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フリーアドレスのオフィスとは? メリット・デメリットや成功のポイント

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オフィスへのフリーアドレス導入によって、得られるメリットは少なくありません。ただ、フリーアドレスの導入で発生するデメリットもいくつか考えられるため、漏れなく把握しておく必要があります。本記事では、フリーアドレスの概要やメリット・デメリット、導入方法などについて解説します。







■フリーアドレスとは

フリーアドレスとは、個々の従業員に決まった座席を与えず、作業場所を自由に選んでもらうスタイルを指します。従来は、従業員一人ひとりに固定席を割り当てるスタイルが一般的でしたが、このスタイルでは固定席が存在せず、そのときどきで空いている席を使用します。


当該スタイルを導入すると、従業員はこれまでのように荷物を自分の机で保管できません。そのため、多くの場合は荷物を収納できる専用スペースで保管します。


混同されやすいワークスタイルに、ABWがあります。ABWとは、Activity Based Workingの略であり、働く場所の選択を従業員の裁量に委ねるワークスタイルです。


座席が自由な点は同じですが、ABWではオフィスだけでなく、自宅やカフェなども作業場所として選べる点が異なります。つまり、さらに自由度の高い働き方を実現できるワークスタイルです。




■フリーアドレスが成功しやすいケース

成功しやすいのは、ペーパーレスを導入している企業です。席を自由に移動できるスタイルであるため、ペーパーレスでないとその都度紙の書類を持ち歩かなくてはなりません。ペーパーレスであれば、パソコンやモバイル端末があればどこでも作業を行えます。


モバイルワークを導入している企業も向いています。タブレット端末やスマートフォン、ノートPCなどを用いて業務を行うスタイルなので相性がよいです。


また、もともと自由なワークスタイルが文化として根付いている企業なら、新たなスタイルを導入しても混乱が起きにくく、スムーズになじんでいくと考えられます。




■フリーアドレスが失敗しやすいケース

経理など専門性が高い部署へ導入すると、失敗するおそれがあります。経理部門は紙ベースで業務に取り組んでいるケースが多いため、固定席での就労が向いています。また、数値を扱う経理は間違いが許されず、集中力を発揮しなくてはならないため、頻繁に座席が変わる新たなスタイルとの相性はよくないと考えられます。


また、機密性の高い文書や情報を扱う部署にもおすすめしません。さまざまな部署の従業員と隣りあうことが多く、PCで作業中に重要なデータを見られてしまうおそれがあります。重要なデータが入ったUSBメモリや文書をデスクの上に置いたまま、気軽にトイレへ行くといったことも難しくなるため注意が必要です。




■フリーアドレスのメリットと目的

従業員同士の交流が活性化し、新たなビジネスのアイデアが創出される可能性があります。また、スペースの有効活用やコストダウンにつながるのもメリットです。



●従業員の交流活性化


自由に座席を変えられるワークスタイルの導入によって、日々さまざまな部署の従業員と会話するきっかけができます。普段あまり関わりがない従業員との交流により、新たな気づきを得られたり、モチベーションアップにつながったりといったメリットがあります。


また、異なる部署で働く従業員と積極的にコミュニケーションをとることで、新たなビジネスアイデアのヒントが生まれるかもしれません。今までになかった画期的なアイデアが誕生し、ビジネスに革新を起こせる可能性が高まります。


部署同士の連携強化につながるのもメリットです。異なる部署の従業員同士が交流をもつようになれば、良好な関係を構築でき、連携が強化します。強固な協力体制を築くことで、業務効率の高まりも期待できます。



●スペースの有効活用


個々に座席を与える従来のスタイルでは、オフィスにデッドスペースができやすいデメリットがあります。一方、座席を自由に選べるワークスタイルでは、固定席を使用しないためデッドスペースをなくすことができ、空間をより有効に活用できます。


作業スペースを柔軟に利用できるのもメリットです。たとえば、営業担当が外回りに出かけてスペースに余裕ができたので、移動して広々と使う、空いているスペースを使って打ち合わせを行う、といったことが可能です。



●オフィスの環境美化


従来のスタイルでは、従業員がデスクにさまざまな私物を置くことが多く、オフィスの景観を損ねることがありました。一方、固定席を廃止すれば、デスクや周辺に私物を置けなくなるため、オフィスの環境美化につながります。


従業員が思い思いに私物をデスクで管理している状態は、あまり印象がよくありません。社内の人間は気にならないかもしれませんが、外部から訪れた人が見ると、だらしない、雑然としている、といったネガティブな印象を抱かれるおそれがあります。


オフィス環境が美しく整っていれば、取引先や顧客などが来社したときも安心です。好印象を抱いてもらえ、評価が高まる可能性もあります。



●コストダウン


固定席をなくしてスペースを有効活用できるようになれば、オフィスを縮小化できます。これまでよりも狭いオフィスで、従来通りの業務を遂行できるため、拠点を縮小してコストダウンを実現できます。


企業活動で発生するコストのなかでも、オフィスの賃料は大きなウエイトを占めます。拠点の縮小でコストダウンできれば、新たな商品やサービスの開発、プロモーションなどに多くのリソースを投入できます。


また、この環境下では個々の従業員にデスクを与える必要がないため、備品のコストも削減できます。



●組織変更への対応もスムーズ


部署の分割や合併など組織変更への対応がスムーズなのもメリットです。部署を分割するとなれば、新たな部屋や備品を用意しなくてはならず、資料などの運搬もしなくてはなりません。一方、固定席を廃止する形式は個々の座席が決まっていないため、大きな手間が発生しません。


部署が合併するケースでも同様です。合併に伴い部署の人数が増えれば、部屋のレイアウト変更や備品の追加などの手間が発生しますが、固定席がない環境下ではこのような手間が不要です。




■フリーアドレスのデメリット

当該スタイルの導入で得られるメリットは多々あるものの、デメリットもあるため注意が必要です。メリットのみならず、デメリットも踏まえたうえで検討を進めましょう。



●部下の管理・把握が難しい


固定席が決まっている従来のスタイルでは、部下が出社しているかどうかすぐに把握できます。一方、座席が自由なスタイルは毎日座る席が変わるため、出社しているかどうかを把握しにくい問題があります。


また、業務の進捗状況を把握しにくいのもデメリットです。自由に座席を変更できるゆえに接触の機会が減り、気軽に会話ができません。従来は気軽に声をかけて進捗をチェックできていたものが難しくなり、結果的に業務の停滞に気付けない、といったことが起きる可能性があります。



●セキュリティ面のリスクがある


従来型のワークスタイルでは、従業員の座席が決まっているため、別人が座っていればすぐに気付きます。一方、フリーアドレスはあらゆる部署の従業員が自由に座席を行き来するため、隣に座っているのが誰なのか分からない、といったことが起こります。


つまり、もし自社とまったく関係のない第三者が紛れ込んでいても、気付けない可能性があります。大勢の従業員が在籍している企業であれば、なおさら懸念は高まるでしょう。


このようなリスクを回避するには、入退室管理の徹底が必要です。入退室管理システムを導入すれば、入退室のログもチェックできるため、セキュリティリスクを軽減できます。




■フリーアドレスの導入方法と流れ

導入にあたっては、自社に導入できるかどうかを確認し、目的も明確にしなくてはなりません。また、従業員にきちんと説明したうえで理解を求め、そのうえで計画立案、備品の手配などを進めていきましょう。



●導入可否や目的の決定


企業によっては、そもそも導入に適さないケースも考えられます。たとえば、今の企業文化や風土を変えたくないと考える従業員が多いケースでは、導入が難しいかもしれません。自社の状況なども踏まえ、導入の可否を検討しましょう。


対象となる部署の選定も進めます。少人数で業務を遂行している、紙ベースで仕事をしているといった部署は適しません。機密情報の扱いが多い部署も同様です。


一方、ほとんどの業務をPCやタブレット端末で遂行できる、ペーパーレスへシフトしている部署は適しています。座席を移動するときも端末さえあれば仕事に取り組めるためです。



●社内への周知


導入が決定したのなら、しっかりと社内へ周知しましょう。いきなり新たなスタイルを導入するといわれると、従業員は混乱してしまうかもしれません。


また、新たなスタイルの導入に否定的な感情をもつ従業員もなかにはいると考えられます。一方的に導入を進めようとすると、余計に反感を買うことになり、取り組みがスムーズに進まなくなるかもしれません。


導入によって従業員にどのようなメリットがあるのか、目的は何なのか、といったことを丁寧に説明し、理解を求めることが大切です。導入後は定期的に意識調査を行い、新たなスタイルに対してどう感じているのか、不満を抱いていないか、などをチェックしましょう。



●計画立案


新たなスタイルへのシフトに向けて、具体的な計画を練るプロセスです。オフィスのレイアウトや座席、PCの必要数を決めます。


フリーアドレスには、オフィス内ならどこでも選択できる完全フリースタイルと、指定された範囲内に限り座席を選べるグループスタイル}があります。どちらを導入するかにより、レイアウトも変わってくるため注意が必要です。


また、導入の目的によって、ベストなレイアウトが変わります。重視するのは交流活性化なのか、コストダウンなのか、生産性向上なのか、目的からレイアウトを考えていきましょう。



●備品の手配・運用ルール策定


必要な備品を手配したら、運用ルールも策定しましょう。たとえば、「2日続けて同じ座席に座らない」や「私物を作業スペースに持ち込まない」などが考えられます。


運用ルールを決める際にも、導入の目的から考えましょう。交流活性化を重視するのなら、上述したような「2日続けて同じ座席に座らない」といった規則を設けるのは有効と考えられます。


いきなり組織全体で取り組むのに抵抗がある場合は、スモールスタートで進めるのもひとつの手です。たとえば、ひとつの部署だけ、特定のグループだけで始めるといった具合です。試験的に運用を続け、様子を見つつ対象の範囲を拡大していくとよいでしょう。




■フリーアドレス成功のポイント

座席を自由に選べる制度を導入したものの、まったくメリットが感じられない、とならないよう、成功のポイントを把握しておきましょう。



●目的を社内で共有する


いきなり新たなスタイルを導入すると言われても、従業員としては納得できない可能性があります。なかには不安を抱く従業員も出てくるかもしれないので、導入の目的やメリットを丁寧に伝え、浸透させることが重要です。


目的やメリットをきちんと伝えれば、従業員に納得してもらえる可能性が高まります。従業員が抱くであろう不安や不満を想定し、「そのようなことにはならない」と根拠を添えて説明することも大切です。



●席が固定されないようルールを定める


固定席を設けないスタイルを導入したにもかかわらず、従業員が毎日同じ座席に座ってしまう、同じグループで固まってしまう、といったケースは少なくありません。これではコミュニケーションの活性はとても期待できず、新たなアイデアの創出やイノベーションにもつながりません。


このような状況に陥らぬよう、ルールを設けましょう。「2日連続で同じ座席に座らない」や、「3日に一度は作業スペースを変更する」などが考えられます。


ただ、従業員のなかには、チームの連携が取りづらくなると不安を抱く方がいるかもしれません。このように感じる従業員が多いにもかかわらず、取り組みを強行してしまうと、反感を買うおそれがあります。


このようなケースでは、指定した範囲内で好きな座席を選べるようにするといった対応が有効です。従業員の心理面も理解したうえで、柔軟に運用する姿勢も大切です。



●チーム内での意思疎通を円滑にする仕組みをつくる


新たなスタイルの導入により、部署間の壁を越えた交流を実現しやすくなるのは大きなメリットです。一方で、毎日座る座席が変わることにより部署内のやり取りは減少してしまうため、注意が必要です。


部署内のやり取りが希薄になると、情報共有がしにくくなる、関係性が悪化するおそれがある、などのリスクが発生しかねません。業務効率の低下も招く可能性があるため、適切な対応が求められます。


たとえば、週に一度は同じ部署の従業員で集まる、1日に一度はチャットでやり取りするなど、工夫をしましょう。定期的な交流により、孤独感を抱いていた従業員は部署のメンバーとのつながりを感じられます。



●便利なツールを導入する


便利なツールの導入によって、スムーズな運用が実現します。たとえば、座席管理ツールを導入すれば、どこに誰が座っているのか把握でき、用事があるときも速やかに見つけられます。


コミュニケーションツールの導入もおすすめです。たとえば、チャットツールはリアルタイムでやり取りを行え、さまざまなデータファイルの共有もできます。


また、業務に要する荷物の置き場所がない、といった問題もよく発生します。このようなケースでは、天板のサイズが大きい共用デスクや、収納スペースに優れる個人ロッカーの導入が有効です。



参考:オカムラ スチール収納VILLAGE パーソナルロッカー

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■おわりに

座席を自由に選べるワークスタイルへのシフトによって、コミュニケーションの活性化やコスト削減などのメリットが得られますが、デメリットもいくつかあることを理解しておきましょう。目的の明確化と共有、適切なルールの策定、環境整備が成功のコツです。


フリーアドレス導入について、「アスクルオフィスづくりサービス」への相談も可能です。要望に合わせた最適な什器選定やレイアウトの提案、インフラ整備含めた各種工事、納品手配まで、プロの専任担当者がスムーズな導入をサポートします。



「アスクルオフィスづくりサービス」
https://www.askul.co.jp/f/services/furniture/




編集・文・画像:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 
制作日:2022年10月20日

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