オフィスの環境改善を進めている方に向けて、働きやすい職場の条件や特徴を紹介します。働きやすい職場づくりの成功事例やオフィスの環境改善に役立つオフィス家具を知ったうえで、有効な施策を実行する際の参考にしてください。
・働きやすい職場とは
・働きやすい職場を構成する6つの条件
・働きやすい職場環境づくりへ取り組む企業のメリット
・働きやすい職場環境を実現する5つのアイデア
・働きやすい職場づくりの事例
・職場の働きやすさが変わる、おすすめオフィス家具シリーズ
働きやすい職場とは一般的に、従業員が高い生産性を維持しつつ健康的に働くために必要な設備や制度が整備され、十分なパフォーマンスを発揮できる職場を指します。また、従業員にとって使いやすいオフィスのレイアウトが採用され、充実した設備によって快適な作業を補助していることも特徴です。もちろん、仕事の合間にリフレッシュできる休憩場所や、部署内での情報共有およびコミュニケーションに役立つミーティングスペースも十分に確保されています。
働きやすさと共に議論されることが多い「働きがい」は、仕事を通じて得られる充足感や労働意欲を意味し、従業員の主観に左右される概念です。これに対し、働きやすさは主に設備や制度といった外的要因に影響を受けるため、働きがいと比較すると、企業主体での向上施策を取りやすい傾向があります。
オフィス環境の見直しや改善を効率的に進めるためには、働きやすい職場の特徴や条件を把握しておく必要があります。働きやすい職場とは多くの場合、以下6つの条件を満たす環境です。
働きやすい職場では人間関係が円滑で、従業員同士がコミュニケーションを取り、連携して働けます。上司に対して意見を言えない、スムーズに業務連絡できないなどの悩みは生じず、チームワークを活かした働き方が可能です。
人間関係の問題が少ない働きやすい職場では、忙しい従業員を他の人がフォローし、助け合うこともしばしばあります。チームの仲間が大きな成果をあげた際には素直に喜べ、妬みや僻みの感情は生じません。
働きやすい職場は温度・湿度・明るさなどに気を配り、快適な執務環境を維持しています。室温に関しては、冬の場合は17℃以上・夏の場合は28℃以下に設定すると一般的に快適です。湿度は常時40%~70%の範囲、明るさは750ルクス以上に設定し、従業員のストレスを軽減しています。
業務の効率化を助けるインテリアやオフィス家具を採用していることも、働きやすい職場の条件です。中には、オフィスレイアウトを工夫し、コミュニケーションの活性化や業務の効率化につなげている職場もあります。
従業員の希望に対応した業務体制を敷き、柔軟な働き方を認めていることも、働きやすい職場の条件です。近年ではコロナ禍の影響もあり、定時に出社して仕事にあたる従来式の働き方とは異なるライフスタイルを希望する従業員も少なくありません。また、家族の形が多様化している現在、働きやすい職場をつくるため、介護・子育て・家事を担当している人も無理なく働ける業務体制の整備は不可欠です。
働きやすい職場ではマネジメント管理を徹底し、繁忙期には人員を増強する・デジタル技術を活用するなどの工夫を取り入れ、特定の従業員に過剰な負担をかけません。デジタル技術を活用して手作業を減らせば、無駄な業務が発生せず、効率的な働き方を実限できます。
福利厚生の充実度は、従業員の満足度やモチベーションを大きく左右する要素です。働きやすい職場をつくるためには、通勤手当・家賃健康診断費用の補助といった福利厚生を用意し、従業員の金銭的な不安を解消しましょう。あるいは、スポーツクラブの会費補助などの福利厚生を用意すれば、健康維持やストレスの軽減もサポートできます。
働きやすい職場では、福利厚生を積極的に利用できる風土が定着していることも特徴のひとつです。従業員は自身の都合や体調に応じて労働量を調整し、必要がある時には周囲に気兼ねしすぎることなく、有給休暇を取得できます。
ワークライフバランスに配慮した働き方を希望する人も多い昨今、有給休暇の取得しやすさが職場の印象を左右するケースも少なくありません。気軽に有給休暇を取得できる環境を整備することで、従業員の働きにメリハリが生まれ、モチベーションを向上させられる可能性もあります。
働きやすい職場には、組織として人材を大切にしつつ、一人ひとりのスキルアップを応援する風土が定着しています。従業員の継続的なスキルアップを支援するためには、新人教育のみでは不十分です。働きやすい職場では既存の従業員に対しても研修機会を準備し、その時々に応じて必要な教育を提供します。
従業員へ手厚い教育を提供するためには、上司と部下が1対1で対話できるスペースや、規模に応じた集合研修を実施できるスペースが必要です。働きやすい職場は手厚い教育を行うのに役立つ、十分な設備を備えています。
働きやすい職場では、従業員の担当した仕事の成果が適切に評価され、報酬にも反映されています。評価を受ける際の基準が明確で、従業員に周知徹底されていることも、働きやすい職場の条件です。明確な基準が設定されているからこそ従業員は目的意識を持ち、前向きに業務へ取り組めます。
報酬は従業員にとって、自身の組織に対する貢献度を明確に把握できるバロメーターです。従業員が納得して働ける環境を提供するためにも適切かつ透明性の高い評価制度を整備して、仕事の成果を報酬へと反映させる必要があります。
働きやすい職場をつくるための環境整備は、企業にとってもメリットの多い取り組みです。環境整備に取り組むことで企業には、以下のメリットが生じると期待できます。
働きやすい職場環境が整備されていると、従業員の生産性は向上します。自身の仕事の成果が正当に評価され、報酬にも反映されているとの認識は、モチベーションの維持につながるためです。モチベーションを高く持ち、やりがいを持って一人ひとりが働けば、組織全体の生産性も向上します。
仕事の成果を適切に評価しようとすると、従業員のスキルや適性を十分に把握する取り組みも必要です。把握したスキルや適性をもとに適切な人材配置を行い、適正量の業務を割り振りすれば、キャパシティオーバーによる生産性の低下を回避できます。
また、従業員の生産性増強に向けては、オフィスの騒音問題や動線の悪さを解消する取り組みも欠かせません。従業員のストレスになりうる要素を特定し、働きやすい職場環境を整備すれば、より一層の生産性アップも狙えます。
働きやすい職場環境を整備すると従業員の定着率が高まり、離職率を低下させる効果も狙えます。加えて、職場環境に由来する従業員の不満やストレスを解消できた場合、休職率の低下を狙えることもメリットです。休職者や退職者を減少させ、現在の人員で十分に仕事の回る状況が成立すれば、採用コストや人材育成コストの削減までも図れます。
少子高齢化の進行によって労働者人口が減少している現在では、優秀な人材の確保と定着率の向上が、多くの企業にとって必須の経営課題です。経営課題の達成につなげるためにも、働きやすい職場環境の整備に取り組む必要があります。
従業員のモチベーションが高く、生き生きと働ける職場では、質の高い製品やサービスを提供できます。製品を購入したりサービスを受けたりした顧客の満足度が向上し、良い評判が広まると、企業としてのイメージアップが可能です。
働きやすい職場環境を整備することには、従業員満足度の向上を狙えるメリットもあります。従業員満足度が高く、働きやすい企業であることが社会に広く認知されると、求職者からのイメージアップにもなるため、新規人材を採用する際にも有利です。
経済産業省では、理想的な職場環境の整備が従業員の健康維持・増進と生産性の向上につながる、という概念を普及させるため、健康経営オフィスレポートを公表しました。健康経営オフィスレポートでは従業員の心身の健康維持やエネルギッシュな活動を応援するべく、以下の行動をオフィスの中で誘発することが推奨されています。
・快適性を感じる
・コミュニケーションする
・休憩・気分転換する
・体を動かす
・適切な食行動をとる
・清潔にする
・健康意識を高める
参照元:
健康経営関連資料・データ
健康経営 オフィス レポート
具体的には次のような取り組みを実践すると上記の行動を誘発でき、従業員の働きやすさは向上します。
職場のコミュニケーションを促すには、オフィス全体のレイアウトを見直して、周囲と気軽に交流できるスペースを整備しましょう。たとえば、ミーティング用のファミレス席を用意して会議室代わりに活用できる環境を整備すると、開放感ある空間での自由な意見交換を促せます。より気軽なコミュニケーションを促すためには、従業員が自由に利用できるカフェスペースやリフレッシュルームを導入するのも一案です。
従業員の健康意識を高めたり気分転換を促したりしたい場合は、リラクゼーションルームやマッサージルームを増設する方法があります。仕事の合間にオフィスの中でリフレッシュできれば、ストレスの軽減や解消が可能です。
コミュニケーションを促すオフィスレイアウトの工夫についてより詳しく知りたい場合は、以下の記事もご覧ください。
関連記事:▼コミュニケーションスペースで社内活性化! オフィス空間への導入アイデアを紹介
オフィス家具の機能性により、従業員の働きやすさは変化します。身体に負担をかけにくい姿勢で快適に作業できる職場をつくるためにも、オフィス家具の入れ替えを検討しましょう。たとえば、座った状態で身体に負担がかかるデスクチェアは、快適とは言えません。デスクワークが多い職場では、肩や腰への負担がかかりにくい机や椅子への入れ替えが効果的です。
疲れにくいデスクチェアの選び方や、職場環境の改善も助けるおすすめ商品を知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
働きやすい職場づくりでは、性別に関係なく、誰もが活躍できる環境を目指すことも重要です。女性の働きにくさが問題視されている場合は、女性用トイレや更衣室、上着やコートをかけられるサイズのロッカーを整備するなどの施策で、状況を改善しましょう。
2023年時点における日本の労働力人口6,925万人中、3,124万人は女性です。女性の働きやすさに配慮した環境整備を進めて、性別に関係なく活躍できる企業を目指すと、人材不足を解消できる可能性もあります。
参照元:雇用の分野における女性活躍推進等に係る現状及び課題
女性の働きやすさに配慮したオフィスづくりのコツをより詳細に知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:▼女性が働きやすい職場環境とは? オフィスづくりのコツと事例
従業員が働きやすいと感じる職場にするためには、教育制度を充実させ、適切な人事評価制度を策定することがポイントです。スキルアップを促進する社内研修などを充実させると、仕事の成果を出せるようになり、個々のモチベーションアップにつながります。実績が公正に評価される人事評価制度も、評価の納得性を高め、やる気を促すでしょう。
特別休暇や各種手当、社員食堂などの福利厚生が整備されているかどうかも、働きやすさに関わります。自社の従業員に合わせた快適な生活をサポートできる福利厚生の整備により、従業員満足度もアップします。
関連記事:▼働き方改革時代の人事評価<前編> ~「年次評価廃止」「ノーレーティング」「1on1」が企業を活性化する理由~
働きやすい職場環境を整備するにあたって目標を設定したい場合には、WELL認証の取得を目指すのがおすすめです。WELL認証とは、人間の健康とウェルビーイングの視点からオフィス空間などを評価して点数づけし、一定の基準に基づいて認証する制度です。WELL認証では、空気・水・こころ・コミュニティ・イノベーションなどの10コンセプトのそれぞれに対し、貢献度が採点されます。
2024年2月時点における日本のWELL認証件数は49件、予備認証件数は9件と、必ずしも多いとは言えないものの、注目度が高まっている状況です。WELL認証の取得を目指して職場環境を改善する取り組みは、働き方改革やSDGsに対応した組織づくりにも貢献します。
参照元:WELLとは
WELL認証の詳細や取得を目標とする職場環境改善のヒントは以下の記事で詳細に説明しているため、参考にしてください。
関連記事:▼WELL認証とは? 日本企業の取得事例と、オフィス改善のポイント
現在、働きやすい職場づくりに取り組む企業は増加しています。ここでは、働きやすい職場づくりを実践している企業の事例を3つ紹介します。
フリーランスと企業のマッチングWebサービスを運営している、イーストフィールズ株式会社のオフィスは、広く開放感のあるスペースが快適さをアップさせています。エントランス付近には気軽に利用できるカウンターコーナーとミーティングに活用できるソファコーナーが設けられ、フリースペースとして活用されています。天井をあえてスケルトンにすることで高さを出し、開放的な空間を演出。広々とした居心地の良さを活かし、イベント会場としても幅広く利用可能です。
厳選したオフィスチェアは、ハイバックでリクライニング可能な高性能モデルで仕事への集中力をアップさせています。休憩エリアにはコーヒーマシン、ウォーターサーバー、電子レンジなどが設置され、社員が自由に利用可能です。冷蔵庫の脇には仕事に役立つ書籍が置かれているため、休憩しながら情報収集などに役立てられます。
参照元:
フルリモートで気づいた「対面コミュニケーションの重要性」 ~イーストフィールズ株式会社[前編]
フルリモートで気づいた「対面コミュニケーションの重要性」 ~イーストフィールズ株式会社[後編]
顧客体験管理を収益につなげる次世代CXMツールを提供する株式会社KiZUKAI。「実務×リラッ クス」をコンセプトにレイアウトされたオフィスは、誰でも休めるような雰囲気が魅力のオフィスです。仕切りのないオープンな室内に、執務スペースとミーティングスペースを隣接させた垣根のない空間をつくり出しています。従業員は、フリーアドレスの座席から自由な場所を選んで仕事が可能です。
Web会議用の個室ブースが設置されていることもポイントです。導入前は周囲の声が入り込み支障を来すことがありましたが、現在は周りの音を気にせず打ち合わせができるようになりました。休憩スペースには、アットホームなローテーブルとビーズソファが置かれ、くつろげる空間を演出しています。
参照元:成長に合わせて移転するベンチャー企業のオフィスづくりとは ~株式会社KiZUKAI
ゲーム事業を中心にクリエイティブな事業を展開している株式会社コロプラは、「クリエイターファースト&健康を守るオフィス」をコンセプトにしたオフィスづくりをしています。新型コロナウイルス感染症拡大を受け、感染症に強いオフィスを目指して、接触・飛沫・空気感染のリスク低減に特化したオフィスを完成させました。
接触感染を防ぐために床や什器へ抗ウイルス素材を使用し、食事をする可能性がある場所にはアクリルパーテーションを設置しています。厚生労働省が求めている換気基準を満たすための換気量の増強工事も実施して、感染リスクを徹底的に軽減しています。
同社がここまで真剣に対策に取り組んでいるのは、クリエイティブな業務には顔を合わせたコミュニケーションが欠かせないと考えているためです。従業員の出社意欲を引き出せるよう、安心して出社できる環境づくりに取り組んでいます。また健康経営の一環として、バナナ食べ放題の「無限バナナ」が運用されています。手軽に栄養補給できる、お菓子の食べすぎが減ったなどの声があり、従業員から好評です。
参照元:
徹底した感染症対策でクリエイターを守る、コロプラの新オフィス[前編]
徹底した感染症対策でクリエイターを守る、コロプラの新オフィス[後編]
Justus(ジャスタス)は、ハイブリッドワーク対応のオフィスを整備したい中小企業に向けて、アスクルとオカムラが共同開発したオフィス家具シリーズにあたります。Justusのコンセプトは「ちょうどいい」を実現するオフィス家具で、中小企業の抱える職場環境の問題解決を助けるデスク・チェア・収納ラックなどを扱っています。
中小企業の場合、職場環境の改善にかけられる予算やオフィス家具を設置できるスペースが限られていることも少なくありません。Justusでは「ちょうどいい価格」「ちょうどいい機能」かつコンパクトサイズのオフィス家具を提供し、職場環境の改善をサポートします。デスクの天板とつなげて作業スペースを拡張できる収納など、細部まで工夫を凝らしたアイテムも豊富です。
Justusの吸音パネルやソファブースを活用すると、限られた広さの空間に集中作業スペースやコミュニケーションスペースなどを設置できます。パネルやソファの組み合わせを工夫すれば予算の範囲で、狙い通りのゾーニングの実現が可能です。
Justusで扱っているアイテムのデザインは、「くすみカラー」で統一されています。従来のオフィス家具のビビッドカラーとは異なる優しい色味のアイテムを有効に取り入れ、従業員がリラックスして働けるオフィスを目指してください。
Justusのアイテム一覧は、以下のページでチェックできます。
PREDONA(プレドナ)は、五感を刺激して働く人のポテンシャルを引き出すデザイン・快適な業務をサポートする機能性を追求したオフィス家具を扱っているブランドです。PREDONAのデスク・チェア・シェルフにはアースカラーや木目のデザインが採用され、人の印象に残るハイセンスなオフィスを構築できます。
PREDONAのデスクシリーズは、収納スペースを拡張できる多彩なオプションが用意されていることも特徴です。メッシュ加工のサイドパネルをオプションとして追加すれば、空間の奥行きを損なわない形で、デスクの足元を隠せます。
シェルフには上置き用と下置き用があり、上下左右に複数個を連結すると、収納するものや空間に適した形へのカスタマイズが可能です。すべてのシェルフはA4サイズの書類やファイルを収納できるサイズで設計されており、機能性の高さも魅力としてあげられます。
PREDONAのアイテム一覧は、以下のページでチェックしてください。
働きやすい職場とは、従業員が心身ともに健康な状態で働け、高い生産性を維持するために必要な設備や制度の整備された環境です。組織としての生産性向上や離職率の低下を目指すためにもオフィスのレイアウトや人事評価制度を見直し、職場環境の改善を図りましょう。
職場環境を改善したいものの何から手をつければ良いかで迷う場合にはぜひ、アスクルオフィスづくりサービスにご相談ください。アスクルオフィスづくりサービスでは専任の担当者がワンストップで、職場環境の見直し・改善をトータルサポートいたします。
働きやすいオフィスづくりのコツについてより詳しく知りたい場合には、以下の記事もご覧ください。
関連記事:▼小さくてもオシャレで働きやすいオフィスにしたいときに意識したい7個のポイント~株式会社エスタイルのオフィスに学ぶ~ (オフィス訪問[3])
編集・文・画像:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局
制作日:2024年10月1日
2016年11月17日のリニューアル前の旧コンテンツは
こちらからご確認ください。