(同社 執務スペース)
前回記事、「使う人のアイデアが盛り込まれたオフィス! KDDIコマースフォワード株式会社の渋谷ラボに行ってきました【前編】(オフィス訪問[2])」の続き
それでは、次は執務エリアへ進んでいきましょう。
こちらもコミュニケーションのための工夫があるのです
一見すると、前回の渋谷本社の執務スペースと同様の普通のオフィスレイアウトに見えます。
固定席制が採用され、連結式のデスクです。
もう少し奥に入ってみます。
写真のようなテーブルとホワイトボードをセットにしたミーティングスペースが執務エリア内のあちこちにあります。そして、ミーティングスペースを囲むように執務席が配置されているのです。
もう少し下がってエリア全体を撮影すると、こうなります。
ミーティングスペースを囲むように執務デスクが並べられていて、そこに、プロジェクトなど仕事に関係するメンバーが座っている形です。
何か打ち合わせが必要な時は、メンバーが振り返ってミーティングスペースへ椅子を持ち寄って打ち合わせを開始するので、ミーティングスペースには椅子が置かれていないというわけなのです。
写真だと配置がわかりづらいので、図にしてみました。
デスクイラスト: IfH / PIXTA(ピクスタ) (※)
このような形でミーティングスペースを中心に執務デスクがレイアウトされています。背面対抗式レイアウトの一種と言えるでしょう。
こちらは別なミーティングスペースです。
必ずしもミーティングスペースを囲んではいない場合もありますが、原則として、仕事で関係するメンバーがミーティングスペースを中心にして、その周囲の執務席に座っている点は同じです。
ちなみに、ミーティングテーブルはイトーキ ソレイユです。
平行スタッキングして収納可能です。
このようにレイアウトされた理由を伺うと、移転前の課題はミーティングスペースが圧倒的に足りないということだったとのこと。
それに対して、単純に会議室を増やすのではなく、「わざわざ会議室を取ってみんなのスケジュールを合わせて会議室に缶詰めになるような会議を減らして、振り返って話せるようにすれば効率的じゃない?」ということからこのようなレイアウトになったそう。
このレイアウトにしてから、プロジェクトなど仕事で関わり合いの強いメンバーが背中合わせに座っているので、いつでも後ろのミーティングスペースで集まって話して、終わったら解散という形で効率化するようになったとのことです。すごくいいですね!
デスクイラスト: IfH / PIXTA(ピクスタ) (※)
日本のオフィスで一般的なレイアウトは、上の図のように、部や課というチームで集まって向き合っているタイプで、島型対抗式と呼ばれています。この方式は、組織図に沿って座席をレイアウトしている関係で、課などのチーム内のコミュニケーションに好都合で、組織図通りにマネジメントするのに向いているため、多くの企業で長らく採用されてきました。
一方、島型対抗式レイアウトには欠点があって、部門間をまたぐ横のコミュニケーションが弱くなりがちです。というのも、部門が異なると座席が離れている関係で、会議を開催して調整する必要があるためです。最近はよく見られる部門横断的なプロジェクトが増えてくると、部門間コミュニケーションがボトルネックになるケースがあります。
同社が渋谷ラボでミーティングスペースを中心にした背面対抗式レイアウトを採用したのも、コミュニケーションの問題を解決するためでした。移転前はエンジニア系の職種の勤務するフロアが分かれていてコミュニケーションが取りづらい、打ち合わせのための会議スペースが足りないといった課題があり、その解決のため、会議室を増設するのではなく、オープンで予約不要のミーティングスペースを中心にして、プロジェクト等の仕事で関係する人たちが周りに座っているようなレイアウトを取ることでコミュニケーションの問題を解決しています。
島型対抗式にせよ、背面対抗式にせよ、ほかにもフリーアドレスなど様々なレイアウト方式がありますが、どれかが一方的に優れているということはなく、一長一短あるものです。ビジネスがどんどんスピードアップしている現在、その時の組織のマネジメントに不足しているものを補えるようなレイアウトを選んでいく必要が今後はありそうです。
執務デスクは渋谷本社と同様イトーキの連結式デスク インターリンクR。
固定席制。
デスクをアップで撮影。
「渋谷ラボ」はエンジニアが中心で、よりペーパーレス化が進んでいるため、奥行600mmのデスクを採用。また、サイドキャビネットも幅300mmのスリムタイプ。
チェアはイトーキ セレーオ。
イトーキのハイクラスチェアです。いくつか試し座りしてアンケートで決めたとのこと。色が違うのは、チームによって色分けしているため。
あともう1つ、こちらのオフィスには特徴的なところがあるのです。
それは、
時計が掛けてある壁は床から天井まですべてホワイトボードです。
(写真では文字は加工して消してあります)
オフィス内のほぼすべての壁面、柱は、床から天井までホワイトボード化されているのです。
フロア内に見える柱はすべてホワイトボード化。徹底してます。
柱をアップで撮影。ピカピカしています。
(使用中の柱のホワイトボードも多いのですが、セキュリティ上の理由から撮影は避けています。)
渋谷本社もホワイトボードが多かったのですが、渋谷ラボ設置にあたり、もっとホワイトボードをとのことで壁はすべてホワイトボードにして、会社全体の見える化を図っているとのこと。
利用方法は通常のミーティングで使用するだけではなく、エンジニアやデザイナーのチームでは、「デイリー・スクラム」(*1)で使用しているとのこと。
*1) 「デイリー・スクラム」
アジャイル開発で朝に行うチームの状況を共有するミーティング。各自の昨日したこと、今日やること、障害となっていることを共有する。
(参考)「朝会(デイリー・スクラム、スタンドアップ・ミーティング)」(IT Media)
デイリー・スクラムで各自のタスクを付箋で可視化している例。
(写真では文字は加工して消してあります)
ほかに、会社全体での「見える化」は社内あちこちにサイネージを設置して、会社の情報を流すなどの取り組みも進めているとのこと。
これでオフィスは一周しました。こちらの「渋谷ラボ」もいかがでしたか。
セキュリティの関係で記事内では紹介していませんが、カスタマーサービスの部署も同階別館にあり、合計約1,310平方メートル(400坪)、約200名の方が勤務されています(2018年3月時点)。
渋谷ラボは、もともと最新のつくりの渋谷本社を踏まえて、使う人の意見が取り入れられて改良されているので、さらに進化したオフィスでした! これからのオフィスに普及していきそうな工夫が盛り込まれていて、いろいろなポイントを自社に取り入れたくなる会社も多いのではないでしょうか。
通信大手KDDIグループにて、成長著しいEC事業を担う子会社として2016年に設立。DeNAグループが運営していた「DeNAショッピング」、「auショッピングモール」を統合して生まれた総合ショッピングモール「Wowma! (ワウマ)」を運営。
編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局(※印の画像を除く)
取材日:2018年4月12日, 13日
体格・体重・姿勢にあわせて、座り心地を自動調節するチェアです。背面がメッシュタイプ。
体格・体重・姿勢にあわせて、座り心地を自動調節するチェアです。背面がクロスタイプ。
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