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"可愛いRPA"で、ホワイトカラーの職場を劇的に変える

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sompong_tom / AdobeStock(※)

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日本が生産性の低さを指摘される要因のひとつに、業務のデジタル化の遅れがあります。


役所をはじめ各省庁ですらデジタル化が遅れていたり横のつながりがなかったりするために、本来マイナンバーによって効率的に進むはずだった給付金の支給などが遅れてしまったのは、記憶に新しいところです。


「みんなの仕事場」では、2018年の記事で、パソコン上の単純作業をソフトウエアで自動化する仕組みRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション )について、導入コンサルタントのアビームコンサルティングにインタビューしました。


生産性を上げるために今やるべきことは? 働き方改革のエキスパートが語るRPAとの共存で叶える本当の働き方改革


それから2年、RPAの導入現場はどのように進化しているでしょうか。




■世界でも国内でも急速に導入が進むRPA


RPAとは、あたかもコンピューターやサーバー上で動く「目に見えないロボット」のような働きをするものであり、"ソフトウエアロボット"または、"デジタルレイバー"という別名を持っています。


調査会社ガートナーの見通しでは、2022年までに全世界の大企業の90%が何らかの形でRPAを採用し、世界のRPA市場は2024年まで2ケタの成長率で拡大すると予測しています。


具体的にはRPAソフトウェアの売上高は、2020年に15.8億ドル、2021年には前年比19.5%増の18.9億ドルに達する見通しだといいます。平均価格も、2020年末までに10~15%下落し、2021年と2022年には年平均5~10%下落していくと予想されています。


新型コロナウイルス感染症による世界的な景気の失速を受け、急減する売上に対応するためのコストカットが迫られ、RPAに対する関心はますます高まりました。


ガートナーは主に大企業でRPA導入が進むと予測していますが、日本で際立っているのは、単純作業に人員が割かれ、顧客対応やサービスの向上に人材を振り向けられないなど、中小企業の生産性の低さです。日本企業の99.7%は中小企業であり、今後は中小企業でもRPA導入が増えていくと考えられます。


参考:Newsroom(Gartner)[外部リンク]


IT系調査機関のMM総研(東京都港区)による「RPA国内利用動向調査2020」(2020年1月)によれば、国内企業の38%がRPAを導入しています。すでに2019年11月時点でRPA導入率は38%であり、2018年からの1年半で16ポイントも上昇したとのこと。



企業内に広く深く浸透するステージに移行し始めている。このため、導入社数シェアもしくは金額シェアにもとづいた従来指標「導入率」に加え、企業内でのRPA展開度合いを測る新たな指標の浸透率を設定、現状をより適正に反映させた。

(MM総研「RPA国内利用動向調査2020」[外部リンク])


企業規模別では、年商1,000億円以上の大手企業に限れば51%に達しているのに対し、50億~1,000億円未満の中堅・中小企業は25%、4社中1社にとどまっています。


業種別にみると、最も高い金融59%をはじめ、ほとんどの業種で普及が進んでいます。中でも学校・医療福祉および流通の導入率が、前回調査(2019年1月)から目立って伸びました。


MM総研では、AIの導入率についても調べており、こちらは2018年6月時点の26%から約1年半で10ポイント増え、2019年11月に36%。着実に伸びています。


すでにRPAを導入している企業では、AI-OCRやチャットボットなどとRPAを組み合わせた、"ハイブリッド型"の自動化も進んでいます。



■RPA導入のカギは、小さく始めて横展開すること


実際にRPAを導入した企業の実例をみていきましょう。


ご紹介するデザインフィル(東京都渋谷区、会田一郎社長)は、手帳などの文房具ブランドとして有名な会社です。同社がRPAを導入した経緯、そして実際にロボットをつくって職場で動かすまでの苦労などについて、渡邊恵介氏(同社執行役員)と加藤暁子氏(管理本部ICT部)に伺いました。



渡邊恵介氏(株式会社デザインフィル 執行役員)

渡邊恵介氏(株式会社デザインフィル 執行役員)



――RPAを導入したきっかけについて教えてください。


渡邊 導入を検討しはじめたのは3年以上前、まだRPAがブームになっていない頃でした。現在のICT部ではなく、「経理情報システムグループ」という部署でした。中小企業におけるIT活用は、まずシステムを活用して素早く正確に会計を処理するのが第一目的です。我が社もそうでした。中小企業にありがちな形態です。


そのような時期に、当社の社長が「ITの業務が基幹業務以外にも使えるんじゃないか」と言ったことから、現場の業務改善にITを役立てるために現在のICT部を設立することになりました。その目玉のひとつがRPAの活用だったわけです。



――どんな業務改善の課題があったのですか。


渡邊 計画を作る中で調査を進めるうち、「RPAというのはすごいらしいじゃないか」という話になりました。そこで当時弊社に来ていたITスタッフに聞いたところ、もともと開発の現場ではRPAをテストで使っていたというんですね。技術的には新しい仕組みではないとも聞きましたので、それならちょっと試しにやってみよう、ということになりました。


業務効率化を課題にしている現場は経理だけではありませんでした。営業系の事務スタッフ部門や、生産の購買調達など、多くの部署が事務作業の多さという悩みを抱えていました。


例えば当社の仕入れ先は毎月200社ほどに及びます。


当社はデザインに優れたステーショナリーを提供し、それを価値としている会社です。社長からは常に「クリエイティブであれ」と言われています。ところが、いざ社内を見渡すと、クリエイティブな時間よりも事務処理をしている時間のほうが多くて、理想とはかけ離れた状況でした。そこでRPAを導入し、企画を練る作業といったクリエイティブなことに社員が時間を割ける状態を目指したいと考えました。



――はじめにRPAを試したのはどんな業務でしたか。


渡邊 最初に試したのはステーショナリーのオンラインストアの受注業務です。課題は売上を管理する受注システムと、基幹システムのデータ連係でした。注文時にお客様の要望などの情報が付加されることがあるのですが、それを人間が別のシートに全部打ち込み直していたので、それを自動化しようと考えたのですが、結果的にはこれはうまくいきませんでした。ほかにも通勤費関連などいろいろなロボットを作ってみたのですが、どれひとつうまくいかず、実用化できませんでした。プログラミングが分からないと使えないツールだったことが原因です。



■ツールの選択が成否を分ける


加藤 私はプログラミングの知識があるので使えたのですが、スキルのない現場では使いこなせません。もっととっつきやすく、低コストで小さく始められるツールが必要でした。ネットやIT系展示会などで探したり、自分で資料を取り寄せたりもしました。小さく、素早く、当時は熱が冷めないうちに導入したいという想いがありました。


それで導入したのが国産のRPAソフト「EzAvater」です。プログラミングが不要で、直感的にシナリオが作ることができます。料金が安かったことが決め手のひとつでした。画面のインターフェースも可愛かったので、当社の女性社員にも好評でした。


作業をソフトウエアロボットに覚えさせるシナリオの作成は、4時間ぐらいで終わりました。実際に触ってみて、つくってみて、「今日からやります」という感じです。



――RPAソフトは、パソコンにインストールして使うオンプレ(クライアント)型、企業が所有またはレンタルしているコンピューターサーバー上で動くサーバー型、外部にあるコンピューターサーバーなどで動くRPAソフトをインターネット経由で利用するクラウド型がありますが、採用したRPAはどのタイプでしょうか。


加藤 パソコンにインストールして使うオンプレ型です。日時処理では3、4本のロボットが動いていますが、依頼に応じてスポットで動かすことがあります。商品マスターの登録などは毎日あるわけでもないので、処理量が多い繁忙期などに現場から依頼があり、動かしています。



――その他に動いているロボットは、どんなものがありますか?


加藤 基幹システムとのデータ連係ですね。当社の基幹システムには生産・販売システムと会計システムの二つがあります。基幹システムからデータをCSV形式などでダウンロードして、別のシステムにデータをアップロードしています。


例えばサイボウズの業務アプリ構築クラウドサービス「キントーン」と基幹システムを繋いで、取引先情報をキントーンに取り込んだり。このロボットは毎日動いています。


健康診断の日程確認のメールを従業員に出す業務なども、今まで担当者が一件ずつメールを送っていましたが、今ではロボットでやっています。


私たちの部署は、社内で困ったことがあるとITで解決するお手伝いをする役割もありますので、「これ、何とかならない?」と現場から依頼を受けて、「じゃあロボットでやりましょうか」とその都度動かすこともあります。


加藤 直近の事例では、仕入れ計上というものがありました。納品書に基づいて購入部材の内容ををシステムに入力していく業務です。それまでは、当社の製造スタッフが月初に10人ほど出社し、1日から1日半かけて何千行も入力していましたので、それをロボット化しました。新型コロナ禍で全員が出社して作業することは現実的ではありませんので、仕入れ計上のRPA化は大きかったです。



■"可愛いロボット"で、社員を惹きつける

女性社員が抵抗なく扱えることが導入成功の鍵となる(※)

女性社員が抵抗なく扱えることが導入成功の鍵となる(※)



――社内で自動化に対する抵抗感などはありましたか?


渡邊 当初は、「RPAを導入すればオンラインの受注が便利になります」と説明しても、現場では、受注をコンピュータが代行するなんてけしからんという意識でした。もしかしたら自分の仕事が奪われることを危惧した社員もいたかもしれません。



――成功例ができてその意識が変わった?


渡邊 実用化の第一弾として、営業支援部隊で商品マスターの登録業務にRPAを導入して成功したことが大きかったと思います。商品マスターは商品の元となる情報で、具体的には、エクセルシートから基幹システムに入力していく業務です。それまでは毎月7営業日分くらいの人手がかかっていたのですが、RPAを導入したら4時間ほどで終わったんです。振り返ると、そのあたりから、RPAは実用的で効果があるということが現場にも浸透してきたと思います。



――今後の課題は何でしょうか。


渡邊 今ではプログラミングができなくても作れるので、現場でロボットを作れる人材を増やしていきたいと考えています。我々が現場に出向いて業務内容を聞いてロボットを作ると、非常にコスト高になってしまいますから。


現場で直接ロボットを作れずに挫折するパターンが多いと思います。加藤が先ほど言った「RPAを可愛いものにしたかった」というのは、現場の人に覚えてもらいたいからです。業務を一番理解しているのはその現場の人たちですから、それをロボットに置き換えていく、ということに持っていきたいですね。そういう社員を増やしていきたいです。



■ツールの選定と現場をよく分かる人材がポイント


デザインフィルでは、はじめに2種類のRPAソフトを使い、いくつかのロボットをつくってみたところ、いずれもうまくいかなかったそうです。実用化を成功させるには、自動化する業務の選定やソフトとの相性なども鍵になると思われます。


IT部門ではなく、プログラミング知識のない一般の社員がロボットを作ったらうまくいった、という話は最近よく聞きます。現場の業務をよく知る人がRPAの導入プロジェクトに参加すると、うまくいくようです。






取材協力

株式会社デザインフィル[外部リンク]




編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 (※印の画像を除く)
取材日:2020年8月4日

         

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