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財布の1,000円から始められる、フィンテック個人投資入門 [ビジネスのコツ]

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財布の1,000円から始められる、フィンテック個人投資入門 [ビジネスのコツ]

画像提供:Egor / Adobe Stock (※)


「貯蓄から投資へ」の掛け声にもかかわらず、投資が進まなかった日本


投資に興味がない人も、一度や二度は耳にしたことがあると思います。 この言葉の歴史は意外と古く、政府がスローガンとして打ち出したのは2000年のこと。


当時、日本人の個人資産の中で貯蓄の割合は53%と半分以上を占めていました。その一部を投資に回し、個人の資産形成と日本経済の振興を推進しよう、というのがスローガンの趣旨でした。


日本銀行が今年3月に発表した「資金循環統計」によれば、2017年末時点の貯蓄率は46.5%。政府や金融各社が必死に旗を振ったにもかかわらず、17年間かけてわずか5%強しか変化しなかったのです。


参考:「資金循環newwindow(日本銀行 Bank of Japan)[外部リンク]



2016年には、金融庁が「投資」の部分を言い換えた「貯蓄から資産形成へ」というスローガンを改めて発表して、長期的視点での積立や投資の必要性を強調しました。


このように、日本人の貯蓄指向は根強く、投資はなかなか一般層にまで広がりませんでした。しかし、実は近年、徐々に変化の兆しが見えてきています。



フィンテックが変える「投資」のイメージ


こうした変化をもたらしているのは、ネットやAIを初めとする最新テクノロジーで金融サービスを進化させている「フィンテック」の力です。最近よく聞く言葉ですが、フィンテックとはFinance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせた造語「ファイナンス・テクノロジー」の略です。


長らく収益の源だったデイトレーダーの売買手数料が上限に達しつつあったネット証券は、次の成長の種として投資未経験者に着目しました。今、従来の営業手法ではカバーできなかった層に、フィンテックを活用して、PCやスマホを通じてサービスを提供しています。


各社の競争により、資金や投資に関する知識がなくても、また企業情報を収集・分析せずとも投資を始められる新サービスが次々に誕生しています。 「投資」に対するイメージは、今、確実に変わり、たとえば1,000円の余裕があり、スマートフォンを操作できさえすれば、誰でも気軽に投資を体験できる時代が到来しつつあるのです。


以下に、投資初心者や未経験者でも安心して使える、注目サービスを紹介していきましょう。



スマホのために開発されたゲームのような投資サービス


気軽に「投資」できる環境と言えば、まず頭に浮かぶのはスマホアプリです。今どきの証券会社はネット証券でなくても専用アプリを用意しており、検索すれば多くのアプリがヒットします。中でも使いやすさ、わかりやすさで突出しているのがワンタップバイのアプリです。


参考:「スマホ証券 One Tap BUYnewwindow[外部リンク]



ワンタップバイは、スマホアプリ専業のネット証券で、日本株取引用と米国株取引用の2本のアプリを提供しています。


通常の証券会社のアプリ開発は、既存のサービスをスマホに盛り込むという流れですが、同社は初めからスマホのために、ターゲットを初心者や未経験層に絞り込んだサービスを一から開発しました。サービスとスマホアプリが一心同体の高い完成度を誇ります。


株取引に必要な操作は、「銘柄選択」→「売り/買いの選択」→「投資額設定」という3ステップだけ。一般的なネット取引アプリは、10ステップ程度の操作が必要になるので、同社のアプリがスマホでの操作に最適化されていることがわかります。


銘柄選択には、企業を指定する方式と、平均株価に連動する3種類の「株式上場信託(ETF)」から選ぶ方式の2種類が用意されています。初心者が株を売買する際、企業選びは最初の難関です。何百とある企業の中から、情報を収集・分析して絞り込むのは、経験のない人にとって腰が引けてしまうかもしれません。


ワンタップバイのアプリでは、選べる銘柄が日米版ともに30社に限定するという工夫がこらされています。米国株ならアップルやamazonなど、日本株ならトヨタ、任天堂などの知名度の高い会社が並びます。ストレスがなく銘柄選びができ、有名企業の株主になれるというモチベーションも上がるかもしれませんね。


「ETF」は一見難しそうですが、メニューには「相場が上がったら儲かる」「相場が上がったら3倍儲かる」「相場が下がったら3倍儲かる」と表示されており、イメージがつかみやすくなる配慮がされています。シンプルな分、意味深な表現なので、「なぜ下がったら儲かるの?」と利用者の好奇心を刺激する効果もあります。


投資額の単位も低く押さえられており、1,000円以上、1,000円単位で設定できます。小学生のお小遣いのレベルです。こうしたシンプル操作を実現できているのは、市場での売買するのではなく、同社と利用者間の相対取引に限定しているため。その結果、様々な制約を省くことができたのです。


ワンタップバイは女性誌にも取り上げられ、ハードルの低さが口コミで広がっています。同社によれば、口座開設者の約7割が投資未経験者で、2017年第2四半期の口座開設数ではSBI証券、楽天証券に続いて第3位となったとのこと。


アプリを操作していると、投資市場の一部を切り取った箱庭の中で投資ゲームをプレイしているような気がしてきます(もちろん現実に取引されているのですが)。「投資とはこうあるべき」という固定観念を突き崩すインパクトのあるサービスと言えます。



ロボットアドバイザーをパートナーにする「悩まない投資」


そこまで初心者向けじゃなくても、と思う人なら、「ロボットアドバイザー(ロボアド)」のほうが向いているかもしれません。


ロボアドとは、AIが利用者の資金やリスク許容度、投資への考え方を判断して、最適のポートフォリオを自動で構築してくれるサービスです。


ロボアドには「アドバイス型」と「お任せ型(一任運用型)」の2種類があります。


「アドバイス型」は、ロボアドが担当するのは提案までで、選択して運用するのはあくまで利用者、という方式。手数料の安さが評価され、投資家間ではすでに普及期に入っている技術です。


アドバイスだけでなく運用までロボアドが担当する方式が「お任せ型(投資一任運用型)」で、投資初心者向けに多くのサービスが登場しています。 「お任せ型」の場合、利用者がしなくてはならない作業は、ロボアドの質問に答えることと、提案を検討して投資先を選ぶことだけです。


質問と言っても、通常5個から10個程度のシンプルなものなので、得に身構える必要はありません。ロボアドは、その回答をもとに世界中の膨大な数の投資信託や上場投資信託(ETF)などの中から、利用者に最適な組み合わせを提案してくれるのです。


あとは投資先を選んでゴーサインを出すだけ。その後は、ロボアドが市場環境に合わせて売買、見直しを行ってくれるので原則的に何もする必要はありません。


例として、代表的なお任せ型ロボアド、お金のデザインが運営する「THEO(テオ)」の「お任せ運用」を見てみましょう。最初の質問数は5つのみ。投資金額は1万円以上、売買手数料は必要なく手数料は年資産の1%と、初心者が利用しやすい設定となっています。


参考:「THEO(テオ)newwindow(テオ)[外部リンク]
「THEO」の利用者は開始2年で3万人を超え、そのうち42%が投資未経験者、半数が20~30代だといいます。



ソーシャルレンディングで誰でも投資家になれる


企業の新商品や新規事業に「投資」したいなら、クラウドファンディングの投資版「ソーシャルレンディング」がおすすめです。


クラウドファンディングは、具体的な商品企画を提示して開発資金を集め、出資者はその商品と特典を得る「購入型」サービスです。一方、ソーシャルレンディングは、新規商品や新規事業開発などに充てる資金を借りたい企業と、リターンを得たい投資家をネット上でマッチングする「貸し付け型(融資型)」のサービス。


運営方式の例として、2008年に日本初のソーシャルレンディングサービスとして登場した「maneo(マネオ)」を見てみましょう。


参考:ソーシャルレンディング「maneo(マネオ)」newwindow[外部リンク]


maneoでは、資金調達の希望を持つ企業を何社か束ねてファンドを作るという手法をとっています。ファンドに組み込まれた案件は、企業の財務状況、事業の収益性などに関する審査を経ています。


投資家は、直接企業に投資するのではなく、maneoが組んだファンドに投資します。投資金額は、案件にもよりますが、低いもので10,000円、ほとんどが100,000円以下から始められます。


「ソーシャルレンディング」による資金調達は、銀行からの借り入れよりハードルが低く企業にとっては利用しやすいと言われています。投資家にとっても、情報を収集して評価する手間がいらず、低リスクで比較的安定した利回りが得られるというメリットがあります。また、具体的な企業活動に投資しているので、「投資家」としての満足度も得られるでしょう。まさしくウィンウィンの関係が成り立っていることから、「ソーシャルレンディング」は世界的にも企業、投資家ともに利用者が急増しています。



まだまだ進化しつつある個人投資


このように個人投資環境は確実に様変わりしつつあります。


さらに、この流れを大きく加速するようなニュースが2018年3月に発表されました。「LINE」と野村ホールディングが組んで設立する「LINE証券」の設立です。今のところ具体的な動きは見えてきませんが、その動向に業界中が注目しています。


ご存じの通り、LINEは利用者7,000万人を越える巨大ソーシャルメディアです。いわば、日本人口の半分以上がカジュアルに利用できる投資プラットフォームが生まれようとしているのです。メッセージのやりとりのように気軽に取引ができ、日本人の投資意識を大きく変えるような投資ができる時代が到来することになるかもしれません。


フィンテックによる個人投資環境の進化は、まだ始まったばかりです。投資は経済を理解する良い教科書と言われますので、興味がある方は各サービスをチェックして、投資を取り巻く状況の変化を実感してみてはいかがでしょうか。






編集・文・写真:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 (※印の画像を除く)
制作日:2018年7月3日



【注】本記事は制作日時点における情報に基づき、さまざまなサービスをご紹介しています。紹介しているリンク先のサービス内容は、記事制作日以降に中止または変更される可能性があります。実際の利用に当たっては各サービスの提供元にサービス内容をよくご確認の上、ご利用ください。



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