過去、第3回にわたって紹介してきました。今回はその総集編として紹介します!
5,000件を超えるプロジェクトを成功させてきた空間デザイン会社のミダスのオフィスには、ほかにも多くの秘密が隠されているんです。
どうしてミダスのオフィスには、こんなにたくさんの仕掛けがしてあるのか。株式会社ミダス 小松社長に尋ねました。
すると、こんな答えが!
「このオフィスは2013年1月に改装したんですが、 その目的として、お客様に見ていただく、 オフィス空間をデザインする会社のライブオフィスとして作った ということがまずはあります。 ミダスのオフィス空間でのわたしたちの働き方を お客様に見ていただき、ヒントにしていただければということです。」
お話を聞いてなるほどです。確かにすごく参考になります。
「また、このオフィスの中にはいろいろな仕掛けがしてあって、 実験オフィスという位置づけでもあります。 これからのオフィスをどうすればいいかという中に、 オフィスの中でいろいろな実験をして、 良かったこと悪かったことをデータ化して取り込んでいっています。 なので今もあちこち変えて実験しているんです。」
それでなんですね!そういうことだったんですね。
というわけで、ミダスの秘密を入口から順に一気にダイジェストでお伝えします!
上の写真で小松社長が手をのせているカウンター。
この木の天板は、スギ間伐材の板材です。
写真の右手に見える木の壁も同じ板材です。
実はこの板材は、社員の皆さんのデスクの天板にも使われています。
デスクの天板につながって、壁になり、さらにつながって天井へ、
もう一方は床へと変化していきます。
一つの板材が天板や壁や床や天井になれるとのことで、
オフィス内をつらぬくダイナミックな流れのあるデザインになっています。
間伐材なので環境にも優しいのです。
スギの天然木ですから、近づくとスギのいい香りがします。
特に施工当初はスギのいい香りがオフィス中に漂っていたとのこと。
和ですねぇ。
ミダスのオフィスにはあちこちに「和」を感じるんですよね。
こちらは、その板の流れのスタート地点。
写真左手のハイカウンターから、ハイカウンター側面、
床、デスクと一体となってつながっているのがわかります。
左手や奥にはグリッド棚(※)が見えますね!
収納棚の間仕切りなのですが、
仕切られた向こう側が見えるんです。
この格子の感じは、京町屋っぽさがあって、
こちらもどことなく「和」のマインドを感じたりします。
(※)グリッド棚については、
「収納棚なのに抜け感?!その解決方法はグリッド棚にあり(株式会社ミダス訪問[2])」に詳しく紹介していますのでぜひご覧ください。
板の流れはデスク天板として室内を流れていき、
オフィスの中ほどで天井と床に分岐して流れていきます。
写真奥に写っているホワイトボードのパネルについては、次の
「集中しつつコミュニケーションできる多機能オフィスの秘密(株式会社ミダス訪問[1]))」に詳しく書いていますのでぜひ。
板が天井になっているところ。
社内の板の流れの終わりの方です。
コンクリートの躯体にしっかりとアンカーボルトを取り付けて、ステーでつり下げています。
こちらはセミナーができるフォーラムエリアです。
50名まで入れる大きさです。
写真の中央奥をよく見ると、そこには...
シロクマさんがいます。大きい~。
25cm刻みで仕切り位置が変えられるので、
こちらで打ち合わせ、向こうで一人仕事などなど自由自在に仕切れます。
半紙のように少し透けるので、向こうの存在が感じられるのがポイントです。
このあたりはこちらの記事(↓)で詳しく紹介していますのでまだの方はぜひ!
「集中しつつコミュニケーションできる多機能オフィスの秘密(株式会社ミダス訪問[1]))」
フォーラムエリアのカウンターは、H形鋼です。
H形鋼は、工事現場で見かけますが、建物や橋の構造材に使われます。
鋼の断面のかたちがHになってるからH形鋼なんです。
そのH形鋼を平べったい部分(フランジ)をテーブル面にしています。
H形鋼はまさに''建築''のシンボル。
向かって左側をコンクリートブロックで下から支えてボルトで固定。
反対側は鋼鉄製ワイヤーで建物の天井部分の躯体からつり下げて支えています。
つり下げる構造はオフィス内随所にみられてすごく象徴的で印象に残るカウンターです。
こんなにしっかり固定しているのは、重量がスゴイので
地震などを考慮するとこれくらいは固定が必要になるとのこと。
写真左手のバーカウンターでは、社員の方がコーヒーを飲んだりしてくつろがれているそうです。
バーカウンターの向かいには、ファミレス風ソファーコーナーがいくつか。
こちらで雑談したり、打ち合わせしたり。
クローズドな会議室もあります。
どうして「動」の会議室かというと、テーブルがハイカウンターになっていて、立って会議ができる会議室だからです。
ハイチェアが置いてあるので普通のテーブルに見えてしまいますが、このテーブルは高さが高いのです。
ちなみに、このハイチェア。見たことあるワイヤーの背面は、スチールケースのシンクチェアのハイタイプ。
こちらは「静」の会議室。
シックです。
テーブルの天板はクロコダイル革調の仕上げ。
チェアはホワイトレザー。
とってもエグゼクティブ感のある部屋になっています。
もちろん普通に座り会議です。
天板のクロコダイル革調なのは、板面がぼこぼこして紙を書きにくくして、ペーパーレス化を図る意味もあるとか。
ちなみに、テーブル奥は鉄板シートになっていて、こちらはエイジングを試しているとのこと。
実験要素がいっぱいです。
オフィス内中央付近にあるハイカウンター。
そこには不思議な囲いの物体がありました。
遮音の集中ボックスとのこと。
現在は写真のような感じで、電話をするときの電話スペースとして使用しているそう。
ためしに箱の中に頭を入れてみると、かなり吸音効果を感じます。
これは欲しいかも。
たくさんの種類のオフィスチェアを置いているのは、実際に社員が使用して、クライアントのニーズに合った椅子を提案できるようにするためだそう。
1週間ごとに使うオフィスチェアをローテーションするルールになっているとのこと。
詳しくはこちらの記事にて↓
「空間デザイン事務所のオフィスチェア(株式会社ミダス訪問[3])【椅子コレ】」
1週間交代でいろいろな椅子に座れるのっていいですねえ。
まだまだあるのですが、このあたりで紙面が尽きたようです。
秘密がいっぱいの実験オフィス。わくわくしますね。
その秘密の一部を、ひも解いたのがこちら↓ まだお読みでない方はぜひご覧くださいませ。
長時間の取材に応じていただいた株式会社ミダスの皆様、ありがとうございました!
東京・築地にオフィスを構える空間デザイン事務所。創業以来5,000件を超えるプロジェクトを手掛けている。
働きやすい空間とは何でしょうか
「単にデザインが良いだけではなく、会社によって価値観や文化、方向性が違いますから、それらを汲み取ったオフィスづくり、企業のワークスタイルをしっかりと焙り出して、企業のビジョン、方向性を含めて、実際に企業が求めているワークプレイスは何かを提案しています。」(株式会社ミダス 代表取締役社長 小松 健悦)
編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局
取材日:2016年10月18日
2016年11月17日のリニューアル前の旧コンテンツは
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