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しつこく、粘っこく、諦めずに日本の投資マインドに挑み、日本経済に変革を起こす!ミドルシニアの凄腕証券マンが起業した理由 ~株式会社One Tap BUY 代表取締役社長CEO 林 和人氏インタビュー~

株式会社One Tap BUY 代表取締役社長CEO 林和人(はやしかずと)氏

株式会社One Tap BUY 代表取締役社長CEO 林和人(はやしかずと)氏



ちょっと前まで、「株式投資」といえば知識が必要だし、素人が安易に手を出すのは危険というイメージでした。でも今では、1,000円から、しかもスマホで株式投資できる。これって一つのイノベーションですよね。50歳を目前に、日本を変えるべく起業を果たした株式会社One Tap BUYの代表取締役社長CEO 林和人氏にお話を伺いました。






■香港で活躍する伝説の日本人証券マン


――ご経歴を教えてください。


証券業界のキャリアとしては、岡三証券に新卒で入り、海外勤務を希望して香港支店に出向赴任しました。それから25年間、香港を拠点にアジア諸国で顧客開拓をしていました。7年間働いたところで、東京に転勤命令が出て、良いポジションも用意されていたのですが、東京に戻りたくなかった。香港の上司に迷惑をかけたくなかったので、そしらぬ顔で東京に戻り、東京の上司に辞表を出しました。


――ずいぶん思い切りましたね。


香港に戻って、成果が収入に直結するようなことをやりたかったので、歩合営業マンとして就職したのですが、その会社が2か月で倒産してしまった。正確には倒産したのは親会社ですが、バックファイナンスが決まるまで香港の金融局から営業停止命令が出てしまったので、お客様がいても営業をできなくなってしまいました。おかげで3か月無収入になり、貯金も底を尽きかけた頃、声をかけてくれたお客様がいました。シンガポールの証券会社の会長をされている方で、その日のうちにその会社の香港法人に就職しました。この会社には2年いました。そして、山一証券が香港を拡大する際にヘッドハントされて山一に移りましたが、1997年、会社の自主廃業を期に独立しました。このときはまだ30代前半でした。


――香港証券取引所の日々の売買高の3~5%を動かす伝説の証券マンだったそうですね。


香港では4年間、お客様のポートフォリオの売買をしていました。華僑の有名な会社の社長さんのほとんどが私のお客様でした。紹介にもほとんど頼らずに、全部自分で開拓に行っていた。どのお客様も大金持ちで、資産がどんどん増えていく。大口のお客様だと1,500億円ほど預かって売買していて、そんなお客様が6人いたのです。うまくお客様を開拓できたのは、しつこく、粘っこく、諦めないということをずっとやってきたからです。自分は決して天才肌ではなく、農耕型だと思っています。華僑のお客様にコネクションなどありませんでしたが、20代の間、ずっとしつこくそれを続けたことで大口のお客様を開拓できました。毎日お宅に通って、子どものように可愛がってもらいました。「今度は日本の温泉に連れて行って」と言われたりして。



■日本の投資家に門戸を開きたい

■日本の投資家に門戸を開きたい


――独立したときの目論見は。


当時は橋本内閣の金融ビッグバンがあり、フリー・ウエアー・グローバルという3つの原則によって従来の護送船団方式が崩壊し、お金は国境を越えることを促進する動きが起こりつつありました。日本の個人金融資産が海外に流れていく絵を自分の中で描いて、独立したわけです。もちろん、それまで通り、華僑のお客様の売買もやるのですが、当時、中国株がすごく成長していたので、日本の個人にターゲットを絞って、それを日本の個人投資家に買ってもらおうと考えました。


――どのようにビジネスを構築したのですか。


それまでの海外投資というのは、お客様が証券会社に注文を出してから約定の連絡が来るまで半日とか1日かかっていました。為替手数料や売買手数料も7%と高い。これでは絶対に広まらない、なんとか安くできないかということで、当時普及しはじめていたインターネットで新たな仕組みを作るために、買いつけた香港の証券会社にシステム投資をして、インターネットの取引部門を作りました。


――それで念願の日本の個人投資家への株売買が叶ったのですね。


ところが、いざスタートする直前になって、金融庁から待ったがかかりました。日本で証券勧誘するなら、日本で証券免許をとるか、日本の証券会社と業務提携が必要だと言われました。しかたなく日本の証券会社を回りましたが、どこも門前払いです。そりゃそうですよね。香港の証券会社の日本人社長だと言っても、若造ですし、どう見ても胡散臭いと思われたんです。そこで自分で日本の証券会社を作ろうと思いました。東京だとコストがかかり手数料が高くなるので沖縄に拠点を造り、2000年中国株専用のユナイテッドワールド証券を開業しました。



■日本に舞い戻り、ミドルシニアとしてスタートアップ

■日本に舞い戻り、ミドルシニアとしてスタートアップ


――その後は順調でしたか。


2007年までは売買計画が伸び、日本の中国株市場の100%近いシェアがありました。門前払いされた証券会社もこぞって出資をしてくれた。しかし、円高やリーマンショック、東日本大震災、尖閣問題、システムの不備などが原因で、そこからは5期連続赤字。蓄えていた収益も全部なくなってしまいました。150人いたスタッフを24人までリストラし、ようやく単月で黒字に回復したので、右腕だった人に代表を譲り、フランスの会社に買ってもらうことにしました。結局、個人金融資産を活性化し、日本の個人投資家が海外の株式市場で財を成すという私の夢は志半ばで実現できなかったのです。


――またしてもの挫折。でもくじけなかった。


会社を売った金で、6年前に25年ぶりに帰国し、新しい会社をゼロから作りました。クラウドの仕組みも普及浸透してきたので、この仕組みとスマホを使えば新しい今まで出来なかったことが出来ると確信しました。みっちり基礎からシステムを勉強し直しました。自分で設計してコードも書いて、飯田橋の雑居ビルでコツコツとシステムを作ったり、取引の仕組みを作っていました。


――そのシステムで、TechCrunch TOKYO 2015に挑んだわけですね。


TechCrunch Tokyoのスタートアップバトルは世界で最大のスタートアップの祭典です。最終選考に残ると、何千人もの観客の前で自分のビジネスを発表できる。だから、そこにターゲットを合わせて、一発勝負をかけていました。最終的にスタートアップバトルでは審査員特別賞とAWS賞をいただき、それによってソフトバンクの10億円の出資が決まりました。金融庁に第一種金融取引業者の申請を出し、証券業協会の審査、日本投資基金の審査を経て関東財務局の審査を受けました。今では最低資本金は5千万と言われていますが、当時は10億の資金が必要だったのです。アプリのリリースは2016年6月。システム開発は、金融庁や証券業協会の審査と並行して続け、2年かけました。


――それが今のOne Tap BUYですね。改めてご紹介ください。


One Tap BUYは、日本初のスマートフォンに特化した株式投資サービスです。スマホを3タップで、1,000円から株式売買できる手軽さが特徴です。著名な米国株式30銘柄をはじめ、国内ETF3銘柄、日本株式30銘柄、米国ETF3銘柄を24時間365日約定(日本株に関しては、市場が閉まっている時間帯は、予約注文となります)でき、取引単位未満でも端株として購入できます。


――One Tap BUYはあまりベンチャー企業らしくありませんね。


株主構成としてはソフトバンクが最も多く、みずほグループやヤフーも入っていますから、人事評価制度、内部管理体制、内部統制はガチガチで、きっちりルール化されて、すべて見える化されています。大企業並みの規定とルールが網羅されており、内部監査も入っていますし、金融庁の検査も定期的に入りますから、ベンチャーとは言えませんね。ベンチャーはあくまでフロントのフィンテックの部分だけです。


――業態からすると、むしろ好ましいことですね。


金融は規制緩和すべきだとよく言われますが、私はベンチャーでも逆のことを言うので、固い方の論客だと言われています。ビットコインをめぐる事件もありましたが、緩和しすぎて投資家保護を怠るべきではない。人のお金を扱う仕事ですから、態勢と資本がないところはやってはいけませんね。フィンテックも淘汰が始まっていて、大手資本が入っているところしか残っていません。One Tap BUYの決算はまだ赤字が続いていますが、新しい市場を開拓するために、ある程度態勢を整えながら先行投資しているからです。最初からそこを見すえていました。50歳を超えてからのベンチャーですから、若い人とは違う。金融をよく知っている会社とソフトバンクはこれに賛同して出資してくれたわけです。



■日本の金融資産を循環させるという壮大な野望

■日本の金融資産を循環させるという壮大な野望


――アプリのユーザーはどういう人ですか?


20~30代で投資経験のない方が全体の7割ほどいます。最近、女性が2割弱まで増えてきました。日本の証券会社では女性は1割を切っていますから、この比率はかなり多いです。「スマホで手軽に株式売買できる」ということが評価されていると思います。


――カジュアルな投資というのは、大きな資産家からは軽く見えてしまうのでは?


そうですね。今後は手堅い商品も増やして、日本の個人金融資産の核をなす50~70代の投資を解決していきたいと思っています。平均寿命も延び、人生100年時代に突入します。資産継承の問題もある。若年層と50代以上の層の両方を活性化する仕組みを目指しています。みなさん安定志向が強いので、銘柄も金融商品も含めて、まだ日本にない安定利回りの商品を作りたい。アメリカでは金利が上がる局面に入っており、5年ものの国債が2.5%で回る。この流れをうまく組み入れて、為替リスクをヘッジしながら2~3%の商品を作るために、地方の金融機関とのアライアンスを進めています。


――個人の投資マインドを変えることはできるでしょうか。


日本政府はずっと「貯蓄から投資へ」と呼びかけていますが、日銀の推計によれば、個人の金融資産は1,800兆円あり、そのうち55%が銀行預金で眠っているとされています。有価証券投資と金融商品投資に向いているのは10%程度、180兆円に過ぎません。これがアメリカではその3倍、33%の規模になります。個人金融資産が企業の成長資金に回り、経営金融が成長して配当や資本の膨らみで個人に返り、個人投資家が潤うという循環ができている。


――個人も企業も潤うというサイクルですね。


日本は技術力もあり、企業も強く、世界中にマーケットを持ちながら、個人金融資産はコンサバティブに動かず、企業だけがクルクル回っています。証券の社会的使命として、それを取り込むことによって、アメリカ並みの好循環を生み出したい。 One Tap BUYによって若い人たちの資産は動きはじめました。次は、コンサバな年配の方々に魅力を感じていただき、動いてもらいたい。目先の何億、何百億という話ではなく、今まで誰も開拓できなかった、手つかずの巨大なマーケットです。グーグルやフェイスブック並みの金融を日本に作ることを、今やろうとしています。


――とても壮大ですね。


このくらい壮大なビジョンがなければ、50歳で起業したりしませんよ。個人投資家が早い時期から株式投資になじんでくれないと活性化はしないでしょう。もちろん給料が増えて生活が豊かになるのが理想ですが、今は就労所得だけでは所得は増えません。資本主義社会の原理では、不動産投資と同じように、株式投資によって不労所得を上げることでみんなが幸せになることができるのですが、日本ではそうなっていない。勤勉で、真面目で、文化を重んじる気質のある日本人が、財で中国人に負けているのは、投資による不労所得を有効に得ていないからだと思っています。



■アクティブシニアが日本の生産性を向上させる時代が来る

■アクティブシニアが日本の生産性を向上させる時代が来る


――フィンテックは世間に注目され、競合も増えてきています。


野村証券とLINEが共同するLINE証券や、フィンテックベンチャーのフィナテキストが大和証券と協業して、コミュニティ型の株取引アプリ「STREAM」をロンチしたりという動きがありますが、まだどういった形で勝負をしてくるのかは見えません。みなさん、虎視眈々と様子を探っている状況だと思いますが、おそらく、今のままでは日本ではフィンテックは難しいと私は思っています。先ほど言ったように、日本のほとんどの金融資産は年配の方々が所有しています。テクノロジーに抵抗のない若い人たちにとってはフィンテックはぜんぜんOKでも、年配の方々はスマホを使いません。だから日本のフィンテックはアフリカやインドで活況を呈しているフィンテック市場とは違う、独自のものになると思います。もう数年たてば、「そうだったんだね」と言われるような日本型フィンテックの時代が来るのかもしれません。そのとき、日本のフィンテックの技術レベルが世界でも評価されることになるでしょう。


――日本の生産性向上につながるアイデアはありますか?


今のビジネス以外で、私がしたかったことがあります。それはシニア起業ビジネスのコンサルです。60歳以上のシニアの起業や、退職後の人たちのマーケットを作りたいのです。人生100年時代ですから、60歳で定年を迎えても、100歳まで40年あります。0歳から40歳までの40年より、40歳から80歳の40年の方が知見も経験も蓄えられる。しかもお金も持っている。アクティブシニアの層が今後の日本の生産性向上につながると思います。 今まではそういった社会的風土がなかったので、20代や30代の若い人がそんなことを言っても説得力はありませんが、私のように50歳で起業した人間が音頭をとれば、実績もありますから、閉塞感はなくなってくると思います。



株式会社One Tap BUY 代表取締役社長CEO 林和人(はやしかずと)氏





■お気に入りの記事はこれ!

――「アスクル みんなの仕事」でお気に入りの記事を教えてください。


81歳でゲームアプリを開発した「世界最年長プログラマー」の記事です。記事を読んで共感したのが、「シニア向けのアプリを作れないか、と若いエンジニアに相談したのですが、「技術的にはともかく、どんなアプリならシニアが楽しめるのかは僕らにはわかりません」と言われましたので、じゃあ自分で作ろうと思いました。極力シンプルなルールで、指先が乾いているシニアに難しい、フリックやスワイプを使わずに、なるべくタップだけでできるゲーム」というくだりです。難解で複雑なコードにスポットが当たりがちなエンジニアリングの現場ですが、最上流工程のサービス設計が最も重要であることの実証だと思いました。


【参考】

アップルやマイクロソフトも絶賛!81歳でゲームアプリを開発した「世界最年長プログラマー」が、女性活躍社会・人生100年時代に「贈る言葉」~若宮正子氏インタビューnewwindow







50歳で起業した林氏のストーリーは、多くの障壁や逆境にあっても、決してへこたれたり諦めたりすることなく、何度でも立ち上がることが成功の鍵であることを証明しているように思います。「才能がないから諦めよう」「あと少し若かったらできたのに」といったいい訳は通用しません。しつこく、粘っこく、諦めないこと。これが様々なビジネスシーンで応用が利くビジネス手法です。あなたも今日から行動を始めませんか。







プロフィール


林和人(はやしかずと)

大学卒業後、岡三証券に入社、初年度より香港支店に出向し、一から新規開拓を行う。香港の華僑を顧客にし、一時は香港証券取引所の日々の売買高の3~5%を動かす程に。 1998年に独立し、2002年から2007年と一気に急成長するも、その後、リーマンショックや尖閣問題、東日本大震災等の影響もあり2012年に売却。 2013年49歳、2度目の起業でOne Tap BUYを立ち上げる。 2016年6月、日本初のスマホ専業証券One Tap BUYのサービスを開始。スマホを3タップ、1000円から株の売買が出来るアプリを提供し、今まで投資をしたことがなかった層に対して、新しい波を起こそうとしている。


株式会社ワンタップバイ[外部リンク]









編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局
取材日:2018年9月25日




         

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