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働きやすい職場とは? その特徴と職場環境改善のポイント

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働きやすい職場環境づくりをしている企業では、従業員のモチベーションが高く、企業全体の生産性も高いとされています。これからの企業で必要とされている従業員が働きやすい職場づくりについて、そのメリットや特徴などを解説します。








■働きやすい職場とは

働きやすい職場とは、従業員が健康的に働き、高いパフォーマンスを発揮できる職場のことです。一人ひとりが業務に集中し、効率よく作業を進められる職場環境には、設備機器の充実、使いやすいオフィスレイアウトなどの特徴があります。


人材育成の制度が整っていることも、働きやすさのポイントです。成長の機会を与えられ、スキルや実績の評価が適正に行われることで、従業員のやる気が引き出されます。人間関係が良好でコミュニケーションを取りやすいこと、仕事の実績が正しく評価されることも必要な条件です。休憩場所の提供や、福利厚生の充実も欠かせません。


このように働きやすい職場にはさまざまな要素が求められます。職場環境を良くするには、従業員満足度調査を定期的に行って、新しく発生している課題をつねに把握し改善に努めることが大切です。




■働きやすい職場をつくるメリット

働きやすい職場環境をつくることには、従業員の生産性向上をはじめ、離職率の低下などのメリットがあります。



●従業員の生産性向上

働きやすい職場環境をつくるメリットは、従業員の生産性が向上することです。毎日の業務実績が正当に評価され、評価に応じて昇給や昇進などが期待できる職場は、仕事へのモチベーションを維持・向上させます。やりがいをもって仕事に励むことで、生産性が上がるでしょう。また労働環境の改善にも力を入れている場合、個人のスキル・適性などを管理し適切な人材配置を行えるため、業務効率化の実現が可能です。


オフィス環境を整えることでも生産性の向上を期待できます。外部からの騒音が聞こえる環境や、動線が悪いレイアウトでは作業効率が落ちてしまいます。


業務量が適正に割り振られておらず個人の負担が大きい状態も、労働意欲を下げる要因です。これらの障害を排除できれば、従業員の過剰な負担が軽減されて集中力が上がり、業務効率のアップ、業績向上など、企業にさまざまなメリットをもたらすでしょう。



●離職率の低下

働きやすい職場を実現することで、離職率の低下も期待できます。少子高齢化が進み労働力人口が減少するなか、人材の確保と定着は、多くの企業で課題とされている問題です。職場環境の改善には、採用した人材がすぐに辞めてしまうことを防ぐメリットがあります。


職場環境を整えることによって働きやすくなれば、退職したいと思う従業員の数が減少します。個人の不満やストレスも緩和され、体調不良による休職者の数も減るでしょう。職場の雰囲気が良く誰もが無理なく働ける環境であれば人材が定着しやすくなるため、人材の募集・育成などにかかるコストも削減可能です。



●企業のイメージアップ

企業のイメージアップにつながることもメリットです。職場環境を整えている企業では、従業員それぞれがやりがいをもって仕事に従事しています。そのような環境では、会社への帰属意識が高まり、質の高い仕事やサービスが提供されます。高品質の製品・サービスは顧客にも良い影響を与え、企業イメージの向上をもたらすでしょう。


テレワークやフレックスタイムの導入、有給休暇や育児休業、介護休業などの取得のしやすさ、適正な人事評価などは従業員満足度を高める要素です。従業員満足度の高い企業は、求職者から良いイメージを持たれ、求職者の増加も期待できるでしょう。




■働きやすい職場の6つの特徴

働きやすい職場には6つの特徴があり、それらの特徴がそろっている場合に、働きやすい職場とされます。改善のコツとともに詳しくみていきましょう。



1. 人間関係が円滑

人間関係が円滑でお互いにコミュニケーションを取りやすい職場は、働きやすい職場です。従業員同士の信頼関係が築かれている職場では気軽に話しやすく、仕事の情報をスムーズに伝えられます。連携やフォローもしやすくなり、業務の進捗がはかどるでしょう。


反対に上司に対して意見を言えない、部門間で意見を交わす機会がないなどの状態では、十分なコミュニケーションは取れません。業務上の情報が周囲にスムーズに伝わらないことで、職場の雰囲気が悪くなるケースも考えられます。業務が滞ったりミスが増えたりするかもしれません。


職場のコミュニケーションを活性化させるためには、ミーティングスペースなどを作り、オフィス環境から改善していくことも可能です。



2. 快適な空間

働きやすい職場は、快適な空間であることが欠かせません。常時従業員が働く部屋の室内は、温度や湿度、明るさなどが適切に設定されている必要があります。


室温は、冬は17℃以上、夏は28℃以下、湿度は40%~70%の範囲、明るさは750ルクス以上を維持していると快適に仕事ができます。室温や明るさが適切でないと、仕事への集中力がなくなりやすいため注意しなければなりません。


快適な空間にはオフィス家具も欠かせない要素です。オフィスの家具や設備によっては、業務中の姿勢や動作などに負担が生じやすくなるケースがあります。使いやすいインテリアや設備を導入し、効率的なオフィスレイアウトに変更することで快適さをアップできます。



3. 時間や場所の制限のない働き方

時間や場所の制限のない働き方ができることも、働きやすい職場の特徴です。近年では新型コロナウイルス感染拡大の影響により、これまでとは違う働き方を採用する企業が増加しました。通勤時の混雑を避けるための対策として、在宅でも仕事ができるテレワークや、勤務時間を選択制にするフレックスタイム制などが導入されています。


働く場所や時間を自分で決める働き方ができれば、ワークライフバランスの実現も可能です。仕事と子育て・介護を両立しやすい環境を整えることが、働きやすさにつながります。



4. 福利厚生の充実

福利厚生の充実も働きやすさに関わる重要な要素です。福利厚生には、通勤手当や家賃補助、社員食堂、健康診断費用の補助などが挙げられます。従業員の健康維持、ストレス軽減などを目的とするスポーツクラブの会費補助なども生活の質を高めます。


有給休暇が取りやすいかどうか、残業が多すぎないかなど、休暇取得や労働時間も気をつけたいポイントです。近年ではワークライフバランスを重視する人が多いため、残業が少なく、有給休暇を取りやすい企業が良い印象を持たれています。従業員が気軽に休みを取れる職場環境は、仕事のモチベーション維持にもつながります。



5. 教育体制、人事評価の整備

働きやすい職場では、従業員の行った仕事内容が適正に評価されています。社内で評価される内容・基準が明確に示され従業員にその評価基準が周知されていれば、目的や方向性を定めて仕事をすることが可能です。わかりやすく正当な評価によって、仕事に対する適正な給与や昇格などの対価が支払われる場合、やりがいを感じやすくなります。


教育体制が充実していることも、働きやすい職場の特徴です。人材を大切にして、つねに個人のスキルアップをサポートしている企業は、新入社員のみならず既存の従業員に対しても必要な教育を行う体制を整えています。


人材教育を行うときには、上司と対話のできるスペースを設置しているとコミュニケーションが取りやすくなります。



6. 無駄のない働き方

無駄のない働き方を実践していることも働きやすい職場の特徴です。繁忙期や閑散期などの仕事量の増減に応じて働き方を調整する、マネジメント管理ができている職場では、無駄のない働き方ができます。忙しい時期には、マネジメント管理により作業を複数の人で担当して仕事量を調整する、業務委託をするなどの対応が取られるため、従業員の残業時間が多くなりすぎる心配がありません。


手作業で行っている業務を自動化するデジタル化を取り入れることも、無駄の削減に有効です。紙で保存していた書類をデジタル化すれば、書類を必要なときに画面上ですぐに探し出せるため書庫へ取りに行く手間がかかりません。書類をファイルして棚に並べる必要もなくなり、職場の空いたスペースを活用できるメリットがあります。



働きやすいオフィスづくりのヒントについては、こちらの記事でも紹介しています。


小さくてもオシャレで働きやすいオフィスにしたいときに意識したい7個のポイント~株式会社エスタイルのオフィスに学ぶ~ (オフィス訪問[3])




■働きやすい職場環境の構築・改善ポイント

働きやすい職場環境を構築するには、設備やオフィス家具の見直し、従業員の健康管理、人事制度を改善することが大切です。設備的な環境から制度面まで多角的な改善で、職場環境を効率よく変えられます。



●設備やオフィス家具の見直し

職場環境を改善するには、まずオフィスの快適さを見直す必要があります。オフィスが不快に感じる過ごしにくい環境では、仕事に集中できず業務に支障が出るおそれがあります。オフィスの温度を快適に保てる空調設備を設置する、空気をきれいにする空気清浄機を設置するなど、環境を整えることから始めましょう。


デスクワークが多いオフィスでは、毎日使用するイスを肩や腰の負担が軽減できるタイプにするなど、オフィスの快適さをアップさせる設備やインテリアを取り入れるのがおすすめです。また女性従業員が少ない職場では、女性用トイレ・更衣室などの整備も、働きやすさを向上させます。


オフィスのインテリアを見直すことによって、従業員のコミュニケーションを円滑にすることも可能です。近年では、省スペースでも配置できるミーティング用の「ファミレス席」が注目を集めています。



関連記事:
 イマドキのオフィスには必須かも?!オフィス内「ファミレス席」大研究【前編】
 イマドキのオフィスには必須かも?!オフィス内「ファミレス席」大研究【後編】



●従業員の健康重視

2015年に経済産業省は、従業員がイキイキと働けるオフィス環境の普及に向けて「健康経営オフィスレポート」を公表しました。健康経営オフィスとは、健康の保持・促進を経営的な視点から取り組み、一人ひとりが能力を最大限に発揮できるオフィスのことです。


このレポートでは次の7つを心身の健康につながる行動として紹介しています。



・快適性を感じる
・コミュニケーションする
・休憩・気分転換する
・体を動かす
・適切な食行動をとる
・清潔にする
・健康意識を高める



これらの行動を誘発させるオフィスづくりに取り組むことで、従業員が輝ける職場環境へと導けます。たとえば、従業員の健康維持に役立つリラクゼーションルームやマッサージルームの設置、コミュニケーションが取りやすいオープンスペースの設置などが挙げられます。



参照元:経済産業省『健康経営オフィスレポート』



●適切な人事制度

従業員が働きやすいと感じる職場にするためには、教育制度を充実させ、適切な人事評価制度を策定することがポイントです。スキルアップを促進する社内研修などを充実させると、仕事の成果を出せるようになり、個々のモチベーションアップにつながります。実績が公正に評価される人事評価制度も、評価の納得性を高め、やる気を促すでしょう。


特別休暇や各種手当、社員食堂などの福利厚生が整備されているかどうかも、働きやすさに関わります。自社の従業員に合わせた快適な生活をサポートできる福利厚生の整備により、従業員満足度もアップします。




■働きやすい職場づくりの事例

現在、働きやすい職場づくりに取り組む企業は増加しています。ここでは、働きやすい職場づくりを実践している企業の事例を3つ紹介します。



●イーストフィールズ株式会社

イーストフィールズ株式会社



フリーランスと企業のマッチングWebサービスを運営している、イーストフィールズ株式会社のオフィスは、広く開放感のあるスペースが快適さをアップさせています。エントランス付近には気軽に利用できるカウンターコーナーとミーティングに活用できるソファコーナーが設けられ、フリースペースとして活用されています。天井をあえてスケルトンにすることで高さを出し、開放的な空間を演出。広々とした居心地の良さを活かし、イベント会場としても幅広く利用可能です。



イーストフィールズ株式会社



厳選したオフィスチェアは、ハイバックでリクライニング可能な高性能モデルで仕事への集中力をアップさせています。休憩エリアにはコーヒーマシン、ウォーターサーバー、電子レンジなどが設置され、社員が自由に利用可能です。冷蔵庫の脇には仕事に役立つ書籍が置かれているため、休憩しながら情報収集などに役立てられます。



参照元:
 フルリモートで気づいた「対面コミュニケーションの重要性」 ~イーストフィールズ株式会社[前編]
 フルリモートで気づいた「対面コミュニケーションの重要性」 ~イーストフィールズ株式会社[後編]



●株式会社KiZUKAI

株式会社KiZUKAI



顧客体験管理を収益につなげる次世代CXMツールを提供する株式会社KiZUKAI。「実務×リラッ クス」をコンセプトにレイアウトされたオフィスは、誰でも休めるような雰囲気が魅力のオフィスです。仕切りのないオープンな室内に、執務スペースとミーティングスペースを隣接させた垣根のない空間をつくり出しています。従業員は、フリーアドレスの座席から自由な場所を選んで仕事が可能です。



株式会社KiZUKAI



Web会議用の個室ブースが設置されていることもポイントです。導入前は周囲の声が入り込み支障を来すことがありましたが、現在は周りの音を気にせず打ち合わせができるようになりました。休憩スペースには、アットホームなローテーブルとビーズソファが置かれ、くつろげる空間を演出しています。



参照元:成長に合わせて移転するベンチャー企業のオフィスづくりとは ~株式会社KiZUKAI



●株式会社コロプラ

株式会社コロプラ



ゲーム事業を中心にクリエイティブな事業を展開している株式会社コロプラは、「クリエイターファースト&健康を守るオフィス」をコンセプトにしたオフィスづくりをしています。新型コロナウイルス感染症拡大を受け、感染症に強いオフィスを目指して、接触・飛沫・空気感染のリスク低減に特化したオフィスを完成させました。


接触感染を防ぐために床や什器へ抗ウイルス素材を使用し、食事をする可能性がある場所にはアクリルパーテーションを設置しています。厚生労働省が求めている換気基準を満たすための換気量の増強工事も実施して、感染リスクを徹底的に軽減しています。


同社がここまで真剣に対策に取り組んでいるのは、クリエイティブな業務には顔を合わせたコミュニケーションが欠かせないと考えているためです。従業員の出社意欲を引き出せるよう、安心して出社できる環境づくりに取り組んでいます。また健康経営の一環として、バナナ食べ放題の「無限バナナ」が運用されています。手軽に栄養補給できる、お菓子の食べすぎが減ったなどの声があり、従業員から好評です。



参照元:
 徹底した感染症対策でクリエイターを守る、コロプラの新オフィス[前編]
 徹底した感染症対策でクリエイターを守る、コロプラの新オフィス[後編]




■働きやすいオフィスづくり「オフィスのWELL認証」

働きやすいオフィスづくりで注目されているのが、「WELL認証」です。WELL認証とは、2014年に米国で始まった、オフィスなどの空間を「人間の健康」の視点で評価・認証する制度です。人間の健康に対してオフィス・建物がどれほど貢献できているかについて、「空気・水・食物・光・運動・温熱快適性・音・材料・こころ・コミュニティ」の10のコンセプトごとに貢献度が採点され、審査されます。


近年ではWELL認証の取得を目指し、オフィスの改善に取り組む企業が増えています。WELL認証取得により、生産性の向上や働き方改革、SDGsの達成の実現につながっていくでしょう。



関連記事:身近なところから目指せる「オフィスのWELL認証」~ASEI建築事務所 鈴木亜生氏インタビュー



■おわりに

働きやすい職場とは、従業員が健康的に働き、十分なパフォーマンスを発揮できる職場のことです。人手不足や働き方の多様化、ワークライフバランスの実現などに対応するためには、働きやすい環境づくりが重要になります。多くの企業が取り組み始めている働きやすさの改善は、これからの企業に欠かせないものになってきています。紹介したポイントを参考に、自社に適したオフィスづくりに取り組んでみてはいかがでしょうか。




編集・文・画像:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局
制作日:2022年12月20日

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