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共創を実現するためのNTTコミュニケーションズの実験的ワークスペースOPEN HUB Park[前編]

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OPEN HUB Park(東京・大手町)(※ ©yasuhiro takagi)

OPEN HUB Park(東京・大手町)(※ ©yasuhiro takagi)


NTTコミュニケーションズが2021年10月に開始した事業共創プログラムOPEN HUB for Smart Worldが、第35回日経ニューオフィス賞の「ニューオフィス推進賞<クリエイティブ・オフィス賞>」を受賞しました。今回は、同プログラムの先端的な活動拠点OPEN HUB Parkを同社の谷村宏子さん(OPEN HUB for Small World Catalyst/Operation ビジネスソリューション本部 事業推進部 マーケティング部門 主査)に案内していただき、共創を促す様々な仕掛けやコンセプトなどについて伺いました。








■異世界感あふれる、最先端技術のお出迎え

OPEN HUB Parkのエントランスは、7台の約2メートルのデジタルサイネージMonolithsが来客を迎えてくれました。すでに近未来的な空間になっています。



この日映されていたのは情緒豊かな季節の風景。空間に合わせたアロマの香りを伴う演出で、共創に向けて思考をスイッチすることを促す。

この日映されていたのは情緒豊かな季節の風景。空間に合わせたアロマの香りを伴う演出で、共創に向けて思考をスイッチすることを促す。



Monolithsのグラフィックは事前の入館手続きシステムと連携しており、イニシャルなどから生成した来客ごとの「パーソナルロゴ」がモーション付きで映写されます。オリジナルのロゴがあることでOPEN HUBのメンバーであるという帰属意識が生まれます。非常に没入感のある演出でした。



こちらのパーソナルロゴは、同社の依藤美有さんのもの。来訪回数やウェビナー参加回数に応じて形が複雑に変化するとのこと。

こちらのパーソナルロゴは、同社の依藤美有さんのもの。来訪回数やウェビナー参加回数に応じて形が複雑に変化するとのこと。



本日、この施設を案内していただく谷村宏子さんです。



谷村宏子さん(OPEN HUB for Small World Catalyst/Operation ビジネスソリューション本部 事業推進部 マーケティング部門 主査)

谷村宏子さん(OPEN HUB for Small World Catalyst/Operation ビジネスソリューション本部 事業推進部 マーケティング部門 主査)



谷村さん いらっしゃいませ。


― 日経ニューオフィス賞の受賞おめでとうございます。本日はよろしくお願いします。


ガラス張りのプロジェクトルームに案内いただき、ここでお話を伺うことになりました。



プロジェクトルームGreen Executive Briefing Center

プロジェクトルームGreen Executive Briefing Center




■Smart Worldを実現するOPEN HUBとは



― このOPEN HUB Parkの位置づけを教えてください。


谷村さん 私どもはOPEN HUB for Smart Worldという事業共創プログラムを運営しており、ここはその中心となるリアルの活動拠点です。


Smart Worldとは、ICTを基盤としたさまざまなデータの蓄積・利活用で社会課題を解決し「進化したより良い世界」を作ることを意図しており、OPEN HUB for Smart Worldはそれを様々なお客様との共創の中で実現していくことを目指しております。



OPEN HUBの事業共創プロセス。OPEN HUB Parkは人(カタリスト=各領域の専門家)・技(知見や技術アセット)・場(リアルとバーチャルが融合したワークプレイス)の活動拠点になる。(※)

OPEN HUBの事業共創プロセス。OPEN HUB Parkは人(カタリスト=各領域の専門家)・技(知見や技術アセット)・場(リアルとバーチャルが融合したワークプレイス)の活動拠点になる。(※)



谷村さん OPEN HUBで生まれたビジネスや成果は、OPEN HUB Park内のスタジオや、オウンドメディアで情報発信されます。また、コミュニティ「OPEN HUB Base」とも連動し、トークイベントや会員交流イベントを通じて新たなビジネスの展開を図っていきます。



オウンドメディアOPEN HUB Journal

オウンドメディアOPEN HUB Journal(コンテンツは取材時点のもの)。(※)



― 「Park」は人・技・場が集結する場所ということですね。そのようなスペースを作るというプロジェクトは、どのように立ち上がったのですか?


谷村さん 弊社はこれまでのICTインフラやクラウドサービスに加えて、お客様やパートナー企業の皆様との共創を事業の柱にしていこうという経営戦略があります。


さらに、コロナ禍の2020年頃、会社の方針でリモートワーク制度が更新されたことで出社率が3割に抑えられてオフィスが集約され、空いたスペースが生まれることになったため、その場所を有効活用して共創のための活動拠点にすることにしました。


― WX、DX、GXのトライアルの場でもあるそうですね。


谷村さん そうですね。事業ビジョンの軸としてWX(ワークスタイルトランスフォーメーション)、DX(デジタルトランスフォーメーション)、GX(グリーントランスフォーメーション)の3つを掲げています。





― 運営しているのはどのようなメンバーですか。


谷村さん 構想段階ではわたしどもマーケティング部門2、3人の少人数で進めてきましたが、今は運営メンバー20名程度、カタリストを含めると数百人規模にまで拡大しています。




■人・技・場で共創をドライブする



― OPEN HUBが提供する「人」の部分、専門家「カタリスト」とはどのような方々ですか?


谷村さん NTT Com社内外から集めた各分野に精通した専門家で、お客様やパートナー企業の皆様とともに事業コンセプトを創出し、社会実装を目指していきます。


社内カタリストの募集については人事制度とも連携し、社員自ら手をあげてもらっているのですが、当初は200名からスタートし、いまは約400名体制です。認定・育成制度によりカタリストの専門性を高めていく仕組みを作りました。それぞれ専門のロールがあり、ビジネスプロデューサーはお客様やパートナー企業の皆様とともに共創ビジネスを創出し、プロジェクトの内容や進捗に応じてエンジニアやデザイナー、リサーチャーなどのカタリストが参画します。


― さまざまな分野の知見があり、リード、デザインしてくれる人ですね。


谷村さん そうですね。また、彼らは具体的な案件になってから参画するのみならず、このOPEN HUB Parkで共創ビジネスのきっかけになるような様々な技術の「タネ」や新規ビジネスのユースケースを専門家の立場でお客様の前に立ってプレゼンします。カタリストがお客様と深いディスカッションにつなげることでビジネスのきっかけづくりも担っています。


― 具体的に、企業とのコラボレーションはどのように形になるのでしょうか?


谷村さん 弊社の営業部門が、お客様に対して共創ビジネスを持ちかけることもあれば、お客様からお声がけいただきコラボレーションがスタートすることもあります。


この場所に弊社やNTTグループの技術、まだサービスになる前の「タネ」になるものや先進的なユースケースを集めて、コンテンツとしてお客様に体感していただきます。体感いただき、対話をしていく中で、お客様が抱えている課題をヒアリングしながら、我々やお客様のアセットを使ったアイデアを出し、ディスカッションを積みあげていきます。


― ここに来ていただくことから始まるわけですね。


谷村さん ここに来て、見ていただくことをビジネスの最初の一歩として大事にしています。見学だけでなくワークショップなど、体験の方法は様々です。


すでに営業とお客様で共創ビジネスのディスカッションが始まっている場合でも、この場所に来ていただくことで、検討をドライブしていく場合もあります。


― NTTグループアセットが集結している。それが「技」の部分ですね。


谷村さん NTTグループのアセットを集結してコンテンツとして見せるだけでなく、お客様・パートナーの皆さまのサービスや技術も一緒に掛け合わせて、新しいビジネスを生み出すことを目指しています。


また、一度作って終わりではなく、常に変化しつづけることもOPEN HUB のテーマなので、四半期に一度はコンテンツを入れ替えます。




■イノベーションが生まれる実験場

― 共創を生み出す仕掛けについて教えてください。


谷村さん では、実際にフロアをご案内しながら説明していきますね。


OPEN HUB Parkは、東側にアイデアやビジネスのタネを育てるエリア、西側にそのタネが実装されたユースケースを発信するエリアがあります。


フロア全体の空間設計としては「遺伝子から細胞、大地から宇宙へ」というコンセプトがあり、ファシリティもコンセプトに因んだネーミングにしています(例:プロジェクトルーム CELL、スタジオ COSMO STUDIO等)。多様性と有機的に出会いながら、遊ぶように自由にイノベーションを生み出す実験場を意識しています。


こちらはROOT Libraryというスペースで、カタリストたちがお薦めするそれぞれの専門分野の書籍を置いています。ただの書架ではなく、屋久杉の幹を1分の1サイズにかたどったデザインで、知恵の樹をイメージしています。







脚などは一部古材を活用。背面や座面の板は従来通信インフラに使われていた「銅」をイメージしたデザインになっている。

脚などは一部古材を活用。背面や座面の板は従来通信インフラに使われていた「銅」をイメージしたデザインになっている。



谷村さん こちらは「BIOTOPE LOUNGE」です。コーヒーサーバーを置き、社員やお客様が憩いつつ交流できる場所です







谷村さん 多様性や、一定に固まらないことを表現したグラデーションを空間全体に上手く入れ込むようにしています。またICTや技術といった堅いイメージを柔らかく、相反するもので表現することにこだわって、壁の形状や天井と床の模様など、すべて曲線で作っており、有機的でフレキシブルな印象を大事にしています。


CELLと呼ばれるガラス張りのプロジェクトルームを中心にアイデアのタネを育てるエリアとしており、お客様とのワークショップを実施したり、サービスになる前の技術を体感したりする場として活用しています。







谷村さん さらに進むと、GAIA STAGEがあります。







谷村さん 今流れているのは、弊社のカーボンマネジメントの取り組みを可視化した映像インスタレーションです。NTTグループはデータセンターをはじめとして膨大な電力を消費してCO2排出量も多いので、グループ全体の課題としてカーボンニュートラルに取り組んでおります。


我々が会社規模、日本規模、世界規模でどのようにカーボンマネジメントに取り組もうとしているのか、実際にプロジェクトに関わるメンバーと一緒にコンテンツを作っています。ぜひ多くの方に見ていただきたいです。


ステージの横にあるのが、複数の共創拠点と双方向でつながっている等身大モニタOPEN HUB Windowです。



OPEN HUB Windowで赤坂のNTTドコモオフィスにいるメンバーと話す谷村さん。不思議な感覚だ。

OPEN HUB Windowで赤坂のNTTドコモオフィスにいるメンバーと話す谷村さん。不思議な感覚だ。



谷村さん リアルタイムで繋がっているため、必要なときにすぐに話しかけられます。Teamsやzoomでの対話よりも格段に臨場感があり、議論の熱量を高めてスムーズなコミュニケーションができます。


― この技術を使えば、遠隔オフィスとも等身大で交流できますね。近くに感じるので議論もタイムラグを感じることがなさそうです。


谷村さん 次に、OPEN HUB Robot Parkのコーナーです。





ディスプレイとカメラを搭載したリモート見学用ロボット「OPEN HUB Robot Visitors」。遠隔でコントロール可能。

ディスプレイとカメラを搭載したリモート見学用ロボット「OPEN HUB Robot Visitors」。遠隔でコントロール可能。



谷村さん 直接OPEN HUB Parkに足を運べない人もRobotの画面越しにParkを回遊できます。ロボットの目と耳を借りて、その場にいる人や同じロボットに乗っているメンバ―同士で会話することもできます。


このような仕掛けによって社内外のメンバーと距離を超えてアイディエーションし、それを元にプロトタイプを作り、社会実装したものをユースケースとしてCOSMO STUDIOやGAIA STAGEを使って社会に広く発信します。それによってまた共創を目指す仲間が集まり、新たなアイディエーションが始まる・・・という循環です。



OPEN HUB 常設スタジオである COSMO STUDIO。今年の同社入社式もこのスタジオを活用して完全リモート形式で実施されたとのこと。

OPEN HUB 常設スタジオである COSMO STUDIO。今年の同社入社式もこのスタジオを活用して完全リモート形式で実施されたとのこと。







ご案内の途中ですが、以降は後編でお伝えしていきます。


コロナ禍のリモートワーク拡大により、多くの企業ではオフィスに余剰スペースが生まれ、その活用法は各社様々です。社員のためのリフレッシュルームにしたり、コミュニケーションのスペースにしたり、事業とは別の目的に利用するケースが多く見られますが、同社では社内外から人材・技術を集めた共創事業のための「攻めのスペース」としていることがわかりました。



後編はこちらから






取材協力


NTTコミュニケーションズ株式会社

NTTグループの主要企業の一つとして長距離・国際通信事業を担う。世界40カ国/地域以上、110都市以上の拠点に約22,000名のスタッフを配し、クラウド、ネットワーク、セキュリティ、コンサルティングの提供を通し、顧客企業のグローバルビジネスをサポートしている。 最先端技術を備えたワークプレイスOPEN HUB Park(オープンハブパーク)を2022年2月22日より大手町プレイスウエストタワー(東京都千代田区)内に開設。


OPEN HUB for Smart World[外部リンク]


編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 (※印の画像を除く)
取材日:2022年11月8日

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