくスタートアップの皆さんのビジネス拠点としてもらいたいという趣旨で作りました。運営に関しては、三菱地所の直営ではなく、グローバルビジネスハブ東京という一般社団法人を立ち上げております。三菱地所としては、2007年にEGG JAPANというスタートアップ企業の支援を行う施設を新丸ビルにオープンしていますので、そのノウハウも活用しています。


島田映子氏(三菱地所)

島田映子氏(三菱地所)



オープン以来、この施設内で拡張されている企業もありますが、いくつもの企業がこのエリアの一般オフィスに移られています。我々の思いとしては、まずここでスタートアップの皆様にご入居していただき、徐々にビジネスを大きくしてこのエリアに根づいていただきたいということです。


この大手町・丸の内・有楽町のエリアは、元々、日本の伝統的な大企業の街というイメージが強いのですが、ダイバーシティが求められる社会で、海外企業やスタートアップ企業等、様々な企業が交流できることがエリアとしての魅力につながると思っていますので、単にオフィスをご提供するだけではなく、コミュニティやこのエリア中で他企業との交流などを促進したいと思っています。



――入居企業には特徴がありますか。


島田 6割ほどが日本以外に本社を持つ企業です。施設開業当初はアメリカのIT系企業が多かったのですが、今日お越しいただいたアクセスブライト様のように、中国を拠点とした企業や、最近ではイスラエルなど国のバラエティは広がってきていますね。うれしい効果としては、入居されている企業が別の企業を呼んできてくださることです。



――この施設では、各社の占有入居エリアとは別に、テラスラウンジ、コミュニティラウンジなどの共用スペース、イベントも開けるようなスペースがあります。実際にどんな使い方をしているのでしょうか。



テラスラウンジ

テラスラウンジ



フィールド

フィールド



島田 フィールドと呼んでいるイベントスペースは、入居企業の方々が主催するイベントによく使用されています。各社のサービスを普及させるためのイベントや、ユーザー向けの活用セミナーなど、頻繁にイベントが行われています。そのようなスペースがオフィスのすぐ横にあるのは便利だと好評です。また、イベントが行われていない際には、お打ち合せやソロワークが出来るオープンエリアとしてご利用頂いています。



コミュニティラウンジ

コミュニティラウンジ



――自社のオフィススペースからちょっと離れて、一人で作業するというような使い方もできそうですね。


柏口 実際に集中して資料を作りたい時にラウンジやフィールドに行くことがあり、普段から活用させて頂いています。



――普通の会社のオフィスでも、最近そのようなスペースが多く見られます。日本のオフィスはコミュニケーションしやすい対向島型のレイアウトが多かったのですが、仕事が高度化し、資料作りの際や考えをまとめる時に一人で集中する必要な時間が出てくる。Wi-Fiが当たり前になり、PCもポータブルが普通になったので、"こもりスペース"が結構人気です。



■ネットワーキングの場として

ネットワーキングの場として



――シェアスペースでは出会いがあったりするのでしょうか。ある程度顔見知りにならないと、なかなか次の段階には行かないのでしょうか。


柏口 僕だけかもしれませんが、まだ他の会社さんと話すところまでは至ることができていません。


島田 施設では懇親会なども企画しており、以前お話しした人とラウンジで顔を合わせて会話が始まることはあると思います。外資系のIT企業では人材が流動しますので、以前の仕事仲間を施設内で見つけて会話が始まるといった光景は、たまに見かけますね。



――コミュニティマネージャーのようなスタッフを置いて人と人をつないだり、マッチングしたりということに注力している施設もありますが、グローバルビジネスハブ東京ではどのような施策が行われているのですか?


島田 三菱地所では、この施設以外に、先ほどお話しした新丸ビルのEGG JAPANと、大手町ビルのFINOLABというフィンテックに特化した施設、同じ大手町ビルで2019年2月にオープンしたInspired.LabというAIやロボティクス等最先端の科学技術をベースに新規ビジネスの創出を目指す施設を運営しております。同じ部署でこの4施設を管轄していますので、コミュニティの懇親会等を定期的に開催しており、施設を越えた交流をしていただけることが特徴です。


また、EGG JAPANには東京21cクラブというビジネスクラブがあり、入居企業以外にも、新しいビジネスのアイデアや協業先を探している様々な業種・職種の方々が所属しています。そういった人たちも含めたネットワーキングの機会も設けていますので、施設の内外とつながるコミュニティを提供できていると自負しています。すぐに具体的な事業につながるとは限らなくても、思いがけない出会いが様々な場面を通じて現れるといいなと思っています。



――施設として、今後の変化に向けて力を入れていきたいことは?


島田 EGG JAPANが2007年にオープンした当初は、家具付きのスモールオフィスは珍しかったのですが、今ではサービスオフィスやコワーキング施設が普及してきています。オフィスのファシリティももちろん大事ですが、それ以外にも外部とのつながりやコミュニティ作りといった付加価値を強化していきたいです。とくに大手町・丸の内・有楽町というエリアには、約4300社の企業が集積しているという強みを活かして、多様につながることが出来る機会をもっと作っていきたいですね。ユニークなビジネスを展開している企業がたくさん集まっているので、ぜひ有効な交流を見出し、自社の良さを発信していただきたいです。



■フットワークの軽い企業には最適な場所


――アクセスブライトさんの事業紹介をお願いします。


柏口之宏氏(株式会社アクセスブライト 代表取締役)

柏口之宏氏(株式会社アクセスブライト 代表取締役)



柏口 私はセガ・エンタープライゼスで中国に駐在して、セガ・チャイナの社長を務めましたが、退職してそのまま中国でアクセスブライトを起業しました。ストラクチャー上は、将来の東証上場を見すえて日本アクセスブライトを本社とし、中国は100%子会社にしていますが、実体としては子会社のアクセスブライトチャイナが売上の100%を占めています。


中国では経済発展とともにエンターテイメントが伸び、映画もいよいよ2019年には北米を抜いて世界一になりそうな勢いです。2月だけの全興行成績で100億人民元(1600億円)、日本の年間2200億円とくらべると、すごい勢いで伸びています。


ゲームの分野は、最近ちょっと日本のプレゼンスが下がっていると感じていて、これがのちに全体に波及するんじゃないかと思い、ゲーム以外の分野も拡張していこうと、映画と舞台やライブを扱っています。初めて映画に参入して扱ったのが「君の名は。」で、非常にラッキーでした。今後は日中合作や中国産の映画を順次リリースしていきます。


舞台では、東野圭吾先生の作品を現地の俳優と監督で舞台化してロングランになっています。ライブは、韓流のように海外公演で収益を上げられる構造にしていきたい。12月には乃木坂46もやらせていただいて、今年は米津玄師さんのライブなどにも力を入れていきます。それがヒットすると、映画の主題歌やゲームのテーマ曲にというオファーも来て、相関性をもって事業につながっていきますから、すごく日本に貢献できると思っています。


中国では、かつて韓流スターが中国ですごく人気が高く、サムスンの携帯が売れ、LGの家電が売れ、ヒュンダイの自動車がすごく売れたんですね。ところが、今、韓国のコンテンツやアーティストが中国に入れない状態になっているので、そこがチャンスになっています。日本でもスケジュールがとれないようなアーティストや映画俳優を中国に連れていくことで、日本のイメージを上げ、日本の家電や自動車が売れるところまで持っていきたいですね。まだ道半ばというか、取りかかりが始まったばかりですけれども。



――中国で日本そのもののブランディングを担っていきたいというビジョンには、日本人としてとても期待しております。そんなアクセスブライトさんは、なぜここにオフィスを構えられたのでしょうか。


柏口 体の半分以上を中国に置いている会社ですが、東京に本社がほしい、オフィスの拠点がほしい。じつは以前、品川に普通のオフィスを借りていたのですが、どんどん取引先さんも増えてきて、どんどん拡張していきたいという時に保証金を払わなければならなかったり、お金がかかりすぎてしんどかった。



――たしかに自前では設備を揃えるのは大変ですね。


柏口 会議室をいちいち内装したり、椅子を買ったり机を買ったり、そんなことをしていたら中国の速度には絶対についていけない。固定費の負担もすごくて、これは苦しいなと。そんなときにこの施設のことを知り、これはいいと思いました。会議室も十分ある。イベントがあると全員が中国に行ってしまう会社ですから、その間も会議室の家賃がかかってしまうのは正直しんどかったわけです。ここにいると、そういうことを非常に効率よく運営できるのがありがたいですね。



――多拠点で活動して常に動き回るようなフットワークの軽い企業にとっては、柔軟に使えるオフィスの存在はきわめて重要な戦略ですね。そういう柔軟性ということもあるし、動き回るための交通や立地の面からも、ここを選んだ意味があったわけですね。


柏口 そうですね。日本にいるときでも、効率よく取引先さんを回っていきたいんです。ゲーム、舞台、ライブ、映画と多分野にわたり、お付き合いする会社もすごく多いので、限られた時間内で効率よく回るには、大手町は地下鉄が5路線直結していて、東京駅ではJRや新幹線も利用できるので、非常に便利ですね。その点もすごく気に入っています。



■大手町という立地と、グレードの高い設備

島田映子氏(三菱地所)



――この施設で気に入っている使い方はありますか?


柏口 先ほど言ったとおり、横から茶々を入れられずに集中できる場所があちこちにあるので重宝しています。あと、日本にいるときは中国と電話会議をすることが多いので、フォンブースもとても助かっていますね。ほぼ毎日使っています。中国人は声が大きいんで、周りに迷惑がかかっちゃうんです。



フォンブース

フォンブース



柏口 あと会議室も小さなものから大きなものまでバリエーションがあるのもありがたいです。大人数で東京に来る中国企業も結構いるので、そういうときもしっかりと対処できます。自分で内装して作ったら大変なことになるし、あんなに広い会議室を普段は使わずに家賃を払うのはつらい。



――固定費をかけずに施設が柔軟に対応できることは、きわめて重要ですね。急ごしらえのオフィスではなく、しっかりしたイメージも与えることができる。


柏口 おっしゃるとおりで、中国のショービジネスのトップが来日するというときに、僕らのベンチャー企業の財務体力からすると、恥ずかしくない会議室を用意することは難しいわけです。この施設の会議室なら全然問題はありません。一種の虚勢かもしれませんが、そういう意味でもありがたいですね。



――ここで会議をして、となりの星のや東京に泊まるとか。


柏口 そうなんです、中国では良いホテルだということで有名で、よく知っているんですよね。



――そういった場所が近いだけでも、イメージアップに貢献しますね。


柏口 そうですね。「すごいところで仕事をしているんだね」と言ってくれるので、よかったと思います。



■卒業せずに、長く入居していたい

柏口之宏氏(株式会社アクセスブライト 代表取締役)



――今後のビジネスの展開も含めて、この場所に期待することは何でしょうか。


柏口 ゲーム業界の都市伝説に、自社ビルを持つと大体傾くというものがあります。当たったりこけたりする世界ですから、大ヒットが出て自社ビル建てちゃうと固定費が重くなって、ヒットが続かないと傾いていくわけです。僕らも「君の名は。」のおかげで売上高が突出してしまい、そんな大ヒットが毎年出るはずがないから反動が出てしまう。そのためにも別な分野を展開しているわけですが、そういう意味で、過去の事例を反面教師にしつつ、この効率的なオフィスにもうしばらくいたいと思っています。


島田 ここの設計はもともと1部屋当たり最大19名という設計ですので、基本的に社員数が20名を超えると、自社でオフィスをもちませんかというお話をさせていただいています。でも、もう少し長くフレキシブルなスペースにいたいというニーズが出てきていますので、より長い期間柔軟な形態でオフィスをご利用いただけるような試みも始めています。



――ワークプレイスのプロバイダー側も柔軟な選択肢を提供していく必要がありますが、そうはいっても、空室が出ると収益に影響しますから、マッチングは重要ですね。バリエーションも豊富な、新しいプラットフォームとしてのワークプレイスが望まれていると思います。成長が著しい、元気のある会社が集まるところにはそういったものが必要なのですね。



■ワーク・ライフ・バランスに応じた多様性のある街へい


柏口 じつは、ソファがあってコーヒーが無料で飲めるテラスラウンジを愛用しているんです。日本では時短流行りで残業時間を減らしていますが、中国では、アリババやテンセントのような大手企業ほど、会社にベッドを置いて3日も帰らないような猛烈な働き方をしているんです。ブラック職場どころではない、日本の労基法を適用したらとんでもない働き方をがむしゃらにやっているから、WeChatメッセージが日々バンバン飛んできますし、どこにいても電話がかかってくる。そういう中で、リラックススペースで息抜きできるのは本当にありがたいので、ああいうスペースが充実するとうれしいですね。



テラスラウンジ

テラスラウンジ



――ライフとワークが混在または融合していて、自分の中で柔軟に切り替えられる状態のほうが、がむしゃらも含めていろんな働き方ができるということでしょうね。そんなスタイルに合いそうなワークもリラックスもできるカフェ的なスペースは最近増えています。


島田 最近では、スーツではない方も増えていますね。グローバルビジネスハブ東京でも、Tシャツにジーンズという方もたくさんいらっしゃいます。それで違和感があるかというと全然そんなことはない。そんな雰囲気に変わってきている実感はとてもあります。



――大手町ビルあたりにもいろいろなものができていますね。先ほど挙がったFINOLABなど、従来の大手町的ではないベンチャーという雰囲気ですが、金融分野に特化することで上手くつながっている。そんなふうに少しずつ広がっていくことによって、いろいろな人たちを街で見かけるようになって面白い街になっていくのでしょう。交通の便では、圧倒的な中心地でもあることは変わりませんから。








【インタビュー後記】シェア型サードワークプレイスのポテンシャルとは


成長の早い組織のダイナミックなビジネス活動の拠点に求められる条件とは何だろう?


変化の速さに柔軟に対応できる、自由度の高い賃貸借形態。多様な行為をオンディマンドで受け入れてくれる、バリエーション豊かな用途空間。ビジネスパートナーや市場とのつながりを支える場と機会の提供。フットワークの良さを活かせるロケーション。そして、それらを統合する舞台としての空間イメージと立地エリアのブランド。


シェア型のサードワークプレイスのポテンシャルについて、こうした条件に応える提供者と、それらを活用する利用者、双方の視点から考えさせてくれる好例と感じた。


(岸本章弘)







インタビュアー プロフィール


岸本 章弘(きしもと あきひろ)

ワークスケープ・ラボ代表

オフィス家具メーカーにてオフィス等の設計と研究開発、次世代ワークプレイスのコンセプト開発とプロトタイプデザインに携わり、オフィス研究情報誌 『ECIFFO』 編集長をつとめる。2007年に独立し、ワークプレイスのデザインと研究の分野でコンサルティング活動をおこなっている。

千葉工業大学、京都工芸繊維大学大学院にて非常勤講師等を歴任。

著書『NEW WORKSCAPE 仕事を変えるオフィスのデザイン』(2011)、『POST-OFFICE ワークスペース改造計画』(共著、2006)

ワークスケープ・ラボ


岸本章弘氏[ワークスケープ・ラボ]

岸本 章弘(きしもと あきひろ)氏[ワークスケープ・ラボ]





取材協力

グローバルビジネスハブ東京

株式会社アクセスブライト








編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局
取材日:2019年2月26日




         

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