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株式会社一休の「サステナブルなオフィス移転」とは? [後編]

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株式会社一休 新オフィス エントランスのチョークアート

株式会社一休 新オフィス エントランスのチョークアート


高級ホテル・旅館の予約サイト『一休.com』などを運営する株式会社一休の千代田区紀尾井町オフィスの紹介の続きです。前編では執務エリアをご案内していただきながら、移転のコンセプトについて伺いました。今回は説明会をかねた移転当日の全員参加のイベントや、移転プロジェクトの進め方について、植村弘子さん(執行役員 CHRO管理本部長)と大島葉月さん(管理本部 人事総務部)に伺いました。



前編はこちら







■コミュニケーションのためのこだわりラウンジ

移転初日はブルーのバルーンを中心に飾り付け(※)

移転初日はブルーのバルーンを中心に飾り付け(※)



― ラウンジについてお伺いします。


植村さん  じつはここは、人が一番集まってほしいから一番お金をかけたエリアなんです。せっかく会社に来たのだから、そういうときはこのラウンジで、仲間同士でワイワイやってほしいということで、こだわりました。ここはコーポレートカラーのブルーを多く使っています。



コーポレートカラーのブルーが使われている(※)

コーポレートカラーのブルーが使われている(※)



このカウンターもヤフーから受け継いだ備品だという

このカウンターもヤフーから受け継いだ備品だという



カウンター横には「ボードゲーム部」の備品がたくさん。「ラウンジでの交流に使っているようです。」(植村)

カウンター横には「ボードゲーム部」の備品がたくさん。「ラウンジでの交流に使っているようです。」(植村)



ラウンジでは天井からスクリーンを下ろして投影が可能。全社集会や社内セミナーなど、人が多く集まる際に活用している

ラウンジでは天井からスクリーンを下ろして投影が可能。全社集会や社内セミナーなど、人が多く集まる際に活用している



眺めの良いリラックス席もある

眺めの良いリラックス席もある



― 一休の社風はどんな感じですか?


植村さん  20代から30代の社員が多いですね。でもギラギラした感じはなくて、ナチュラルに一休のサービスが好きで働いているメンバーばかりです。相性の良さはすごく大事にしていて、面接時もそこが合うかどうかがひとつのポイントだと考えています。カルチャーマッチする人たちとは、何事もお互い気持ちよく協力し合えますよね。


また、トップダウンではなく、組織は一般・リーダー・役員の3階層で、役職者であっても全員「さん」付けで呼び合うフラットな社風も特徴です。誰かに気を遣うことはない会社ですね。




■移転初日は仕事を一休み。全員参加のイベントを開催

移転初日はラウンジに全社員が集まった(※)

移転初日はラウンジに全社員が集まった(※)



― 移転した初日は、社員の皆さんが久しぶりに集まったそうですが。


植村さん  従来は毎月、全社集会を開いていました。全員がラウンジに集まり、経営陣からのレポートや社員の表彰などがあり、その後は好きに飲んたり食べたりしながら交流ができる場でした。それがコロナの感染拡大以降はできなくなってしまっていたので、全員集まったのはほぼ3年ぶり。みんなすごく楽しそうでした。



移転初日の様子(※)

移転初日の様子(※)



大島さん  12年ぶりのオフィス移転なので楽しい感じにしたくて、エレベーターホールのチョークアートやラウンジのバルーンでワクワク感を演出し、全社員分のギフトも用意しました。


― ギフトですか。


大島さん  高級感があってインスタ映えもするような、嬉しくなるものを贈りたいねとみんなで話し合った結果、アイシングクッキーと、チョコレート、ステンレスボトルを贈ることに決めました。それを入れるペーパーバッグにもこだわって、紙質やリボンなど高級感のある仕上がりになっています。開けた瞬間に「わあ!」と喜んでもらいたくて、一休のロゴが描かれた大きなアイシングクッキーが一番上になるよう、袋に入れる順番もすごく考えました。ステンレスボトルは色違いで9種類用意したので、当日は見せ合って楽しんでくれていましたし、その後オフィスでも使ってくれているのを見るとこちらが嬉しい気持ちになります。



ギフトセットの内容(※)

ギフトセットの内容(※)



植村さん  パレスホテルさんにはオリジナルチョコレートを作っていただきました。妥協せずに試作を繰り返していただいて、見た目も味も抜群。このようなオーダーに快くご協力いただけるのは有難い関係性ですよね。ホテルや旅館の皆さんがいてくださるから、私たちのビジネスは今日までこられたことを痛感しました。改めて感謝の気持ちでいっぱいです。


自分たちだけの力ではなく、たくさんの方々のお陰で働けていることを、ギフトに詰め込みたかったんです。そして、それを「いいね」と言ってくれるCEOがいるから実現できる。このギフトセットは経営陣もみんなと一緒に列に並んで取りに来てくれました(笑)。


大島さん  イベントの後半はソフトドリンクとオリジナルのスナックを用意したお茶会をしました。アルコールなしでも、皆さん遅くまで会話に花を咲かせたりボードゲームをしたりと楽しんでいました。


― スペシャルな一日ということですね。


植村さん  その日は仕事もしなくていいことにしました。オフィス移転した初日は仕事よりまずは元気に出社してください、しかないですよね。


当日は朝からエレベーター前に我々移転プロジェクトチームが立って、出社した社員を迎え、それぞれのゾーンがわかる新オフィスのマップを配りました。エレベーターを降りたらまず自分の席を探してもらうという若干アドベンチャー風のマップです。人は、多少迷った方が覚えますからね(笑)。


ビル内のヤフーの社食は我々も使えますので、「ウェルカム一休」というメッセージを出してもらい、その日のランチは無料にして、人気メニューを3種類、特別に用意してもらいました。


― 「引越し祝いランチ」ですね。楽しそうです。


植村さん  出社した後は、まずリーダーを集めてオフィスツアーをして、その後、リーダーが自分のチームメンバーを集めて案内しました。それが終わったら、それぞれ好きな時間に食事に行ってもらいました。




■オフィス移転は「楽しいこと」。だから船出感が重要

大島葉月さん(管理本部 人事総務部)

大島葉月さん(管理本部 人事総務部)



― そもそも移転にいたった経緯を教えてください。


植村さん  まず、会社の成長にしたがって、セキュリティ面の強化や社員のオフィス環境づくりが必要になってきたことです。移転前のビルは東京メトロ「赤坂見附」駅の近くでとても便利だったのですが、かなり古いビルでした。入館する際のセキュリティゲートなどもありませんでしたので、リスク管理の観点からセキュリティ面を強化する必要がありました。


また、様々なニーズによって事業規模が拡大し、旧オフィスは手狭になっていました。ちょうどヤフーからお話があり、1000坪の空きが出ると言うことで今回の移転となりました。


― 移転プロジェクトはいつから準備していたのですか?


植村さん  じつは結構ギリギリでした。2022年12月に移転しましたが、話が出てきたのはその8カ月前くらい、2022年4月です。かなりのショートカットでした(笑)。


当社の規模ですと、移転準備に1年とか1年半かけるのが普通だと思いますが、時間がなくてあらゆることを同時並行で行わなければなりませんでした。


移転プロジェクトメンバーは私を含めて4人という最少人数で、そこですべて決めました。逆に、人数が多くても決まらないのではないかと思います。人数を絞ってアクションを速めていったからこそ8カ月でできたのです。


―オフィス移転を通じて、あらためて会社の方針などで感じたことは?


植村さん  今回の新オフィスについて、会社によっては、自社のカラーにこだわりたいということはあるかもしれません。でも当社はすでにあるものを活用して、オフィスが使いやすくなるならいいよねという選択をしました。迷ったときに、そういう本質をきちんと選べる会社であり続けたいと思うんです。居抜きで入ったからと言って、我々の個性がなくなるわけではない。同居したり、融合したりしていくことがこれからのサステナブル時代の本質だと思います。その時々で融合して、一番良い形を求めていきたいですね。



右は植村弘子さん(執行役員 CHRO管理本部長)

植村弘子さん(右は執行役員 CHRO管理本部長)



― オフィス移転を検討している会社にアドバイスはありますか?


植村さん  移転って、楽しいことじゃないですか。せっかくだから、初日をどういう記念日にするかとか、盛り上げる方がいいと思うんです。当社はやってよかったです。広くなるし、素敵なビルに入居できるので、細部までこだわってその日を迎え、社員みんなが久しぶりに集まって、笑顔が絶えない日になりました。ただのオフィス移転ではなく、スペシャルな日にすることはすごく大事だと思います。私たちも楽しかったです。


大島さん  前回のオフィス移転では、前日に段ボールに荷物を詰めて、翌日新しいオフィスで届いた段ボールを開けるだけでした。今回のようにイベント化した方が気持ちも新しくなり、今後も楽しく働こうという気持ちになります。何より「船出感」があります。


― 一休さんは今後もどんどん人員を拡大していく予定ですか?


植村さん  いいえ、常に少数精鋭でチューニングしており、人数を増やしたいとは思っていません。コロナ禍をはさんで毎年最高益を出していますから、人は必然的に増えていきますが、やみくもに規模を拡大することはせず、プロフェッショナルな最少人数の集団を目指していきます。



全社集会の記念写真(※)

全社集会の記念写真(※)





一休さんの事業コンセプトは「こころに贅沢させよう」。その言葉通り、ホテルや旅館、レストランで豊かな時間を過ごすためのサービスを提供しています。そんな同社の行動指針は、「一人ひとりが、魂を磨くような仕事をしましょう。そして仕事を通して成長しましょう」です。社員に対しても手を抜かずに「こころに贅沢」をいきわたらせている姿勢を感じられました。






取材協力


株式会社一休

1998年7月設立。高級ホテル・旅館予約サイト「一休.com」ほか、レストラン・ビジネスホテル予約サイトもオープン。社員数約350名(2023年1月現在)


株式会社一休コーポレートサイト[外部リンク]


編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 (※印の画像を除く)
取材日:2023年1月18日

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