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集中しつつコミュニケーションできる多機能オフィスの秘密(株式会社ミダス訪問[1])

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  • [目次]
  • 限られたオフィス空間の中で、集中とコミュニケーションを同時に成立させるためには?
  • 集中とコミュニケーションを同時に成立させる秘密は、社内を横断する可動式の間仕切りにあり
  • 単なる間仕切りではない、4層ホワイトボードによる情報ストック、アイディア醸成機能
  • いつものデスクが集中コーナーに変身!デスク上フェルトパーテーションをオーダーメイド
  • フォーラムエリアをセミナー開催から少人数打ち合わせまで使い分けられる秘密は、天井に仕込まれたロールスクリーン間仕切りにあり


■限られたオフィス空間の中で、集中とコミュニケーションを同時に成立させるためには?

社内は見通し良くありたい。コミュニケーションを重視するのであれば、社内は仕切りのない1フロアにして、社内で起きていることをフロアにいる社員全員が感じられるようにすることが理想だ。


他方、社内に設計部門と営業部門など、ワークスタイルの異なる部門がある場合、一方は集中のための静かさが必要となると、集中できる空間づくりも必要になってくる。


限られたオフィス空間の中で、集中とコミュニケーションを同時に成立させるために、どのように間仕切りをしていくかは大きな課題で、社内のオフィスづくり担当者の悩みどころだ。


その課題を、独自の空間デザインで解決しているオフィスがあると聞いて、株式会社ミダス(築地)を訪ねた。株式会社ミダスは、創業以来5,000件を超えるプロジェクトを成功させてきた老舗の空間デザイン会社だ。



■集中とコミュニケーションを同時に成立させる秘密は、社内を横断する可動式の間仕切りにあり

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この写真は、可動式間仕切りを中心にして、向かって左側が打ち合わせの会話が多いプロジェクトマネジメント部門、右側が集中を必要とする設計部門、それぞれが同時に収まるように撮影したもの。社内を貫く間仕切りでオフィス空間を大きく2つに分割していることがわかる。



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写真はさきほどの右側に見えた設計部門側からスローシャッターで撮影したもの。スライドを動かしているところがわかる。


間仕切りは天井のレールに吊り下げることで、軽い力で動かせるように設計されており、女性でも簡単に開け閉めすることができる。集中が必要なエリアは閉めて、そうでないときは開けてと、間仕切りで完全に締め切ることはなく、その時々で開閉して間仕切りを活用していることが多いそうだ



■単なる間仕切りではない、4層ホワイトボードによる情報ストック、アイディア醸成機能

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この間仕切りはホワイトボードになっているので、進行中のプロジェクトのアイディアや案件内容など、チームミーティングのホワイトボードとしても頻繁に利用されている。


間仕切りのホワイトボードは4列のレール上に4層重なっているのだが、空間を仕切るためであれば2層あれば十分なはずだ。なぜかを尋ねると、「情報をストックして、アイディアを醸成するため」とのこと。


ホワイトボードが1枚しかないと、打ち合わせが終わったら消す必要が出てくる。会議でホワイトボードに書いたブレストのメモを次回まで取っておけたら続きが書けるのにと思ったことはないだろうか。この4層構造のホワイトボードなら、消さずに残しておける。書いたパネルは残すために移動させて、次の打ち合わせには隣のレールのホワイトボードを持ってくれば済む。書きかけのアイディアは、当初参加していないメンバーも残されたメモを見て、後日アイディア出しに参加できる。まさに空間デザイン会社らしいアイデアを大切にする工夫と感じた。



■いつものデスクが集中コーナーに変身!デスク上フェルトパーテーションをオーダーメイド

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写真のデスク風景は設計部門のデスクをスローシャッターで撮影したもの。設計部門のデスクは、フリーアドレスタイプのデスクを使っている。

((注) 社員の座席は、現在、期間限定にて固定使用を実験中)


写真中央の女性に注目して欲しい。デスク左右をグレーカラーのフェルトパーテーションに囲まれている。このグレーのパーテーションパネルは、机に差し込むだけで取り付けできるフェルト製のオーダーメイドで、吸音と視線をさえぎる機能を持っている。集中して作業したい社員は、自分の両脇にフェルトパーテーションを取り付けることで、そこが集中スペースに変身する。


設計部門の仕事上、集中して仕事をすることが多いのだが、チームメンバーとのコミュニケーションは仕事には欠かせない。集中とコミュニケーションのバランスを取るアイディアが、この取り外し可能なフェルトパーテーションなのだ。



■フォーラムエリアをセミナー開催から少人数打ち合わせまで使い分けられる秘密は、ロールスクリーン間仕切りにあり

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上の写真は、セミナー開催できるフォーラムエリア。普段は少人数の打ち合わせにも使えるよう、ここでもミダスらしい、空間を仕切りつつ、つなげることができる秘密が隠されている。


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2枚目の写真はロールスクリーンの間仕切りを下ろして、フォーラムエリアを4分割したもの。天井に複数のロールスクリーンが仕込まれていて、引き出すことで間仕切りとして利用できる。区切るエリアの大きさは、天井に25センチごとに設置されたロールスクリーンのどれを引き出すかを変えることで変更可能だ。


この仕組みにはもうひとつポイントがある。仕切った向こう側の人影がわかる程度に少し透けている。スクリーンで仕切った向こう側が少し見えると心理的に安心できるため、完全に遮光せず半透過のものにしているとのこと。空間づくりのプロらしい配慮だ。


ロールスクリーンで仕切った向こう側を見えなくすることも可能だ。隣接するロールスクリーンをもう1枚下ろして2枚にするとかなり向こう側が見えなくなる。また、完全に見えなくほうが良いような、たとえば守秘が必要な会議には、別室の会議室が用意されており、打ち合わせの内容ごとに使い分けがされている。



株式会社ミダスのオフィスは、限られた空間を多機能に使うアイディアが随所に施されていて、参考になる企業も多いはずだ。



《Note》

  • 限られたオフィス空間の中で、集中とコミュニケーションを同時に成立させることは可能

  • 集中とコミュニケーションを同時に成立させる秘密は、社内を横断する可動式の間仕切り

  • 4層ホワイトボードで、情報をストックし、アイディアを醸成する

  • オーダーメイドのデスク上フェルトパーテーションで、いつものデスクが集中コーナーに

  • フォーラムエリアをセミナー開催から少人数打ち合わせまで使い分けられる秘密は、天井に仕込まれたロールスクリーン間仕切り




取材先

オフィスデザインで働き方を変革させる|株式会社ミダス

東京・築地にオフィスを構える空間デザイン事務所。創業以来5,000件を超えるプロジェクトを手掛けている。

良い空間デザインとは何でしょうか

「働く人がよりよく働きやすい、それを感じていただける空間は何だろうかと考えて、 働いている人の生産性上がったり、働くモチベーション上がったり、会社のブランディングを感じたり、そうしたことを含めた働きやすさ。それを一番良く提供できるのが、良い空間と考えています。」 (株式会社ミダス 代表取締役社長 小松 健悦)







編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局
取材日:2016年10月18日




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