(イーリバースドットコム株式会社 オフィスにて 同社代表取締役社長 高橋 巧 氏)
前回の記事(こちら↓)の続きです。
「環境問題をITで支援!電子マニフェスト普及を後押しする株式会社イーリバースドットコム オフィス訪問[1]」
環境×ITの分野で急成長を続ける同社は、2017年3月、東京 豊洲の新オフィスに移転し、1フロアで社員が働きやすい執務環境を整えた。
オフィスは、カフェバーのようなコラボレーションスペースに始まり、全員参加の会議もできる広くて見通しの良い1フロアの執務スペース、その周囲に豊富なミーティングスペースや集中ブースを用意するなど、快適な執務環境を整えている。このようなオフィスを作られた理由を、株式会社イーリバースドットコム 代表取締役社長 高橋 巧 氏に伺った。
(同社オフィスの会議室にて 同社代表取締役社長 高橋 巧 氏から話を伺う)
Q.大変素敵なオフィスですが、オフィス移転を決められた経緯を教えてください
こちらに移転する前は、JR浜松町駅前のオフィスビルに本社を置いていましたが、2年ほど前から事業の成長とともに社員が急激に増えてきまして、手狭になっていました。
また、オフィスフロアも区画が分かれていまして、全体を見渡せるようなつくりではなかったんです。入口も別々で、部署によっては2つのエリアに分かれてしまったりしていました。
さらに昨年度に入り、新しいセクションを作りまして、その人数が入りきらないということで、近くに別なオフィスを借りて、計3区画に分かれているような形だったのです。
このようにオフィスが分かれることでいろいろと不便になってきました。当社の行動指針に「チームとして勝つ」を掲げているんですが、顔を合わせる環境でないとなかなかチームワークというのも発揮しづらいと悩んでいました。
事業も成長し、今後も人が増えてくる予定なので、この機会に社員全員が1つのオフィス空間で仕事ができるようにしようと考えまして、今回のオフィス移転を決めました。
(株式会社イーリバースドットコム 代表取締役社長 高橋 巧 氏)
(インタビュー続き)
Q.御社にとって、オフィスに求める役割・機能はどういったものでしょうか
我々の経営理念は「当社の提供するサービスレベルを高め続けることで、顧客や社会に貢献すると共に、従業員の幸福を追求する」であり、従業員の幸福追求を掲げています。
やはり、働きやすい環境を整えることが大事だと思っています。それによって、仕事の生産性も高まるだろうし、そこから我々にしかできないサービスを創出して、その結果、お客様に満足していただけるようなサービス提供につながると考えています。
働きやすいこと、生産性が高まることが、まさにオフィスに求められるものだと思います。
例えば、すぐに、社内のいろいろな場所で打ち合わせができること、それもチーム内だけでなく、部署間をまたがって打ち合わせできる、といったところですね。
あとは、当社はシステム開発部門のウェートが大きいので、開発メンバーにとって集中してモノづくりができる環境があるといったことですね。そういう環境が重要じゃないかと思っています。
それから欠かせないのが、自由な発想、です。新しい発想で新しいサービスを生み出してほしいという期待感があるので、オフィスも閉塞感ある場所ではなく、開放感ある空間で、リラックスしていろいろな物事の発想ができるような環境というのも、移転に当たり目指したものでした。
あとは、お互いを肌で感じられるような空間を作りたかったんです。よくあるような背の高いパーティションで部屋を区切ってしまって、誰がどこにいるのか分からないという環境にはしたくなくて、フロアに立った瞬間にぱっと全体を見渡せて、親密感といいますか、肌で感じるような空間を作りたかったんです。
それで新オフィスでは、廊下の部分を若干高くしてフロア全体を見渡たせる形にしました。部署間をまたいで、みんなで一緒に仕事をしているという一体感を作るためにそういう狙いで作っています。
パーティションがあるオフィスだと社内がバラバラな感じになっちゃうじゃないですか。そこで、自席にいるときはそこで集中できるように低めのパーティションで囲み、高さのある廊下を作ることで、廊下を通って移動したときには開放感があって、見渡すと、みんなで仕事をしているんだと感じられるようなものにしたかったんですね。まさに「街」のようなということで、オフィスコンセプトは「街」で作ってもらいました。
新オフィスでは、環境が整ったこともあり、あまり時間に束縛された働き方を社員に求めていなくて、極論を言えば、短時間で高生産性のある仕事をすれば僕はいいと思っています。新オフィスは、そういうイメージで作りました。
このオフィスに行ったら集中的に仕事ができて、生産性が高まって、かつ、リラックスしながら仕事ができるというイメージです。理想的には、朝何時から夕方何時までいなきゃいけないという従来のオフィスの考え方ではなくて、短い労働時間でより良いものを作ることを目指す、そういう環境でいいかなと思っています。
(同)
それでは実際に同社のオフィスがどうなっているか写真とともに解説をしていきたい。
フロア全景。
中央の執務スペースを、一段高い位置にある回廊が囲んでいる。回廊側から見ると、執務スペース内に柱はなく、見通しが良い。
デスクのある執務スペース側は一段下がっているため、回廊側から見渡すと働いている仲間がどこにいるか分かる仕掛け。
執務スペースの天井はスケルトン化しているため、より開放感の高さが追求されている。また、フロアの2面がフルハイトのガラス張りで外光が差し込むのも魅力だ。
こちらは執務デスク。4台が1組となり配置されている。先ほどの回廊と通路を合わせて、オフィスコンセプト「街」の街区のイメージだ。
執務デスクは1,400mm幅のL型デスクと広いく、パーティションで囲まれているためデスクワークに集中できる環境が作られている。
パーティションで囲むことによる集中して仕事ができる執務環境と、廊下側からフロアを見渡した時にお互いの顔が見えるという両立が難しい条件を、フロアの回廊側を一段高くするという手間のかかるオフィス造作をすることで達成してしまっている。ここまでコストをかけて行っているオフィスは珍しいが、このようにすることで、廊下を通ればみんなが働いている姿が見えて一体感が感じられ、デスクにつけば仕事に集中できる環境が実現している稀有な例だ。
また、デスク配置も一般的な対抗島型レイアウト(アイランド配列)ではなく、背面式デスクレイアウトを採用していることも特筆すべて点だ。このレイアウトの利点は、振り返ると同僚と打ち合わせがすぐにできるレイアウトのため、チーム内で一体となって相談しながら仕事を進めやすい。社員のコミュニケーションを重視する同社ならではだ。
こちらはオフィスフロア奥から全体を撮影。街区が広がる風景は、まさに「街」だ。
3か月に1回の全社員が参加する会議も、このオフィスフロアを利用して行われる。回廊部分が高くなっているため、そこを舞台として、いつもの執務スペースが全社集会を行う会場に変身するという無駄のない作りだ。社員の気持ちを揃えるためにも、社員全員が集まるハンズオンミーティングが開ける場所を持つというのは成長中の企業には不可欠の設備ではないだろうか。
このオフィススペースの設計のすごさをお分かりいただけただろうか。
ではインタビューに戻ろう。
(インタビュー続き)
Q.移転しての社員の皆さんの反応は?
1番大きい反応は、それまでオフィスが分かれてみんなが不便を感じていたので、1つの場所に集合出来て嬉しかった、というものですね。
それで、お昼にみんなで出前を取って新しくできたバーカウンターでランチ会をしたり、夜には、部署をまたいで食事会なども社内バーカウンターでできるようになりました。
前のオフィスのときは会議室が2つしかなくて、予約の取り合いだったんですよね。移転前に会議室の利用状況の統計を取ったら80%を超えていまして、オフィスの機能的にウィークポイントになっていました。
それが新オフィスでは大幅にミーティングスペースを拡充したので、みんなすぐ集まって打ち合わせをしたり、前のオフィスより、リラックスしてコミュニケーションしている感じを受けますね。今回、オープンな環境を多く設けたことで、非常に生産性が上がっているという感じはしています。
(同)
こちらでは、コミュニケーションスペースの作り方について、実際に同社のオフィス写真で解説していきたい。
こちらは社員の交流の場になっている、バーカウンター。
昼間はちょっとした打ち合わせや仕事の場所として。18時以降はお酒もフリードリンクになり、社員の交流の場所になっている。
バーカウンターのあるエリアは、コラボレーションスペースとして設計されており、会議室が大小合わせて6室が並んでいる。
通路部分は天井がスケルトン化され、会議室も大型ガラスで仕切られていることから、開放感がある作りだ。
コラボレーションスペースの奥には、ファミレススペースも。
こちらは予約不要。1人で仕事をしたり、最大4人までのミーティングスペースとしても利用されている。
こちらは、執務エリア内、先ほど紹介した執務スペースをぐるりと囲む回廊部分。
写真左に見えるような、予約なしで使えるミーティングスペースなどが配されている。社員は執務エリアから出てすぐのところにある沢山のミーティングスペースを自由に使える仕掛けだ。
また、この回廊部分は、床から天井までフルハイトの窓ガラスで囲まれ、光が差し込んで明るいテラスのような空間が広がる。明るく眺めの良いミーティングスペースで気分も盛り上がる。
回廊の道路側の一番景色の良いところにはカウンター席が設けられている。
こちらで風景見ながら集中して仕事したり、並んで作業したり、ランチしたりなど、人気のスポット。
カウンター席の奥には、豊富なミーティングスペースが続く。
回廊部分はコミュニケーションのため幅広く取られ、サンデッキのような空間になっている。窓際の柱もウッド調フィルムで仕上げられていることも大きい。
回廊にはミーティングスペースとカウンターが豊富にある。
こちらは、こもって集中して仕事をしたい人のため、集中ブース。
ファブリックのパネルは吸音素材になっている。
このオフィスに行ったら集中的に仕事ができて、生産性が高まって、かつ、リラックスしながら仕事ができるというイメージ
(同)
という、高橋社長の言葉通りの空間と言える。
(インタビュー続き)コラボレーションスペースのバーカウンターにて
Q.今後の御社の事業展開について教えてください
当社は、ITの力で各産業の発展を支援し、社会貢献・環境貢献することを目指しています。現在の主力サービスである、電子マニフェストWebサービス「e-reverse.com(イーリバースドットコム)」は、産業廃棄物管理分野で、政府の推進する「電子マニフェスト」を大幅に使いやすくする製品で、建設業界で高く評価されています。
電子委託契約Webサービス「er-contract (イーアールコントラクト)」は「e-reverse.com」と連携することで、コンプライアンスの向上やコストを軽減するサービスです。
当社としては、それらを産業廃棄物関連コンテンツ事業として1つの柱としまして、新たなサービスを提供しつつ拡充していきます。また、今年4月1日から、建設現場の施工管理をICTで支援するサービス「Buildee (ビルディー)」をリリースしました。
今後、建設現場のICTが進んでいく中で、建設現場の施工の合理化、効率化を目指す分野に注力していきます。
(同)
(インタビュー終わり)
環境省が普及を推進する「電子マニフェスト」を事業者がより簡便に利用しやすくする電子マニフェストWebサービス e-reverse.com (イーリバースドットコム)を運営。ほかに、電子委託契約Webサービス「er-contract (イーアールコントラクト)」、施工管理業務支援Webサービス「Buildee (ビルディー)」も展開している。
編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局
取材日:2017年6月26日
2016年11月17日のリニューアル前の旧コンテンツは
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