MIXIのオフィス 内階段付近のミニコラボスペース(※)
3回にわたってお伝えしてきた株式会社MIXIのオフィスツアーの最終回です。ご案内していただいたのは、同社の嵯峨勇さん(はたらく環境推進本部 せいかつ環境室 マネージャー)と森野由美さん(経営推進本部 広報部 企業広報グループ)です。
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前編
・圧巻のエントランス
・オフィスツアー開始! まずは会議室から
・こだわりのコンセントボックスに注目
・セミナールームとホワイエのこだわり
中編
・内階段を通って35階へ
・ワンコインで食べられる食堂
・高級感のあるラウンジエリア
・スタジオと大画面LEDのある会議室
・緑がいっぱいのスクエアガーデン
後編
・ヘルプデスクと自販機で社員をサポート
・全2900席の贅沢な共通仕様
・窓際のリラックス空間と、それを仕切るファンクションウォール
・すべてはコミュニケーションのために
前回までで36階のエントランスフロア、35階の食堂フロアを見せていただきましたが、再び内階段を降りて34階へ。ここから先は執務室(オフィスエリア)です。
嵯峨さん オフィスエリアのテーマは「Town」です。従業員が日々長い時間を過ごす場所なので、「暮らす」というサブテーマを設けました。オフィスエリアは7フロアあり、ほぼ同じスペックです。内階段を通って往来する人が多く、内階段近くには通称「ミニコラボ」という従業員用の休憩エリアを作っています。
執務エリアは28~34階の7フロア。(同社資料「NEW OFFICE SUMMARY」より ※)
嵯峨さん 階段脇には「Office Space」という座席表管理システムのパネルを置いて、部署や社員の座席情報を表示しています。パソコンやスマートフォンからも見られます。休憩エリアにはカプセルタイプのコーヒーマシンやウォーターサーバー、スープなども設置しています。
役所のようなカウンターで社員に対応(※)
嵯峨さん 我々総務部門はこの34階にいるのですが、「ヘルプデスクカウンター」と呼んでいる正面のカウンターを設けています。社内IT室もここにいて、従業員のパソコントラブルなどをここで対面で対応しています。
備品自販機。パンなどの販売機を転用しているという(※)
― これは何ですか?
嵯峨さん 標準的な備品の自販機です。スタッフがいる時間であれば対面でお渡しするのですが、夜間や土日はカードをかざせばここから好きなものを出せます。
いよいよ執務エリアに入っていきます。
嵯峨さん 配置効率を重視して席は正型に配置しています。1フロア900坪弱ほどに、およそ400席強を配置しています。通常の座席とは別にオープンエリアの座席数も100席以上を用意しているので、空きがなくて使えないようなことはないと思います。
嵯峨さん 他社同様、コロナの感染拡大下にリモートワークを導入し、現在の出社率は4割ほど。最近は完全固定席でしたが、空きスペースを有効活用するため、グループアドレスに切り替える準備を進めています。情報セキュリティの観点で、フリーアドレスは導入しません。グループアドレスが定着したら、空きスペースを活用する施策を導入したいと考えています。
― すごいスピードで従業員が増えていますが、全員出社しても、ちゃんと席があるのでしょうか?
嵯峨さん 席は2900席と、かなり潤沢にあります。M&Aで子会社化した会社が入居するなどいきなり数十名、ときには百数十名という単位で席が必要になることがあるので、リソースとして確保しておかなければならないんです。
― 子会社さんが入る場合でも、個室ではなく、普通の社員と同じエリアにプロジェクト単位などで入るわけですね。
嵯峨さん そうです。Pマークを取得している場合は個室を用意しなければなりませんが、それ以外は問題なく入れます。
― 組織改編も頻繁にあるのですか?
嵯峨さん かつては四半期に一度席替えしたこともありましたが、移転後は落ち着いています。席数が潤沢なので、少しずつ増えていく分には席替えしなくても十分なんです。
私は空席をリソースと捉えています。コロナによって、オフィスを縮小する方向に舵を切った会社も多いですが、各部署の出社方針を整理すると、出社率はおよそ2割程度になる見込みだったのですが、実際はそれを上回る4割ほどが出社しているんですね。たぶん在宅よりも出社したほうが働きやすい、もしくは出社しないと業務ができないなど様々な理由があるのでしょう。そのような働き方を見ると、非可逆的に席を潰したりフロアを返却したりするような施策は現時点ではリスクがあると思います。
嵯峨さん デスク周りの仕様ですが、まず、席数以上の個人用のロッカーを置いているので、デスクワゴンは原則配布していません。デスクは2900席あり、仕様はすべて同じ1400mm幅の昇降机、椅子はアーロンチェアです。
― すごいですね、全席アーロンチェアと昇降デスクにしたんですね。
嵯峨さん 移転前はさまざまな種類の椅子が混在しており、席替えを行うたびに「前の椅子がよかった」などの声があり不平不満につながりやすかったので、移転を機に一種類にしようという狙いがありました。その際、すでに導入しており評判もよかったアーロンチェアに合わせました。
昇降デスクは、立ったり座ったりできますし、自分の体格に合わせて高さを変えられますので、より一層集中力が高まってほしいという思いで導入しました。
― 椅子も最高スペックで、本当に家で仕事できなくなりますね。「会社に来たほうがいい」ってなりますよね。
※この椅子についての詳細は別記事「MIXIの椅子を見せてください【椅子コレ】(2/8頃公開予定です)」をご覧ください。
嵯峨さん デスクには「電子名札」を取り付けてあります。スーパーのPOPなどで値札に使っているのを見かけたことがあると思いますが、データベースで名前と場所を一括管理して電子インクで表示しています。変更が生じたら元データを変えれば自動的に切り換わります。固定席では人の名前を表示しますが、グループアドレスを導入している部署では、部署名を表示しています。
電子名札。ロッカーにも同じように取り付けられている
嵯峨さん 眺めの良い建物なので、なるべくブラインドを上げてもらいたいのですが、眩しかったり、夏の暑さ、冬の寒さの影響を受けやすいので、座席は窓からセットバックして、そこに「meetUPスペース」を作りました。
窓際(写真右)はすべてMeetUPスペース
嵯峨さん これだけデスクと窓の距離をとれば外気の影響を受けづらくなります。 仕切り棚は「ファンクションウォール」と呼んでいる造作の家具です。圧迫感が出るので壁ではなく背の高い家具をデスクの窓側に配置しようと考え、最終的にこの形になりました。ロッカーやホワイトボード、ソファなどいろいろな機能を持たせています。
MeetUPスペースのタイプはさまざま。またファンクションウォールはこのような使い方もできる
嵯峨さん ファンクションウォールには「巣作り」効果も狙っていて、部署ごとに自分のエリアに愛着を持ってもらうために、ある程度汚せるものとして用意したんです。たとえばデザイン関連の部署では自社IP関連のものや趣味のフィギュアを置いていますね。
― 楽しいですね。
嵯峨さん 「meetUPスペース」はカーペットや天井などの設えをデスクエリアと違うものにすることで、リフレッシュ効果など自席とはまた異なる気持ちで仕事ができると思います。このような空間を全フロアの窓側にぐるっと配置しています。
― 景色もいいですね。富士山が見える。
2人用のフォンブース(※)
嵯峨さん こちらはフォンブースですが、遮音性が高い海外製品を採用しました。2人用のものと1人用のものを1フロアに4台ほど置いています。
電話やオンラインミーティングなど需要が高まっていますので、増設を考えています。
こちらは1人用。同じように防音効果が高い仕様となっている。(※)
嵯峨勇さん(株式会社MIXI はたらく環境推進本部 せいかつ環境室 マネージャー)
― 長時間ご案内いただき、ありがとうございました。あらためて伺いますが、移転した2020年はコロナの真っ最中でした。感染拡大のためにできなかったことはありますか?
嵯峨さん 移転したのが2020年3月で、緊急事態宣言が出たのがほぼ1ヶ月後でした。本当は新オフィスの運用を見届けて、課題をチェックする時期だったわけですが、いきなり出社制限がかかりました。我々もコロナ対策委員会に入っているので、感染症対策をどうするか、罹患者が出た場合のフローはどうするか、従業員が在宅で仕事できるようにするにはどうするべきか等の対応に追われていました。そのため、移転後のオフィス課題を調査するタイミングも逸してしまったわけで、なかなか思い通りにいきませんでした。
― なるほど。今は当初の想定どおり運用できるようになったんですね。
嵯峨さん そうですね。もともと、今後も同じような組織でいられるかどうかは誰も予測ができないことなので、特定の部署・プロダクトに特化した設備を作らず、誰でも使える汎用的な設備を多く用意していました。ですので、新型コロナウイルスという誰もが予測できなかった事態でも大きく運用を変える必要がありませんでした。
― 「フォー・コミュニケーション」というコンセプト通り、全体的にコミュニケーションを重視したオフィスでした。コロナで対面コミュニケーションができなくなったことに危機感があったのでしょうか?
嵯峨さん 我々ができることは、オフィスに来たときに互いにいいコミュニケーションができる機会を作ってあげることです。ほとんどリモート化している部署もありますが、リモートでも成立しているのなら、対面のコミュニケーションを押し付ける必要はありません。我々としては、「対面でコミュニケーションしたい」という従業員がいたらそういう場所を提供してあげることだと思っています。
― プロジェクトや部署ごとに最適な環境はさまざまで、それを提供するということですね。
嵯峨さん はい。部署によって文化が様々ですから、一律のルールを押し付けることはできないと思います。
―部署によっては出社が多くて、仕事も対面が中心で熱量が違ったり。
嵯峨さん 「毎週何曜日は全員集まる」というルールを設けている部署もあり、その部署の出社率統計を見ると、その曜日だけ6割を超えていたりします。全社的にはなだらかに2~3割ですから、その部署は出社ルールをきちんと設けて、必要なコミュニケーションをとれるようにしているのでしょう。新規事業に限らず、サービスのローンチ前後の出社率は急激に跳ね上がりますし。
―最後に、MIXIの今後のオフィスの展開について教えてください。
嵯峨さん 今後も従業員が「出社してよかった」と感じてもらえるように、順次アップデートしていく予定です。
現在は「グループアドレス」の導入に向けて準備を進めており、座席の無駄を少なくし、空いたスペースを有効活用する予定です。オフィスを通じてコミュニケーションが活性化することで良いプロダクトが生まれることを期待しています。
― どうもありがとうございました。
※
度肝を抜かれっぱなしだったMIXIのオフィスでした。
ありとあらゆるテイストのエリアが存在しており、ここで働いている人はこれをすべて使いきれるのだろうかとすら思いました。デザインの豊かさに圧倒されながらも、嵯峨さんたち「はたらく環境推進本部」の数々のこだわりにも唸らされました。
渋谷は今も引き続き普請中。どんどん新しい街に生まれ変わり、新たな文化が生まれています。その中心にそびえ立つMIXIも、これまでにないようなコミュニケーションを加速させるサービスを生み出していくのだろうと期待しています。
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取材協力
1997年創業。MIXIは、SNS「mixi」や「モンスターストライク」、「家族アルバム みてね」、「TIPSTAR」など、友人や家族間で一緒に楽しむコミュニケーションサービスを提供している。近年は、プロバスケットボールB.LEAGUE1部東地区・千葉ジェッツふなばしの株式取得やJリーグ1部・FC東京の経営権取得などスポーツ分野にも進出している。
編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 (※印の画像を除く)
取材日:2022年12月14日
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