外観

maraco

尾道出身のオーナーが、訪れる人を温かく迎えるバー、'maraco'。
メインターゲットは尾道へ観光にやってくる人である。そのため、まず考えたのは観光地のバーとして求められることは何かということだ。観光客は「その土地でしか体験できない何か」を体験し、「非日常感」を味わいたいのではないか。それを満たすためには尾道らしさを感じてもらえ、尾道でしか体験できない空間を提供しなければと考えた。
敷地である尾道は、海に面した斜面地に古民家が多く軒を連ね、多くの路地を形成する趣あるまちである。このまちに縦横に伸びる路地を、敷地境界線を越えて店内にまで侵食させてみた。家型のヴォリュームを立ち上げることで、店内に'ロジ'の空間を作り出したのだ。
家型のヴォリュームはファサードから店内へと貫通しており、外は濃紺、内は真っ白な塗装でクリーンに仕上げた。反対に既存コンクリート壁を基調とした'ロジ'の空間にはエキスパンドメッシュや足場板など、屋外を連想させる素材を使用し、'イエ'と'ロジ'との、明快で力強いコントラストを1つの空間に立ち上げた。
また、家型部分はキッチンと個室、路地部分にはカウンター席とテーブル席を配し、訪れる人と迎え入れる人の関係が視覚化された空間構成になっている。
オーナーは家の内側から、立ち寄りそして去って行くお客様とのひと時ひと時を見守り、共有する。
尾道のまちをぶらぶらと散策し、そのままこのバーにふらりと立ち寄ってほしい。そして尾道らしさを心ゆくまで楽しんでほしい。

KEYWORDS:錆 尾道 モザイクタイル ＭＡＲＡＣＯ カフェバー

COLOR:黒、グレー

この仕事場をデザインした会社

株式会社アイシード