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資生堂のダイバーシティ経営と働き方改革のプロセスイノベーターが教える、ダイバーシティのイントロダクション「女性活躍」のポイント~株式会社wiwiw 代表取締役社長 山極 清子氏インタビュー~

資生堂のダイバーシティ経営と働き方改革のプロセスイノベーターが教える、ダイバーシティのイントロダクション「女性活躍」のポイント~株式会社wiwiw 代表取締役社長 山極 清子氏インタビュー~

株式会社wiwiw 代表取締役社長 山極 清子(やまぎわ きよこ)氏



今、すべての企業にとって重要なテーマのひとつがダイバーシティ経営です。なかでも、ダイバーシティのイントロダクションともいえる女性の活躍が進まずに悩んでいる会社も多いでしょう。


日経WOMAN「女性が活躍する会社BEST100」で3 年連続「総合ランキング1位」を獲得している資生堂で、女性活躍の礎を築いた初の女性人事課長であり同社のダイバーシティ経営や働き方改革などを約20年間にわたって実践した 山極清子氏(現・株式会社wiwiw 代表取締役社長)に「ダイバーシティ経営」の取り組み方を伺いました。




■ジェンダーギャップの"後進国"ニッポン


――山極さんがダイバーシティや女性活躍に取り組むようになったきっかけは何でしょうか。


私が生まれた新潟は米作り農家の多い地域で、女性が外で働くという考え方はありませんでした。20歳を過ぎたら同じような家柄の人と結婚し、子ども産み育てることが女性の幸せという価値観にはずっと疑問を感じていました。男女雇用機会均等法が施行される以前で、ほとんどの企業では四大卒の女性は採用していなかった時代です。そんな社会・教育環境で育つ中で次第に、女性というだけで制約されることなく職業人生を歩みたいと思うようになったのです。


――それで資生堂に就職された。


当時の資生堂には美容部員が1万人ほどいて、全盛期。全国から選ばれた数人を1年間アメリカに行くことができる海外派遣制度が魅力的に映り、地方で唯一女性が活躍できる場だと思って資生堂に入社しました。願いかなって資生堂アメリカ(Shiseido Cosmetics America Ltd, New York)で働くチャンスを与えられ、資生堂本社に異動。広報室消費者課を皮切りに商品開発・マーケティングなど多様な職務を経験し、1995年財団法人21世紀職業財団両立支援部事業課長に出向。本社に復職後、資生堂で初めての女性人事課長に就きました。それ以来、女性活躍、ワーク・ライフ・バランスの促進、働き方改革に取り組みながら大学院で学びました。


――著書『女性活躍の推進―資生堂が実践するダイバーシティ経営と働き方改革―』の反響はいかがですか。


この本の主な問いかけは、日本企業が女性活躍の後進国である現状を明確にし、女性管理職登用を妨げ、遅らせている要因は何なのか、どのようにしたら阻害要因を取り除いて登用を実現できるのか、いつどんな段階にいかなる施策が必要になるのか、施策をどのように実施するのか、ということです。


これらの疑問に答え、女性活躍が企業業績に及ぼす有効性を明らかにすることが本書の目的でした。そうした有効性が、机上の空論ではなく、私自身が株式会社資生堂の女性活躍推進施策の策定過程に深くかかわり、女性管理職登用に実際に取り組んで来た経験を系統的に振り返り、時間をかけて分析し、論理的に整理するなかで導き出された結論であることから、説得力があるものとして、経営者や人事担当者の皆様には版を重ねるほどの評価をいただいています。


――日本のジェンダー・ギャップ指数は先進国の中でも低いと聞いています。


「ジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index)」とは、世界経済フォーラムが2005年から毎年発表している、社会進出における各国の男女格差の度合いを示す指標です。この指数は、経済、教育、政治、保健の4分野それぞれの男女格差を数値化・ランク付けしたもので、0が完全不平等、1が完全平等を意味しています。日本の2017年の順位は、144か国中114位と極めて低い結果でした。


――要因は何なのでしょうか。


ひとつは、日本の女性政治家の割合が圧倒的に低いことで、これについては、今年、「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律案」が可決され、成立しています。また、管理職に占める女性の割合が13.0%(2016年)と経済協力開発機構(OECD)諸国の中で最下層レベルにあるという現状があります。その要因には「ジェンダー・バイアス」(男女の役割についての固定的な観念、意識)があります。


たとえば、男性は外に出て収入を得、女性は家族の面倒をみるという根強い性的役割分担意識です。その根底には、固定的性別役割と対になっている男性の長時間労働があります。夫はいつも残業をしていては、いつまでたっても家事や育児を妻とシェアできないからです。経営者や管理職の「男性が育児なんて」というジェンダー・バイアスも壁になっています。女性に対する過剰な配慮も同じです。「小さい子がいるから早く帰った方がいい」と重要な会議に参画させず、仕事を任せないことがあるのです。しかし、そもそも恒常的な残業を削減でき、定時に帰宅できる職場なら、そんな配慮など不要なのです。



■女性が活躍できず、ダイバーシティが進まない元凶は「長時間労働」にある

女性が活躍できず、ダイバーシティが進まない元凶は「長時間労働」にある


――ダイバーシティ経営が目指すものについて教えてください。


ダイバーシティ経営とは、性別や年齢、国籍、あるいは障がいの有無といった個人の属性にかかわりなく、異質・多様な人材の能力や発想、価値観を受容し、融合させる人事・経営戦略です。価値観の異なる人を排除するのではなく受容し、それを融合させる。たとえば、商品を企画するのでも、現場に様々な価値観を持つ人がいて、グッドクラッシュ(良いぶつかり合う)によってイノベーションが起こります。今までにない価値を創造するような商品も生まれ得るのです。


――ダイバーシティの対象は女性に限りませんね。


その通りです。しかし、人口の半分を占める女性が活躍できるようになることが、ダイバーシティ・マネジメントのイントロダクションであり、試金石になります。その女性たちをマネジメントできずにいて、価値観や宗教などが異なる多様な人材をマネジメントすることなど考えられないでしょう。


――今、ほとんどの企業が取り組んでいる「働き方改革」の最重要課題とは、何でしょうか。


働き方改革の一丁目一番地は、長時間労働の削減と、時間当たりの生産向上です。しかしながら、企業の中には労働時間の削減ばかりに目を奪われてしまい、ノー残業デーを導入すれば「解決」するように勘違いしています。しかし、それは働き改革とはいえません。


大切なのは、なぜ長時間労働になってしまうのか、原因を明らかにし、それを解決するソリューションを打ち出し、着実に実行することが重要です。それと同時に一人ひとりの社員が個性を活かして自己実現ができ、能力が発揮できる場を提供することです。そのためには、下図のような公正な評価・処遇、目標による管理、人材育成、女性をはじめとする多様な人材がプロとして活躍できる「ダイバーシティ・マネジメント」と、男女ともに実現可能な「ワーク・ライフ・バランス」とを包括的に同時に(デュアルに)取り組む「ダイバーシティ経営」が不可欠なのです。



ダイバーシティ経営図

山極清子氏作成(※)



――そもそも、日本の社会が長時間労働をよしとしてきたのはなぜでしょう。


高度経済成長モデルは、「終身雇用・正社員・男性中心・年功序列賃金・企業別の組合」というものです。これは高成長を牽引するモデルとしては「有効」であったという評価がありますが、一方で、女性はその中に入ることができず、男性が朝から晩まで会社で働き、妻は家事・育児を行うという「男性ひとり稼ぎ」の成長モデルでした。


高度成長期には、たとえば白物家電のように、同じものを大量に作れば物はどんどん売れていきました。しかし、経済停滞期の今、国内消費市場も成熟段階に入って一人十色の時代、生活も商品も多様化しています。しかも、少子高齢化による働き手不足も加わり、女性をはじめ多様な人材が欠かせなくなっています。にもかかわらず、日本的経営が変容したとはいえ、日本的雇用慣行の骨組みがまだ残っています。


多くの大手企業では、同年入社の社員は一斉にヨーイドンで走り、年功序列に従って昇進・昇格していきます。しかも企業経営の中心を担いリードする人たちは基本、社内昇進ですから、その意味では終身雇用を前提にして働いています。忠誠心から仕事に没頭し、自分や家族の生活を犠牲にして、会社に遅い時間まで残れば人事的にも評価される長時間労働という働き方が、依然として温存されたままなのです。


――高度経済成長期のモデルが時代に合わなくなってきているのですね。


多くの企業がそれを変えられないままでいます。長時間労働をしている人は、ポジティブにプラス評価される傾向にあります。同じ職務に10時間かける人と6時間かける人がいたら、本当は6時間で終わった人を評価するべきなのに、10時間かけた人を高く評価しているわけです。時間あたりの成果をもって評価する仕組みに変えなくては、長時間労働は変わっていきません。男性の有給休暇の取得率が低いのは、休暇をとらずに長時間働くことを「よし」としている企業が多いからです。


――たしかに、多くの男性が有休を消化し終えるのは「退職時」ですね。


このような社会では、ワークとライフのどちらを選ぶかという二者択一になっていました。そうではなく、本来、ワークとライフとは、互いに刺激しあい相乗効果をもたらす関係にあります。なぜなら同じひとりの生活者は、ワークだけでなくライフの側にもいるからです。ワークを2時間短縮すればライフにかけられる時間が増えます。その増えたライフの時間は、買い手として使い手として生活体験から商品やサービスを見極める力を養うだけではなく、趣味を楽しみ、自己啓発してスキルを上げ、ボランティアなどにも充てられます。こうした生活体験が、独創的な商品やサービスを企画するなどワークの刺激剤になるわけです。


――ワークとライフとが相互に影響しあってメリットが生まれるのですね。


社内に長時間いただけでは良い商品は生まれず、生産性は上がりません。ライフを充実させ、様々なことを学んでいる人は市場のニーズをつかむことができ、商品がヒットすれば売上も上がり、生産性も上げられます。残業なしで自分の能力を最大限に発揮できる人のほうが圧倒的に多くなれば、社員のモチベーションも上がります。その結果、男女共にキャリアアップしながら仕事と育児や介護の両立ができるようになるのです。一人ひとりが成長すれば、社員が5千人いる会社は5千人が成長するわけです。これまでのように、ワークかライフのどちらかに偏っていると、そのような成長は望めません。



■女性社員が8割の資生堂でも30年を要した改革

女性社員が8割の資生堂でも30年を要した改革



――資生堂の改革の歩みについて教えてください。


1987年に福原義春社長(現・名誉会長)が経営改革を断行したことに始まり、ジェンダー・ダイバーシティとワーク・ライフ・バランスを同時に取り組むデュアル・アプローチを30年にわたって続けてきました。福原社長はその当時から「多様性」という言葉を使っていました。しかし、男性役員の中にはそれを受け容れたくないという抵抗勢力も存在していました。年功序列で給料が上がり、昇進できる男性重用の日本的雇用慣行を崩したがらなかったのでしょう。


――創業時から女性を登用してきた資生堂ですら、社内の抵抗はあったのですね。


当時の日本的経営構造の下では、女性社員は終身雇用や人材育成の対象とはみなされていませんでした。入社するのは一緒でも、子どもを産んで産休、育休をとると昇進の道はほとんど閉ざされていたのです。組合も男性正社員のためのもので、女性が組合の役員に就いたのはかなり後になってからのことです。95年時点でも、社員の8割が女性という会社なのに、女性管理職は3%台でした。


――改革の成果は?


改革は1987年から約30年間に及び、「女性管理職登用の胎動期」(1987~1996年)、「女性管理職登用の基礎固め期」(2000~2004年)、「女性管理職登用の発展期」(2005~2012年)、「女性管理職登用の成熟期」(2013~2015年)を経て、今では女性管理職の登用が飛躍的に進んで国内では3割に到達しています。海外に至っては女性社員の65%が部下を持つ管理職として活躍しています。同じ資生堂というグループ内でも、海外では女性管理職登用に向けた改革は不要でした。この違いは、明らかに日本的雇用慣行に根差しているものと理解できます。そうした違いはあるものの、資生堂は、経営戦略として女性の活躍を進めることで組織のパワーバランスを変え、組織を活性化できたのです。


――最も実現にこだわったのは何でしたか。


女性管理職の割合を「3割」にすることです。ハーバード大学のロザベス・モス・カンター教授が提唱している「黄金の3割」という理論があります。カンターは、組織における女性の数と権力がジェンダー意識を規定する大きな要因であると主張し、女性管理職は30%に到達しないと男性管理職群から"特別な存在"として扱われ、限定的で象徴的な役割しか与えられないことになるといっています。問題は女性の数の少ない組織構造そのものにあるから、この構造を変えるために実効性を高める数値目標を立てる必要があると指摘しているのです。今後、資生堂では国内4割、5割を目指すことになります。


――2015年には「資生堂ショック」と騒がれたこともありました。


育児短時間をとっているビューディー・コンサルタント(BC)に対して、「甘えをなくせ」とばかりに遅番や土日勤務をさせるとする「方針転換」があった、という誤解を招く報道がされました。女性のキャリアアップには男性の育児参画が不可欠という認識が欠けていた報道だったと思います。


――「資生堂は子育て中の女性にやさしい会社ではなかったのか」などという声が上がりました。


そもそも「やさしい」という言い方がおかしいのですよ。資生堂が目指していたのは、「女性にだけにやさしい会社」ではなく、男女ともに「やりがい(エンゲージメント)を高めることができる会社」です。BCの働き方改革は、資生堂が女性活躍に向けて1987年から取り組んできたダイバーシティとワーク・ライフ・バランスの継続施策です。また、この施策は、女性活躍推進法の取り組み指針である「女性管理職への登用」「働き方の改革」「性別役割分担意識の見直しなど職場風土改革」に即しており、こうした指針に応えるべく、女性活躍のリーディングカンパニーとして他企業に先駆けた取り組みでした。資生堂側も、「女性だけが担う育児の現状」に目を向けたものではなく、それを打開する道筋であることを明らかにしようとする説明が不足していました。


――BCのキャリアとワーク・ライフ・バランスの両立を目指した施策だったわけですね。


子どもを産むまでは、仮に夫婦二人で働いて家事も分担しあうような男女平等を自認する家庭であっても、育休をとると、事実上妻は専業主婦になってしまい、キャリアアップの道から遠のいてしまいます。会社としてもBCを女性管理職にどんどん登用していきたいわけですが、法定を大幅に超えた数年間にもわたる育休や時短勤務はキャリアロスになるという問題があったのです。そこで2004年から行っていた男性の育児参画を進めて、男性も育休をとれるように促してきました。スウェーデンのように男性たちが夕方6時には家に帰って来られるようになれば、「女だから」「男だから」はなくなります。資生堂の狙いは、家事育児をやりたいと思っていても育休をとれなかった男性も育児に参画できるようにして、BCがキャリアと家庭を両立できるようにすることにあったのです。



■女性の部下にも修羅場をくぐらせてほしい

女性の部下にも修羅場をくぐらせてほしい


――職場のジェンダー・ギャップを解消する壁になっていることは何でしょうか。


その根っこの部分には、無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)があります。また、"予言の自己成就"という現象もよく見られます。これは、「どうせ女性はすぐ辞める」「難易度の高い業務は無理」と男性にのみ責任のある仕事を任せ、意欲を失った女性が辞めていくのを見て、「やっぱり女性はダメだ」と錯覚する現象です。お願いしたいのは、男性の部下と同様に、女性に対しても成長を期待し、難易度の高い仕事をアサインして能力を引き出し、修羅場をくぐらせる職務を経験させることです。そして成果をあげることができたら、それをきちんと評価し、さらにランクを上げた仕事をさせるという地道な育成をしていただきたいのです。


――女性活躍推進で、よく誤解されていることは何でしょうか?


そもそも「女性」という言葉でひとくくりにして個人を見ていないこと自体、女性が活躍できていない証左ではないでしょうか。「男性は外で仕事をして女性は家を守る」という古い感覚と同じように、「女性は感性が豊か」「女性は細かいところに気がつく」といった捉え方も、アンコンシャス・バイアスなのです。個人に即して女性を見れば、大胆さが身についていてリーダーシップのある人もいます。逆に、男性でも感性が豊かな人や、よく気がつく人はたくさんいるのですから。もっとも、男性は仕事、女性は家事・育児、という異なる仕事を気の遠くなるほどの長い間担い続けてきたことから、男女それぞれの行動パターンが定着し、経験知的・相対的に異なる感覚、異なる能力が生じていることは否めません。この違いが活かされる局面もありますが、今や、男性・女性ではなく、多彩で多様な一人ひとりの価値を大事にすることが時流です。これを踏まえずに「女性の視点」をもとにビジネスを考えるのは限界があります。


――育休の期間については、どう思いますか。


育児休業法が施行されたのは1992年のことでしたが、資生堂ではすでに1990年に育休3年(2人目は5年)という法律を超えた画期的な制度を導入していました。その時代は育児で退職する者が多く、対策としては有効な制度だったのですが、時代が変わり、それが重荷になっていました。男性の育休取得者は未だ5%にも達していない中、女性だけが育休3年では、キャリアロスが起きてしまいます。今は、保育園に入れないといった特別の事情がないかぎり、育休の取得期間は「1年間」が多くなっています。制度は時代に合わせて変えなくてはならず、現在ではセーフティーネットとして「3年間」を位置づけています。


――職場復帰後、キャリアと育児を両立できるようにするには。


晩婚化が進み、社員として豊富な経験を積んだ成熟期に、出産や育児というライフイベントを迎える女性が増えました。その結果、育児と、キャリアをうまく両立できない"マミートラック"に陥ってしまう問題が出ています。そこで私たちwiwiwでは、育休中にキャリアと育児を両立する「マインド」「スキル」「行動力」を育てるインターネットプログラムを提供しています。これによって、育休中にパートナーである夫を巻き込んでキャリア戦略を立て、家事・育児のシェアを訓練し、育休復帰後は男女ともにキャリアと育児の両立レベルアップを図れます。育休の過ごし方次第で、復帰後に活躍できるかどうかが決まります。パートナーと育児を楽しみながら両立の準備ができるのです。


――wiwiwが提供している「キャリアと育児の両立支援プログラム」とはどのようなものですか。


育休中の方300人を調査して、「社会や会社から孤立するようで不安だ」「スキルが落ちてしまう」「育休中の仲間と情報共有したい」といった悩みや要望を多く聴き取りました。それをもとにキャリアと育児両立プログラムを開発し、現在670社に提供しています。キャリアと育児両立レベルアップとビジネススキルアップなど、子どもが眠っている間に勉強できるような100以上のオンライン講座があります。また、復帰に向けて両立に関する不安を解消し、逆に復帰が楽しみになるマンスリー・ウィークリーメールや、月1回など定期的に育児休業者と上司のコミュニケーションをサポートする情報交換メールなどによって、育休者同士でも情報を交換できます。


――wiwiwは「女性活躍推進」だけでなく、「仕事と介護の両立」も支援されていますね。介護の問題もこれからますますクローズアップされることになりそうです。


誰もが介護をする時代に入りました。仕事と育児、介護というダブルケアを担う人も増加しています。育児を他人ごととしてきた男性も、介護では当事者になります。社員の誰もが介護を担う可能性が高いことや、介護による肉体的な疲労が業務に及ぼす影響などから、企業も本腰を入れて仕事と介護の両立に取組む必要があります。


――企業が、仕事と介護を両立させようとしている従業員にすべきことは何でしょうか。


「会社としては働き続けてほしい」と従業員にアピールしながら、「介護は自身だけで行うものではなく、どのような介護サービスを利用するかをマネジメントするものである」というイメージを持ってもらうことが大事です。公的介護保険制度をはじめとするサービスを利用し、仕事や育児などで手が回らない部分はプロの力を積極的に活用し、親族などその他のメンバーの手も借りて負担を分担すれば、仕事と介護は両立することができ、退職する必要はありません。職場の管理職は、介護に直面している部下がいたら、必要な制度を活用し、周囲がサポートできるような柔軟な働き方ができているかをチェックし、もしできていなければ職場全体の働き方を見直す必要があります。仕事と介護の両立のための情報を提供し、いつでも相談ができるような職場環境を整備しておくことが、企業に求められています。



■お気に入りの記事はこれ!


――「アスクル みんなの仕事」でお気に入りの記事を教えてください。


サイボウズの青野社長のインタビューを興味深く読みました。「人間が不幸になってしまう会社なら、いらない。もう一度、会社というものに向き合うべき」という、かなり大胆なご意見を述べていらっしゃることに感銘を受けました。私も本当にそうだと思います。


【参考】

幸せな働き方を獲得するために一歩前へ踏み出そう! 働き方改革のイノベーターが語る「幸せのための働き方改革」~サイボウズ株式会社 代表取締役社長 青野慶久氏インタビュー~newwindow





著書とともに





男性の育休取得は、妻の負担を軽くするために夫がお手伝いするためのものではありませんでした。「仕事と育児を両立するための準備期間」をパートナーと共有することは、まさにワーク・ライフ・バランスにつながるものです。会社がそのような多様な価値観(ダイバーシティ)を受け入れる方向に変わっていくことで、私たちの働き方も大きく変わっていくことになりそうです。





プロフィール


山極 清子(やまぎわ きよこ)

株式会社wiwiw(ウィウィ)代表取締役社長、昭和女子大学客員教授
経営管理学博士(立教大学)

1951年新潟県生まれ。資生堂入社後の1995年財団法人21世紀職業財団両立支援部事業課長に出向。資生堂の女性活躍の礎を築く資生堂初の女性人事課長。経営改革室次長、CSR部各次長・男女共同参画リーダーなどに就いて20年間、女性活躍、ワーク・ライフ・バランス推進、働き方改革に取り組んできた。2009年立教大学大学院ビジネスデザイン研究科特任教授、2010年株式会社wiwiw執行役員社長、2018年代表取締役社長に就任(現任)。
現在、1,000社のネットワークを活かし、ダイバーシティ経営、働き方改革など企業に提案している。
厚生労働省労働政策審議会「職業安定分科会」専門委員、安倍総理主催「若者・女性活躍推進フォーラム」委員、経済産業省「企業活力とダイバーシティ推進に関する研究会」委員など歴任。現在、東京都人事委員会委員、経済同友会会員など。 NHK「クローズアップ現代」(「女性が日本を救う?」)はじめテレビ出演、全国各地での講演、新聞・雑誌の寄稿も多数。


株式会社wiwiwnewwindow[外部リンク]



著書

女性活躍の推進―資生堂が実践するダイバーシティ経営と働き方改革newwindow」(経団連出版)[外部リンク]









編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局(※印の画像を除く)
取材日:2018年6月5日




         

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