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月間平均残業時間18時間、有給休暇取得率95%を達成したSCSK株式会社の働き方改革!「どこでもWORK」の取り組みとは? (オフィス訪問[2])

月間平均残業時間18時間、有給休暇取得率95%を達成したSCSK株式会社の働き方改革!「どこでもWORK」の取り組みとは? (オフィス訪問[2])

(同社のオープンミーティングスペース)


つい先日召集された国会(*1)では、安倍首相の施政方針演説で、今国会の最優先課題に「働き方改革」を据えるなど、働き方改革が声高に叫ばれ、現在、多くの企業で働き方改革への取り組みが進められている。


*1) 第196通常国会
2018年1月22日召集。安倍首相は「働き方改革国会」と位置付け、最優先課題に据えて、関連法案の成立を目指している。


前回、「ITサービス大手SCSK株式会社の豊洲本社に行ってきました (オフィス訪問[1])」の取材で伺ったSCSK株式会社では、政府による働き方改革推進に先駆けて、2013年4月から「スマートワーク・チャレンジ20」と称して、月間平均残業時間を20時間未満、年次有給休暇取得日数を100%の20日を達成するべく取り組んで高い成果を上げている。どうしてそれが可能になったのかを同社に取材した。



「スマートワーク・チャレンジ」の成果

「スマートワーク・チャレンジ」の成果 (同社資料から「みんなの仕事場」で作成)

(同社資料から「みんなの仕事場」で作成)


同社の働き方改革の取り組みは、先ほど述べた2013年4月から「スマートワーク・チャレンジ20」から全社展開として本格化した。「働きやすい職場づくりに向けたさらなる意識改革と改善活動の定着化」(同社)を目的とし、月間平均残業時間20時間、年次有給休暇取得日数20日(100%取得に該当する)を目指した取り組みになる。もちろん、それ以前から改善を進めていたものの、本取り組みで目標実現のため意識改革を含めた改革を進めた。


実際にその改革の効果は大きい。上図にあるように、同施策を開始する前の2010年度と、開始後の2014年度を比較すると、月間平均残業時間は、27時間から18時間へ約34%削減し目標を達成、年次有給休暇取得日数は、12.0日から19.2日へと目標の97%まで達成し、劇的な改善が成し遂げられた。月間平均残業時間が20時間未満となる働き方が定着してきた2015年度からは、末尾の「20」がなくなり「スマートワーク・チャレンジ」と改称して取り組みを続けている。


このような改善が可能になった秘訣を同社に尋ねたところ「経営者の覚悟」と「社員の心に訴えたこと」という答えが返ってきた。一般的に、残業時間削減を進めると、今まで会社が払っていた残業代が浮く。残業時間削減は社員の負担を減らすだけでなく、会社にとって利益になる面があるからだ。ところが同社では、残業削減して浮いた金額を原資として賞与に上乗せする形で社員に還元する策を取った。「お金」についても踏み込んで対応したのだ。部門ごとに設定する残業時間削減目標の達成度合により、賞与にプラスして支給することで、社員たち自身が積極的に残業削減のために創意工夫を生み、前述のような残業時間削減することができたのだ。


現在では、賞与ではなく、月々の給与の中に若手には業務手当として、中堅層以上には裁量労働制による手当を含める形で支給されている。「残業削減して生産性高めましょうと言っても、会社にとって残業代を浮かせることが本来の目的ではない」(同社)とのことで、社員の生活を良くするための取り組みであることを示すには、お金の問題からも逃げない「経営者の覚悟」が重要とのことだ。



「健康わくわくマイレージ」という取り組み

「スマートワーク・チャレンジ」で劇的に成果を上げた同社では、さらに社員の生活を良くしていくために、2015年から「健康わくわくマイレージ」という取り組みをスタートさせている。


同社は「社員一人ひとりの健康は、個々人やその家族の幸せと事業の発展の礎」と就業規則に明記し、「健康経営」を掲げた。その実践のための取り組みが「健康わくわくマイレージ」になる。


現在、同社の社員平均年齢は42歳。年々平均年齢は上がる傾向にあり、社員の健康が会社の業績に影響してくる可能性がある。そこで「残業削減、有給休暇取得の次は、健康そのものに対しての取り組み」(同社)として、「健康わくわくマイレージ」をスタートさせた。その仕組みは、健康維持・増進のための良い「行動」と年に1回の健康診断の「結果」を評価してポイントが付与されて、報奨金が出るというものだ。


≪評価ポイント≫

「行動」5項目 (1)朝食(1日1回)
(2)ウォーキング(1日1万歩)
(3)歯磨き(1日2回)
(4)休肝日(週2回)
(5)禁煙
「結果」5分野 (1)肥満(BMI)
(2)血中脂質
(3)糖代謝
(4)肝機能
(5)血圧

(同社資料から「みんなの仕事場」で作成)


「社員に対して直接的に健康になるための活動を促すもの」(同社)なので、取材者は少し驚かされたが、本取り組みでマイナス評価があるわけでなく、健康を維持するために望ましいことに対してプラス評価のポイントが付き、年間数万円程度の報奨金とのことなので、あくまで健康を意識してもらうきっかけとして機能しているようだ。実際に「健康わくわくマイレージ」の実施により、ウォーキング実施率、朝食摂取率の上昇、喫煙率の低下など、成果を上げつつある点が興味深い。


最近では、スマートフォンで歩数や食事、運動などを記録してアドバイスしてくれる「健康管理アプリ」を導入して、社員の健康増進や生活習慣病対策を行う企業も増えてきており、その先駆けと言える取り組みだ。


そして、社員の在宅勤務やサテライトオフィス勤務など、リモートワークを推進する「どこでもWORK」の登場となる。



「どこでもWORK」の開始

同社執務エリア フリーアドレス制

(同社執務エリア フリーアドレス制)


「どこでもWORK」の取り組みは、基本は「どこでも働ける」ように「自席を前提としない働き方」(同社)だ。ICT(情報通信技術)をフル活用し、リモート環境でも自席と同様に働けるようにして、月に3回程度の在宅またはサテライト勤務を推奨するもので、2015年10月以降、対象社員を段階的に拡大する形で進めており、2017年8月から全社展開するまでに至っている。


同社で「どこでもWORK」としてリモートワークを推進する理由を尋ねたところ、「当社に特有の問題ではなくて、少子高齢化とそれに伴う介護が身近になってきた」(同社)ことが理由にあるという。ワークライフバランスが重視される今は、社員に柔軟な働き方が提供できる施策を用意していないとなかなか人材が集まらなくなってきているとのこと。また、実際に人材活用面でも、リモートワークなどの施策がないと、社員の活躍できる時間が短くなってしまう問題があるため、もはや必然的な要請だという。



どこでも働ける働き方に変えていく

同社のミーティングスペース ファミレス席

(同社のミーティングスペース ファミレス席)


時代の必然的な要請からスタートしたと言える同社の「どこでもWORK」の取り組みだが、実現には「IT企業として働き方を変えていくことが必要」(同社)だったという。


というのも「ITサービス業は、開発者と管理者など関係者が1つの場所に集まって、顔を見ながら仕事を進めることを大前提としてやってきていて、同じ場所で集まって仕事をしないとできないというのが伝統的な考え方」(同社)という。そのため、リモートワークを導入するためには、1つの場所に集まって仕事を進めることを大前提にして作られていた働き方を「どこでも働ける働き方」に変えていくことが必要だった。


その1つに、「ペーパーダイエット」(同社)がある。いわゆるペーパーレス化だ。



リモートワークを阻害する要因は「紙」

(同社執務デスク フリーアドレス制 袖机はない)

(同社執務デスク フリーアドレス制 袖机はない)


リモートワークを進めるにあたり、同社は「ペーパーダイエット(ペーパーレス化)」を進めた。というのも「リモートワークを阻害する要因として、紙がある」(同社)。


「紙」とは印刷された資料のことを指している。「紙(資料)があると、紙がある場所で働かなければならなくなる」(同社)ので、リモートワークはペーパーレス化と一体として進める必要があるのだ。


例えば、その施策の1つに「ペーパーレス会議」がある。従来、同社の会議では資料を印刷して配っていたため、そのままでは会議のある日はリモートワークができないことになる。そこで大型モニターを設置する会議室を増やし、資料は印刷せずモニターに表示させ、会議のペーパーレス化を進めた。同時にすべての会議室にはマイクとスピーカーが設置されリモートでの会議参加できるようにしている。


また、同社では従来、社員1人につき1つの袖机(サイドキャビネット)を執務席に置いていたのだが、そこが紙の保管場所になっていた。そこで、個人の引出しに紙を保管しないようにするため、「袖机をすべて撤去」(同社)してしまい、袖机の約1/3の容量になる個人ロッカーに置き換えるという大きな変革を行っている。


この袖机の撤去と徹底したペーパーレス化により、今まで1人あたり1,400mm幅で利用していたデスクも、1,200mm幅で済むことになり、1つの島に従来14人座っていたところに16人が座れるようになり、空間利用の効率化が進んだ。


さらに「とにかく紙を出すのをやめよう」(同社)と、印刷枚数50%削減、保管してある紙の50%削減を目標としてペーパーレス化を進め、実績として、印刷枚数30%削減、保管量は50%近くまで削減している。保管量削減により収納キャビネットも削減できている。


このように見てみると、オフィスにおける「紙(資料)」は社員に次ぐ、面積を取る存在ということが分かる。急速にデジタル化の進んでいる現在、資料は紙である必要があるか問われるところだ。


ましてや、「紙(資料)があると、紙がある場所で働かなければならなくなる」(同社)というように、フレキシブルな働き方にはだんだん紙はそぐわなくなってきているのかもしれない。


そして、同社の「ペーパーダイエット」により、執務デスクエリアの効率化と、収納キャビネットの削減が実現したことで、「フレキシブルオフィス」が実現する。



「フレキシブルオフィス」へ

(同社 集中席のエリア)

(同社 集中席のエリア)


「ペーパーダイエット」で大幅な紙の削減を行った同社では、次に「フレキシブルオフィス」という施策を行った。それは、フリーアドレス化である「フレックスアドレス」(同社)と、多様な働き方スペースの新設の2つを柱としている。


その背景には、前述の袖机の撤去と個人ロッカーへの移行がある。それにより、個人収納の置いてある固定席で働く必要がなくなったのだ。また、「スマートワーク・チャレンジ」の取り組みで有給休暇取得率が100%近くに達した同社では、リモートワーク導入と併せて、執務デスクの使用率が下がってきており、フリーアドレス化による座席の共有使用で執務デスクエリアの圧縮が有効な状態となっていた。さらに、紙削減により収納キャビネットも削減しており、オフィス内に空きスペースが生まれていた。


そこで、スペース効率が増して、空いた執務エリアに「働き方の変化に応じたオフィスの生産性や効率性の向上」(同社)のため、集中席やファミレス席、オープンミーティングスペースといった多様な働き方スペースの新設を行った。


それにより、「個人の事情や仕事の性質に合わせて、もっとも適した場所で働く選択肢がある」(同社)状態を目指し、「コミュニケーション活性化によるアイデアの創出機会拡大」(同社)を狙っている。


実際、「フレキシブルオフィス」の施策を通じて、オープンな会議スペースを大幅に増やしたことで、機動性やスピードが上がっている手ごたえがあるという。というのも、以前は会議スペースが不足していて「何か物事を進めようとなったときに、会議室の時間に合わせて物事を進める形になっていた」(同社)とのこと。現在では会議室数の制約がなくなり、予約不要で使えるファミレス席やオープンミーティングスペースがあることで、そこで素早くコミュニケーションが取れるようになったとのことだ。


(同社 オープンミーティングスペース 執務エリアの効率化ができた)

(同社 オープンミーティングスペース 執務エリアの効率化ができた)



「どこでもWORK」の三位一体の取り組み

リモートワーク 自席を前提としない働き方
・月に3回程度の在宅・サテライト勤務
・リモート環境でも自席と同様に働ける
ペーパーダイエット 紙を前提としない働き方
・ペーパーレス会議の推進
・印刷と保管量の削減
フレキシブルオフィス 生産的・効率的なオフィス
・多様な働き方スペースの新設
・フレックスアドレス(フリーアドレス)と個人ロッカーの導入

(同社資料から「みんなの仕事場」で作成)


上の表にあるように、「リモートワーク」、「ペーパーダイエット(ペーパーレス化)」、「フレキシブルオフィス(多様な働き方・フリーアドレス化)」を「三位一体として推進」(同社)することで「どこでもWORK」を実現することができたと同社では説明している。


なるほど、「どこでもWORK」の取り組みは、リモートワークを主眼としながら、リモートワークの障害となる紙資料を無くし、同時にフリーアドレス化を図り、スペース効率を上げ、空いたスペースに多様な働き方のできるスペースを新設、自席だけでなく、社内のどこでも、在宅勤務などのリモートワークでも働ける環境へと、相互に関連しながら進めて行った改革と言える。



リモートワークの実施状況

写真は、部門ごとに各社員の状況が分かるマグネットシート

写真は、部門ごとに各社員の状況が分かるマグネットシート(*2)


*2) 部門ごとに、誰が、外出、どこでもWORK(リモートワーク)、休暇取得中か分かるマグネットシートでエリアごとに壁に貼られている。部門ごとに色分けされた名前入りのマグネットでどこにいるか示す仕組みだ(※マグネットには名前が印刷されているが写真では個人情報のため削除している)。シンプルな方法だが、分かりやすい。同様に社内の座席についても個人の名前のマグネットを置くシートがあり、社内のどこにいるか分かるよう可視化されている。


「どこでもWORK」のリモートワークの実施状況は、現在のところ、制度としては、全社員、月に3回程度することができるようになっているという。とはいえ、紙資料が多い部署もあり、段階的に進めているとのこと。すでに約3,200人がリモートワークの説明会に参加し、2017年12月には、約3,300人が月に2~3回リモートワークするところまで来たとのこと。



リモートワークのメリット

リモートワークのメリット

画像提供: tamayura / PIXTA(ピクスタ) (※)


実際に「どこでもWORK」で在宅勤務などのリモートワークを導入してのメリットを尋ねた。


ワークライフバランスにおいて、ワーク(仕事)とライフ(生活)で分けて考えると、ライフ(生活)面は向上するという。「通勤時間が少なくなることで身体への負担が少なくなり、通勤にかけていた時間を自分の時間であったり、家族との時間に還元できる」(同社)という。


ワーク(仕事)面については、同社ではアンケートを取っている。「資料作りなどの仕事に集中して取り組むことができた」(同社)など、リモートワーク実施者の約36%が、生産性が向上したというアンケート結果が出ているとのこと。他方、50%は、生産性は変わらないという回答だったとのことだ。


リモートワークについては、「はじめは戸惑いがある」(同社)とのこと。それが「何回か進めていくうちに、仕事面でも生活面でもITのスキルも身についてきて、仕事の進め方や段取りの組み方が分かってきて、生活面でもどういうことをするとメリットが大きいか分かってくる」(同社)。その目安は5回リモートワークを行うことだという。「5回くらいすると、仕事面も生活面も満足度が上がって、リモートワークの初心者脱却という形になってくる」(同社)そうだ。


ちなみに、同社のリモートワークは基本的に在宅勤務を想定しているが、家に設備がないとか、小さいお子さんがいて家では仕事に集中できないといった方向けには、同社の多摩市や横浜市などの拠点内にサテライトオフィスを用意して対応している。



現在の課題

「どこでもWORK」で働き方改革を進める同社では、まだまだ、課題は多くあるとのことだが、特に座席数をどのくらいにするかは「永遠の課題」(同社)という。


執務席については現在、基本的に人数の8割程度で設計しており、これまでは執務席が不足することはなかったとのことだが、プロジェクトの増減に伴う在社人数の増減があるので、フリーアドレス化で調整はしやすくなっているものの、オフィスの執務席の余剰率をどのくらいにするかは頭を悩ませる問題だという。


また、今のところ、「どこでもWORK」では、在宅勤務やサテライトワークが中心だが、今後は「営業のタッチダウンオフィスのようなもう1つ進んだモバイルワークのやり方」(同社)も考えられ、もう少しオフィスがコンパクトになったり、オフィスの位置づけも変わったりするなど、これから「まだまだオフィスは変わっていくのではないか」(同社)とのこと。



■終わりに

以上、同社の働き方改革の取り組みを同社に取材しつつまとめてきたが、いかがだったろうか。「どこでもWORK」というリモートワークが可能になるまでに、それ以前に残業時間削減や有給休暇取得を進めた「スマートワーク・チャレンジ」があり、リモートワーク実現のためには「ペーパーダイエット(ペーパーレス化)」があり、ステップバイステップで着実に改革を進めていることが取材でうかがえた。今後の同社の働き方改革の進展に注目したい。




≪取材者メモ≫

SCSK株式会社は働き方改革の取り組みが評価され、東洋経済新報社が2006年から発表している「CSR企業ランキング」(*3)では、人材活用部門で、有給休暇取得率の高さなどから、2015年から3年連続トップとなっている。


*3)「東洋経済CSR企業ランキングnewwindow」『CSR企業総覧[雇用・人材活用編]』2017年版(東洋経済新報社)より










取材先

SCSK株式会社newwindow

システム開発、ITインフラ構築、ITマネジメント、BPO、ITハード・ソフト販売に至るまで、ITサービスを総合的に提供。東証一部上場。





編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 (※印の画像を除く)
取材日:2017年7月18日




         

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