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「マイナスからゼロ」を「ゼロからプラス」に変える健康経営!カギは従業員の生産性

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画像提供:leowolfert / Adobe Stock (※)



「超高齢化社会」を迎え、働き手の減少に直面している日本。多くの企業にとって、労働者の確保や従業員の定着が課題となる中、働き方改革でクローズアップされた「長時間労働問題」「正規と非正規の格差」「女性労働者の働く環境」「育児・介護と仕事との両立」をはじめ、「職場のいじめ・嫌がらせ・パワハラ」など、職場には解決すべき様々な問題が横たわっています。


長時間労働や、それによる過労死などの問題を解決するために、働き手の負担を減らし、健康を守ることを第一に考え、仕事の成果も上げられる取り組みとして、昨今注目され、積極的に取り組む企業が増えつつあるのが「健康経営」です。


「健康経営」とは、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する取り組みです。 企業理念に基づいて従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に生産性の向上につながると期待されています。



参考:
健康経営とはnewwindow」(日本の人事部)[外部リンク]



■「健康経営銘柄」で注目される、従業員の健康管理


超高齢化社会による問題のひとつが、財政を圧迫する社会保障費の増大です。医療費は2025年度には約54兆円、介護給付費は約20兆円に達する見込みです。


医療技術の発達や高齢者の健康意識の高まりによって平均寿命が延び、人生100年時代と言われるようになっていますが、健康寿命という観点では、生活習慣病やアルツハイマー病などの病気により、実際には70~75歳くらいから、何らかの援助が必要となる可能性も高くなってきています。生涯現役で健康で長生きするためには、さらなる健康管理の予防・対策が必要不可欠なのです。


健康に投資する「健康経営」の取り組みは、このような社会的背景から生まれたもので、上場企業では2014年、中小企業は2016年から、経済産業省が健康経営の普及を促進するようになっています。



参考:
健康経営の推進についてnewwindow」(PDF 経済産業省)[外部リンク]

健康経営を推進するための顕彰制度として「健康経営銘柄」について触れています。



健康経営銘柄とは、経済産業省と東京証券取引所が共同で、原則1業種1社を選定するものです。従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組む上場企業を、「長期的な視点から企業価値の向上を重視する投資家にとって魅力ある企業」として紹介しています。


具体的には、「従業員の健康保持・増進の取り組みにより、将来的な収益性等が高い企業」が健康経営銘柄にふさわしい企業ということになります。事業上の収益だけでなく、従業員の心身の健康維持も両立し、一人ひとりの健康的な生活の質を向上させることによって、企業価値が高めることにつながると考えられているのです。



■「健康経営」は生産性に注目した健康管理


企業は、これまでも従業員の健康管理に取り組んできました。法律に定められた「労働安全衛生法」のもとに、各企業で快適な職場環境を促進し、従業員の安全と健康が管理されてきました。これは、従業員のケガや病気のリスクを回避するための措置を中心とした健康管理です。


健康経営は、こうした取り組みとは何が違うのでしょうか。
「みんなの仕事場」では、NPO法人健康経営研究会 理事長の岡田邦夫氏にインタビューを行っていますが、岡田氏は健康経営について次のように述べています。




従業員の健康管理・健康づくりの推進は、単に医療費という経費の節減のみならず、生産性の向上、従業員の創造性の向上、企業イメージの向上等の効果が得られ、企業におけるリスクマネジメントとしても重要です。従業員の健康管理者は経営者であり、その指導力のもと、健康管理を組織戦略に則って展開することがこれからの企業経営にとってますます重要になっていきます。


(NPO法人健康経営研究会 理事長 岡田邦夫氏)



参考:
ベテラン企業ドクターがホワイト企業を応援!企業リスクを回避し、雇用戦線で自社ブランドを向上させる「健康経営」のススメ ~NPO法人健康経営研究会 理事長 岡田邦夫氏インタビュー~



企業のメンタルヘルス対策やリスクマネジメントなどの責任が問われ、健康に対する企業の対応にも注目が高まる中、従業員の健康は、リスク回避のために管理すべきものから、経営視点で考えるものへと変化しつつあるのです。




<健康経営がもたらすメリット>


1 生産性向上につながる
心身の健康度が上がれば病欠が減り、モチベーションも上がる。健康にイキイキと働くことで、個人の能力を最大限に発揮することができる。
2 組織が活性化する
健康経営を取り組むには、上司部下同僚のコミュニケーションを上手く取ることが必要なので、意思疎通が良くなり一体感が生まれ活性化につながる。
3 企業価値の向上
健康経営を導入している企業は健康経営銘柄(ホワイト企業)と認定されるので、求職者からの評価が高くなり採用につながりやすくなり、企業のイメージアップにつながる。(従業員の定着率向上も期待される)




このようなメリットがある健康経営ですが、実際にどのような取り組みがあり、どのような効果があるのでしょうか。



健康経営のメニューや企業の取り組み事例を掲載するソリューションメディア「健康プラス」を運営し、健康経営のサポート事業を展開する株式会社シーピーユーの代表取締役社長で、一般社団法人日本健康マネジメント協会の代表理事でもある、米田哲郎氏にお話をうかがいました。



株式会社シーピーユー 代表取締役社長 米田 哲郎氏

株式会社シーピーユー 代表取締役社長 米田 哲郎氏


まず、「健康経営×生産性」を語る際によく使われる専門用語に、アブセンティズムロスとプレゼンティズム・ロスがあります。


アブセンティズム(absenteeism)はabsentを由来とした英語で、欠勤・休職、遅刻早退など、職場にいることができず業務に就けない状態をあらわします。それに対して、プレゼンティズム(presentism)は、出勤しているにも関わらず、心身の健康上の問題によって十分にパフォーマンスが上がらない状態です。


どちらも損失・ロスではあるのですが、従来はアブセンティズムロスを対象にした予防と対策がメインでした。しかし健康経営が注目されてから、プレゼンティズム・ロスを減らして、生産性を上げるという考え方が強まってきています。 プレゼンティズム・ロスは、会社に出勤はしているので、アブセンティズム・ロスに比べて生産性の低下がわかりにくいのですが、プレゼンティズムの方が断然にロスが多く、生産性や業績に影響されると言われています。


健康経営によって直接的に生産性が上がることは、数字には見えにくいですが、従業員が健康であれば十分なパフォーマンスを発揮することができ、結果的に成果につながっていくと考えられます。マイナスをゼロにするのではなく、ゼロの状態をプラスにすることも、健康経営の大切な目的のひとつです。


(株式会社シーピーユー 代表取締役社長 米田 哲郎氏)



シーピーユーは、米田氏があるパーソナルトレーナーと出会い、健康状態の改善が生産性の向上に結びつくことを実感したことから、いちはやく健康経営に関連する事業を展開するようになったとのことです。


従来、欠勤などにつながる健康管理は、従業員個人に任されていた部分も大きかったと思います。しかし、無理をして出勤しても生産性が上がらなくては意味がありません。プレゼンティズム・ロスによる生産性の低下に対して、企業として取り組み、改善していくことも健康経営の重要な視点です。



■健康管理の重要ポイントは「体制作り」


米田氏によれば、健康経営に取り組む企業は、効果の現れやすい「健康診断・禁煙・メンタルヘルス」を3本柱とする傾向が多いようです。




◇健康診断 ~受診率100%を達成した株式会社ローソンの事例


コンビニ大手の株式会社ローソンでは、従業員の健康診断の受診率が思わしくないという問題がありました。そこで受診の有無を給与に反映するという施策を実施。この結果、健康診断の受診率は100%に改善しました。給与に反映する施策には賛否両論あったそうですが、制度としてしっかり整えることで、健康経営推進の成功例となり、最初の健康経営銘柄に登録されています(2014年)。


岡田氏によれば、「健康経営は経営者の理解がなければ推進しづらい。経営者を先頭にトップダウンで実践するのが理想」とのこと。ローソンの取り組みは、経営トップ直下の「社員健康チーム」や健康保健組合、労働組合と連携したもので、コミュニケーション面でも連携することが結果に直結したと言われています。健康経営は、経営者から意思決定し、担当する現場では雰囲気作りをして組織に浸透させていくというふうに、上からと下からのバランスが取れていないとうまく進めることができないのです。




◇禁煙 ~社員自らクリスマスカードを贈ったアップコン株式会社の事例


地盤沈下、床沈下修正、地盤改良などの施工を行うアップコン株式会社では、全社的に禁煙に取り組んでいます。社長自ら喫煙者の社員が吸う毎月のたばこ本数を集計し、たばこの弊害を説いて禁煙意欲を高めるだけでなく、喫煙する社員の家族にクリスマスカードを送りました。




1日1箱ペースでたばこを吸っていれば、月のたばこ代は1万円以上、年間では10万円を超しますよね。そこで、クリスマスカードに、お父さんがたばこを止めれば、家族でハワイ旅行ができる、焼肉食べ放題に行ける、といったことを書いて、家族の方にも協力をお願いしたわけです。この手紙は社長直筆だったそうです。


この作戦が功を奏し、当初は38人の社員のうち14人が喫煙していたのが、現在は2人までになったそうです。
この例でわかるように、健康経営にお金をかける必要はなく、その企業が直面している課題に明確に取り組んでいくことが、健康経営を成功させる方法なのです。


(同 米田氏)



従業員一人ひとりが自分の健康についての知識を高め、自分で健康管理をできる状況づくりをサポートしていけば、従業員のヘルスリテラシーが高まり、今度は従業員の側からボトムアップで、健康経営の動きが起こっていきます。




◇メンタルヘルス ~シエスタ制度


メンタルヘルスの問題は社会的にも重要さを増しており、厚生労働省の労災補償基準が2011年に約12年ぶりに改定されています。翌2012年の労働者健康状況調査によれば、「メンタルヘルス対策」を実施している企業は、増加傾向にあるものの半数に及んでいませんでした。


2015年に労働安全衛生法が改正され、50名以上の企業では「ストレスチェック制度」が義務づけられるようになり、セルフケア、ラインケア、産業保健スタッフによるケアを総合的に行う対策などが進み、大企業・中堅企業を中心に改善がみられています。


また、睡眠不足や質の悪い睡眠では、仕事で十分なパフォーマンスを発揮できず、メンタル面にも悪い影響を及ぼすと考えられていることから、シエスタ制度(13時から16時まで、3時間の休憩時間をとる)、朝型勤務制度など、ユニークな制度を導入している企業もあります。



オフィスを移転する際に、昼寝・睡眠スペースの環境を新たに作る企業が増えているようです。睡眠スペースでアロマを焚いたり、音楽を流したりしている企業もありますね。


朝型勤務制度を導入している企業も増えています。朝型勤務を導入するにあたり、朝ご飯を提供しているのです。朝ごはんを抜くと、脳のエネルギーが不足して、集中力や記憶力が低下してしまうと言われています。そこで伊藤忠商事様では、健康管理の観点から8:00前始業社員に対し軽食を支給しています。また、カルビー様でも、自社製品のフルグラを提供するなど、朝型勤務に力を入れているようです。


(同 米田氏)



アイディアあふれる企業の取り組みは様々。リラックスと集中を効率的に実現できる最新のオフィスづくりの面にも、メンタルヘルス対策の健康経営は大きく影響していると言えそうです。




■企業価値をブランディングする、経営戦略としての健康経営


健康経営の取り組み成果を最大化するためには、3つのポイントがあります。



(1)コミュニケーションは健康そのもの
(2)課題に対して明確な解決策を考える
(3)組織の体制作り



健康経営に積極的に取り組む企業も増えている一方、まだ法令対応にも追いついてない企業も多いというのが現状です。その対応が整ってから、はじめて本当の健康経営に踏み込むことになります。健康経営の重要性を一部の人が理解しているだけでは浸透は進みません。健康の重要性を組織全体へ伝え浸透させていくには、健康についての徹底した意識改革が必要になります。


これから健康経営を導入し、推進していく企業は何から取り組めばいいでしょうか。




大きな組織で健康経営をする場合は、残念ながら「やらされ仕事」となってしまいがちです。担当者が本気で「健康でイキイキした組織にしたい、会社をよくしよう」と思っていなければ、なかなかうまく進みません。担当者の雰囲気作りやコミュニケーション力が重要となってきます。


健康というキーワードで会社をどうしていきたいのかと想像し、「イキイキとして働きやすい環境」とはどのようなものか、どうすればいいのかを常に念頭に、その会社ならではの取り組みを考えることが大切です。


(同 米田氏)



健康に対する従業員の意識は、企業価値を左右します。「今後は企業のブランディングも意識した健康経営が企業価値を高めることにつながる」と米田氏は指摘します。




三菱地所様では、健康づくり促進・交流を目的に、丸の内の近隣企業と「綱引き大会」を開催しています。地域の企業の幸せを考え、企業の枠を越えた関わり合いや、上司・同僚を応援することによるコミュニケーションが生まれ、組織・地域の活性化にもつなげている健康経営の良いお手本だと思います。


また、アートネイチャー様では、主力商品であるウィッグの主顧客ががん患者であることから、がんの支援や啓蒙活動を行いながら、CSR活動としてピンクリボンキャンペーン活動を展開しています。事業と健康経営、そしてCSRを一本軸で考えることによって、企業価値が上がり、ブランディングにつながっているわけです。このような健康経営の取り組みが理想的ですね。効果が見える健康経営を目指すには、ブランディングも意識する必要があるでしょう。


(同 米田氏)



■人生100年時代にふさわしい職場環境へ


従業員の健康増進と企業ブランディングの戦略的な施策によって企業価値を高める健康経営が、今後増えていきそうです。健康経営は、企業にとって成長戦略として必要不可欠なものとなり、数年後の企業の明暗を分けることになる可能性もあります。


終身雇用の時代は終わったといわれますが、一人ひとりの健康が企業価値に直結する時代に突入し、「健康に投資する企業=社員満足度が高い」と認識されれば、会社への定着率向上への期待も大きくなるでしょう。上述のアップコン株式会社のように、経営者自らが取り組むことによって、会社への見方も変わるはずです。


健康は「病気ではない状態」という、まさに「マイナスからゼロへ」というイメージで捉えられてきました。しかし、WHOによれば、健康の定義とは「身体的・精神的・社会的にも満たされた状態」です。健康経営が普及することによって、身体的・精神的・社会的にも満たされ、明るく、元気にイキイキと働く人が増え、「ゼロからプラス」が生まれる職場こそ、人生100年時代にふさわしいのではないでしょうか。一人ひとりの健康意識が、日本の未来を変えることにつながっていくかもしれません。







取材協力


株式会社シーピーユー


企業の健康経営を一歩進めるソリューションメディア 健康プラス






編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 (※印の画像を除く)
制作日:2018年10月12日




         

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