Wilkhahn Forum Tokyo (ウィルクハーン・フォーラム・トウキョウ)のエントランス
首都圏のオフィス家具ショールームを訪問して紹介する企画 第八弾
百聞は一見にしかず。オフィス家具(特にデスクやチェア)は、一度購入したら長い付き合いになるので、ショールームで現物に触って使い勝手やデザインを確認しておくと満足行くものが購入できますよー!というコンセプトの企画です。
今回は、ドイツのオフィス家具メーカー、ウィルクハーンの日本総代理店 ウィルクハーン・ジャパン株式会社のオフィス家具ショールーム「Wilkhahn Forum Tokyo (ウィルクハーン・フォーラム・トウキョウ)」です。
ウィルクハーンは、ドイツ、ハノーファーに近いバッド・ミュンダーの街に本拠を構え、チェアを中心とした高級オフィス家具メーカーとして知られています。
同社は、エポックメイキングなチェアを多くのデザイナーと共に世に送り出していますが、中でも有名なのは、1981年に発売された「FS-Line (FSライン)」です。「FS-Line (FSライン)」は、座面と背面が連動してリクライニングするシンクロ機構を世界で初めて採用した大ベストセラーチェアで、現在も販売されているロングセラーモデルです。
同社ショールームに展示されている「FS-Line (FSライン)」
ドイツ、モダニズムの伝統が息づくデザインは、まったく古さを感じさせず、こちらが40年近く前に発売されたとは驚きです。
それでは、ここでウィルクハーンの名前を初めて聞いたという方のために、ウィルクハーンの歴史を簡単に解説します。
ウィルクハーンは、20世紀初頭の1907年、現在も同社の本社本拠地がある、ドイツ、バッド・ミュンダーにて、クリスチャン・ウィルケニング (Christian Wilkening)と、フリードリヒ・ハーネ (Friedrich Hahne)によって創業されます。のちにつけられた社名は、創業者両名の名前を組み合わせてつけられました(Wilkening + Hahne ⇒Wilkhahn)。
同地では、周辺のブナ林から採れるブナ材を使って木製椅子を製造する中小の工房が多く、第2次世界大戦が終わるまでは、同社も木製椅子を主に製造するメーカーの1つだったとのことです。それが、大戦後の1950年代、バウハウスの流れを汲むドイツ工作協会(DeWe)との出会いから、「DeWe(デヴェ)コレクション」の家具部門の製造会社に選ばれ、プラスチックや金属の素材を使った新しいモダンデザインの椅子をデザイナーとともに作り始めることで急成長を遂げていきます。
1971年には、椅子背面がリクライニングする「232シリーズ」を発売しベストセラーに。1981年シンクロ機構搭載の「FS-Line(FSライン)」と連なっていきます。
2009年には、世界初、3次元シンクロ機構搭載の「ON (オン)」が発売など、バウハウスに始まるドイツ、モダニズムの伝統のシンプルで機能性高いデザイン、"Design made in Germany"のクオリティ、世界に先駆ける革新的な機構の採用でオフィスチェアの時代を作ってきたメーカーなのです。
高級オフィスチェアを検討する際には外せないメーカーがウィルクハーン。そのウィルクハーンのショールームはどうなっているのか、期待が高まりますね!
所在地: 東京都港区北青山3-3-5 東京建物青山ビルB1
最寄駅: 東京メトロ銀座線「外苑前」駅徒歩3分/東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線「表参道」駅徒歩5分
営業時間: 平日 午前11時~午後5時(予約制) 土日祝日は閉館
サイト: ウィルクハーン・ジャパン株式会社 Wilkhahn Forum Tokyo(リンク)
※見学には予約が必要です。ウェブから見学予約できます。
展示製品: オフィス家具(チェア、テーブル、他)
※展示内容は取材時より変更されている可能性があります。
こちらのショールームは、事前予約制です。同社のサイトから予約できます。
ウィルクハーン・ジャパン株式会社 Wilkhahn Forum Tokyo (ページ下部にある「ご予約フォーム」のボタンをクリック)
では、「Wilkhahn Forum Tokyo (ウィルクハーン・フォーラム・トウキョウ)」に行きましょう!
場所は東京都港区北青山にあります。
こちらは東京メトロ「外苑前駅」1a出口。3番出口も最寄り出口です。
グリーンの看板が目印です。階段を下ります。
モダンデザインの博物館のようなエントランス。
この左手にチェアが展示されています。
エントランス左手には、同社の高級カンファレンスチェア「Graph (グラフ)」が展示されています。フレームに精密に張り込まれた革の光沢とアルミダイキャストフレームの無駄のない構造が美しいです。
この右手が入口です。
入口を抜けて受付へ。
タブレット型の自動受付機で、担当者の方を呼びだします。
エントランスから通路を抜けて奥へ。
こちらには憧れのウィルクハーンのチェアが勢ぞろい。
椅子好きにはたまらない魅惑の空間が広がります。高級オフィスチェアを探している人には、ぜひ一度寄ってみてほしいショールームです。
それでは、ショールームをぐるりと一周しながら、チェアや家具を紹介していきましょう。
手前から、「FS-Line (FSライン)」、奥の3脚は「Modus (モダス)」のミドルバック、ハイバックなどのバリエーション違いです。
手前から2脚が、「Modus (モダス)」の革張りハイバックモデル。奥の2脚は、「FS-Line (FSライン)」の革張りハイバックモデル。
ウィルクハーンの高級チェアはエグゼクティブ用に使われることも多く、その革張りのクオリティの高さは現物で見てもらうと納得いただけると思います。あー、こんなチェアに座っていたい。
こちらはカンファレンスチェアに分類されるチェアで、手前から、「Sola (ソラ)」革張りモデル、奥の3脚は、「Graph(グラフ)」の革張りのバリエーション違いになります。エグゼクティブ用会議室に使われることが多いチェアです。
こちらのチェアも「Graph (グラフ)」のファブリックシートモデル。この生地も素敵な色合いです。テーブルも同じシリーズの「Graph table (グラフ・テーブル)」。
どちらもフレームはアルミダイキャスト素材による無駄のないフォルムです。
壁のカラーチャートのようなパネルは、椅子の張地サンプル。
注文後に縫製と組み立てを行うので、欲しいカラーのチェアに仕上げられます。
サンプル展示の下にあるソファは「Asienta (アシエンタ)」。
スチールとファブリックの組み合わせ、直線的なスチール脚の細さ、きれいにカーブして内に張り出したクッションなど、いかにもドイツらしいモダンなデザイン。
写真右奥に見えるのは、会議室の展示です。入ってみると、
ハの字に開いた会議テーブルがありました。
会議テーブルシリーズの「Logon (ロゴン)」。こちらは、「scissor-action-table (シザーアクションテーブル)」という、ハサミの刃先のように開閉できる仕組みがついています。チェアは「ON (オン)」。
これはリモート会議対応のための仕組みなのですが、どうしてこのような開け閉めが必要なのかというと、
開いた側から撮影。
このように開いた側にテレビ会議用カメラを置くと全員がカメラの視野に入るので、リモート会議に便利なのです。台形のリモート会議用テーブルも世の中には販売されていますが、このように可動式であれば、通常の会議時は閉じておけるので便利ですね!
会議テーブル「Logon (ロゴン)」のシリーズは、シザーアクションだけでなく、一般的な長方形や、舟形、円形、ヘキサゴンなど形はいろいろ用意されています。あと、写真のように、突板仕様(通常の突板より厚さのある厚突単板)が用意されているのもポイントで、天然木の木目を楽しめます(ブラックやホワイトカラーのメラミン化粧板タイプもあります)。
こちらのややカジュアルな会議用チェアは、「Metrik (メトリック)」。
多面体のようなエッジが印象的です。収納時はスタッキングできます。
同社のカンファレンスチェア「Graph (グラフ)」よりもカジュアルなものとして開発されたこちらのチェアは、正面から見ると、丸くくり抜かれた部分が、Oの字に、横から見るとCの字に見えるところから、「Occo (オッコ)」と名付けられています。背座は一体成型のポリプロピレン製。こちらは木製脚モデル。テーブルも同じく「Occo (オッコ)」シリーズの多目的テーブル。
こちらも「Occo (オッコ)」シリーズのテーブルとチェア。どちらもキャスター付モデルです。
こちらにも2階建ての椅子展示エリアがあります。
上段は、「Occo (オッコ)」シリーズ各色。
ベージュ、グレー、ブルーグレーといった中間的な色合いのモデルが今風で魅力的です。ファブリック張りのモデルも。
下段は、左から2脚が「IN (イン)」。右側4脚が「ON (オン)」。
どちらも同社の3次元シンクロ機構 (トリメンション) 搭載のオフィスチェアが並んでいます。
椅子好きの皆様お待たせしました!
せっかくの素敵な椅子が多く展示されていますので、同社の主力チェアである、「ON (オン)」「IN (イン)」「FS-Line (FSライン)」「Graph (グラフ)」を選んで、「みんなの仕事場」恒例、椅子を詳しく紹介する「椅子コレ」コーナーを行いたいと思います!
正面から。
斜め前から。
斜め後ろから。
写真はファブリック張り、ハイバックモデル。
ほかにも革張りなど張地を始め、フレーム、脚部のカラー違いなど、数多くのバリエーションがありますので写真は一例です。
2009年に発売され、世界初3次元シンクロ機構(トリメンション)搭載のチェア。前後だけでなく、左右の動きにも追従するのがポイント。動くことに注目し、健康的に座ることを目指して、ドイツ国立ケルン体育大学とのコラボレーションにより生まれたチェア。2010年iFプロダクトデザイン賞、ベストオブネオコン、グッドデザイン賞(日本)、など受賞多数。
見た目はとてもシンプルに見えますが、3次元のリクライニングの複雑な動きを、美しくシンプルな構造で実現させてしまう、まさにドイツのモダンデザインの極み。また、座ったときに感じる剛性感など、安心を感じさせるメカニズムの重厚さもドイツデザインならでは。
製造: ウィルクハーン社 (Wilkhahn)
デザイン: wiege (ウィルクハーンのデザイン会社)
発表年: 2009年
参考価格: 167,400-496,800円(税込) (モデルによる違いあり)
「みんなの仕事場」調べ
※チェアの参考価格は、掲載時点で調査したメーカー希望小売価格を基本としています。時期・仕様の違い、流通ルートの違い等により販売店での店頭価格と異なることがありますので、あくまで参考としてご覧ください。
正面から。
斜め前から。
斜め後ろから。
背クッションタイプ。ほかに背メッシュもあります。
2015年に発売されたのがこちらの「IN(イン)」。先ほどの「ON (オン)」の3次元シンクロ機構 (トリメンション)を受け継ぎ、よりカジュアルでスポーティなモデルとして発売されたモデルです。2015年レッドドットデザイン賞、同年ネオコン金賞、2016年iFデザイン賞、などこちらも受賞多数。
それでは、実際に、3次元シンクロ機構 (トリメンション) はどんななのか。 その動きを取材者が座って実演したものを撮影しました。
写真は、直立で座ったときと、左に傾いたときをそれぞれ撮影し、画像加工で重ねたものです。
こうすると、身体の傾きに追従している様子が良く分かると思います。前後左右にリクライニングするといった感じのチェアなのです。
製造: ウィルクハーン社 (Wilkhahn)
デザイン: wiege (ウィルクハーンのデザイン会社)
発表年: 2015年
参考価格: 129,600-173,880円(税込) (モデルによる違いあり)
「みんなの仕事場」調べ
※チェアの参考価格は、掲載時点で調査したメーカー希望小売価格を基本としています。時期・仕様の違い、流通ルートの違い等により販売店での店頭価格と異なることがありますので、あくまで参考としてご覧ください。
正面から。
斜め前から。
斜め後ろから。
本記事冒頭でも紹介しましたが、1981年に発売された「FS-Line(FSライン)」です。世界で初めて、座面と背面が連動してリクライニングするシンクロ機構を採用したチェアで、現代オフィスチェアの見本とも言えるチェアです。革張りモデルは後年発売されたモデル220。
製造: ウィルクハーン イン(Wilkhahn IN)
デザイン: クラウス・フランク (Klaus Franck)、ヴェルナー・ザウアー (Werner Sauer)
発表年: 1981年
参考価格: 123,120-146,880円(税込) (モデルによる違いあり)
「みんなの仕事場」調べ
※チェアの参考価格は、掲載時点で調査したメーカー希望小売価格を基本としています。時期・仕様の違い、流通ルートの違い等により販売店での店頭価格と異なることがありますので、あくまで参考としてご覧ください。
正面から。
斜め前から。
斜め後ろから。
ミドルバック、ファブリック張地、グライド(キャスター無し)モデル。ほかにハイバック、革張り、キャスター付きがあります。
2012年にリリースされた、ハイエンド向けカンファレンスチェア。2012年iFデザイン賞を始め多くの賞を受賞。
エグゼクティブ向けというと、革張りでソファのような厚みのあるチェアを想像しますが、それとは正反対の流線形の優美なフォルムと、フォーマルでありながら過剰な装飾のない研ぎ澄まされたシンプルさ。ドイツ、モダンデザインの系譜にあるチェアでウィルクハーンらしいチェアです。
台形のアームレストが印象的ですが、ここがキーパーツとなっています。構造的には、背面と座面がアームレストによって接続されているのです。写真はアルミフレーム艶消しタイプ。ほかに、ブラックカラー、ホワイトカラー、クローム、と全4タイプあります。
製造: ウィルクハーン イン(Wilkhahn IN)
デザイン: jehs + laub (マルクス・イェスとユルゲン・ラウブによるデザイナーユニット)
発表年: 2012年
参考価格: 399,600-756,000円(税込) (モデルによる違いあり)
「みんなの仕事場」調べ
※チェアの参考価格は、掲載時点で調査したメーカー希望小売価格を基本としています。時期・仕様の違い、流通ルートの違い等により販売店での店頭価格と異なることがありますので、あくまで参考としてご覧ください。
さて、椅子コレはこのくらいにしまして、続きを紹介して行きましょう。
先ほども紹介しました。こちらは革張りタイプで応接としての展示。
一般にソファは外に張り出すデザインが多いのですが、それではビジネス用途ではソファを置いた空間全体がリラックスしすぎるきらいもあります。こちらは、外面はシャープに、内に張り出すデザインなので、空間が締まります。
このカラフルな棒状のものは、「Stand-up (スタンドアップ)」という、「立つ」と「座る」の中間の状態で人間の身体を支えるスツール。初めから傾くように設計されていて、ゆらゆらと起き上がりこぼしのように動きます。
というわけで、集めてきまして、
これをぐるぐると回すと、
こんな感じでぐるぐる回ります。ちゃんとバランスが取れているので倒れないのです。しかも、本体は発泡ポリプロピレン製で、4.5kgと大きさの割には軽量で持ち運びできるように作られています。ブレストのときのおともに。
カウンター席前にあるスツール。こちらは先ほどの「Stand-up (スタンドアップ)」に先立ち、1991年に発売された「Stitz (スティッツ)」。こちらも「立つ」と「座る」の中間の状態で人間の身体を支えるスツール。いかに身体を動かすかが重要とのことで、同社の健康への追求の姿勢が窺えます。
さらに奥へ進むと、エグゼクティブ向けのエリアがありました。
まさに社長席な感じの展示が!
テーブル「Logon (ロゴン)」シリーズです。
その隣には、
密会的な会議室が!
これで、こちらのショールーム一周です。
いやー、ドイツデザインに圧倒されっぱなしの見学でした。 高級チェア、高機能チェアを探している方は、間違いなく見学すべきショールームの1つでしょう。
" Design made in Germany" の製品群に圧倒されつつも堪能した後は、 ほっと一休み。
ウィルクハーンチョコをいただいて帰りました。
こちらのショールームは、事前予約制です。同社のサイトから予約できます。
ウィルクハーン・ジャパン株式会社 Wilkhahn Forum Tokyo (ページ下部にある「ご予約フォーム」のボタンをクリック)
所在地: 東京都港区北青山3-3-5 東京建物青山ビルB1
最寄駅: 東京メトロ銀座線「外苑前」駅徒歩3分/東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線「表参道」駅徒歩5分
営業時間: 平日 午前11時~午後5時(予約制) 土日祝日は閉館
サイト: ウィルクハーン・ジャパン株式会社 Wilkhahn Forum Tokyo(リンク)
※見学には予約が必要です。ウェブから見学予約できます。
展示製品: オフィス家具(チェア、テーブル、他)
ドイツのオフィス家具メーカー、ウィルクハーンの日本総代理店。ウィルクハーンは、ドイツ、ハノーファーに近いバッド・ミュンダーの街に本拠を構え、チェアを中心とした高級オフィス家具メーカーとして知られる。
編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局
取材日:2017年8月3日
3次元の動き!座りの定義を変えるドイツ・ウィルクハーン社の次世代チェア。
2016年11月17日のリニューアル前の旧コンテンツは
こちらからご確認ください。