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あなたの職場にもいる「マウンティング上司」に負けないための傾向と対策~オールイズワン 代表 石原 加受子氏インタビュー~

オールイズワン 代表 石原 加受子氏

オールイズワン 代表 石原 加受子氏



普段から何かと人の上に立ち、優位にふるまおうとするメンバー。あなたの職場にも一人ぐらいいるのではないでしょうか。ただでさえ難しい人間関係を、パワハラまがいの言動でさらに悪化させてしまう人たちのことを、最近では、サルやゴリラに見られる行動になぞらえて「マウンティング上司」と呼んでいるようです。上司だったら、無視してやり過ごすわけにもいきません。そんな困った人たちから身を守る方法はあるのでしょうか。心理カウンセラーの石原加受子氏に伺いました。



■はた迷惑なマウンティング上司。なぜはびこるのか?


――石原さんはお医者さんではないのですね。


私は医師ではなく、カウンセリングが活動の軸です。もう何十年も多くの相談者の方々にカウンセリングしてきた体験から、講演会やセミナーをしたり、本を執筆したりして、仕事の幅が広がっています。



――最初から心理関係のお仕事を?


じつは元々は出版畑なんです。雑誌記者やゴーストライターとして校正やライティングをしたり、単行本の企画をしたり、もの書き、著述業が最初の仕事でした。


それが、あるときから医療関係の記事や本を集中的に依頼されるようになりました。当時は専門家ではないので、勉強しながら書いているうちに、メンタルヘルス関連のテーマに興味を抱き、心理療法の勉強を始めたんです。そして、より実践的なノウハウを得るためにカウンセリングの勉強も始めました。この肩書きで自分なりの考え方やノウハウを出版物として発信するうちに、カウンセラーとしての私を頼ってくださる相談者が増えてきました。それで、オールイズワンという個人事務所を開き、カウンセリングをするようになったのです。



――今日は、最近、「マウンティング上司」と呼ばれている人々について伺っていきます。どういう人たちなのでしょうか。


ひとことで言うと、部下にプレッシャーを与えて萎縮させ、自分が優位に立ちたいということが、仕事以上に日々の行動原理になっている人たちです。その行動は何通りかありますが、目的は一緒です。彼らは、部下を圧迫することで、自組織というサル山の中で自分が一番だと確認することを最優先しているのです。



――そうした上司が増えている?


これは近年のビジネスシーンの変化が大きく影響していると思います。バブル崩壊を境にして企業間競争が非常に激しくなりました。「成長」や「繁栄」よりも「生き残り」が大きなテーマになり、「勝ち負け」が企業活動の一大事になっていったのです。社内でも年功制を維持することができなくなり、組織メンバーの間でも生き残りや勝ち負けが重視されるようになりました。その中で、自身を向上させるのではなく、周囲を威嚇・圧迫し、足を引っ張ることによって生き残ろうというムーブメントが出てきた。それがマウンティング型の人間です。この人たちはつねに周囲に「攻撃して勝つ」ことを命題に置き、そのために動いています。勝つことによって安心を得ているのです。



――組織の生産性を下げてしまうのではありませんか。


会社の体質にもよると思います。タテ社会の体育会系組織は今でも多いですが、そこでは後輩や部下の尻をガンガン叩き、無茶ぶりで働かせるタイプの人物が重宝される傾向があります。また情報系の企業であっても、論理的思考に長けていれば、本質に関わりなく重用されることもあります。逆に「組織にメリットを与えている」という印象のもと、マウンティング型の人たちが居場所を得て周囲を抑圧し、その場を仕切っているのが実態なのではないでしょうか。中小企業では、古手のマウンティング型幹部が社内事情を全部知っていて、それをネタにやりたい放題している事例もあります。部下はもちろん、社長までものが言えなくなっていることすらあり、ますますマウンティングに拍車がかかるという按配です。



■"利き脳"でわかるマウンティング上司のタイプ

オールイズワン 代表 石原 加受子氏



――石原さんはそのような上司をタイプ分けしているそうですね。


科学的な根拠はまったくありませんが、"利き脳"という造語を使っています。利き手と同じように、「脳のどの部位が強く働いているか」という見方で分類すると、うまくカテゴライズできるので、便宜上の物差しとして、説明に使っています。


この分類では、マウンティング上司は、大きく「脳幹タイプ」「感情脳タイプ」「左脳タイプ」「右脳タイプ」という4つのタイプに分かれます。それぞれに特徴があり、部下にプレッシャーをかけるやり方も異なります。



――では、まず脳幹タイプとは。


脳幹は、生命活動の維持を司る最も重要な部位の一つです。生存本能に一番近い脳なので、ここを"利き脳"にしている人は、「生きるか死ぬか」「勝ち負け」「ゼロか100か」など、二極化した思考に陥ってしまいがちです。周囲に与える直接的なプレッシャーが非常に強く、時に怒鳴り、時に脅しまがいの言動をして、高圧的に部下に当たります。反論はまったく通じず、押さえつけて無理矢理言うことを聞かせるタイプですね。生命の根幹にかかわる脳が働いているのは、自分の経験の中に、かなり強烈な競争体験があったものと想像することができます。そのせいかわかりませんが、40~50代、比較的高齢な人に多く見られます。


このタイプの人たちの典型的な言葉遣いは、


だまって言うとおりにやればいいんだよ

ご託を並べるんじゃない

何やってるんだ、それじゃダメだって言っただろうが


といったものです。


高圧的に振る舞いますので、部下にとっては「怖い上司」ということになるでしょう。



――パワハラが問題視される昨今、そういう態度は通用しなくなっているのでは。


それは間違いありません。新しい働き方が浸透していく中で、この脳幹タイプの人たちは通用しなくなっていくでしょう。年代的にも、やがて滅亡するタイプと考えていいと思います。



――感情脳タイプというのは。


これは大脳辺縁系を"利き脳"にしている人たちです。中でも、喜怒哀楽を司る扁桃体と、記憶と学習を司る海馬がネガティブに特化しているタイプです。まず自分が我慢して相手に尽くし、それに見返りを求めることで部下をコントロールしようとします。愚痴や不平不満を共有して、部下を取り込んだりもします。いわば、「自分が犠牲になっているおかげで部下がやっていけているのだ」という情に絡めた行動と言えます。そもそも自分勝手な感じ方にもとづいているわけですから、相手によっては通じないことも出てきます。すると、「裏切られた」という誤った情動が海馬に固定されて、ネガティブな感情に支配され、「仕返ししてもいい」と考える、という、ひとことでいえば「恨みの人」です。本人は自分を犠牲者と考えていますから、あからさまなイジメも厭いません。不当に低い評定をする「報復人事」を行うこともあります。


俺もいろいろ大変でね

君のためを思って言っているんだよ

あんなによくしてやったのに......キミは裏切るのか?


といった言葉がよく聞かれます。



――なるほど。左脳タイプと右脳タイプは、言語と感性の違いですか。


そうですね。左脳タイプは弁が立つ理論家に見えますが、問題の解決策が自分の中にないので、指示を出す代わりに相手を否定することから入って、優位に立とうとします。"まず否定"というパターンは一定していて、デジタル的です。昨今の情報偏重的な社会環境にあって、増えていてきている類型であるとも言えます。


相手を理詰めで否定し、相対的に自分の位置を高めて、「支配できる自分は偉い」と考えますが、それだけでは優位性がおぼつかないので、本や新聞、社会的規範に頼った物言いをしたり、学歴を披瀝して自慢したり、といった行動をとります。これは私の印象で、左脳タイプすべてに当てはまるわけではありませんが、昔の「鍵っ子」のように親子関係が希薄な人が当てはまる可能性があります。


よく見られる言動としては、


ダメダメ、そんなやり方じゃ

キミ、どこの大学出たの?

有名な○○さんも言ってたけどさあ......


などがあります。



――最後の右脳タイプは。


右脳は感性が優位と言われますが、このタイプは理想や実現したいイメージを描き、周囲に伝えることに長けています。完璧主義で、理想を抱いて部下にやらせようとしますが、曖昧で具体性に欠けるため、説明が長く、具体的な指示を出せません。そこは部下が補うのが当然と思っていて、それではうまくいかないのが当然なのに、憤ってしまいます。


概してコミュニケーション能力が低く、臨機応変な指示を出す代わりにマニュアルを重視します。最近のビジネス界では、マニュアル通りに行かないこともあると広く認識されていますが、右脳タイプにとっては頼みの綱です。これも私の感触ですが、先ほど説明した左脳タイプの逆で、恵まれた経済環境のもとで過保護に育てられた「大店の箱入り娘」という感じの人が混じっているように思います。お金で苦労をしていないので、スーツやバッグ、腕時計などといったビジネスアイテムのブランド自慢をする傾向があります。


よく聞かれる言葉は、


あれだけ説明したんだ。言い訳は通用しないよ

ここにちゃんと書いてあるじゃないか

腕時計にはちょっとこだわりがあってね


などです。



■"自分の都合"でかわして、ターゲットから逃れるべし

オールイズワン 代表 石原 加受子氏



――どのタイプも非常に厄介ですね。タイプ別の対処策は。


タイプによらず、マウンティング上司の目的は「とにかく優位に立つこと」です。それに対抗するのはやぶ蛇で、一番お勧めできないやり方です。相手の土俵で論破しようとするのは、まさに相手の思うつぼ。自分の都合、自分の感じ方を大切に、冷静に対処することです。戦うのは禁物、大事なのはうまく相手をかわして距離を保つことなのです。


まず、マウンティングされないように、日常の仕事のやりとりに注意してください。マウンティングというのは、こちらのしていることに介入し、文句をつけて萎縮させる行動ですから、その一段階前に手を打つのです。



――たとえば、仕事で無茶ぶりをされたら、どうすればいいのでしょう。


「大変申し訳ありません。今日はどうしてもやらないといけない案件を抱えています。明日、あらためてお話しさせてもらえないでしょうか」という具合に、"自分の都合"を普通に伝えればいいのです。


たとえば納品チェックを急ぐように振られたときは、「チェックは2人で行うのが当社のルールです。事故があってはいけませんし、私も自信が持てません。もう1人チェッカーをつけてくれるようお願いします」というように返します。マウンティング上司の目的は自分が優位に立つことですので、それに付き合わず、"自分の都合"を言えばいいのです。



――なるほど。


また、責任の所在をハッキリさせることも大事です。相手がどんな指示や威嚇をしているかということを、明確にわからせることです。



――録音などの記録を残すとか?


そこまでの必要はありません。話をしたその場で、「こうしろということですね?」と念押しするだけでも十分です。自分なりに咀嚼して変換する必要はありません。オウム返しでいいんです。「こうしろとあなたが言ったのですよね」という確認さえとれればOKです。これによって、後日、理不尽な批判を受ける確率がグッと下がります。



――上司の側もプレッシャーになるでしょうね。


ただし、やり過ぎには注意です。話していて、自分の「押し」が強すぎると感じたら、戦いに発展してしまうこともありますから、ある程度トーンダウンすることも必要です。どうしてもかわしきれずに、「はい、わかりました」と言わざるを得ない局面もあるでしょう。


そのときにも、不満げな態度をとらないことが大事です。人はネガティブな感情を抱くとつい態度に表わしてしまいますが、それがマウンティング発動の引き金になることがあるのです。リラックスして、ニュートラルな態度で接すること。相手の目を見て、穏やかな態度を崩さないこと。それだけでも上司の態度が徐々に変わり、いわれのない文句をつけられることが減ってくるでしょう。



――認められて、気に入られてしまうということになりませんか。


違います。認められたわけではなく、「簡単には優位に立てない、扱いにくい部下」という位置づけになり、支配のターゲットから外されるという意味です。



――長い目で見た戦略が必要ということですか。


たしかに即効性はないかもしれませんが、"戦略"というのも少し違います。「こう言われたらこう返せ」ということではなく、普段からの心の持ち方や対話の仕方をぶれずに続けることが、相手を変えることにつながるのです。戦略というような難しい話ではなく、むしろシンプルなことなんです。


「今はできません」「こうするのはどうでしょう」「申し訳ありませんが、この点はお断りします」......。リラックスした態度でそんな言葉を返せる相手は、どのタイプのマウンティング上司にとっても苦手なのです。ぜひ覚えておいてください。


マウンティング型の人は「我慢をしない人間は成長しないし、成功できない」と思い込んでいます。攻撃衝動や支配欲が旺盛なのも、我慢をして苦しんできた自分のネガティブな衝動を部下にぶつけていると考えれば、わかりやすいかもしれません。


しかし、実際は逆です。自分に忠実に行動した方が人生は豊かに、幸福になる。彼らは間違っていると私は思います。





■お気に入りの記事はこれ!


ランクアップの岩崎裕美子社長のインタビューは面白かったです。勇気を持ってハードワークの代理店を辞められたこと、自分の辛い経験から脱却するために化粧品の会社を設立なさったこと、また自分の悩みを解決するものをという製品開発の姿勢、仕事と家庭を両立させる人事政策など、私が提案している「自分中心の生き方」に通じる要素が随所にあると思いました。もちろんご本人は意識されていないでしょうが、私は大切なお友達を見つけたような気持ちで読みました。



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オールイズワン 代表 石原 加受子氏

オールイズワン 代表 石原加受子氏








インタビュー場所はこぢんまりとしたカウンセリングルーム。とても落ち着いた雰囲気のお部屋で、カウンセラーとしての豊富なキャリアに裏打ちされたお話をじっくりと伺うことができました。これまでのご経験から、少し話をすれば、相手がマウンティング型か否か、マウンティング型ならどのタイプかなど、たいがいの見当がつくとのこと。「もちろんあなた(インタビュアー)のこともわかりますよ」と言われて、正直ドキリとしました。それ以上の詳しい説明はありませんでしたが、あるいは、それは石原さんの優しさだったのかも。







プロフィール


石原加受子(いしはら かずこ)

心理相談研究所オールイズワン代表。日本カウンセリング学会会員、日本学校メンタルヘルス学会会員、日本ヒーリングリラクセーション協会元理事、厚生労働省認定「健康・生きがいづくり」アドバイザー。

思考・感情・五感・イメージ・呼吸・声などをトータルにとらえた独自の「自分中心心理学」をもとに、性格改善、親子関係、対人関係、健康に関するセミナー、グループ・ワーク、カウンセリング、 講演等を行い、心が楽になる方法、自分の才能を活かす生き方を提案している。


著書

「とにかく優位に立ちたい人」を軽くかわすコツ』(学研)[外部リンク]

やっかいな人から賢く自分を守る技術』(三笠書房)[外部リンク]

会社・仕事・人間関係 「もう、何もかもしんどい...」と疲れ果てたときに読む本』(SBクリエイティブ)[外部リンク]

他多数


オールイズワン









編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局
取材日:2019年3月13日




         

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