六本木の東京ミッドタウン・イーストに移転したコロプラのオフィス(※)
前編では、「従業員が安心して出社したくなるオフィス」というコンセプトをどのように実現していったかを、コーポレート本部 経営管理部部長の森林太郎氏に伺いました。 今回の後編ではそのオフィスツアーの様子をお伝えします。
前編はこちら
まず、これまでお話を伺っていた会議室を出て、エントランスまで回廊をぐるりと回ります。
ここで通路の床材に注目。少しフワフワしたような、ちょっと変わった床材です。
森さん これはリノリウムです。病院や大学などで使われている床材で、亜麻仁油などの天然素材から製造されています。抗ウィルス効果・抗アレルギー効果があり、有害化学物質を出しませんし、ツルッとしているから清掃も楽です。カーボンニュートラルでSDGs素材としても優秀です。他の床材を使って薬剤を散布するやり方だと年に何回もやり替えないといけなくなります。日常業務をしている中では現実的ではないですよね。リノリウムは素材自体に抗ウィルス効果があるのでそういう必要がないんです。
素材感としては心配もあったのですが、デザイン会社が調べたらかなりいろいろな表情のリノリウムがあり、そんな心配も払拭されました。
森さん あと見ていただきたいのは天井のダクトです。ダクトがやたらとニョキニョキしているのがわかりますか? これは換気を増強した成果で、施工した大成建設さんもここまで大規模なのは初めてだとおっしゃっていました。
― 目で見てわかりますね。
森さん スケルトンにしたのはエントランスを広く見せるためだったのですが、換気対策が目に見える形になるというメリットも感じています。
スケルトンは天井が高くなりますから、単純にその分だけ体積が増えて、換気面でもプラスに働きます。来客があり、人の出入りも多い場所ですから、スケルトンにしてよかったと思います。
......ちょっとこの部屋が空いているので入ってみましょうか。
来客用の会議室名はすべて「コロニーな生活」のアイテム名とのこと。
森さん ここは一番広い会議室です、他の会議室は6~8人定員になっています。
― 室内はリノリウムではないのですね。
森さん ここがカーペットになっているのは、総務で実験した結果、リノリウムにすると反響が強く、話し声が響いてディスカッションがしにくいということがわかったからです。壁にすべて吸音材を張ればいいのですが、予算がかなりかさむので現実的な解決策としてカーペットになりました。代わりに全会議室にHEPAフィルター付きの空気清浄機を置きました。
森さん 各会議室には部屋の名前(「コロニーな生活」のアイテム名)にちなんだ絵をかけています。これは社内の入社1~4年目の若手のデザイナーたちの作品です。
各会議室の絵は社内デザイナーの作品
森さん 部屋の出入り口には消毒液ホルダーを付けていまして、ドアも接触感染対策で肘で開閉できるアタッチメントを設置しました。
各部屋の入口に設置された消毒スプレーフォルダー。
肘でドアを開閉できるアタッチメント。
― こういう製品があるのですか?
森さん はい。コロナは物の接触感染リスクは低いと言われているのですが、従業員の安心感にもつながりますし、衛生的なのは間違いないので付けました。
通路を進むと、これまでリリースしたゲームタイトルが壁に飾られています。
コロプラ年表(※)
森さん デザインは全体的に白を基調にして、なるべく余計な色を使わないコンセプトです。一般的なゲーム会社のイメージとは違うかもしれませんが、弊社はあえてカラフルな感じにはしておらず、ラグジュアリーな感じを避ける傾向があります。執務エリアもなるべく実務的に白と木目を基調にしています。デザイナーたちの視界にいろいろな色が入ってくると気が散ってしまうという声に対応しています。といっても、自社キャラクターのぬいぐるみを置いたりもするのですが。
可愛いぬいぐるみが覗いている......
森さん こちらは来客に配布している「コロプラ水」です。季節ごとにデザインを全部で12種類用意していて、SDGsを意識して再生ペット樹脂を使用しています。
ちなみに、この日出していただいた「コロプラ水」はこちら。
エントランスに戻ってきました。
黒いコンピューターは、馬場会長が「コロプラ」サービス最初期に使用していたサーバーで、「HAKASE」と名付けられています。
― この天井は防音にしているのですか?
森さん そうですね。会議室にリノリウムを敷かなかったのは音が反響すると言いましたが、こちらは全面リノリウムですから、天井にフェルト素材の造作を付けて、音を吸収するようにしました。執務エリアも同じようにしています。
続いてエレベーターで5階に移動します。
5階には執務エリアのほかにマッサージルーム、コロパーク、休憩室などがあります。
社内マッサージルーム「Kuma SPA」。マッサージ師の方が準備をされていました。
― ここはアフター5に利用できるという感じですか?
森さん いえ、就業時間中でも30分〜1時間利用可という制度です。国家資格を持ったマッサージ師が3人常駐して、ひとり一部屋で施術してもらえます。女性のマッサージ師さんもいるので、女性従業員も利用しています。今日は珍しく空いていますが、ほぼ毎日予約が埋まっています。あまりに人気があるので、週1回の利用に制限しています。
個室ブース。向かい合わせに個室に入って話ができるブースも。
森さん 2人で使うブースは、特に弊社が換気対策を重視して導入したものですが、使いにくさもあるので他社様の事例はあまり聞いたことが無いです。
― これは何でしょう?
森さん 水循環型の手洗い機です。手洗いはやはり一番大事なのですが、オフィス内に水を引いて手洗い場を作るのにはお金がかかりますので、これを設置しました。この中で水が循環しているので水道代もかかりません。中にろ過装置が入っているんです。もともとは水資源のない地域用にベンチャー企業が開発したものですが、東京ミッドタウンの地下1階にも設置されています。
― スマホ除菌もできると書いてありますね。
森さん 入れてみます? 20秒で紫外線除菌ができます。
スマホも除菌してくれる!
その間に手洗いを。
森さん 初めて使う人はちゃんとスマホが返ってくるか不安になるみたいですが(笑)。
もちろん冗談で、きっかり20秒でスマホが戻ってきました。
その先に広々した「コロパーク」がありました。
コロパークはリフレッシュやコミュニケーションのためのエリア。ここの床もリノリウムが使われている。(※)
森さん 中央の丸いゾーンは天井からスクリーンも下ろせるので、大人数での打ち合わせやゲームのプレイ会などに使われています。
― プロジェクトの打ち上げパーティなどにも使えますね。
森さん 過去はやっていましたが今は残念ながらできません。
(※)
こちらは各ゲーム機を完備したスペース。休憩中や仕事後にここでゲームに興じる人も。(※)
ダーツができるコーナーもありました。
「無限バナナ」は、このスペースの入口近くにありました。
食べ放題の「無限バナナ」。(※)
森さん 今日入荷したばかりなのでまだ一部ちょっと青いですね。青果店から大量に仕入れています。
こちらは珍しい松屋の自販機。メニューは日替わりで替わるそう。(※)
執務室までの通路に沿って壁一面が全体が「クマ図書館」になっています。本にはタグが付いておりセンサーで管理しているそうです。
本棚の裏にはワークポッドを含めて大小の会議室が並んでいました。
5階の部屋名は「海の生き物」。Lvは収容人数を表します(Lv.20は20人用の広い会議室)
その先は執務エリアです。立ちミーティングができる家具があるのがわかります。
皆さん忙しそうにお仕事されていました!
※
前回の森さんのお話では徹底した感染症対策に驚かされましたが、その後で実際にオフィス内を案内していただき、単に感染症を防いでいるだけでなく、多くのクリエイターの想像力を刺激し、創造力を育む「クリエイターファースト」の精神が感じられました。
自社事業とそこで働く人々の安心・安全に真剣に取り組むことによって、出社意欲が向上し、活発なコミュニケーションによってイノベーションが日々生まれている現場を見ることができました。
森さん、ありがとうございました!
取材協力
世界初の位置情報ゲーム『コロニーな世界☆PLUS』から始まり、現在は『白猫プロジェクト』、『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』などのスマートフォン向けゲームの開発・運営をはじめ、海外展開、XRサービス、投資育成事業を展開しています。
編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 (※印の画像を除く)
取材日:2022年10月4日
2016年11月17日のリニューアル前の旧コンテンツは
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