「[前編]オフィスデスク実験: 幅80cm~140cmで使い方はどう変わる?実地シミュレーション ~検討開始~」から続き。
※シリーズ記事ほかに「[後編]オフィスデスク実験: 幅 80cm ~ 140cm で使い方はどう変わる?実地シミュレーション ~そして結論~」
今回実験の最小横幅ということで、A4サイズ ノートパソコンを置いてみた。A4サイズノートパソコン派として、机上面にまだ余裕があるので、マウスとB5ノートも置くことができた。とはいえ、机の左右すぐ隣に同僚がいるわけで、机の境界にはあまり物は置けなそうだ。紙資料はあまり広げられそうにない。
パソコンで仕事をする分には問題はない。資料を置く場所はほとんどないので、紙資料を使っての仕事にはあまり向かない。
※実験では横幅53cmの古いiMacをワイド23インチ液晶モニターの代用として利用している。
デスクトップパソコン派として、ワイド23インチ液晶モニター、フルサイズ109キーボード、マウスを置くだけなら机上面には余裕がある(デスクトップパソコン本体は足元に置いている設定)。お隣さんが近いので、キーボードは横幅の狭いテンキーレス92キーボードのほうが良いかもしれない。
写真では置いていないが、ビジネス電話機は机の後ろのほうにギリギリ置けそうだが、その場合は電話は取りづらいだろう。テレフォンアームなどで空中に浮かせたほうが良いかもしれない。
この横幅では、書類をデスク上には置くあまり余裕はない。そのため紙の資料を見ながら仕事をするには向かない印象だ。
パソコンで仕事をする分には問題はない。資料を置く場所はないので、紙資料を使っての仕事には向かない。ビジネス電話機はギリギリ置けるが、電話は取りづらい。
それでは次はデスク横幅100cmにして配置実験してみよう。
デスク横幅80cmから、プラス20cmで途端に机上面には余裕が出てくる。
A4サイズノートパソコン派としては、中央にA4ノートパソコンを置いて、前後左右に余裕があるので、左奥にビジネス電話機、左側手前にタブレット、右奥にA4ボックスファイルを2個、手前にA4サイズ紙資料を並べてみた。これなら大抵の仕事は普通に出来そうだ。電話も取るのにも不自由はない。A3以上の大きな図面を広げる必要がなければ、A4ノートパソコンで仕事をする限り、デスク横幅100cmで問題はなさそうだ。
机上面に余裕が出てきて、ビジネス電話機も問題なく使え、A4ボックスファイルやA4サイズ紙資料など、資料を見ながらの仕事も問題なさそうだ。
デスクトップパソコン派としては、デスク中央に、ワイド23インチ液晶モニターを置いた場合でも、左奥にビジネス電話機、左側手前にタブレットを置いても問題はなさそうだ。こちらも電話も取るのに不自由はない。右奥は液晶モニターの横幅分があるのでA4ボックスファイルは1個に減らすことになった。それでも手前にA4サイズ紙資料を置けたりする余裕はある(少しはみ出る)。この場合、奥行き60cmであれば、紙資料は置けないだろう。
キーボードはフルサイズ109キーボードにしているが、より幅の狭いテンキーレス92キーボードのほうが良いかもしれない。ただし、エクセルの数値入力をするなら、多少スペース的に余裕がなくても、テンキーのある109キーボードのほうが良さそうだ。テンキーレスキーボードに、USBテンキーパッドを追加するのも良いかもしれない。
A4ノートパソコンほどではないが、机上面に余裕が出てきて、ビジネス電話機も問題なく使え、A4ボックスファイルやA4サイズ紙資料など、ある程度の資料を見ながらの仕事も問題なさそうだ。もし奥行き60cmであれば、紙資料を参照しながら仕事をするのはやりづらいだろう。
デスク横幅100cmであれば、机上面に余裕があるので、A4ノートパソコンに、ワイド23インチ液晶モニターを使うというデュアルモニター派にしてみた。すると、十分置ける。ビジネス電話機はいちおう左奥に置いてある。ノートパソコンを置いている間、少し電話は取りにくい。ノートパソコンをノートパソコンアームに置いて空中に逃がすか、テレフォンアームで電話機を空中に逃がすと使い勝手が良いかもしれない。
外部キーボードとしてフルサイズ109キーボードは少しきつそうだ。スペース的には横幅が狭いテンキーレス92キーボードのほうが良いかもしれないが、このセッティングであれば、外部モニターを使うときは、エクセルの大きめな表を操作したりしたいときだったりするだろうから、やはりテンキーは欲しいだろう。USBテンキーパッドも選択肢になりそうだ。
ただし、この組み合わせでデスク横幅100cmでは、さすがにA4ボックスファイルを置く余裕はなくなってしまった。このセッティングでは、紙資料を使わなければデュアルモニターでパソコンでの仕事は格段にしやすそうだ。
この広さでは、A4ノートパソコンに、ワイド23インチ液晶モニターという使い方もできるようになるので、パソコンに関しての使い勝手はかなり良さそうだ。紙資料を置く余裕はないので、紙資料を使っての仕事には向かない。
それでは、次はデスク横幅120cmにしてみよう。
デスク横幅100cmの実験で、A4ノートパソコンで仕事をするのであれば、特段大きな紙資料を使わない限り、デスク横幅100cmで足りることが分かったので、次はデスクトップパソコンの場合から試していくことにする。
デスクトップパソコン派として、デスク中央にワイド23インチ液晶モニターを設置し、その左右にA4ボックスファイル、ビジネス電話機。手前に、A4サイズ紙資料、タブレット、フルサイズ109キーボードを置いても問題がない。
デスクが広くなって嬉しいので空いたスペースにコーヒーカップも置いてみた。すると、紙資料も使う一般的なデスクワーク風景が出来上がった。これくらいのデスク横幅があれば、ほかにサイドキャビネットなどの収納もつければ、経理系の業務も問題なさそうだ。
世の中的にも横幅120cm、奥行き70cmという仕様のデスクを多く見かけるのもうなづける。「パソコン+紙+固定電話」という仕事の仕方に合った広さなのだろう。これよりもデスクを狭くする場合は、ペーパーレス化したり、デスクトップパソコンをノートパソコンに変えたり、固定電話を携帯電話に変えるといったワークスタイル改革が必要になってくるわけだ。
机上面に余裕があり、ビジネス電話機も問題なく使え、A4ボックスファイルやA4サイズ紙資料など、ある程度の資料を見ながらの仕事も問題ない。「パソコン+紙+固定電話」という仕事の仕方に、必要なデスク横幅と思われる。
A4ノートパソコンに、ワイド23インチ液晶モニターを使うというデュアルモニター派でも、デスク横幅120cmであれば、A4ボックスファイルを2個置く余裕も出てくる。また広くて嬉しいのでコーヒーカップも置いた。すっかり自分のデスク気分になってくる(筆者のワークスタイルに近いのだ)。
この場合は、フルサイズ109キーボードも問題なく置けるので、エクセルの数値入力も便利そうだ。打ち合わせでA4ノートパソコンを持ち歩き、データ入力やエクセル操作するときは自席のワイド23インチモニターにつないで仕事するなど、使い分けもできる。
このセッティングはオフィス取材時にも良く見かける。「ノートパソコン+大型液晶モニター+紙 (+固定電話)」という最近多い仕事の仕方だ。モバイルワーク化が進み、メインのパソコンがA4サイズノートパソコンになりつつも、仕事上はエクセル資料などがあるために、作業しやすい大きな画面も欲しいというニーズに応えている。固定電話は置かないパターンもあるかもしれない。
ちなみに、この場合、ビジネス電話機は左奥に置いてるのでノートパソコンがあるときは、電話を少し取りにくい。ノートパソコンをノートパソコンアームに置いて空中に逃がすか、テレフォンアームで電話機を空中に逃がすと使い勝手が良いかもしれないというのは横幅100cmの場合と同様だ。
机上面に余裕があり、A4ボックスファイルなど、ある程度の資料を見ながらの仕事も問題ない。「ノートパソコン+大型液晶モニター+紙 (+固定電話)」という仕事の仕方に、必要なデスク横幅と思われる。
それでは、最後はデスク横幅140cmにしてみよう。
ここまで見てきて分かるように、大きな資料を広げるなどのニーズがない限り、いろいろなパターンを作っても、デスク横幅120cmあれば、満たされることが分かってきた。
デスク横幅140cmということで、デュアルモニター派としては、中央にワイド23インチ液晶モニターを配置し、机奥左右にビジネス電話機、A4ボックスファイルを3個半。机手前には、A4サイズ紙資料、雑誌、フルサイズ109キーボード、A4サイズノートパソコンと、置くことが出来た。もちろん、タブレットとコーヒーカップも置ける。
これくらい机上面に余裕があると、資料もいろいろ積み重ねられるし、紙資料が多いならとても便利そうなデスク横幅であることが分かる。もし、紙資料がもっと多いなら、A4ノートパソコンを使わず、デスクトップパソコンにして、右側手前にも資料が置ける。
机上面にとても余裕があり、A4ボックスファイル、A4サイズ紙資料など、紙資料の置き場には困らない。紙資料が多いならこれくらいのデスクサイズであれば良いのではないだろうか。
このように実験してみると、オフィスデスクに置かれた物から、日々の仕事をどのように進めているのかという「仕事の仕方」が浮かび上がってくる。
仕事に必要なデスクの広さというのは、仕事をスムーズに進めるために、デスク上に何を置かなければならないか、で決まる。そして、「置かなければいけない物」は、日々の業務をどういう風に進めるかという仕事の仕方(ここでは「ワークスタイル」とする)で決まると言っても良い。つまり、「仕事で必要なデスクの広さはワークスタイルで決まる」のである。
(※「ワークスタイル」というコトバは、多義的に使われ、仕事に対する価値観や姿勢という意味で使われることがあるが、ここでは単純に「ワークスタイル」を仕事の(具体的な)やりかた、という意味で使用している。)
例えば、請求書、受領書、稟議資料などを紙で扱っていれば、それらをファイルするものが必要になり、そのファイルをデスク上に置いて参照できることが、スムーズに仕事を進めるために必要になる。置かなければならないファイルの大きさから、必要なデスクの広さが決まってくるわけだ。紙を使うワークスタイルを変えることなく、デスクを小さくすることはできない。それゆえ、ペーパーレス化を進める企業でも、ワークスタイル上、紙を使わざるを得ない経理部門などはペーパーレス化が一番最後になったりするし、デスクサイズも大きいままで残るのだ。
取引先との連絡や社内の連絡に固定電話を使っていれば、デスク上にビジネス電話は置かなければならないものになる。固定電話を無くすのであれば、名刺に刷った番号だけでなく、取引先との間で、どう電話を受けてビジネスを進めていくのかというワークスタイルまで変える必要がある。それがない限り、デスク上のビジネス電話機は動かすことはできない。
また、こういうことも言える。パソコンをデスクトップパソコンから、A4ノートパソコンに切り替えることで、省スペースに出来ることは今回の実験でも明らかになった。しかし、A4ノートパソコンに切り替えた企業の中には、21インチ以上の大きい液晶モニターを併用している企業もしばしば見かけるのはなぜか。それは、社内で表計算の大きな分析シートを使っていたりしていて、その仕事のやりかたは変わっていないので、業務上、大きなモニターが必要になったりする事情が隠れていることが多い。とはいえ、大きなモニターを使用するのが悪ということではなくて、大きなモニターで大きな分析シートを使って行う業務が会社として必要であり効率的であれば、ワークスタイルを変更するより社員に大きなモニターを支給したほうが効率良いという判断の上だろう。また、画像処理ソフトを大画面モニターで使っている場合にも同様なことが言える。
ワークスタイルとして、「デスクトップパソコン+紙+固定電話」という形を取る限り、仕事に必要なデスクの横幅は120cm以上欲しくなる。減らしていく場合、デスクトップパソコンをノートパソコンに変え、業務をクラウド上で行い、紙を減らし、固定電話を携帯電話に変えていくといったワークスタイル変革が必要になってくると思われる。
[後編]オフィスデスク実験: 幅80cm~140cmで使い方はどう変わる?実地シミュレーション ~そして結論~
「オフィスデスク実験: 幅80cm~140cmで使い方はどう変わる?実地シミュレーション」
・オフィスデスクはどのくらいの広さのものが良いのか
・(その1) パソコンの横幅から考える
・(その2) 人間の肩幅から考える
・実地シミュレーション開始
・想定している働き方(ワークスタイル)
・[実験] デスク幅[80cm][100cm][120cm][140cm]それぞれで何が置けるかの実験(画像付き)
・[考察] 仕事に必要なデスクの広さはワークスタイルで決まる
・[★結論★] デスクの横幅ごとにできる作業(横幅80~140cmそれぞれの場合)
・[補論1] 机が常時広くなくて良い場合
・[補論2] デスクの横幅で使いこなせる最大幅はどれくらいか
最寄駅: 東京メトロ有楽町線「豊洲駅」 1C出口より徒歩3分 オープン時間: 午前10時~午後5時(土・日・祝日・年末年始・お盆等を除く) ※見学は要予約です (電話またはウェブフォームより受付)
編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局
作成日:2017年8月10日
≪ご注意≫本記事内容は「みんなの仕事場」運営事務局による実験の結果を参考としてご提供するものであり、実験結果を保証するものではありません。また、アスクル株式会社の立場や意見を代表するものではありません。
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