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これは取り入れたい!オフィスを機能的にする10個の工夫、オフィスグリーンで癒される (株式会社ワーク オフィス訪問[1])

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オフィス紹介記事というと、派手な造作がされた(大工仕事で内装を仕上げたような)オフィスが多くなりがちだ。既製品にないデザインを施したオフィスは見学するだけでも楽しい。とはいえ、賃貸契約のオフィスの多くは退去時の原状回復を考えて、そこまでの造作はしていないことが多い。


そこで、コーディネートを中心にしたオフィスづくりを参考にさせてもらうべく、オフィスデザインを手掛ける株式会社ワーク(東京・港区)の事務所を訪ねた。


ワークは、50~200坪(165~600平方メートル)のオフィスデザインを得意としているとのこと。広さを社員数に換算すると、おおよそ100人程度までのオフィスになるだろう。国内では20~99人のオフィスで働いている人が一番多いというデータ(参考: 経済センサス)もあるので、一般的なオフィスに近いはずだ。


ワークのオフィス自体は30坪(100平方メートル)とコンパクトではあるが、オフィスデザインを業としているだけに、オフィス内の随所に、50~200坪クラスのオフィスで実際に使う工夫がされていて、とても参考になる。


順を追って見て行こう。


まずはエントランスへ

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入口のサインボード。ちょうど取材時、クリスマス前のためリースの飾りつけが華やかだ。


こちらを通ると、最初の通路へ。限られた空間を有効活用するためホールスペースはコンパクトに設計されている。



[工夫1] 収納は間仕切り兼用のローキャビネットで視界を確保して開放感のあるオフィスに

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オフィスを入ったところの通路は奥行感のある緑の回廊になっている。


ペーパーレスのネット時代といいつつも、見積書や提案書、経理資料など、一時的に印刷するものや、取引先から受け取る書類など、まだまだ紙は多く使われている。最終的には廃棄することになるとしても、しばらくは閲覧と保管のためのスペースが必要になる。収納スペースの確保は依然として重要な課題だ。


ワークでは、室内の通路沿いに、ローキャビネット(高さ120cm程度)を間仕切り兼用として配置することで、省スペースながら大きな収納力を確保している。また、ローキャビネットの高さは、人が立った時の目線よりも下になるため、視界を広く確保することができて開放感のあるオフィスになっている。


さらにこの開放感は随所に置かれた観葉植物によるものも大きい。


オフィスにグリーンを積極的に飾る「ボタニカルオフィス」はじわじわと人気が高まっている。オフィスに植物があるだけで、空間が柔らかくなるから不思議だ。働く人の心がリラックスするだけではなくて、なんだか元気になるような気がする。植物の持つ生命力にはそんな力がある。グリーンの持つ力を引き出すのが、グリーンの配置の工夫だ。



[工夫2] 植物の背の高さを揃えるとキレイに空間がまとまる

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先ほどの通路の手前のローキャビネットをアップで撮影したもの。


こちらの通路が実際よりも奥行感を感じられるのは、ローキャビネットの上に置かれた観葉植物の背の高さが、手前から奥に向かってだんだんと低くなるよう配置されているから。通路奥に向かって遠近感が強調されて広々と感じられる空間づくりに成功している。



[工夫3] スタイルの異なる植物を取り交ぜることでナチュラルなリズムを作る

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こちらは奥のローキャビネットをアップで撮影したもの。先ほど解説したように、奥に行くに従って背の低い植物が配置されている。


置いている植物も多肉なものなど、葉の形もいろいろな植物を取り交ぜることで空間にナチュラルなリズムを作りだしている。グリーンの風景を単調にならないようにしているため、見ていて飽きることがないようにする工夫だ。


ちなみに、サイズやスタイルの異なる植物を取り交ぜたときに、植物の背の高さを揃えるには、それぞれの植物の最も背の高いところ(葉の先端)をつないだ線を直線になるように配置するのがコツだ。


また、突き当りの壁のカラーを、もえぎ色にすることでオフィスグリーンとよく調和している。


こちらの壁についても工夫が隠されているので後述の[工夫8]にて。



[工夫4] 観葉植物は高さをつけて配置することで、グリーンが視界に広がるようにする

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オフィスの一番奥から撮影したもの。


ローパーティションの上にミニグリーンが配置されていたり、ハンギングプランターで、たらす系のグリーンをオフィスの上部空間に吊るしていることで、グリーンが視界に広がる。観葉植物は高さをつけて配置することでグリーンが常に視界に広がるようにすることがコツだ。



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こちらが、オフィス内のグリーンの一部。さまざまなスタイルの観葉植物が高さを変えてあちこちに配置されている。



[工夫5] 事務ブースにスライド式セキュリティスクリーンを製作

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経理事務などの事務ブースでは社内秘情報を扱うこともあるため、作業内容を周りの社員から見えないようにしたいことがある。パーティションで常時囲ってしまうとオフィスが狭くなってしまうし、閉塞感がある。


そこで、ワークでは、ローパーティションに半透明アクリルでできたセキュリティスクリーンをスライドレールとともに取り付けている。ワークのオリジナル製作品で、省スペースでありながら、実用性高い仕掛けだ。また半透明パネルなので、閉めても十分に窓からの明かりが通るようになっている。


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普段はこのようにセキュリティスクリーンは開けていて、必要な時だけ閉めるので周りからも、ブース側からも開放感がある。



[工夫6] 既製のスチールキャビネットにスライド式収納棚を製作

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建材サンプルが多くあるので、既製のスチールキャビネットを改造してサンプル収納棚が作られていた。


ワークの社内には、自社のニーズにフィットするように既製品をカスタマイズしたものが多くある。こうすることで費用を抑えつつ、使い勝手の良いオフィスになっている。



[工夫7] デザインチームのワークエリアは背面式にデスクを配置

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オフィスの中ほどにデザインチームのワークエリアがある。


日本のオフィスでは対面対抗式で島状にレイアウトすることが多いが、ワークでは設計など集中して作業するため、背中合わせになるよう背面式でデスクを配置している。


各デスクの前には、ローパーティションやローキャビネットを置いているが、それらの上に20cmほどの高さの半透明アクリルパネルをカスタマイズしており、視線を気にせず集中できるようにしている。



振り向けば、即打ち合わせ

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この配置のメリットは、机に向かっているときは集中できる配置ながら、振り向けばチーム内での打ち合わせがその場でできるので、小チームなら集中とコミュニケーションのバランスを取りやすい。


写真は打ち合わせしている様子を撮影したもの。資料も広げられるようテーブルは常に置いてある。



また、仕事柄、資料を広げながらの作業が多いため、デスク上を広く使えるように、脇机や、デスク右側が半円分手前にせりだしている異形天板デスクを採用するなど工夫している。ワークチェアも機能性の高い、シンクチェア、アーロンチェア、コンテッサを採用している。


こちらで使われているチェアについては以下の記事で詳しく解説していますのでご覧ください↓

空間デザイン事務所のオフィスチェア(株式会社ワーク訪問[2])【椅子コレ】



[工夫8] マグネットペイントで壁を磁石のくっつく黒板化

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先ほどのデザインチームのワークエリアの壁を拡大したところ。


壁にカラーマグネットがくっついているのがお分かりいただけるだろうか。マグネットペイント塗装を壁に行うことで、磁石がくっつく壁に変身させている

(マグネットペイント : 鉄の微粒子が混ぜ込まれた塗料で、壁に塗ることで磁石がつくようにできる塗料)


さらに、こちらの壁では、マグネットペイントを塗ったあと、明るいグリーンのチョークボードペイントで重ね塗りして仕上げているので、チョークで書くこともできる仕上げとなっている。

(チョークボードペイント : 塗ったところが黒板になる塗料。緑や黒だけでなく明るいカラーも販売されている。)


オフィスの壁の自由度が上がり、遊び心あるオフィスが省スペースで完成だ。



≪参考≫ 壁の塗装作業手順

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(株式会社ワーク提供写真※)


こちらは塗装作業風景。まず、マスキングテープで塗装位置を決め、マグネットペイント(黒色のもの)を3度重ね塗り。仕上げは、チョークボードペイントを2度重ね塗り。2日間の作業で完成。



[工夫9] 資料ブースには、立って調べ物ができるよう上下昇降デスクを設置

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こちらの資料ブースには、立って調べ物ができるようIKEAの手動昇降デスクを設置している。


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(株式会社ワーク提供写真※)


ちなみに、上下昇降デスクについては、こちらがミーティングスペースに設置したIKEA電動昇降デスク。本取材後に、購入したとのこと。IKEA電動昇降デスクは国内発売されたばかりの商品で、オフィス家具メーカーから発売されている電動昇降デスクよりもかなり価格面が抑えられているので注目の商品だ。



[工夫10] ホワイトボードは既製品ではなく、ガラスパネルでオリジナル品製作

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こちらは会議室。奥にあるホワイトボードはオリジナル品。


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拡大するとこちら。ステンレスフレームにガラスパネルで硬質な印象。


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スケジュールボード、プロジェクトのホワイトボードもワークのオリジナル製作品。



ほかにもオフィス内はさまざまな工夫がされていて、さすが空間デザイン会社という印象を受けた。特に、既製品をカスタマイズして、機能性を上げる工夫が印象的だ。



■株式会社ワーク 坪内社長インタビュー

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[質問] オフィス空間のデザインの魅力について教えてください。


年間50件くらい、オフィス移転や改装を手掛けています。


その中で、依頼される経営者の思いや考え方をデザインしてカタチにしていくのが大きな魅力の1つです。出来上がったものは、経営者のメッセージが社内スタッフ、協力ブレーン、顧客に感じられるものです。


デザインする上で心がけている事が3つあります。


1つ目は、できるだけ開放感のある明るい空間であること。


2つ目は、気持ちの切り替えができたり、アイデアが生まれやすいような空間であること。


3つ目は、お客様の事を十分理解した上で、バランスよい空間、働きやすい空間を追求する事です。


中小企業様、外資系企業様のオフィスデザイン、内装工事を、50~200坪のオフィスを中心に仕事をさせていただいていますが、お客様はそうは余裕があるわけではないということがありますから、デザイン系の会社と思われがちですけど、お客様のために予算を考えながら内装のデザイン素材を検討したり、家具のチョイスもそうですけど、場合によっては中古家具で揃えたりということもあります。


常に意識しているのは、新しく創るものは具体化していないというか、言葉には出していないけど、もしかしたらこういうことが、この会社にはあうんじゃないかというふうに、ご希望しているものを超えられるもの、期待以上のものを提案したいと思っています。


(株式会社ワーク 代表取締役 坪内雅彦さん)




《Note》

  • [工夫1] 収納は間仕切り兼用のローキャビネットで視界を確保して開放感のあるオフィスに
  • [工夫2] 植物の背の高さを揃えるとキレイに空間がまとまる
  • [工夫3] スタイルの異なる植物を取り交ぜることでナチュラルなリズムを作る
  • [工夫4] 観葉植物は高さをつけて配置することで、グリーンが視界に広がるようにする
  • [工夫5] 事務ブースにスライド式セキュリティスクリーンを製作
  • [工夫6] 既製のスチールキャビネットにスライド式収納棚を製作
  • [工夫7] デザインチームのワークエリアは背面式にデスクを配置
  • [工夫8] マグネットペイントで壁を磁石のくっつく黒板化
  • [工夫9] 資料ブースには、立って調べ物ができるよう上下昇降デスクを設置
  • [工夫10] ホワイトボードは既製品ではなく、ガラスパネルでオリジナル品製作



取材先

オフィスデザインの株式会社ワーク

設立1991年。本社東京都港区芝。オフィス内装デザイン,レイアウト変更,オフィス移転・改装を手掛ける。







編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 (※印の写真を除く)
取材日:2016年11月30日




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