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「すべてはコミュニケーションのために」MIXIの9フロア・7400坪のこだわりオフィスを大解剖![前編]

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MIXIのオフィス エントランス(※)

MIXIのオフィス エントランス(※)


株式会社MIXIが渋谷の5拠点を統合し、渋谷スクランブルスクエアに入居したのは2020年。この年の日経ニューオフィス賞クリエイティブオフィス賞を受賞しています。しかし時はコロナの感染拡大の真只中。今回はコロナ禍を経てどんなオフィスが誕生したのか、じっくり見学させていただきました。前・中・後編の全3回でお届けします。

ご案内していただいたのは、同社の嵯峨勇さん(はたらく環境推進本部 せいかつ環境室 マネージャー)と森野由美さん(経営推進本部 広報部 企業広報グループ)です。








■圧巻のエントランス

MIXIが入居しているのは渋谷スクランブルスクエアの9フロア(28~36階)。


エレベーターホールから足を踏み入れると、広大なエントランスが広がっており、本日案内をしていただける嵯峨さんと森野さんが出迎えてくれました。



長さ20m、圧巻のLEDスクリーン。映像は時節柄クリスマスだった(取材日は2022年12月)。

長さ20m、圧巻のLEDスクリーン。映像は時節柄クリスマスだった(取材日は2022年12月)。



嵯峨勇さん(はたらく環境推進本部 せいかつ環境室 マネージャー)

嵯峨勇さん(はたらく環境推進本部 せいかつ環境室 マネージャー)



― 圧巻ですね、これは・・・


嵯峨さん  お客様がエントランスに入ったときに、「MIXIってこんな感じなのか」と肌で感じていただきたくて作りました。


エントランス中央の大きな木のフレームは額縁をイメージしており、外周部窓側とLEDスクリーンが対峙しています。窓側は「現在の渋谷」、LED側は「未来の渋谷」を表現しています。



床・壁・天井とライトを回していて、額縁感を強調している。

床・壁・天井とライトを回していて、額縁感を強調している。



― LED映像のコンテンツはシーズンごとに替えているのですか?


嵯峨さん  今はクリスマス映像ですが、通常は4パターンほどのダイバーシティをや未来の「渋谷」をイメージしてアーティストさんに描いてもらった映像を流しています。来訪者に「MIXIといえばこれ」といったような特定のイメージを抱いていただきたくないといった背景から、当社のイメージPVやサービスPVはあえて流していません。


― 渋谷という街へのこだわりがあるのですね。もともと渋谷がBIT VALLEYと呼ばれた頃の創業だからでしょうか。


嵯峨さん  合理的な理由としてはWeb系人材の採用に有利ということもありますが、創業の地でもありますし、経営層も渋谷にこだわりを持っていることが大きいですね。今回の移転プロジェクトの際に、あらためて「渋谷とはどんな街なのか」を再解釈し、「さまざまな文化が複雑に入り混じりながら成長しつづける街」と位置づけてみました。そして我々も同じようにいろいろなものを吸収して成長しつづけたいという思いを掛け合わせて、「街をつくる」というプロジェクトコンセプトを設定したわけです。


― たしかに、いろいろなものが混じり合っていて成長し続けているイメージですね。大手町とは全然雰囲気が違います。





LED前はクリスマスムード満載だ。

LED前はクリスマスムード満載だ。




■オフィスツアー開始! まずは会議室から

まずは会議室へ。エントランスの奥の廊下を進んでいくと会議室が並んでいました。





― それでは早速、オフィスのご紹介をお願いします。


嵯峨さん  ここ渋谷スクランブルスクエアに移転したのは2020年ですが、移転計画自体はビル竣工前の2018年頃からスタートしていました。当時のMIXIはスマホゲーム「モンスターストライク」がヒットして従業員が急増し、1年おきにサテライトオフィスを開いて渋谷に最大5拠点のオフィスがあったんです。いずれも徒歩5分圏内に位置しておりましたが、よりコミュニケーションをとりやすくするため、統合移転を要望する声が経営陣からも出てきました。その矢先に、渋谷駅前の再開発でこの渋谷スクランブルスクエアができると聞き、手を挙げたんです。


デザインコンセプトについては、「ユーザーサプライズファースト(ユーザーの驚きを最優先に考える)」と「フォー・コミュニケーション(すべてはコミュニケーションのために)」です。移転当時、会社として掲げていたステートメントとミッションを掛け合わせました。


このオフィスの最大の特徴は、内階段ですべてのフロアを行き来できることではないかと思います。できる限りフロア間の壁をなくしたいと考え、全フロアに内階段を通しました。これはビル竣工前に決めたことなので、初めから階段の穴を開けてもらうように交渉したため、イニシャルコストは抑えられました。



9フロアを内階段が貫通しており、エレベーターを使わずに移動できる(同社資料「NEW OFFICE SUMMARY」より ※)

9フロアを内階段が貫通しており、エレベーターを使わずに移動できる(同社資料「NEW OFFICE SUMMARY」より ※)



― この36階は来客用のフロアという感じですね。



エントランスフロアのテーマは「Museum」。ホールや会議室、ホワイエなどがある。(同社資料「NEW OFFICE SUMMARY」より ※)

エントランスフロアのテーマは「Museum」。ホールや会議室、ホワイエなどがある。(同社資料「NEW OFFICE SUMMARY」より ※)



嵯峨さん  はい、来客エリアで「Museum」というテーマです。ミニマルでフォーマルな空間となっており、エントランスのLED映像も含めて、MIXIという会社を抽象的に表現しています。ただ、コロナ前に計画したのでかなり会議室が多く、50部屋以上あります。


― ご、50部屋・・・


嵯峨さん  もともと来客との打ち合わせが多い会社で、移転前はどの拠点でも会議室を取るための調整に苦労してきましたから、当時の利用率を集計した上でこの数を用意しました。ただ、コロナになって使い方が変わっています。今はアフターコロナに向けてオフィスに手を入れているフェーズなので、このフロアの使い方も今後見直していきます。


― 会議室の稼働率はどのくらいですか?


嵯峨さん  夕方など時間帯によっては結構埋まりますね。1人で使う方も増えていますが、空いているときなら許容しています。


― 会議室の設えは同じですか?


嵯峨さん  ほぼパターン化しています。こちらは窓に面していない会議室です。



圧迫感のないように背の低いチェアを採用している。

圧迫感のないように背の低いチェアを採用している。



各部屋の入り口に設置されている予約管理システム。端末はiPadを利用しているが、このケースは造作でかなりこだわっているそう。

各部屋の入り口に設置されている予約管理システム。端末はiPadを利用しているが、このケースは造作でかなりこだわっているそう。



森野さん  各会議室の空き状況は予約管理システムで管理しています。PCやスマホからカレンダーに登録すると連動して表示される仕組みです。空いているときは指定の時間をタップすると予約できます。早く終わったら「END MEETING」をタップして会議室を解放することが可能です。



オブザーブ席のある会議室。こちらは背が高いチェアを採用。

オブザーブ席のある会議室。こちらは背が高いチェアを採用。



嵯峨さん  こちらの部屋は移転後に少し手を加えていて、2部屋だったものを1部屋に連結しました。特徴としては、リモートを意識してオンラインミーティングがしやすいように、マイクスピーカーシステムを天井に埋め込んでいます。非常に高性能で、どこに座っている人の声でも拾ってくれます。



天井埋め込みのスピーカー・マイクシステム

天井埋め込みのスピーカー・マイクシステム




■こだわりのコンセントボックスに注目



嵯峨さん  ぜひ見ていただきたいのが、会議室のテーブル中央に設けたコンセントボックスです。既製品のテーブルをベースに、各種USBケーブルなどをコンセントボックスに格納し、使いたいケーブルを引き出す仕組みとなっています。実はかなりこだわっていて、特注したものです。


ケーブルがゴチャゴチャしたり、汚れやすかったり、埃が溜まったり、という企業の総務部共通の悩みに終止符を打ちたいと思って作りました。



こだわりまくったコンセントボックス

こだわりまくったコンセントボックス



― フタがないんですね。


嵯峨さん  はい、フタが外れてしまったり壊れたりしてしまうので、初めから無くしました。





通称「チンアナゴ」と呼んでいるケーブルを引き出せる仕組み。コンセントは大きなバッテリーアダプターも刺せるように面に合わせてフラットになっており、内側には溝を切って、飲み物をこぼしたりしても受けられるようにしてある。

通称「チンアナゴ」と呼んでいるケーブルを引き出せる仕組み。コンセントは大きなバッテリーアダプターも刺せるように面に合わせてフラットになっており、内側には溝を切って、飲み物をこぼしたりしても受けられるようにしてある。



― なるほど。すごいこだわりですね。


嵯峨さん  移転して一番良くなったもののひとつと自負しています。


森野さん  ケーブル持参で会議室に行かなくていいのですごく便利です。スマホでもPCでも充電できます。



映像関係の配線はソファ席の下に収納し、徹底的に隠している。

映像関係の配線はソファ席の下に収納し、徹底的に隠している。



嵯峨さん  窓側の会議室で採用している椅子は、ハーマンミラーのコズムチェアです。発売してまだ3、4年ほどしか経っていないと思います。採用の理由は、調整機構が高さだけだということです。リクライニングの強度は座る人の体格に合わせて自動調整されます。来客用としては基本ワンタイム使用ですから、シンプルかつ座り心地の良さを重視しています。


― 座ってみていいですか・・・わあ、いいですねー。


森野さん  座り心地良すぎて、この椅子に慣れると自宅のチェアが使えなくなります(笑)。


※この椅子についての詳細は別記事「MIXIの椅子を見せてください【椅子コレ】」をご覧ください。




■セミナールームとホワイエのこだわり

さらに進むとセミナールームがありました。取材時は連結して2部屋に広げてご利用中でした。



(※)

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セミナールーム前のホワイエスペース

セミナールーム前のホワイエスペース



ホテルのような落ち着いた空間

ホテルのような落ち着いた空間



嵯峨さん  セミナールームは大人数のイベントや会議などの際に使うのですが、エントランス経由だと遠回りなので、エレベーターホールから反対側に抜けられるようになっています。来客用の飲み物をこちらにも用意してホワイエとして使えるようなサブエントランス空間にしました。


― ガラッと雰囲気が変わりましたね。ホテルライクな高級感が漂っています。



このカーペットにもこだわりが。ぼかしが入っているのは実はグラデーションのパターン。

このカーペットにもこだわりが。ぼかしが入っているのは実はグラデーションのパターン。



― このカーペットは、こういう柄なのですね。


嵯峨さん  そうですね。「Museum」というテーマにふさわしい、少し大人っぽい雰囲気のカーペットで、5種類のグラデーションパターンを組み合わせています。通常カーペットは50cm角のものが多いのですが、これは海外メーカーの100cmという大きいものを採用しました。



素敵なゴミ箱を発見!

素敵なゴミ箱を発見!



― これはゴミ箱ですか? 素敵ですね。


嵯峨さん  うちはもうずっとこのゴミ箱ですね。ゴミ箱にもいろいろこだわりがありまして、造作しています。



考え抜かれた造作のこだわりが・・・

考え抜かれた造作のこだわりが・・・



嵯峨さん  オフィスエリアもそうなのですが、臭いが気になったり、汚れやすかったり、衛生面を気にする人もいるので、清潔に保ちやすい構造にしています。ゴミ箱というと、もういっぱいになっているのにその上からゴミを入れようとしてはみ出ているのをよく見かけますが、中身が見えないから無理やり押し込もうとしてそういうことが起こるんです。そこで、フタを開けて中を見てから捨てるという2ステップでゴミを捨てさせるようにしたところ、フタが浮いてしまうようなあふれ方はなくなりました。また、天面が平らなため拭き取りもしやすいです。


ゴミの量によって配置も変えていて、ここは全種類1個ずつ置いていますが、オフィスエリアでは燃えないゴミがかさばるので、違う配分になっています。移転前に、1日に1人当たりどれぐらいのゴミを出すかを種別ごとに計算し、それを席数で換算して配置しているんです。





まだオフィスツアーは始まったばかりですが、以降は中編でお伝えします。


次回は食堂を中心に35階の「Bazaar」エリアをご案内していただきます。お楽しみに。



中編へつづく






取材協力


株式会社MIXI

1997年創業。MIXIは、SNS「mixi」や「モンスターストライク」、「家族アルバム みてね」、「TIPSTAR」など、友人や家族間で一緒に楽しむコミュニケーションサービスを提供している。近年は、プロバスケットボールB.LEAGUE1部東地区・千葉ジェッツふなばしの株式取得やJリーグ1部・FC東京の経営権取得などスポーツ分野にも進出している。


MIXIコーポレートサイト[外部リンク]


編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 (※印の画像を除く)
取材日:2022年12月14日

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