(同社 芝パークオフィスラウンジ)
オフィスの改革が進む中、まず新しい仕掛けが導入されるのは、やはり本社オフィスであることが多く、支店への導入はなかなか進みづらい。支店を抱える企業にとって、支店のオフィス改革は今後本格的に対応していく必要が出てくると思われる。働く人にとっても、本社支店格差は気になるところだ。
そんな中、今回取材先のシービーアールイーでは、2014年に本社丸の内オフィスを先進的なABW(*1)を導入したオフィスづくりを行っているが、支店オフィスに関しても、本社と支店で同じレベルで仕事ができる環境にしていくことを目指している。
*1)ABW(Activity Based Workingアクティビティ・ベースド・ワーキング)
仕事内容に合わせて働く場所や机などを選ぶ働き方。そのためにはオフィス内に通常の執務デスクに加え、集中ブースや、少人数オープンミーティング席や、ラウンジ席、カウンター席、電話ブースなど業務に必要な様々なスタイルの執務エリアを作る必要がある。
同社では、2016年8月に増員を踏まえ、浜松町の芝パークビルの1フロア1,067平方メートル(323坪)に、芝パークオフィスを設置した。そこでは、本社で既に実施している働き方であるABWができるよう環境が整備された。
丸の内オフィスと、芝パークオフィスは物理的には離れているが、wifiなどバーチャル的には同等の執務環境となっており、オフィスファシリティについてもABWで丸の内と同様の働き方ができるように作られている。そのため、シービーアールイーの社員は丸の内オフィスと芝パークオフィスのどちらに出社しても良い。実際、双方を行き来している社員は多いという。
さらに時間は若干前後する形になるが2015年8月にシービーアールイーの仙台支店も、ABWとして働けるオフィスにリノベーションしている。仙台支店は社員7名の少人数オフィスではあるが、今回のリノベーションによりオフィス面積を50%削減し、少規模ながら変化に富んだオフィスに生まれ変わらせている(*2)。
≪参考≫シービーアールイー丸の内オフィス取材記事
「世界111ヶ国に展開する事業用不動産サービス大手 CBREの丸ノ内東京本社オフィスに行ってきました【前編】 (シービーアールイー株式会社 オフィス訪問[1])」
「世界111ヶ国に展開する事業用不動産サービス大手 CBREの丸ノ内東京本社オフィスに行ってきました【後編】 (シービーアールイー株式会社 オフィス訪問[2])」
*2)[追記] その後、2018年3月に関西支店も同様に移転しABWとして働けるオフィスにリニューアルしている。
では、まずは、シービーアールイー株式会社の芝パークオフィスを紹介して行こう。
都営三田線「芝公園駅」から徒歩2分、また、都営浅草線「大門駅」から徒歩2分の距離にある。また、JR山手線 浜松町駅からも7分と交通アクセスは良好だ。
芝パーク支店のエントランスは、丸の内オフィスよりも小さくはなるが、同様のモチーフのエントランスが作られている。
壁面緑化アートでホワイトカラー主体のエントランスは丸の内オフィスと同様で、企業ブランディングの観点からも共通デザインは重要だ。
ガラス張りの来客用会議室。
会議室前はラウンジになっており、ホールとしても使えるように作られている。
芝パークオフィスにもカフェが設置されている。こちらは朝に無料のコーヒーがふるまわれる。
こちらは社内用会議室。
こちらはテーブル席が並ぶコラボレーションエリア。
ホワイトボードを持ってきてメンバーで討議したり、こちらのフロア全体を使って全体会議などもできるように作られている。
少し段になったテーブル席。コラボレーションエリア全体を使った会議では、こちらを壇上としても使うことが出来る。
壇上から1枚。
窓際にはカフェ風のベンチシート席。独りで仕事をしたり。
窓からは東京タワーが見える。
電話ブース。こちらで電話したり、独り仕事することも。
シービーアールイーのオフィスでは必ず壁にデザインアートが施されている。こちらは、東京の過去と未来をテーマに、江戸時代から未来まで描かれている。写真で写っているのは未来。
こちらは現代の東京。
こちらは江戸。
江戸城が描かれている。
丸の内オフィスと同様の執務スペース。デスクには大型モニター付き。
収納も兼ねたカウンター。
こちらにもカウンター席。
こちらはカフェ風のラウンジで、こちらで仕事をしている人も多い。
予約システムは丸の内オフィスと同じもの。
こちらにロッカーがある社員の方と丸の内オフィスにロッカーがある社員の方に分かれる。
以上、こうして芝パークオフィスを見て行くと、本社オフィスと同じ働き方ができるよう配慮されていることが分かる。
では、次にABWとして働けるオフィスにリノベーションした仙台支店のオフィスを見て行こう。仙台支店は社員7名の少人数オフィスではあるが、ABWによりオフィス面積を50%削減し、少規模ながら変化に富んだオフィスに生まれ変わらせている。
(※同社提供写真)
仙台支店のエントランスは、会社ロゴ周りのホワイトカラーは丸の内オフィスと同様で、壁面アートが施されている。
(※同社提供写真)
仙台支店は社員7名、115平方メートル(35坪)の少人数オフィスのため、全員が簡単に見渡せるコンパクトなオフィスになる。
こちらは、フロア全体を使ってセミナーも開催が可能になっている。
(※同社提供写真)
左は本社と同様の執務デスクで、大型モニター付き。大型モニターを使用しての資料作成向きの席になっていて、3席分用意されている。
写真右手奥が、ベンチソファでカフェ風なラウンジになっており、右手はビッグカウンターが置かれている。
ビッグカウンターは、執務デスクとしても利用できるが、メンバーが集まって図面を広げて検討できる場所としても作られている。
(※同社提供写真)
左右対称にベンチシート席があり、カフェ風ラウンジが作られている。
独りで仕事をする場合、左右合わせて4人分用意されている。
また、このラウンジは向かいに椅子を持ってくることでミーティング席にも変わるので、2~4人での打ち合わせも可能になっている。
(※同社提供写真)
ベンチソファはこのような形で使える。利用率は高いとのこと。
(※同社提供写真)
こちらは社内用会議室。
(※同社提供写真)
丸の内オフィスのものより小さいタイプだが、同様にプロの写真家による写真が貼られている。
仙台支店は社員7名、115平方メートル(35坪)のオフィスのため、ABWによるオフィスは難しいのではないかと思われたのだが、写真で見てみると、いくつか機能を兼用させるなどすることで、実にしっかりABWとしてオフィスが作られていることが分かる。
この規模でも気分と仕事の内容に合わせて働く場所を選べるというのが、なかなかに新鮮で、効率的な働きやすさの場を作るというのは規模によらないのだと気づかされた。
本社オフィスの改革に留まらず、支店オフィスも変えていくことで全社の働き方が統一され生産性が上がってくる。その点で、同社の展開の仕方は参考になるところが多いように思われた。
CBREグループは、米フォーチュン誌が発表する全米トップ企業500社リスト「フォーチュン500」に2008年以降毎年選出されるなど、ロサンゼルスを本拠とする世界最大の事業用不動産サービスおよび投資顧問会社 (2017年の売上による)。シービーアールイー株式会社は、CBREグループの日本法人にあたり、法人向けに不動産賃貸・売買仲介サービスを始め、各種アドバイザリー機能やファシリティマネジメントなど幅広いサービスラインを全国に展開。1970年に設立以来、日本における不動産の専門家として半世紀以上にわたりサービスを提供している。
編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 (※印の写真を除く)
取材日:2017年6月6日, 16日
2016年11月17日のリニューアル前の旧コンテンツは
こちらからご確認ください。