「[中編]オフィスデスク実験: 幅80cm~140cmで使い方はどう変わる?実地シミュレーション ~いざ実験へ~」から続き。
※シリーズ記事「[前編]オフィスデスク実験: 幅 80cm ~ 140cm で使い方はどう変わる?実地シミュレーション ~検討開始~」
A4ノートパソコン派 | デスクトップパソコン派 (ワイド23インチ液晶モニター) | A4ノートパソコン+外部デュアルモニター派 | |
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横幅80cm | △紙資料には向かない | △紙資料には向かない | ×ほぼ無理 |
横幅100cm | ◎十分 | ○少し狭い | △紙資料には向かない |
横幅120cm | ◎十分 | ◎十分 | ◎十分 |
横幅140cm | ◎十分以上 | ◎十分 | ◎十分 |
A4サイズノートパソコンや、デスクトップパソコンで仕事をする分には問題はない。ただし、机上で、紙資料の置き場所をほとんど取れないので、紙資料を使っての仕事には向かない。また、ビジネス電話機もギリギリ置ける程度で、電話は取りづらい。テレフォンアームで浮かせるなどしたほうが良いかもしれない。
A4ノートパソコン派
デスクトップパソコン派 (ワイド23インチ液晶モニター)
A4サイズノートパソコンやデスクトップパソコンでも、ビジネス電話機も問題なく使え、A4ボックスファイルやA4サイズ紙資料など、資料を見ながらの仕事もたくさんの資料を広げない限り問題ない。
A4サイズノートパソコン+ワイド23インチ液晶モニターというデュアルモニター派のワークスタイルも可能だが、紙資料を置く余裕はなくなるので、その場合は紙資料を使っての仕事には向かない。ただし、パソコン作業に関しての使い勝手は良さそうだ。
A4ノートパソコン派
デスクトップパソコン派 (ワイド23インチ液晶モニター)
A4ノートパソコン+外部デュアルモニター派
⇒デスク横幅100cm の実験結果[中編]へ戻って詳しく見る
机上面に余裕があり、ビジネス電話機も問題なく使え、A4ボックスファイルやA4サイズ紙資料など、ある程度の資料を見ながらの仕事も問題ない。「パソコン+紙+固定電話」というワークスタイルに、必要なデスク横幅と思われる。
A4サイズノートパソコン+ワイド23インチ液晶モニターというデュアルモニター派でも、あまり多くない程度の紙資料を見ながらの仕事も可能だ。
デスクトップパソコン派 (ワイド23インチ液晶モニター)
A4ノートパソコン+外部デュアルモニター派
⇒デスク横幅120cm の実験結果[中編]へ戻って詳しく見る
机上面にとても余裕があり、A4ボックスファイル、A4サイズ紙資料など、紙資料の置き場には困らない。紙資料が多いならこれくらいのデスクサイズであれば良いのではないだろうか。
A4ノートパソコン+外部デュアルモニター派
⇒デスク横幅140cm の実験結果[中編]へ戻って詳しく見る
以上、「オフィスデスク実験: 幅80cm~140cmで使い方はどう変わる?実地シミュレーション」と題して、前・中・後編に渡って、デスクの横幅ごとに何が置けて、どういうワークスタイルが取れるかを調べてみた。本記事が読者の皆さんのデスク選びの役に立てることを願っている。
以下、おまけとして補論をつけた。興味のある方は一読いただけると嬉しい。
もし、紙資料や大型モニターが必要な仕事があるとしても、1日の中で数時間くらいで、常時ではない場合、そうした作業に便利な共有スペースを用意しておき、執務スペースはコンパクトにすることも可能だ。
最近は、「アクティビティ・ベースド・ワーキング(ABW: Activity Based Working 活動を基準にした働き方)」というワークスタイルも提唱されるようになってきている。非常にざっくりと説明すると、オフィス内にいろいろな働き方ができる環境を用意しておき、各人のそのときの仕事に合った場所を選んで仕事をするやり方だ。基本的にはフリーアドレスとセットで導入されることが多いが、固定席制でも導入される場合がある。
仕事の性質にもよるが、常時同じ作業ではなく、一日の中で、事務作業をしたり、企画書を立案したり、社内打ち合わせしたり、などいろいろなタイプの作業をする場合、その時々で「仕事をスムーズに進めるために、デスク上に何を置かなければならないか」というのが変わってくる。そのときに必要なものがあるスペースに、または、そのときに必要なものを置くことが出来る場所に移動して仕事をするということも可能なわけだ。
例えば、A4サイズノートパソコンを使用して、どこでも持ち歩けるようにしておき、図面などを見て検討するなど大きな机上面が必要な作業用に、広い机をフリーで使えるよう用意されていて、そこに移動して作業したり、エクセルなどのデータを検討したいときのために大画面モニターを使って作業できるスペースが用意されていて、必要なときだけそちらに移動したりする、などだ。
つまり、常時同じ作業をしない働き方であれば、全員に常に最大公約数的な最大のスペースを用意しておかなくてもいいということになる。そのときどきで、業務にぴったりの執務スペースを自由に選んで使うことで業務を効率化するというのが、アクティビティ・ベースド・ワーキング (ABW) のメリットだ。
ただし、例えば経理部門で常時書類仕事があるといった場合、デザイン部門で常時大画面、ハイパワーのパソコンでデザインする仕事をする必要があるといった場合などは、前者であれば書類棚に囲まれた広めのデスク、後者であれば大画面が用意された集中作業できる執務スペースという固定席があったほうが良いということになるので、あくまでワークスタイルを分析した上で導入する必要がある。
今回、デスクの最小横幅を中心に検討したが、逆に、デスクの横幅で使いこなせる最大幅はどれくらいと考えれば良いのだろうか。
極端な例で言えば、横幅5メートルなど広いデスクがあっても、物置きとして使う以上の意味はないように思われる。そもそもデスク上というのは、ワークエリアであり、仕事を進めるのに必要な資料や道具などを配置するためにある。もしA0サイズ(841×1,189mm)の大きな図面を検討しなければいけない仕事であれば、それに見合った大きさの机が必要になる。しかしそうした極端に広い平面が必要な仕事を除き、机の前に座って仕事をするということになれば、座って手が届く範囲の広さが、実用的な机の最大サイズなのではないだろうか。
そこで、日本人の身体寸法データ(*1)で、両腕を水平に広げて左右の手の指先から指先までという「指極」の長さを見てみると、平均値1637.54mm 標準偏差 105.30mmとある。とすると、座って手が届く範囲は、横幅160cmくらいまでが妥当ではないかと思われる。
*1) 平成18年度経済産業省委託事業「人間特性基盤整備事業成果報告書」社団法人人間生活工学研究センター (肩幅は、No.82のデータ 。指極は、No.102)
念のため、インテリア関係の寸法データがまとめてある「コンパクト建築設計資料集成<インテリア>] (社団法人日本建築学会編著, 2011, 丸善) を参照してみたが、「机上面の手の水平動作域」として、もっとも腕を伸ばした姿勢で男169cm 女156cmというデータがあり、こちらからも横幅160cmくらいが実用上の最大幅と考えてよさそうだ。
「オフィスデスク実験: 幅80cm~140cmで使い方はどう変わる?実地シミュレーション」
・オフィスデスクはどのくらいの広さのものが良いのか
・(その1) パソコンの横幅から考える
・(その2) 人間の肩幅から考える
・実地シミュレーション開始
・想定している働き方(ワークスタイル)
・[実験] デスク幅[80cm][100cm][120cm][140cm]それぞれで何が置けるかの実験(画像付き)
・[考察] 仕事に必要なデスクの広さはワークスタイルで決まる
・[★結論★] デスクの横幅ごとにできる作業(横幅80~140cmそれぞれの場合)
・[補論1] 机が常時広くなくて良い場合
・[補論2] デスクの横幅で使いこなせる最大幅はどれくらいか
最寄駅: 東京メトロ有楽町線「豊洲駅」 1C出口より徒歩3分 オープン時間: 午前10時~午後5時(土・日・祝日・年末年始・お盆等を除く) ※見学は要予約です (電話またはウェブフォームより受付)
編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局
作成日:2017年8月10日
≪ご注意≫本記事内容は「みんなの仕事場」運営事務局による実験の結果を参考としてご提供するものであり、実験結果を保証するものではありません。また、アスクル株式会社の立場や意見を代表するものではありません。
2016年11月17日のリニューアル前の旧コンテンツは
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