写真はシフトブレインの社内カフェスペース。週一のランチ提供サービスDONDELI(ドンデリ)を準備中。
最近は社内にカフェスペース及びコミュニケーションスペースを設ける企業が増えてきた。福利厚生としての役割もあるが、スタッフ間のコミュニケーション促進を期待されていることが多い。
集団で一斉に同じ仕事を行うワークスタイルから、個人やチーム単位でプロジェクトを行うスタイルに変化しつつある会社では、コミュニケーションが不足しがちであり、それを補うのがカフェスペース等のコミュニケーションスペースというわけだ。
他方、カフェスペース等の設置は増えているが、お昼時以外は利用されないというケースもあるようだ。そこで、今回はコミュニケーションスペースとして使えるカフェスペースを社内の交流促進だけでなく、社外との交流にも活用しているWebプロダクション、株式会社シフトブレインを訪ねて、その活用のコツをまとめた。
コミュニケーションの要となる、シフトブレインのカフェスペース。早く出社したスタッフがコーヒーを淹れ、あとから来たスタッフもそのコーヒーを飲んで朝が始まる。コーヒーは自由に飲んでOKとのことだ。
毎週月曜日の朝にバナナやミカン、ブルーベリーなどのさまざまなフルーツがカフェスペースに運ばれてくるので、スタッフはそこから好きなものを手に取り食べることができる。軽食用にフルーツグラノーラや牛乳もあるので、ここで軽く食事をとるスタッフも。コーヒーやフルーツ、グラノーラは朝に限らず、いつでも自由に飲食できるようになっている。
もともと、小腹がすいたときのために無料でお菓子とカップ麺などのインスタント食品を食べられるようにしていたが、スタッフがついつい食べ過ぎてしまうため、健康によくないと、フルーツとグラノーラに切り替えた。
また、ミネラルウォーターや炭酸水のボトルも1本50円、レッドブル1本100円と、会社から補助が出ているため、市価の半額程度で提供されている。炭酸水やレッドブルなど、スタッフからのリクエストで追加されたものもあるとのこと。
スタッフは飲み物を取りにカフェスペースに立ち寄る環境が出来上がっている。立ち寄ったついでに、同僚とコミュニケーションをとったり、そのまま仕事をしていったりする。お昼になれば、スタッフはご飯を食べに集まってきて、仲間と語らいながらランチタイムを過ごす。まさに、オアシスのような存在で、水飲み場に人は集まるのだ。
シフトブレインでは毎朝10:10にカフェスペースで朝会を5分ほど開いている。オフィスが3フロアに分かれているため、全員で顔をあわせる機会が少なくなったので、それを補う場として朝会を設けた。また、こうして朝にスタッフが一堂に会することによって、1日の中でメリハリをつけて働くことができる。
朝会を会議室ではなくカフェスペースで行うこともポイントだ。会議室ではコミュニケーションというよりも堅いミーティングのような雰囲気になってしまう。カフェスペースなら、コーヒー片手に少し雑談を交えつつ、顔合わせができるのだ。
毎週火曜日13時からカフェスペースにてDONDELIが開店する。
DONDELI (ドンデリ)は、近隣にあり、シフトブレインのパートナー会社として仕事をすることもある(株)コパイロツトと(株)ソニックジャムとシフトブレインの3社が、COOKERS(http://cookers.jp) 代表 フードプランナーの近藤さんに依頼しているランチのケータリングサービスで、毎週さまざまな料理がメニューに並ぶ。本日はメニュー看板によると、ビーフシチューだ。カフェらしいチョーク看板が食欲をそそる。
火曜13時に準備が整うと開店となる。スタッフたちもカフェスペースに続々と集まってくる。会社から補助が出ているため1食500円で提供されている。3社のスタッフが自然と集まるので社内外の交流の場にもなっている。
シフトブレインのオフィスは南青山にあるので、ランチの価格帯は少し高めになりやすい。そこでリーズナブルでおいしいランチをということで、DONDELI(ドンデリ)を始めたそうだ。
お得なプライスなのに本格的なおいしいランチがやって来るとなると毎週楽しみになる。こちらのカフェスペースの内装は普通のカフェとして遜色がなく、看板も本格的だ。周りのおしゃれなカフェと見まごうかのようなカフェスペースで開催されるDONDELIというのは、スタッフの心をくすぐるしかけだ。
今週はどんなランチが来るのかと期待を高めてカフェスペースにやってきて、みんなと会話を交わしながら食事を取り、雑談をしてランチタイムを過ごす。カフェスペースというハードウェアに、毎週スタッフをわくわくさせるランチイベントというソフトウェアが載った、とても素敵な運営の仕方だと思う。
シフトブレインの就業時間は19時まで。19時を過ぎたら、カフェスペースはお酒を飲んでいいバータイムに変わる。ビールは1缶100円、カシューナッツなどのおつまみ1皿50円で提供されている。
仕事を終えたら家に帰る前に1階にあるカフェスペースに立ち寄って、仲間と話して帰る。いつのまにかスタッフが集まってソファでリラックスして帰るなど、スタッフはめいめい過ごしていく。
このカウンター壁側には、IH調理器やシンクもあるので、腕に自信のあるスタッフが料理を作ることもある。
スタッフが実際に視察した海外の制作会社を参考に、みんなが集まることのできるキッチンを取り入れた。仕事が終わったら、オフタイム。すぐに会社から出るのではなくて、こうしたところで、仕事以外の付き合いをする場があるというのは、あまり日本の会社にない取り組みかもしれない。
毎週月曜19時からシフトブレインの開発メンバーがmeetup (ミートアップ≒交流会)を開催している。
meetupのグループ「 I Teach You Programming, So You Teach Me English! 」では、英語を勉強したいプログラマーとプログラミングを勉強したいイングリッシュスピーカーの交流の場となっている。
※シフトブレインで行っているmeetupの情報はこちら
「I Teach You Programming, So You Teach Me English!」 (外部サイト)
仕事で関係のある協力会社に試験的にカフェスペースを場所貸ししている。朝11時から夜19時までの間、1席分、自由に使っていいというルール。たとえばミーティングのあと、カフェスペースで仕事をしたり、普段はかかわりのないスタッフ同士のコミュニケーションが生まれることを期待してテストしているとのことだ。
取材を通じて、このようにカフェスペースを舞台にいろいろな取り組みができることを拝見すると、コミュニケーションスペースというのは、本当に使い方次第なのだと実感させられた。
本格的に内装を行ったカフェスペースだけに、そこにいる人のムードを変えるパワーがある。そこに、「ここでこういうことやったら楽しいんじゃない?」「コミュニケーションが生まれるんじゃない?」というアイデアが載ることで生きた空間に変貌する。
スタッフが自然に集うようになり、多層的なコミュニケーションを生み出す、スタッフでにぎわうコミュニケーションスペースの作り方としてシフトブレインのカフェスペースは参考になる。
デジタル領域を中心としたコミュニケーションプランニング、デザイン、テクノロジーを得意としたクリエイティブエージェンシー。受賞多数。
オフィスに特化したインテリアデザインの構築を行う。
※こちらのオフィスはCanuch Incによるデザイン
編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局
取材日:2016年11月4日, 同月15日
2016年11月17日のリニューアル前の旧コンテンツは
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