前回の記事(こちら↓)の続きです。
「ここはオフィスじゃない。ハワイだ!イマジネーションが湧く環境づくりのためにここまでするノースショア株式会社 オフィス訪問 」
ノースショア株式会社は、企業や商品のブランド戦略や広告コミュニケーションのコンサルティング、TVCMを始めとするWebデジタルやポスター等各種コンテンツの企画制作、スポーツ雑誌の出版、また近年はクラウド型管理ツールやオリジナルアプリなどの開発までを手がけるクリエイティブブティックだ。
オフィスは、まるでハワイにいるかのような環境を用意し、クリエイターの楽園を目指したオフィスとなっている。このようなオフィスを作られた理由を、代表取締役社長CEO石井龍氏に伺った。
床から天井にいたるまで作りこまれ、ハワイのホテルと錯覚してしまう空間になっている。こちらは、カフェとコ・ワーキングスペース。
会社の受付を兼ねたカフェカウンター。
社員やコ・ワーキングスペース利用の方がコーヒーなどの飲み物の注文に来る。 社内にいながら、まるでワイキキビーチに旅行に来た気分に浸れる環境だ。
Q.このオフィスを作られたきっかけについて教えてください。
きっかけは、僕がハワイに行った時に、ワイキキビーチの青い海と青い空を眺めながらぼーっと風に吹かれていたらCMのアイデアがポンポンと浮かんできて、急いで手元にあった紙のウラにバーッと書きとめました。
その後、日本に帰って打ち合わせの時にそのハワイで思いついた企画を出してみたら、「それ面白いね!」とおもしろいように企画が通ったんです。
その時の体験が、このオフィスを作った時のルーツになっています。
(ノースショア株式会社代表取締役CEO 石井龍氏)
(インタビュー続き)
「明日、会社行きたくねぇなあ」って日だって、正直あると思うんです(笑)。
でも、「明日からハワイだ!」となったら、「うわー、今からワクワクして寝てらんねえよ!」となると思うんです。
そういった気分やモチベーションを働く場所で生みだせたら、アイデアを生み出す会社として成功するのではないか、という思いをこのオフィスデザインに踏襲しています。
以前、勤めていたオフィスは内装も非常にシンプルでした。スチールのロッカーに、グレーのデスク、装飾のないパーティションという『ごく普通の会社』でした。
そこで朝まで粘って企画を考えてもそう簡単にアイデアは出てこなかった。当時の僕の能力もありますが(笑)僕は当時CMディレクターで、連日徹夜をしたり朝まで企画を練ることが日常だったのですが、企画を生み出し続けることはやはり生やさしいことではなかった。
それがワイキキビーチを眺めていたら、次々とアイデアが出てきた。これは非常に生産性が上がるし、クリエイティブなアイデアを生み出すのに適しているんじゃないのかと。
だったら、東京の真ん中でも、さもワイキキビーチにいるかのようなところで働けたら、クリエイティブな会社としてうまくいくんじゃないかと思ったんですね。
(同)
(インタビュー続き)
仮に自分が「いわゆる普通のオフィスの会社と、ハワイにあるクリエイティブの会社と、どちら働きたいですか?」と尋ねられたら、地理的な条件を考えなかったらまず100%、ハワイにあるクリエイティブの会社で働きたい、と答えるかなと。
それが飛行機で8時間かけずに、東京で実現できるのであれば、そういうところで働きたいと思っています。
たぶんクリエイターのみんなもそういうマインドをどこかで持っているんじゃないかと思っています。
(同)
砂浜、ハンモックなどがありワイキキビーチがテーマだ。
砂浜、デッキ、サーフボード、石畳(風タイル)とビーチを模している。
Q.仕事で大切にされていることは何でしょう?
仕事で大切にしているのは、ワクワクするモチベーションをどれだけ出せるか、です。
どんなに優秀なクリエイターの人でも環境がポジティブか、ネガティブかで発揮できる力は変わってしまうと思うんですね。
逆に、能力がこれからという人でも、環境の良し悪しによって非常に伸びたりすると思うので、やはり働く場所が良い環境であることは重要だと思います。
1mmでも1%でも前向きな考え方が生まれる場所が良いと思っています。
(同)
(インタビュー続き)
クリエイティブな会社だとコンクリートが打ちっ放しだったり、「クール」「シック」「スマート」という言葉がはまるようなオフィスって確かに格好いいし、「エッジのたったクリエイティブをしそうだな」という印象も与えてくれるし、それはそれで素晴らしいと思うんですね。
でも、僕らのオフィスの場合はちょっと別かなと。
働いていると、いつもポジティブにモチベーション高くいられると限らなく、例えば仕事で失敗して落ち込むこともある。
そういった時に、ぬくもりや人の温度感が感じられる場所の方が、少しでも早くまた前を向いて仕事をしようという気になるのではないかなと。
そういう意味で、暖かくつつみこんでくれるような色味であったり、素材を使っていただけるようにお願いしたんです。
(同)
ホットドッグなど移動販売しているようなケータリングバン風の会議室。
秘密基地っぷりが少年心をワクワクさせる。
Q.こちらのオフィスを作ったときに大変だったところはどんなところですか。
2014年に移転してくるときに、このオフィスを作ったんですが、前は 70坪くらいのところから、急にこちらの180坪に広がったので、180坪分のインテリアを決めるのが大変でした。
ここをこういう雰囲気にしようというアイデアは社員からもたくさん出るので、そこはあまり苦労しなかったんですが、LANをどうするか、会議室をどうやって区切るかといった、実際に運用するシステムの部分、使い勝手との兼ね合いを融合させるのが大変でした。オフィス設計が初めてのメンバーで取り組んだので。
お願いしたデザイン会社さんには、こちらで用意したイメージしている空間やインテリアの資料やサンプルをとにかく沢山見ていただきながら、何度も打ち合わせをしました。
また、動線の希望もお伝えしてそれを踏まえて図面に起こしていただき、消防法や法令などオフィス設計に沿っているかなど、密に相談しながら進めていきました。
会社ではなくBeachだ、という風に考えつつも、仕事をしやすく且つスムーズに運用できるように、遊び心とのバランスをいろいろと試行錯誤しましたね。
(同)
(インタビュー続き)
このオフィスには、9割満足しています。残りの1割は、やはり希望を最大限叶えようとすると当然ながらコストがかかるので、トレードオフしたところがあります。
例えば、一部の会議室の天井の色を塗らなかったり、床の木目風のところがタイルなので、本物の木にしたかったというのはありました。ただ費用は4倍(笑)。
オフィスの最終形は、ビルにしたいですね。中にはハワイアンレストラン、カフェバーや、リフレクソロジーが入っていて、地下には白ホリの撮影スタジオ、階上には映像編集や音楽録音スタジオもあって、フリーランスのクリエイターの方も働くことができるスペースもあり、屋上にはカフェとツリーハウスがあって、皆そこでハンモックに揺られながらカフェオレ飲みながら仕事ができてしまうような。
働きながら、食う寝る遊ぶ休む考えるなど全てを満たしてくれるようなところです。もはやオフィスビルというよりクリエイターの楽園みたいなところですね。
(同)
Q.御社は、TVCM、WEB MOVIEなど、プロモーション映像の企画制作で有名ですし、デジタルも含め、企業や商品のブランド戦略など広告コミュニケーションプランのコンサルティングなど多岐に行われています。事業について教えてください。
僕はノースショア株式会社を、『クリエイティブブティック』と考えています。
広告主の課題を聞いてクリエイティブで解決する会社です。
直接、広告主から課題をいただいたり、広告代理店からいただく場合もありますが、クライアントの持っている課題を、映像制作であったり、グラフィック制作であったり、デジタルであったり、クリエイティブコンサルティングなどのクリエイティブで解決することを基本としています。
(同)
(インタビュー終わり)
企業や商品のブランド戦略など広告コミュニケーションプランのコンサルティング。TVCM、WEB MOVIEなど、プロモーション映像の企画制作。デジタル制作、グラフィックデザインの企画制作等を行う、クリエイターズブティックカンパニー。
一貫性のあるオフィスデザインを軸にデザイナーズオフィス事業のリーディングカンパニーとして約3500件の事例を手掛ける株式会社ヴィス。オフィスデザインの事例やお客様の声など、オフィスデザインに関するコンテンツを多数掲載。
編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局
取材日:2017年3月10日
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