今回のオフィス取材先は、モバイル向けコンテンツやインターネット広告など、様々なサービスの企画・開発を行うインターネットにおける「ものづくり企業」を標榜する株式会社ドリコムの本社オフィスにやってきた。
JR山手線・東急目黒線・東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線が乗り入れる「目黒駅」徒歩5分の距離にあるアルコタワーに入居する。結婚式場やホテルで有名なホテル雅叙園東京に隣接し、春は桜まつりで有名な目黒川沿いという風光明媚な立地だ。
ちなみに、開発チームが増えていることもあり、アルコタワー以外にも、目黒駅から徒歩9分の「山手オフィス」も設けているとのこと。
アルコタワー17Fにエレベーターで上がり、エントランスに向かうと見えてくるエントランス。
入口を一歩入ると明るくフローリングが広がるエントランスホール<。
真正面が受付になっており、左手がカフェスペース、ブラインドの下りている右手がセミナースペースになっている。
実はこの空間は、左右に見えるガラスの可動式パーティションを動かすことで大ホールに作り替えることができるようになっている。例えば、社員全員が集まる懇親会など行う際には、両空間をつなげて大ホールとして使うとのこと。そのためエントランスホール部分もホールとして一体として使えるデザインに仕上がっている。
「社員全員が集まる懇親会」というとアナログなイメージがあるが、最近のIT系企業ではある程度の規模になると社内にイベントホールを設けることが多い。社員全員が一度にコミュニケーションできて、横の繋がりができるイベントホールは、スピーディーな事業展開に必要なものなのだ。
アメリカのIT系企業でも、大きなカフェを設けたり、エントランスを吹き抜けにして大階段を設けているのも、全員が集まる「オールハンズミーティング」を開催できるようにといった理由であることが多い。
どこの会社でも、社内に全社員が集まることができるホールを設けたいと考える半面、日本国内のオフィス空間事情では、通常業務時にその空間が無駄となるため、食堂やカフェをホール兼用にするなど工夫を凝らしている。そうした中で同社のこうした例はとても参考になる。
また、細かいデザインだが、こちらのエントランスホール内は、スポットライトで作った光の導線を奥の受付に向かって走らせることで、疑似的に道が浮かび上がって、来場者を奥へ誘導している。飛行場の誘導灯のような仕掛けだ。
まずはエントランスホール奥の受付まで。
ここも雰囲気ある内装。アメリカの街角のような。
さて、受付は、、、
右手のこちら。アメリカにある公衆電話(!)がそのまま受付電話になっている。
受話器を上げて番号をプッシュするだけでつながる。
斜めから1枚。
奥の方の内装も凝っていて見たことがないかっこいい空間になっている。時空間が交差するイメージだろうか。
ちなみに、このエリアには来客用冷蔵庫があって、
中にはドリコム水がズラリ。
こちらは待合ゾーン
受付を終えたので、オフィス見学を続けよう。
まずはエントランスで見えたセミナールームから。
エントランス入ってすぐ右手は大きなセミナールームになっている。
広さは100平米。最大約120名入れるホールだ。
こちらで勉強会や社内外のイベントもよく開かれているとのこと。
中をのぞいてみると、
ちょうど社内の研修で利用中。
では、次は向かいのカフェスペースへ。
入口を見てもガラス張りでスポットライトでキラキラと照らされていて、中をのぞきたくなるつくり。
エントランスのブラックボードには季節のおススメメニューが!
カフェカウンターは、平日9時から18時半まで営業。
カフェに入ったところからカフェスペース全景
色合い、配置、バランス、どこを取ってもプロの仕上げ。
一般的なカフェよりも明るく、仕事もしやすいように設計されているが、明るいながら、落ち着く雰囲気に作られている。
こちらの広さも先ほどのセミナールームと対になる100平米の広さ。
大きなイベントの際には先ほどのセミナールームと連結して大ホールにもできる。
天井はカフェエリアのみスケルトン化されていて、ガレージ感もある。
ソファやテーブルでは皆さん打ち合わせしたり、商談したり、仕事をしたり。 こちらでの打ち合わせはリラックスしてできるので、堅いお話は会議室でして、アイデアを練ったりなどの会話が弾む会議はこちらでする、といった形で使い分けがされているとのこと。
壁の棚に近寄ってみると、
ドリコムのロゴが。
ほかに漫画があったり、ゲームがあったり。
奥にはカフェカウンター。
こちらは、評判のカフェ「ON THE CORNER」(渋谷)が行っており、ドリコムでは「D ON THE CORNER」として運営され、 毎日バリスタさんがコーヒーを入れてくれるので人気の場所。
社内カフェなのに、そこにバリスタさんがいて本物のコーヒーを入れてくれる本格カフェというのはあまり聞かない。同社の力の入れようがわかる。
確かに、本来カフェというのは、それっぽい内装の空間のことではなくて、本物の美味しいコーヒーが供される場所だ。そして、本物のコーヒーが生み出す香りにつられて人が集まってくる場所と考えると、カフェスペースに本物のコーヒーを用意する意味が見えてくる。
こちらのカフェスペースは、社員に愛用されていて、打ち合わせや集中しての仕事などにも活用されている。
カフェを堪能したあとは来客用ミーティングスペースを紹介する。
同社の社外用ミーティングスペースには、世界の偉人の名前がつけられている。
順に、エジソン、ガガーリン、アインシュタイン、ワシントン、フェルミ、ガリレイ、シャクルトン。困難を乗り越えて何らかの初めてを実現した人が多い印象。最後に、執務スペースを指して、WE(わたしたち)!というのがキュンとする。
「エジソン」(トーマス・エジソン)は発明王。蓄音機や電灯の実用化など、数多くの発明、改良、実用化を行う。「99%の努力と1%のひらめき」というのが有名な言葉。
「ガガーリン」(ユーリイ・ガガーリン)は、ソビエトの軍人(宇宙飛行士)。世界初の宇宙飛行士で、「地球は青かった」という言葉で知られる。
「アインシュタイン」(アルベルト・アインシュタイン)は、現代物理学の父。特殊相対性理論、一般相対性理論など現代物理学の基礎となる理論を打ち立てる。
「ワシントン」(ジョージ・ワシントン)は、アメリカ初代大統領。創作とも言われるが、桜の木の逸話でも知られる。
「フェルミ」(エンリコ・フェルミ)は原子力の父。核物理学、量子力学の発展に尽くす。フェルミ推定などでも有名。
「ガリレイ」(ガリレオ・ガリレイ)は天文学の父。地動説を唱えたが、それにより有罪判決を受ける。「それでも地球は動く」とつぶやいた話が有名。
「シャクルトン」(アーネスト・シャクルトン)は南極探検家。初の南極大陸横断はかなわなかったが、遭難した探検隊を率い奇跡の全員生還を果たすリーダーシップで有名。「エンデュアランス号漂流記」(中公文庫)はおススメ。
受付に向かって右側の通路。
こちら側に「フェルミ」「ガリレイ」「シャクルトン」の会議室が並ぶ。こちらのオフィスが入居するアルコタワー自体が弓のような曲線を持っているため、それに合わせて緩やかな曲線の通路が作られており、壁面にある船で見かける照明とあいまって、全体が船室のようなデザイン。奥が見えない通路のデザインは、人をワクワクさせて奥まで行ってみたい気持ちにさせる心理的な効果がある。オフィス全体が冒険に乗り出す船なのかもしれない。
左側の通路。こちら側に「エジソン」、「ガガーリン」、「アインシュタイン」、「ワシントン」の会議室が並ぶ。
いくつかのぞいてみる。
こちらは会議室「アインシュタイン」
小さめの会議室。どちらの側も全面ホワイトボード。
会議室「フェルミ」
こちらは広い。
部屋によってデスクのタイプと、椅子のカラーが変えてある。
チェアは岡村製作所の「ゼファー(Zephyr)」。
では執務エリアに入っていこう。
執務エリアは、連結型のデスクで島が作られている。
連結型のデスクは、単体のデスクと異なり、天板を支える脚が島全体で共有できるので、足元がスッキリする特徴がある。
固定席制で、開発や担当する事業ごとに島で集まって座っている。
ちなみに手前の方がスマホをいじっている方はスマホでゲームの検証作業中。
こちらはフロア奥の方から。
フロア内は開発中の案件が多く、撮影できるのはこの辺りまで。
今も続々とゲームの新開発案件が進んでいるとのこと。
こちらは執務スペース内にある社内ミーティングスペース。
ファミレス型ソファブースで、名前が「なつみかん」
手前のブースが「なつみかん」。奥が「かぼす」。
柑橘系の名前がついている。
このあたりのネーミングは、同社の「カレーライスとみかんの話(リンク: 同社サイト)」にちょっと懸けてある。
社内ミーティングスペースでクローズドな部屋も用意されている。
こちらは会議室「ゆず」。こちらも柑橘系。
これでオフィスを一周した。
ここで同社で執務用に使われているオフィスチェアを紹介したい。
椅子は仕事中、もっとも長時間接しているオフィス環境の一つだ。椅子の座り心地でオフィスの居心地や仕事のしやすさの多くが決まると言っても過言ではない。
ドリコムでは、良い執務姿勢が保て、身体にフィットさせる機能の充実した優秀なチェアを執務用に用意している。どれもハイクラスのチェアばかりで、うらやましい限りだ。
ハーマンミラー ミラチェア(Mirra Chair)
ディレクターの方が多く使われるとのこと。
岡村製作所 コンテッサチェア (Contessa Chair)
岡村製作所 バロンチェア (Baron Chair)
スチールケース リープチェア (Leap Chair)
こちらはエンジニアの方が多く使われるそう。
大きなセミナールーム、船室のようなデザインの打ち合わせスペース、バリスタのいれる本格的なコーヒーが楽しめる大きなカフェスペースに、機能的な執務エリア、執務用オフィスチェアはどれも高性能な執務椅子、というように実際に働く人にとって働きやすさを感じられるよう十分に配慮したオフィス空間だ。
また、オフィスの端々から、皆で困難に打ち勝って冒険しようというワクワクさせるメッセージが感じられた。取材時もゲーム等の開発で活気があふれており、採用を積極的に進めて人員は増加中とのこと。今後の展開が楽しみだ。
モバイル向けコンテンツやインターネット広告など、様々なサービスの企画・開発を行うインターネットにおける「ものづくり企業」。東証マザーズ上場。
workstyledesign株式会社(サービスサイト BACON)
クライアントの「働き方」をすべての根拠としてオフィスをデザインする会社。
編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局
取材日:2017年3月24日
座る人とともに動く。姿勢にフィットし、どんな小さな動きでもダイナミックにサポートする「ミラ2チェア」(※こちらは記事中のミラチェアの後継機種になります)
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2016年11月17日のリニューアル前の旧コンテンツは
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